1月の釣り



   ■ 網走湖(呼人)

1月8日 先日の初釣行は釣行ではなく、ただ単に氷上にテントを張ってラジオを聴きながら過ごしただけの雪中アウトド
アのような半日だった。予定では網走行きは月末であったが、釣果の期待できる釣り場はもはや聖地網走湖以外には
考えられず、成人の日の三連休が最もスケジュール的にも都合が良かったのである。

未明の1時半起床。今回はワカサギ釣り初体験の母と弟一家4人の総勢7人となる大所帯だったにもかかわらず、遅
れることなく予定通り2時には出発することができた。
外気温マイナス13℃はこの時期平均的な気温だったが、高規格道路インター付近では18℃まで下がった。路面状況は
良好で雪も降らず、すれ違う車は遠軽までで僅か10台程度だった。ワカサギ釣り初体験の興奮からか、或いは前夜20
時の早寝のせいなのかは分らなかったが、誰一人として居眠りすらしていないようだった。
天気予報では、道東方面は曇りで最低気温もさほど低くならないはずだったが、途中のサロマのコンビニで食料の調
達を済ませてから温度を見たときマイナス22℃にも下がっていたのには驚いたものの、網走はもう少し気温は高いと思
っていた。
常呂を過ぎて能取湖畔に入ると湖上にテントの灯りが見えていて、チカ釣りなのだろうが今までに見たこともない場所
だったので、氷はしっかり張っているのだろうかと気になった。
網走湖半に入るとテントの灯りが見え始めたが、前回よりもはるかに沢山の数のテントが見えていた。ここ最近の網走
湖爆釣情報から考えて、明るくなってからでは駐車場は満車になってしまうだろうと思っていたが、何と!呼人駐車場は
すでに一杯になっていて、僅かに1台の狭いスペースがあっただけだった。なんとか車を入れて準備を始めたが、気温
はマイナス20℃と予想外に寒かった。
車内で待機している人たちも多く見られたのは駐車場の確保のためなのだろう、私達夫婦と弟3人ですぐに準備を済ま
せて出発!実は先日、キッシーさんが夜釣りを体験していて、彼からその楽しさを聞いていたことと、昨年経験した日没
からのランタンの灯りによる釣りの楽しさも味わいたかったのである。
ソリを引いて氷上を進むと、ざっと見て50以上はありそうなテントの数に驚きつつ、氷の上に積った雪がすっかり硬くなって所々テントの後なのか四角い氷上に複数の穴の跡が凍りついていた。近くにテントを張ろうと思っていたが、密集した場所を避けたために、結局前回と同じような場所になってしまい、この時間はまだ半径10mにテントはなかった。
雪が硬いので除雪はせずにそのままテントを張り、とりあえず顔まで凍りつくような寒さからは逃れたものの、ランタンのポンピングを始めたところで愕然とした・・・・・ポンピングに手ごたえがなかったのである。
いくら試してもスカスカ抜けてしまい圧は全く上がらず、ランタンは使用不能となっていた。
キャップライト2つが頼りの絶望的な状況の中で準備を始めたが、この日は何といっても4人で丁度良いサイズのテント
に、大人5人+小学生2人の大所帯だったのでイスの配置には随分と頭を悩ませた。イスを4脚にビーチベッドを並べ
て配置は完了し、穴は4つとした。人数分の竿の用意はしていたが、沢山開けては子供だけでなく大人までが足を突っ
込みそうだし、入れ食い時にはオマツリの可能性が高くなってしまうからでもあった。
弟は車で待機中のみんなを迎えに行き、私が4つの穴を開けたので寒さなど何処かへ飛んでしまうほど暑くなってしまった。それでもガソリンストーブに火を入れ、テント内はほんのり暖かくなっていたものの穴の表面は少しの時間で薄氷が張ってしまうほど寒かった。
やがて全員がテント内に収まり、車内にあった薄暗いランタンと合わせて3個の照明で道具の準備を済ませて仕掛けを降ろしたものの、全く魚がいなかった。他の2つのライトは全く役立たずとしても、私のキャップライトは前回一番強力だったので集魚効果を期待していたのだが、厚くて硬い雪に光が届かないのか全く音沙汰なし・・・。
しばらく粘ってようやく1匹釣れたがその後が続かなく、明るくなるまではまだまだ時間があった。6時半近くなって山際
が青く明るくなり「あと1時間後には爆釣が待っているぞ!」などとみんなを励ますが、初体験者には寒さも相当辛そう
だった。
表層がダメならばと底を探っていた私に少しづつ釣れ始め、周囲も明るくなってきた頃ようやく妻、そして他の2つの穴
にもワカサギが釣れ始めてきた。待ちに待った入れ食いタイムがやってくると、表層でも仕掛けを投入した瞬間にアタリ
があり、複数匹のワカサギがどんどん釣れてきた。
こうなると寒さも何処かへ飛んでしまい、ひたすら釣り続けてしまうのである。いつしかテント内も熱気のせいか暖かくなっていて、凍っていた糸も解けていたしエサがほとんど取れてしまっていたにもかかわらずどんどん釣れていた。
太陽がテントを照らし始めると急に暖かくなり、私達のテントの周りもいつの間にか後から張ったテントで賑やかになっていて、私達のテントも賑やかだったが隣からも負けないくらいに歓声が聞こえてきていた。
7人に対して4つの穴しかないので、2つは主に私達夫婦が数を稼
ぎ、残り2つの穴で子供たちも交えて交代で楽しんでいたが、手袋や服に針を引っ掛けてしまったり、サシに触れなかっ
たりして、なかなか思ったよりも釣果は伸びていなかったものの、朝食をとる暇がないくらいに楽しんでいるようだった。

