12月の釣り



    ■ 網走湖(呼人)

12月24日 今年から始めたワカサギ釣りは、数あるオホーツクの釣りの中でも私達の中ではトップクラスの楽しい釣り
となってきている。特に妻は寒さに弱いので、暖かいテントの中でのんびりできるこの釣りが大好きなのである。
近場でも一番早く解禁となる網走湖は23日に解禁予定と知り、この釣りの楽しさを教えてくれたキッシーさんに連絡をし
ようと思っていたところ、解禁日前日に電話があり、あっさりと25日の同行が決まった。
14時過ぎに家を出てガソリンスタンドで満タン、さてとこれで全ての準備は完了したので出発と思ったら「水は?」妻の
一声に自宅に戻った・・・完璧な状態で出発したかったし、私の町の水はその辺のコンビニの水よりはおいしいので買お
うなどという気持ちは全くなかった。
ようやく安心して出発!小雪が舞う穏やかな曇り空の下を安全速度で快適に走っていると、前方の空が薄暗い雲に覆
われていることに加えて、対向車はライトを点灯して走ってきていた。層雲峡付近は雪が降っていて、道路の雪も残っ
ていたが走行には何の支障もなく石北峠に向かう。
峠の頂上から数キロ下り始めたところで白い犬がいた・・・こんなところに何故??捨て犬かな?などと妻と話しながら
走っていたが、不思議なものを見てしまった気がした。
峠を下りると晴れていて、道も舗装路面が出ていたので安心して走ることができ、やはり峠を下りると別世界だなあとい
つものことながら思う。
温根湯の道の駅でひと休みしてから師匠に電話をすると外出していたが、すぐに戻るとのことで師匠宅へ・・・。
17時半には師匠宅を出発して北見へ向かったが、市内は排雪が行き届かず片側2車線がぎりぎり2台通れるほどの狭くて危ない状態だった。
市内で夕食を済ませてから網走方面へ向かうが、道路はガタガタの圧雪路面で走りにくく安全運転で慎重に・・。網走市内のコンビニで翌日の食糧を調達して、湖畔の温泉に着いたのが20時過ぎだった。
温泉ホテルは土曜のクリスマス・イブの夜だというのに客はほとんどおらず、温泉も先客が二人だけで、女湯も同様だったという。ゆったりできるラウンジの大きなクリスマスツリーだけがキラキラとイルミネーションを点滅させていて、湯上りの気持ち良さに、この日がイブであることを少しだけ感じさせてくれていた。
網走湖畔の呼人会場の駐車場に着くと、すでに氷上には10張以上のテントから柔らかな明りがもれていた。このまま
氷上に出てワカサギ釣りをしたい気持ちもあったが、そんな体力はどこにも残っていなかったので車中泊の準備を始
め、これまでにないイブの夜を車の中で過ごすことになった。幸い天都山の真下というテレビの電波状態の良い場所だ
ったので、テレビを観ながらのんびり過ごすことができた。


