2月の釣り Vol.2



   ■ 糠平湖(五の沢)

2月19日 まだ真っ暗な早朝に出かけるのはワカサギ釣りくらいなもので、今週は出かけないつもりだったのに無理矢
理仕事を切り上げてしまっての釣行となった。
まず、外へ出て驚いた!・・・吹雪気味の昨夜からの雪が20cm以上積っていたからで、それでも町内の場所によっては除雪車が通ったところもあり、未明から仕事をしている人がいることを実感。コンビニに寄ってから国道39号線に出ると先週と全く同じ道路状況だが、雪が降り始め視界が悪くなり始めたのは不安だった。
しかし、途中から降る雪も少なくなってきて、層雲峡付近では積雪も少なく感じた。三国トンネル付近まで来ると半月と星が見えていたものの、随分と明るくなりはじめて周囲の景色が薄っすらとわかるようになってきていた。
いつもの除雪ステーションに寄り、外へ出るとすでにライトは必要なくなって

卵型の三国トンネル
いて、左前方からは朝焼けがほんのりとオレンジ色に見えていて、この日の天気予報「晴れ」が実感できる空模様だっ
た。
先週よりは若干遅めの到着だったが、五の沢駐車場の車は少なくて釣れているはずなのにどうしたのだろう?と不思
議だった。準備をしていると旭川から来たという人に話しかけられ「初めて来た釣り場なので・・・・・」湖への入口などを
教えてあげてから出発した。その後この人は湖上をポイントを探して随分とウロウロしており、浅場の混雑した場所に
決めたものの、昼過ぎには帰ってしまっていた。
湖上への道は相変わらず固くて歩きやすかったが、この日の気温がマイナス5℃という暖かさなのですぐに体が熱くな
ってしまい、ダウンジャケットの前は開けたままで歩くほどだった。降雪量が少ないのか定かではないが沢から流れ込
む川が見えていて、写真を撮っているうちに妻は随分と先へ進んでいた。

  

氷上も積雪は少なくて歩きやすく、この日は目的の中央部付近まで歩いたものの、妻が中央部でも突き出した岸よりの
ポイントがいいと言うので、そこで試し釣りをすることにした。しかし、時々吹き付ける強風がテントの設営を邪魔して、
結局ペグを打ち込まなければ飛ばされそうだったので、そのままその場所がこの日の釣り場となった。

黒サシ?
先に妻が仕掛けを投入・・・「おや?ここは随分浅いぞ!」5mほどの浅場だったのであるが、すぐにワカサギの反応があった。いつものようにタナは底だったが浅いだけに釣れはじめると手返しは早く、断然効率が良い。しかし、この日はエサに大問題が発生!
元々今週は釣行予定がなかったのでエサは新しく購入しておらず、先週の残りエサが充分にあったからそれを使うつもりだった・・・だが、すべて死に絶えていたのである。先週は糠平温泉に一泊していたが、この時エサは車内に置きっぱなしだったために凍ってしまっていたのである。
ほとんどが黒く伸びきったサシに変わり果てていたが、ボンバーのスキンと僅かなサシの匂いに惹かれるのかワカサギは釣れてくる・・・死に絶えたエサだから交換はほとんどせずにいたが・・釣れる。
白サシでもなければ赤サシでもない、黒サシを使ってのワカサギ釣りは初体験だった。ただ、さすがに反応は鈍くて微
かなアタリを慎重に合わせなければワカサギは釣れない、そんな難しい釣りとなってしまった。