  
         妻の釣果                           管理棟から釣り場を望む
外へ出ると雲ひとつない快晴の空と白い氷上のおびただしい数のカラフルなテントが眩しいくらいに見え、賑やかな歓
声やドリルの音、管理棟からの迷惑駐車の移動案内が何度も聞こえてきていた。
朝食後に車に戻ってみると、到着時よりも更に沢山の車が駐車していて、管理人の話によると第2駐車場も満車状態らしかったので、この時間に来た人は遥か遠くの駐車場にしか車を停める場所はない様子だった。
テント内で何かを焼いている人もいて、テントの換気口からモクモクと出ている白い煙から焼肉の匂いがしていて、この時間になるとテントの外でバーベキューをしていたり、テントの入口を開けっ放しにして炭火で暖をとっている人もいた。
ざっと見て100張以上はあるだろうが、見た限り大爆釣している人は見える範囲では見当たらなかったが、混雑している場所を避けている人たちは釣れているのかもしれないと思った。
9時過ぎには私達夫婦も満足できる釣果があったので、場所を交代したり休憩時間を作ってのんびりしたり、ビデオ撮影をする余裕もできた。
陽が高くなると背中が熱いくらいに陽が射してきて、テントの外のソリの上で昼寝をしていても寒くはなかった。近くで野
釣りをしていた180cm以上の長い竿のおじさんたちもいたが、こんな釣りも面白そうだとは思ったもののさほど釣れてい
る様子はなかった。今シーズンはコールマンのアイスフィッシングシェルターそっくりのテントも発売されていたが、お手
頃な価格のせいかここでも何張か設営されていた。しかし、圧倒的に多いのは小川であり半数以上となるだろう。

   

明るくなってから始まった入れ食いは止まることを知らず、いつの間にか妻と私のバケツは一杯になってきていた。こ
れは、解禁直後の12月25日のあの日よりも釣れていたかもしれない。
予定では14時頃までと考えていたが、11時を過ぎてから「そろそろ帰ろうか?」ということになったが、昼食の準備もして
きていたのでテントの中で食事を済ませ、子供たちが氷上で駆け回っている間に最後のエサを付け替えて一釣りして
から納竿と考えていたものの、釣果は全く落ちずなかなか止められなかったが、きりがないので片付けを始めた。

          

いつもの釣りバケツにみんなで釣ったワカサギを入れると山盛りになり、なんとかこぼれ落ちないこの状態で1200匹を
超えていたので、今後のおおよその数の目安となるかも知れない。
納竿時間が早かったので氷上はまだまだたくさんの人が残っていて、駐車場もほぼ一杯だった。帰りがけに見えた第2
駐車場も満車で、後から後からと車が入って来ていたのは、翌日も祭日なので夜釣りを考えている人なのだろうと思っ
た。
ガソリンの補給を済ませて来た道を引き返していると、卯原内もテントや野釣りの人が一杯で川に沿って停めてある車
と釣り人が川の位置を教えてくれているようだった。未明に見た能取湖上も10組ほどの姿が見えたものの、どう見ても
氷が薄そうで危険な感じがした。
どこまでも青空が続く快適な国道を走り、白滝入口では一部雪が降っていたものの高規格道路も晴れていて、明るいう
ちに自宅に戻ることができた。