12月25日 車のドアの開閉音とソリを引く音に何度か起こされ、そろそろ目覚ましが鳴る時間かなと時計を見たが4時
前だった。その後は寝たような寝なかったような中途半端な状態で、4時半には起きることにした。
駐車場の簡易トイレに行き氷上を見ると、昨夜よりもテントの数が増えていて続々と準備を終えた人たちがソリを引い
て出発していた。
ソリに荷物を載せて全ての準備を終らせて待っていると、5時半過ぎにキッシーさんが現れていよいよ出発!気温はマ
イナス10℃程度なので寒くはなく、釣り場も近場だったのですぐに到着。
氷上は積雪も少なくて、キッシーさんが除雪をしてくれている間にテントの準備をした。この日はメガ弟さんが後から参
加予定だったが、それでも4人なので私達のテント一張あれば十分ということで、キッシーさんはテントを持ってきていな
かった。しかし、初代の小川テントと違って簡単には設営できないコールマンテントは、考えながらの設営となり時間を
要してしまった。
キッシーさんが、さっそく新アイテムのガスストーブに点火してテント内はほのかに暖かくなり、各自の場所を決めてアイスドリルで各自が自分の穴を掘った。朱鞠内湖用にドリルの長さを変えられるステンレス製のアタッチメントを付けたのだが、使ってみて何の支障もなく一安心!
氷は15cm程度なので簡単に開けることができたが、相変わらず網走湖の水は濁っていてお世辞にもきれいとは言えない。テントの準備などで体を動かしたせいか暑くなり、上着は脱いでハンガーに掛けた。一番早くエサ付けを終えたキッシーさんが1匹目を釣り上げて、今シーズンのワカサギ釣りが始まった。
キッシーさんがランタンを忘れてしまったのでキャップライト頼りの釣りとなり、キャップライトを持ってこなかった妻はさっぱり釣れず、キッシーさんも2匹目がなかなか釣れない・・・。
私のキャップライトは電池交換したばかりで明るかったので、あっという間に10匹釣って妻にキャップライトを渡した。 そうこうしているうちに明るくなってきて、氷のすぐ下に想像もできないほどの大量のワカサギが泳いでいること
がわかった。氷のすぐ下にワカサギがいるので、仕掛けを落とすとすぐに反応があり、やや小さめだがワカサギがどん
どん釣れてくる。
タナを変えても同じように釣れてくるし、下のタナに落とそうとしても途中で食ってくるので下のタナには下りていかないこ
ともあるくらいに魚影が濃い状態なのである。
ベテランのキッシーさんもこんなに釣れる状態は初めてだというが、解禁直後の網走湖は初体験だったのである。
6時40分、妻に大きな手応えがあり「んん・・・?」穴から顔を出したのはカワガレイだった。網走湖特有の外道をリリースして、妻も満足気である。
夢中で釣っているうちに日が昇り、ガソリンストーブとガスストーブを点けていると暑過ぎるほどの好天となったが、朝マズメが終っても全く釣果が落ちず、いつまで経っても入れ食い状態が続くので朝食を食べることも忘れ、正確には朝食を食べる暇がないというのが本当かもしれなかった。それでも何かのゲームで負けた妻が、みんなのコーヒーを入れていた場面があったのだが、夢中になっていたキッシーさんがコーヒーを飲んだ時には、すでにアイスコーヒーとなっていたほどだった。
10尾釣るのに誰が早いか競争したり、トンギョを釣ったら5分間休憩とか、ワイワイ騒いで釣っているにもかかわらず魚が散ってしまうこともなかった。
この日のワカサギにエサは必要ないくらいで、もちろんエサが付いているほうが釣果は良かったが、僅かな誘いで食っ
てくるし、時には投入直後に食いついてくるのでピットイン(エサ付け)のタイミングは普段とは全く違う状態だった。
このエサ付けが苦手な私は5分もかかってしまうこともあり、こんな日には貴重な時間を浪費していることになるから、
キッシーさんの1分は無理としても2分以内でピットインを終らせるように練習が必要である。
外へ出てみるとテントの数は50以上か?カラフルなテントが氷上を祭り会場に変えていて、駐車場に近い場所には観光客であろう屋外でのワカサギ釣りを楽しむ人たちの姿も見えていた。