そして、時々テントが破れてしまうのではと思われる強風に襲われながらも、青空と白い雲が半々の暖かい一日の始ま
りとなる太陽がテントに射してきた。気温はおそらく0℃以上になっていると思われ、ストーブ1台で充分暖かいのでダウ
ンジャケットは設営時から脱いでいたが、最後には上着も脱いでTシャツ一枚になっていたくらいである。
9時にはこの日の一匹目のウグイが顔を見せたので、さっそくポリプテルス(オルナティピンニス)のエサにキープして続
けていたが、その後も時々ウグイは釣れていてワカサギサイズを7匹キープし、大きなウグイは放流した。エサがない
絶望感に期待していたほどの釣果が望めないことがはっきりしてしまった妻は、早くも10時前には昼寝をしてしまった。
食ってくれないだけで魚はいる場所だったのでコツコツと釣り続け、地味なワカサギのアタリを楽しみつつ、2月とは思えない暖かさを感じ楽しんでいた。
11時過ぎに目覚めた妻だったが、なかなか起きられないらしく竿を上げて欲しいと言うので巻き上げてみると、何と!4匹のワカサギと1
匹のウグイが上がってきた・・・この日にしては一番の大漁である。
お昼前にはアタリは少なくなったので昼食にして、ご飯を温めお湯を沸かしてからはストーブの火は消した。真冬のテントでストーブを消しても寒くないことは今シーズン初めてのことで、もちろん私はTシャツ一枚だった。
午後からも天気は変わらず良かったが、強風も変わらず時々吹き付けてい
て、野釣りをしている人たちからは辛い風にもかかわらず楽しそうな歓声が
時々聞こえてきていた。
黒サシではワカサギを欺くことができず釣果は朝よりも落ちていたものの、アタリを見極める釣り方を習得した妻も真面目に釣り続け釣果を伸ばしていたが、14時過ぎには納竿することにした。それでも軽く3桁は釣れてしまったということは・・・エサさえしっかり用意していたならば大漁だったかもしれなかったことが少しだけ悔やまれた。
テントの中でほとんどの片付けを済ませてから、風上のペグを固定したままテントを折りたたみ、最後にペグを抜くと風の影響を受けずに撤収することができた。まだ10張以上のテントと大勢の野釣りの人たちの間を抜けてソリを引いたが、一人で4個の穴を放射状に開けて4本の竿を操る人を見かけ、「入れ食いになったら大変だろうなあ」などと話しながら感心していた。
五の沢の流れこみは朝よりも川が幅広くなっていて、その周囲に取り残されている厚い氷もこの暖かさで小さくなっている気がした。

    
                釣り場側                                国道側
車に戻ると国道の雪はすっかり融けてなくなり、駐車場の雪も随分と少なくなっていた。帰り道はすっかりアスファルトが
出ていたが晴れたり吹雪になったりの不安定な空模様で、自宅に着いた時はようやく青空に落ち着いて日が沈む方角
は夕焼け空となっていた。





   ■ 朱鞠内湖(カラス島沖)