   ■ 朱鞠内湖(前浜)

1月14日 この日は近郊ダム湖・朱鞠内湖の解禁日だった。解禁日ということは、雪深い場所なので道もできていない
だろうと、4時に起床してゆっくりとした出発となった。
マイナス13℃はさほど寒くはなく、日中の気温は今年一番高くなりそうで、朱鞠内も晴れの予報だった。
比布インターチェンジから高速道路に乗るが、窓が凍り付いて開かないので車から降りてカードを取った。この時間は
ほとんど走っておらず、路面もきれいに排雪されていて走りやすかった。
士別・剣淵料金所では車を降りて支払いをしようとしていたので、不思議そうな顔をした係員の人に料金を聞くと「450円
です」半額サービス中らしく、通常は850円だった。得した気分で国道を走り、士別市内のコンビニで食料を購入してか
ら、山の中を走っているうちに空が薄っすらと青くなり始めた。
朱鞠内は相変わらず雪深かったが、気温はマイナス12℃程度でこの地では暖かいくらいだろう。
朱鞠内湖に着くと前方に車列が見え、7台ほど料金所で止まっていたので開場時間が遅いのかと思ったが、ようやく自分の番になって係員に聞くと「5時の受付開始から混雑していて、未だにこの状態・・・」だという。すでに50台くらい入っているというから驚きだ!
トイレに寄ってから前浜の駐車場に停めようとしたが、40台以上はあるだろう車の数に圧倒されながら氷上のテントの数にも驚かされた。網走ほどではないにしても、前浜だけでこの数なのだから想像がつかない人気振りである。
準備を済ませてソリを引き始めた頃には完全に明るくなっていて、氷上に向かって進むスノーモービルがつけた広い幅
2mほどの固くなった雪面を進む。場所の設定は網走の爆釣に慣れていて甘い考えを持っていたので、解禁日だから
どこでも釣れるだろうと思い簡単に決めてしまったのがそもそもの間違いだった。
朱鞠内湖特有の氷上は雪を踏みしめると水がにじんでくるというもので、簡単に除雪をしたがはじめから足元が安定しておらず強く踏み込むと30cm以上も穴が空いてしまう・・・。テントを張って全ての準備を整えると体だけが熱くなっていたが、濡れた雪のために手袋にしみて顔や指先が冷たかった。
ドリルでの穴開けは独特なものがあり、氷なのか雪の塊なのかわからない層を抜けるとようやく氷の層にたどり着き、氷の層は僅か10cm程度で貫通するのである。今はまだ普通の長さのドリルで事足りるが、2月中旬になるとロングドリルを使わねば貫通はしなくな
ってしまうほど雪深い地方なのである。
先にエサを付け終わった妻が仕掛けを投入・・・釣れない。私も表層から底まで丹念に探りを入れてみたが、生体反応
なし。
朝マズメだというのに全く反応がなかったので、普通なら場所移動するところだろうが移動はせずに爆弾投入!
5分ほどすると爆弾の効果か、たまたまワカサギが通りかかったのか定かではないが釣れはじめた。調子よく釣れてい
たのだが、これで安心したのか妻が「朝ごはん食べよう!」、それでも私は食べながら釣りをしていたので妻よりは釣果
はあったが、朝食が終了する頃にはポツポツとしか釣れなくなってしまっていた。
無料送迎用のスノーモービルがソリを引きながら轟音とともに猛スピードでテントの横を走りぬける音がうるさかったが、テントを設営してしまってからでは移動するのがおっくうでこの場所を離れる気はなかった。
朝方少しだけ降っていた雪も止み、どんよりとした空だったがおぼろげに見える太陽が外を明るくしていた。さまざまなワカサギテントに混じって夏用の大きなバンガロー型スクリーンタープも見られ、人数が多くて風のない日にはこれもありかなとは思ったが、広い分だけ寒そうに見えた。