発電機を持ち込んでいる人もいて、エンジンの音はうるさいが確かに一酸化炭素中毒の心配は要らないし、この日のワカサギ釣りには騒音による釣果が落ちる心配もないようだった。
10時近くなっても現れないメガ弟さんに
電話をすると「現在地天都山、15分ほどでそちらに到着予定」とのことで随分と遅い出撃になりそうだった。
その後メガ弟さんのことはすっかり忘れてしまい、キッシーさんと10匹早釣り競争をしているときに、私達の場所が分らず困っていたメガ弟さんから電話が入ってしまった。
電話に気付き仕掛けを上げながら慌てて電話に出ようとしたが、すでに電話は切れていた・・・メガ弟さん失礼しました。
そして、すぐにメガ弟さんが到着して、更に賑やかな釣り場になった。
依然釣果は落ちておらず、どのポイントに仕掛けを降ろしても釣れるが、やはり底が型も良く複数匹釣れる確立も高か
った。あまりにも釣れすぎてバケツは底まで一杯となり、バケツの上で釣れたばかりのワカサギが跳ねるので、その水
滴が手や服にまで飛んできていたので、一旦ワカサギを袋に入れることになった。私達はお互いの数がわかるように
別々に入れて外に出していたが、キッシーさんは何を思ったか外でワカサギのカウントを始めてしまった。
日が射していたとはいえ氷点下の寒さの中の素手でのカウントは辛そうだったが、数えているうちに、もしかすると・・・私の勝手な考えだが、楽しみに変わって行ったのかもしれず、数え終えてテント内に戻った時には喜びの表情となっていた。何と!11時40分の時点で550匹も釣っていたのだった!
時々はのんびりしてタバコを吸っていたものの、釣りをする手はなかなか止まらず釣り続けていたが、メガ弟さんは相変わらずのマイペースで沢山のワカサギを色々な理由をつけ
てリリースしていたり、休憩も多かったようだった。
ガソリンストーブの燃料がなくなったところで、親切なメガ弟さんが私のストーブに燃料を入れてくれることになったが、
ストーブを載せている板の上にガソリンがこぼれていたままに着火したため大騒ぎとなった。 板の上から舞い上がる炎
は4人を恐怖のどん底に落とし込んだが、すぐに消火することができたのはガソリンの量が少なかったためであろう。
板もストーブも無事だったが、こ
の後にはもっと大きな炎を見ることになっていたのである。
お昼過ぎには用事があるから帰らなければならないメガ弟さんを駐車場まで送って行くと駐車場は満車状態、氷上のテントも50張以上、外で釣りをしている人もたくさん見られ、朝とは全く違った賑わいとなっていた。
長い竿にリールを使ってい
る人もいたが、このポイントは深くても3m程度なので私には逆に難しそうに見えたが、ベテランでもこのようなスタイルで釣りをする人もいるそうである。 
テントに戻り釣り再開!お昼なのにまだまだ入れ食い状態は続いていて、
すでに2月に作った自己最高記録に迫っていると確信し黙々と釣り続けていたが、時々は「10尾最速釣り勝負」をアレ
ンジした到達本数を変えた、もっと少ない本数での勝負もあった。しかし、10匹勝負には厳しいルールがあって、その
数丁度にならなければ勝者にはなれず、匹数を超えてしまうとその時点で10の位は消えてしまうのである。
置きっぱなしでも釣れてしまうために置き竿もしていたが、穴の位置が近いせいもあって時々はオマツリもあり、二度目
にキッシーさんとしたオマツリは、背びれに掛かった元気なワカサギによって引き起こされた、置き竿ではないケースも
あった。
12時半過ぎにキッシーさんにカワガレイがヒットして、私一人がカワガレイの手応えを味わっていなかったので少しだけ悔しい気持ちだったが、この日はトンギョが全く釣れなかったのでなおさら貴重な外道に感じた。
しかし、13時過ぎには底釣りをしていた私の手に確かな手応え・・・これは間違いなし!カワガレイが穴から顔を出してくれて、外道ではあったが満足!しかし、このカワガレイはリリースの際に暴れたせいか、3cmほどの気味の悪い回虫のような細いヒルを3匹残して行った。この後何故か私だけ2枚追加して、本当にもういいや!そう思ったのにまたヒットしてしまった・・・しかし、顔を見せただけで水中に消えて行った。結局、外道はこの魚だけだった。