2月26日 フィギュアスケートを観る為に5時起きしたときはとっても辛かったが、ワカサギ釣りの為に3時起きだったに
もかかわらず、この朝はあまり眠くはなかった。
先週は釣れていたという情報と、洋子さんとhiromiさんがワカサギ道具を数点買い揃えたので参加したいとの話に、今
回の釣行が決まった。
先週とは打って変わって雪は全く降りそうにない曇り空、国道は乾いているので走りやすかった。比布インターチェンジ
から高速道路を使ったが、すれ違った車は僅か1台だけで静かな朝を迎えようとしていたかにみえた・・・・・。
朱鞠内湖畔はさすがに気温マイナス10℃と士別市よりも7℃も低く、道の両脇は除雪された雪がうず高く壁をつくっていたものの路面は所々アスファルトが顔を出していた。
受付開始5時半の10分前に到着すると、すでに受付待ちの車が数十台一列に並んで待っていたので、私達も最後尾の車についてライトを消した。もう少しの辛抱だとタバコに火をつけたその時である・・・「ドーン!」という鈍い音と同時に車が大きく揺れ動いたのである。
私は後の車が何を思ったか急発進したのかと思ったが、妻は後の車のその後から走ってきたもう一台の車を見ていたそうである。
すぐに外へ出てみると2台後のRV車から運転していた男性が出てくるなり、何度も「申し訳ありません、お体は大丈夫でしょうか?」と繰り返し言いながら慌てている様子だった。
一番の犠牲者は私とRV車の間に挟まれた人で、私の車にぶつかった前部はさほどではなかったが、後部が大きく潰れてリヤウインドウ
は砕け散っていた。事故を起こした当人の車はというと、ジープなので軽い傷跡程度だった。
auの携帯電話が圏外とのことで私の電話を貸してあげて警察に連絡しているときに、折りしもワカサギ釣りの受付が始
まったようだったが、私達の3台は来た道を引き返して朱鞠内の集落にある派出所に向かった。
私の車を先頭に派出所の向かいにある消防署の広い駐車場に車を止めて、運転免許証と車検証を持って派出所に
入った。寝起きの警察官が私服姿で丁寧・簡潔に事情聴取を済ませてから、お互いの氏名や住所などを交換して派出
所を出た。
一番大きなダメージの人に聞くと「この状態では釣りは無理なので帰ります・・・」そう言って寂しそうに士別方面に走り去
った姿は気の毒だったが、私の車はバンパーと後部ドアが少しだけゆがんでいただけなので、再び朱鞠内湖に向かっ
た。
完全に明るくなり、受付にあんなに並んでいた車もいなくなっていて、前浜の駐車場は何十台も駐車しているのが見えた。管理棟のきれいなトイレに寄って出てくるときに、先ほどの事故を起こした人に会ってしまい「先ほどは済みませんでした・・・」再び謝罪されてからカラス島方面の駐車場に向かった。後で聞いたのだが、この人は仕事の接待で客を連れての釣行だったので帰るわけにも行かず、前浜で釣りをしたとのことである。
すっかり出遅れてしまいながらも釣りと気持の準備を整えて出発したのが6時40分で、それでもカラス島には数人の人の姿しか見えず、対照的に目的の弁天南には沢山のテントが見えた。
しかし、弁天南まで歩く元気がなくなっていた私はカラス島で釣り場
を探し始め、きれいに使っていて足場の固まっている跡にテントを張ることにした。
それでもこの日は暖かかったし、薄氷が張った穴を使って試し釣りをしてみたところ、すぐに釣れたのでこの場所でい
いや!半分諦めに似た即断であった。まごまごしていると二人が来てしまうので急いで準備をしていたが、なかなかや
る気が起こらなかったのは事故のせいかもしれなかった。
妻は快調に釣り始めたが、私はエサの付いた竿を置いたまま仕掛けも投入せずにタバコを一服していた7時10分にはhiromiさんから電話が入って、管理棟に着いたとのことだった。
7時半近くなってから前回と同じようにhiromiさんの奇怪な大声がして二人が到着したが、この頃になり私もようやく釣り始めたところだった。
私達の穴は開いていた穴をそのまま使ったので何の苦労もなかったのだが、朱鞠内初体験の二人にはここの穴あけの大変さを知る辛い格闘となった。朱鞠内湖用の自作のアイスドリルロングアタッチメントの出番で、これ以上長ければテントの天井に支えてしまうギリギリのサイズだった。
雪とシャーベットと氷が何層にもなっているので深さは120cm以上あり、むし
ろ貫通してからが大変な作業で、なかなかドリルが抜けないし氷掬いで何度掬っても後から後から氷や雪が浮いてくる
のである。
4人が揃って釣り始めた頃には遅い朝食タイムとなったが、この朝は洋子さんが絶好調!朝ご飯も食べる暇がないと
言いながらどんどん釣りまくっていたのに対して、hiromiさんはどうしたものか一匹目を釣るまでに10分以上の時間を要
していた。
結局hiromiさんはスピニングリール竿を見捨て、私達の持ってきていた手ばね竿を使って釣り始めたのは、このポイントが3m程度の浅場だったせいだった。
洋子さんは私達と同じおもちゃのようだが実
に機能的で使いやすいリール一体式の竿を買ってきていたので、大変気に入って使っていたようだった。