K-ZAN竿

機能的にも最高峰の「9」
最近発売になったogawaの「ノースガード9」はなかなか魅力的な商品で、6人は楽に楽しめそうである。収納時の長さ
は150cmと若干長いが、重量はコールマンよりも軽く設営も楽そうだし、サブポールが強度をアップしていると同時にス
タイルも良くしている。
3m×3mの広さと205cmの高さは、テントの中に入ってみると驚くほど広いし、出入り口・大きなファスナー式メッシュ
窓・屋根部のベンチレーションがそれぞれ2箇所というのも良い。あえて欠点を言えば、屋根部のベンチレーションがメ
ッシュでないことと、広いがためにスポーツスター1台では寒そうなことくらいだろう。
周囲を見ると、釣れていないのか暖かいせいなのか分らないが、野釣りをしている人も多く見られ賑やかだった。しかし、見る限りではさほど釣れている様子はなかった。
今回は一度だけ大きな魚がヒットして、糸を切られないようにやり取りをしてから穴の下まで魚を引いてきたものの、残念ながら魚の顔を見ることなく糸が切れてしまった。
ウグイとは違った引きをしていたので、きっとサクラマスかイトウだったのであろうと勝手に信じ込んでいる。
陽が射してくると暖かくなり、釣れないこともあ
って妻はビーチベッドで寝てしまったので、私一人で時々釣れる微かなアタリのワカサギ釣りを楽しんでいたが、痺れを切らしてしまいドリルとバケツとイスと竿を持って遠征に出かけることにした。遠征といっても20m程度の近場だが、岸に近くてワカサギがいそうなポイントだったのである。
仕掛けを降ろすと糸が全部出てしまい、この深さでは反応がないのでテントに戻り一番長く糸を巻いてあった竿に変えてみた・・・しかし、この竿も糸が足りなくなって、再びテントに戻る。
昨年末に購入した超敏感な短い竿に巻いてある糸が一番長かったのだが、結局一番使いたくなかった竿を使わなくてはならなくなってしまった。
しかし、この竿でもやっとの深い底で、なんとか湖底に達するとすぐに反応があった!さっそく1匹目を釣り上げたが、タ
ナが深い場所では手ばね竿には限界があり、糸が絡みやすく釣りにくい・・・。

ストーブ周りは水浸し
それでもなんとか釣り続けていたが、今度は根掛かり!結局下針とオモリが切れてしまった・・・こんなことを繰り返しているうちに仕掛けを2つ根掛かりで失い、別な場所に移動する気もなくなってテントに戻った。
気温の上昇とガソリン&ガスストーブのダブル燃焼によってテントの中も随分と暖かくなり、穴の周りから水びたしになり始め、テント内の半分近くが浸水していた。バケツに入れそこなったワカサギが広い水溜りを泳ぐと、なかなか掬うのも大変なくらい広い範囲が浸水していたのだった。
昼食後は全く釣れなくなり、爆弾投下も効果なし。移動する気力はなかったので納竿することとなったが、釣り上げた全てのワカサギが元気に泳いでいたので、最後に釣った全てをリリースすることにして丁寧に穴に戻していると、なかには穴の上部で泳いでいてなかなか潜っていかないワカサギもいた
が、しばらくするといつの間にかいなくなっていた。
昨年何度か通ったポイントに入ればよかったと後悔しながらも、好天のなかでの快適なワカサギ釣りが楽しめただけで
も良しとしようと軽いソリを引いて車に戻った。





   ■ 網走湖(呼人)

1月28日 今回は「ワカサギの夜釣り」ということで、いつになくワクワクする気持ちが大きかったが、徹夜覚悟の過酷な
釣りに果たして体が持つのだろうか、数日前の風邪が完治していなかったことが影響しないだろうか?不安だった・・・。
旭川から戻ってすぐに準備を済ませ、16時には出発することができた。天気は曇りだが雪は降っておらず、路面は半
分ほど出ていて走りやすかった。
高規格道路のトンネル前でレガオさんから電話・・「風邪をひいてしまって参加できない・・・」残念だが仕方がない、おそ
らく先週の初釣行で釣っていじめた魚の呪いだろうなどと考えながらトンネルに突入。トンネルを抜けた白滝は、やっぱ
り雪が少ないなあといつも思う。
サロマを過ぎると小雪が舞いはじめ、風が強くなっていて吹き溜まりが多くなり、常呂では道路の所々に砂漠にできる
砂山のような形をした吹き溜まりが現れて、ブレーキを踏んだり対向車線にはみ出したりしなければならない路面状況
だった。
常呂レストハウスで「カキづくし定食」「かに丼」を注文、秋に食べたカキに比べると格段に粒が大きなものとなっていて
美味しかったし、かに丼もご飯が寿司飯も選べるのがありがたく、こんなに沢山のってていいのか?そう思わせるほど
価格の割りにはてんこ盛りだった。
夕食を済ませて、再び強風が吹く国道を走って能取湖畔に入ると、湖上にはテントの灯りが見えたもののその数は前回とは違って少なかった。
コンビニで食料を買い足して呼人湖畔を走っていると、この日ニュースでみた「あったか網走」の祭り会場に鮮やかなイルミネーションが見え人の姿は少なかったものの、駐車場には数十台の車があった。
そして、すぐ隣のワカサギ釣り駐車場に到着し、駐車場所を探しながら奥に進むと、なんだか見たことのある人影と車にその人物がキッシーさんであることを吹雪の中でも確信でき