取り替えたバケツにもいつの間にかワカサギが増えていくので、キッシーさんは本格的に4桁狙いを始め、3人とも黙々とひたすら釣り上げるワカサギマシーンと化していた。妻も疲れていてのんびりしたいのだが、
負けず嫌いの性格なので止められず「なんでそんなに真剣に釣ってるの?」・・・・・「マシーンには感情がないから・・・」な
どと言いながら釣り続けていたのである。
実際のところ腰はだるく、釣れた数も全員が明らかに自己最高記録を軽く更新していたので、いつ納竿しても満足する
はずだった・・・。そのうちキッシーさんが釣れたワカサギの数を数え始めたので何だろう?と思っていると、100匹釣れ
るまでの時間を計測していたのだった。そして約20分足らずで100匹釣ってしまったから驚きだ!
陽もすっかり傾いてくると周囲のテントも少なくなってきて気温も下がってきたが、テントの中は朝のような爆発的な釣れ方をしていてエサもほとんど付いていないのに釣れてしまっていた頃、キッシーさんがガソリンストーブに燃料の補給をしているのを見ていると、ストーブを載せている板の周りの水溜りに波紋が見えた。
  薄い氷上なので揺れているんだなあと思っていたが、燃料の缶から漏れたガソリンが水溜りに落ちていた波紋だとわかったのは随分
と後のことだった。
そして、ガソリンストーブに点火しようとした瞬間、水溜りの上に炎が立った・・・幸い何事もなく消火して、無事ストーブに
点火する事はできたものの、水上に立った火柱は見事だった。
16時前には管理棟からのアナウンスがあり、貸し出し用品の返却時間を知らせる案内がされると、そろそろ終了時間
が近くなったことを知った。 
この後は納竿する人が多くなりはじめて、周囲から片付けをする音が聞こえてきていた。
ワカサギが表層でも釣れ始めると手返しのよい釣りができるので、キッシーさんと私は表層狙いに変えて数を稼ぐ・・・
釣っていて面白いのは底なのだが、二人とも今は何を成すべきか、楽しんでいるのか苦しんでいるのか分らないような
状態は、正にただ釣るだけのワカサギマシーンだった。
魚が濃いために一本の針に2匹掛かっていることも度々あり、7本の針だから一度に最高14匹までは釣れるなどと話していたのはこの日ならではである。
日が落ちて暗くなり始めた頃、妻に「あと10匹釣ったら止める」と言って釣り始めたが、すぐに達成してしまい何かに解き放たれたように竿を置いた。キッシーさんも片付けを始め妻も竿を置いて、全員で片付けを始め外に出ると、あんなに沢山あったテントは5張程度に減っていて「今日もまた最後まで釣ってしまった・・・」そんな想いだった。
2杯目のバケツもほぼ満杯状態となり、妻の釣った分と合わせると10kg以上はありそうで、自宅に戻ってからのカウントが楽しみだ。
駐車場に戻った頃には暗くなっていて、1月の再会を約束して16時半にはキッシーさんと別れた。腰のだるさは吐きそう
なくらいひどかったが、サロマ付近になると和らぎ、程よい圧雪の快適な道を走り、20時前に自宅に着くことが出来た。
4桁を狙っていたキッシーさんは1、164匹と大台達成!いやーだめだと言っていた妻は今までの最高記録の倍近い849
匹、私も932匹を釣り上げて、来シーズンの4桁達成の手応えを確信できる結果となった。


今シーズンの釣りはこの日が最後となったが、1月から12月までの全ての月で釣りをしたことになった。今シーズンから
始めたワカサギ釣りの登場によって、厳しい寒さの北海道というフィールドでも一年中楽しむことができることになった。
「ワカサギに始まりワカサギに終る」これがこれからの北海道が大好きのメインテーマとなるかもしれない。

最後に、一年間のお付き合いありがとうございました。


〜2005年の釣り 終了〜 


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