    
        hiromiさんのド根性野釣り                  カラス島付近とスノーモービル送迎
朝食を済ませ9時半を過ぎた頃には朝のラッシュも終了して、1匹ずつ釣れる渋い状態になってきた。するとジッとして
いられないhiromiさんは、竿とバケツを持って旅に出てしまった。それからしばらくして、私に重量感のある確かな手ご
たえ・・・ウグイ君の登場である。ポリプテルスのエサには大きすぎたのですぐにリリースとなったが、ウグイ嫌いのhiromi
さんがいたなら大騒ぎとなっていただろう。ただ、この日はこの一匹が唯一の外道だった。
しばらくしてからhiromiさんを探すと、20mほど離れた弁天南との中間点付近にポツリと真剣に釣っている姿を発見!
調子を聞くと、そのポイントでは入れ食いで複数引き釣れていると言う。しかも、その場所は穴が4つ丁度良い感じの間
隔で開いていたので釣り場の移動を決めた。
沢山の荷物も4人で運べば意外と楽なもので、さほど時間もかからずにテントも広げたままで移動することができた。穴には1cmくらいの氷が張っていたが、ここでhiromiさんのカカトによる足蹴りであっという間に残り3個の穴は貫通!さすがである。
この場所の穴は四角い50cmほどの穴の下に丸い穴が開いていたので「誰かきっとこの穴に落ちそうだよね!」そんな話をしながら準備をしていたが、後
でまさにその通りとなってしまうのであった。
私は氷の真下を中心に釣っていたが、深さは15mほどあるらしく仕掛けを底まで落とすには時間がかかるようだった。
リール竿を使っていたが手繰り釣りをしていたので、リールは何の役にも立っておらず、手ばね竿に変えるのも面倒だったのでそのまま最後までその竿を使っていた。
糠平湖に比べ平均するとやや小ぶりのワカサギサイズで、それでもリールを使
わなかったので引き味はよく感じられた。
既存の穴だったので釣り座の配置には多少の無理な姿勢も強いられたが、移動する前に管理人の方がスノーモービ
ルでやってきて「今日は混雑しているから、人がいないこの場所は釣れるのかもしれない」などと話していた通り、10時
過ぎにしてはよく釣れた。
        
          主のいないhiromiさんの穴                 二度目の出張中の釣果
だが、11時過ぎにはこのポイントも釣果は落ちてきたがワカサギはいるようで、じっくりアタリを見極めると釣れるので程
ほどに楽しむことができた。いつの間にかカラス島周辺も沢山のテントや野釣りの人々で賑わっていて、風もなく、晴れ
てはいなかったが雪も降らず快適な釣り日和であった。
余談だが、前回の糠平釣行でテント生活の快適さを知ってしまったhiromiさんは、ノースガードテントとストーブと遠赤外線ヒーターアタッチメント、さらにキッシーさんおすすめのバケツまで購入し、先週は2日間連チャンで氷上チカ釣りを一人でしてきたと言うから驚きである!
昼食後の13時半には再びhiromiさんが旅に出た・・・しばらくしてから様子を見に行くと、最初のポイントの近くでうずくまって夢中になっていた。さほど釣れている様子はなく、私達が釣っていた場所でも野釣りをしている人たちがいて、横になって寝ながら釣っている人もいたのは面白かった。
その場所は諦めてテントに戻ったhiromiさんだったが、テントには入らずにすぐ横に開いていた穴に仕掛けを落としていたのはさすがで
ある。しかし、14時頃から食い渋るワカサギに苦しむ3人の釣果は伸びず、反対に私が釣果を伸ばし始めた頃に天候
が急変してきた。雨が降り始め、その後みぞれ混じりの雨に変わり幾分風も出てきたのである。
そして何度か管理棟から駐車場の閉まる16時を知らせる放送があり、私達は15時半に納竿した。テント内で荷物の整理をしてからの撤収だったが、手袋も上着もずぶ濡れになるほどのみぞれに苦労して、それでも4人で一斉に片付けたので楽だった。
最後にテントを縮めるときにhiromiさんが私の前から急に消えた・・・・・そう、穴に落ちたのは彼女だったのである。ひざまで落ちたために長靴の中まで浸水し、ズボンもびしょ濡れだったのは気の毒だったが、帰る間際だったことが唯一の救いであった。
気が付くと周囲のテントは数張しか残っておらず、駐車場では濡れないようにすばやく車に積み込みを済ませた。

弁天島が霞んで見える
朱鞠内を離れ士別に近づいた頃には雨も止み道路は乾いているほど天気は違っていて、その後も穏やかな曇り空の
中を自宅まで帰ることができた。

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