早くもノースガード9が・・・
たので、その横に車を停めようとしていると妻はさっそくキッシーさんと話をしていた。
気温はマイナス3℃と暖かいのだが、強風による地吹雪が体感温度を極端に下げるので、温度計がなければこんなに
気温が高いことは分らなかったであろう。
準備ができていたキッシーさんが先に出発して、私達もすぐに準備に取り掛かった。悪天候の中でも湖上には10張弱
のテントがあり、雪はあまり積っていなかったので移動は楽だった。5分ほどでキッシーさんのテントを発見し釣り場到
着、一人で頑張った様子が見て取れ、南極越冬隊員のように雪にまみれてペグ打ちをしていた姿が印象的だった。
私達もテントを広げ設営を始めた頃メガ弟さんから電話があり、駐車場からライトでサインを送って間もなく到着するこ
とを知らせてくれた。5分ほどで到着したメガ弟さんはテキパキと設営作業をこなしていたが、突然の悲鳴・・・どうやら穴
に足を突っ込んでしまったようで幸い大事には至らなかったものの、凍り付いていない穴には注意が必要だということ
を体を張って教えてくれた。
おそらく特注品なのだろうが、鉄パイプの骨組みによる白くて大きなテントが私達の近くに立っていた。発電機による強
い電球の明かりと、中で焚いているストーブのものであろう煙突から煙が上がっていて、まるでイベント用のテントにも
見えた。

ひときわ目立っていたテント
やがてメガ弟さんの協力もあってノースガード7とアイス・フィッシング・シェルターMXが立つと、ノースガード7にはソリや荷物類を入れて荷物置き場とし、シェルターを釣りスペースとしたが、実に贅沢な使い方かもしれな
い。落ち着いたのは20時過ぎだっただろうか、私とキッシーさんの2台のガソリンランタンを点しただけでテント内は暖かくなり、ストーブは必要なかった。メガ弟さんもランタンを持参していたが、独自に考案した燃料供給システムに若干の問題・・・いや、致命的な問題があることが発覚!
またしても周囲にガソリンをこぼしてしまい、ランタンの使用は禁止されてしまった。それどころか、この失敗によってこの後の燃料補給作業も彼だけは禁止となってしまったのである。
設営時には熱かった体も冷めてくると、ランタンだけでは寒く感じられてきたのでガソリンストーブを出して着火すると、さすがにストーブは暖かかったが、もう1台私のストーブも点火することとなった。
妻に点火を任せたところ、誰もが予想もしないとんでもない危険な部分にライターの火を近づけたので、全員が驚きの
声を上げた!
ガソリン製品はメガ弟さんが扱う場合には厳重注意となっていたが、もう一人注意人物が増えることになってしまった。
釣りはさておいてくつろぎましょうということになり、とりあえずビールやジュースなどでカンパイ!楽しみにしていた「夜釣り」が始まった。とはいってもしばらくの間釣りはせずに楽しい談笑の時間が続き、念願の熱燗は予想通り最高の味となった。
しかし、私は何か物足りずに小出しに準備を始めていて、やっぱり釣りがしたい!と本格的に準備を始めたところ、何と!キッシーさんが先に仕掛けを投入し最初のワカサギを、それもダブルで釣り上げてしまった。
私達も仕掛けを下ろすとすぐに反応があり、灯りに集まっていたワカサギが

頭を抱えるメガ弟さん
氷の下に群れているような状況で、入れ食いとまではいかないにしても程好く釣れてきた。
ワカサギは解禁日頃とは違い、時々型の良い10cm以上のものも釣れていて、大きなものでは14cmほどのチカと見間
違ってしまうほどの型の良いものも釣れた。
時々底に仕掛けを下ろしてみると底にも魚はいるようで、表層ほどではないがポツポツと釣れる事もあった。
随分遅れて釣り始めたメガ弟さんはリール竿で、小型ながらも電動リールのようなスタイルとカウンターによる深さまで
表示されるという優れものに、一種の憧れのような眩しさを感じたものの、ここは網走湖・・・深さ約2mではその実力は
充分発揮されなかったようだった。

          

私はK-ZANゴールドステンばね竿を始めから使用して、ワカサギの微かなアタリまで逃さない作戦だったが、比較的魚
体が大きくアタリが大きい網走湖ではその実力は無駄ともいえるもので、表層釣りに短い竿ではうっかり大きなアワセ
を入れたときに氷の壁に掛かった針のせいで何度か竿を落としそうになったり、壁に掛かった針を外そうとして高価な
ステンレスオモリを2個もなくしてしまっていたので、結局以前の竿に交換することとなってしまった。
しかし、夜釣りは「釣れる!」ことが実証され、飲み会をしながら釣りまで楽しめる最高のひとときを過ごすことができた
のだった。
外の風は時々強く吹きつけるので、換気口から入り込んでくる雪や強風によって揺れるテントから結露が零れ落ちてく
ることが時々あり、これ以上風が強くならないことをみんなが願っていた。
テントの中は別世界・・・そんなセリフは毎回言っていることだが、この日は特にそれが実感できてランタンの白っぽい灯
りにストーブの遠赤外線ヒーターの赤、足元の雪と氷とバケツの中で泳ぐワカサギがなんとも言えない冬の夜の楽しくも
怪しげな遊びを象徴しているようだった。
23時近くなると、私以外のみんなに睡魔が襲いかかり、ワカサギを釣る集中力は消えていたようだった。それでも微妙なアタリのワカサギ以外は確実に釣り上げ楽しんでいたが、キッシーさんもメガ弟さんもすでに飽きてきていたようにみえた。
24時頃にメガ弟さんが納竿、吹雪の中に消えていった。その後、目が半分しか開かなくなったキッシーさんは芋子汁を食べて睡魔と闘っていたが、結局ダウンして私達の車に避難したので、テントには妻と二人だけになった。
2時頃になると風は止み静かになったが、時々「ザザザザ」とソリを引く音が聞こえてこれから釣り始める人たちがやって来ているのがわかった。

燃料補給は数知れず・・
しかし、この頃から私は酒のせいか不完全燃焼ガスのせいか分らないが、気分が優れず腹がムカムカしはじめていた
ので、換気口を大きく開いたり時々外で深呼吸したりして体調を整えていたが、妻には何の異変も見られずテント内に
ソリを持ち込み、その中にキッシーさんの保温マットを敷いてベッド代わりにして仮眠していた。
真夜中になると釣果は落ち、ワカサギも休む時間が必要なのかと思えるほど反応が鈍かったが、エサを付け替えるとすぐに釣れてしまうことで魚はすぐ下にいることがわかり、網走の魚影の濃さに驚かされる。
3時頃にはキッシーさんが寝ている駐車場の方で除雪車の「ガーガー」除雪している騒音が聞こえ、ここまでうるさく聞こえるようでは寝ていられないだろうと思っていたが、キッシーさんはなかなか帰ってこなかった。
私はマス釣りの時と同じ状態で、眠くはなかったが気分が悪くて最悪の体調だったので、時々ソリ・ベッドに横たわるなどして休憩してはいたが、釣りは惰性でぼんやりと続けていた。
5時過ぎにやってきた8人ほどの人たちが私達の近くで釣り始めたが、何と!暗闇の中の野釣りで、一晩中ぬくぬくと釣りをしていた私達からみれば
凄い集団にも見えた。しかし、明るくないランタン1個のせいか釣果は良くないようだった。そして、ようやくキッシーさん
が帰ってきたのは、空がほんのりと色付き始めた6時頃だった。
大変な辛い夜になるだろうと考えていた夜釣り初体験は、睡魔に襲われることなく朝を迎えたものの、頭痛と胸のむか
つきが難敵となり私を苦しめ、食欲までも奪ってしまった。しかし、どんな時でもそうであるように、夜明けとは荘厳であ
り生きている証を感じさせてくれる何ものにも変えがたい力を秘めているもので、私も少しだけ元気になった。
まだ薄暗い外に出て深呼吸を繰り返しながら、行灯のようなテントと白み始めた空を見ているだけで心が落ち着き体調も良くなって行く気がする。
夜釣りも楽しかったが夜でも予想以上に釣れたのだから、一番期待が持てる朝マズメはどんなものだろうと更に楽しみが増えていった。
しかし、元気に朝食を食べるキッシーさんと妻に対して、私は菓子パンを1個やっと食べただけで食欲は全くなかった。
期待していた明るくなってからの釣果はと言うと、期待していたほどは釣れずに食い渋るワカサギたちが表層や底に群れているのを感じ、エサを付け替えた数分のみ入れ食い状態になるが、すぐにいたずらするだけの渋い状態になってしまうのであった。
私達のすぐ横に大勢のグループでやってきた人たちがいて、エンジンドリルを使用して次々と穴を開けまくっていたが、
聞こえてくる会話からはあまり釣れていないようで、エンジンドリルの音はこの後も時々響き渡り、そこらじゅう穴だらけ
になっているのでは?と思うほどだった。
明るくなってから妻の竿に異変があった・・・重量感のある竿のしなりにカワガレイを確信していた妻だったが、もう少し
で穴から出てくるところでバラシ・・・残念な1枚となった。



そして7時20分頃、電話予告どおりキッシーさんの仲間4名が到着、その中には帽子岩で一度ご一緒したことがあるイ
カリさんと、昨年のワカサギ初体験のときに女満別会場でご一緒したマスさんも参加していたので、打ち解けるのに時
間は要らなかった。
さっそく私達の横で、イカリさん持参の今シーズン発売となったばかりのアイス・フィッシング・シェルター(MXのミニタイプ)の設営を始め、荷物置き場としてツーリングテントも立てはじめていたが、キッシーさんと私は面白そうなのでそばで見ていることにした。
イカリさんは一度試験設営していたのか購入直後の未開封状態ではなかったが、テントを広げてみるとさかさまだったりなかなか広げられなかったり、本当に設営したのだろうか疑問に思われる節もあったものの、何とか無事設営は完了していた。しかし、見たところ3名が限界のテントに4名入ってしまうというから驚きだった。
更に驚いたことには暖房器具などは持ってきていないようで、気の毒に思ったキッシーさんがガスストーブを差し入れて
あげたものの、置き場所に苦労するほどの狭さだった。
だが、さすがにワカサギ釣りをしに来ただけあってアイスドリルも持参していたのだが・・・・・まだ箱に入ったままの超新
品状態が問題だった。箱入りということは組み立てが必要で、六角レンチで組み立てなければならなかったのだが、こ
んな時に限って誰もレンチなど持って来ていなかったので、結局キッシーさんが色々努力してようやくドリルの組み立て
が完了したのであった。
この4人の、キッシーさんが言うところの収容所のようなテント生活からすれば、私達はノースガード7を荷物置き場に使用しているし、MXは1.6倍広くて数多くの道具が並んでいて実に贅沢なテント生活であることを実感することとなった。
テントの準備中は釣れていたのだが、みなさんやっと仕掛けを下ろした頃には運悪く魚の姿が少なくなってきていた。ポツポツと釣れるワカサギではあったが、夜の釣果とは比べものにならないほど釣れず、徹夜のせいでなくした集中力は全く持っていかんともしがたくダラダラ釣りとなっていた。
そんなこんなで、ワカサギはいいから外道を釣りたいっ!と狙っていたカワガレイは、キッシーさんにやってきた。これぞカワガレイという見事にはっきりした白黒模様とまずまずの大きさだったので、さっそく写真撮影をしてから放
流となった。しかし、外道はこれが最後の1枚となり、その後は誰の竿にもワカサギ以外の魚は釣れなかった。
体力の限界も感じていたので少しずつ荷物の整理を始め、11時には全ての荷物をソリに積み終えて、最後にマスさんたちがテント内でカラ揚げにした揚げたてのワカサギをご馳走になってから釣り場を後にした。
会場の混雑もさることながら駐車場は激混み状態で、荷物を積み込んでからしばらく談笑したり、キッシーさんが購入したスノーシューの雪上試験をしたりして、のんびりしてから次回の再会を楽しみに別れた。
昼食後は運転ができる状態ではなさそうだったので湖畔で昼寝をしていたが、気がつくと15時過ぎになっていて慌てて
出発。卯原内川の混雑を横目に舗装が出ていた快適な国道をひた走り、やっとのことで自宅に着いたが、体調は最悪
のままだった。

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