6月の釣り



   ■ 網走港(第四埠頭)



6月3日 早くも6月・・・そろそろ大物カレイが釣れる時期となったので、網走港へ行ってみることにした。
しばらく続いていた雨もようやく上がり、遠くの山までくっきりと見える良い天気となった。午後から出発とのんびりしたも
ので、自ずと車の速度も遅くなっているのは気の持ち方の違いかどうかは定かではないが、とにかく20℃以上のポカポ
カ陽気は人の心を和ませてくれるようだ。
しかし、浜佐呂間に近づいたとたんに湖上は濃い靄(もや)に包まれ、あっという間に気温は一桁・・・。その後、能取湖
沿を走る頃には日が射してきていたものの気温は低いままで、網走湖沿では僅か7℃だった。
湖畔の小高くて見晴らしのよい温泉ホテルの3階にある展望浴場には日が射していて、網走湖は照り返しが眩しくて見えないほど・・・。
久しぶりの長風呂を楽しんでから、市内の港に近いところにあるスーパーマーケットへ。
ところが、このスーパーは名前も新たに新店舗となっていたために若干戸惑いはしたものの、地元ならではの新鮮な海産物を目で楽しみ、夕・朝食などの食材を調達して港の駐車場へ向かった。
ところが、海を見て驚かされたのは、収まりつつあるはずの波が依然として2m以上だったことである。
とりあえず自転車を出していたところにキッシーさんが到着した。

南提に船と人影が・・
ジタバタしても仕方がないので、その場でビールを飲みながらの夕食となった。テレビの天気予報によると翌日は5−
15℃と、この日ほどは寒くないにしても、冬並みの防寒対策は必要かと思われた。それでも車内での談笑などで楽しく
夜を過ごし、22時過ぎに床についた。


6月4日 目が覚めたのは2時で、目覚しは3時だったがそのまま眠れずにいると、次々と釣り人の車が駐車場に入って
きていたものの、釣り場へ向かう様子は無かったのは波が依然高かったせいだ。
3時になってキッシーさんも起きてきたので場所移動・・・しかし、第3・第4埠頭ともに釣り人が一杯で、キッシーさんが第
4埠頭になんとか狭い場所ではあったが釣り座を見つけてくれた。
私達の周りは一本の竿立てに一本の竿という広い間隔の釣り場を、たった一人の人が5本以上も占領する自分勝手
な人たちが多く、多くても竿立て2本位にしてくれるとたくさんの人たちが楽しめるのだが・・・・・。
靄が立ち込める埠頭は視界20m程度で、前日まる一日粘って釣りをしていたという人に聞いて見たところ「5枚程度の
手のひらカレイとカワガレイにコマイしか釣れなかった」という。
       

しかし、準備が済んだキッシーさんにさっそくアタリ・・・評判どおりのチビコマイが釣り上がったのでリリースし、手のひら
サイズではあったがカレイもダブルで釣れ始めた。
私はといえば、準備が済んでも何だか釣れる気がしないというよりは釣る気が失せていたというのが正確な表現かも

コガネガレイ
しれなかったのは、目的の場所で釣りをできないという絶望感からだったのかもしれない。
アタリも見逃していて、ブラーをセットしたもののそのままにしておいたところ、そのロッドを使ってキッシーさんがスジアイナメを釣って楽しんでいたところで、ようやく私が釣ったのがコガネガレイだった。
コガネガレイは2年前にキッシーさんが釣ったものを見た以来で、今回はじっくりと観察をして写真を撮ってからリリースした。
このカレイが釣れてから私の釣り意欲が出始め、集中してアタリを取っていると頻繁にカレイが釣れだし、真ガレイ・クロガシラ・ソウハチなどを釣り上げたものの、20cm以下はリリースとしていたためにキープできた魚はいなかった。
6時を過ぎると日は高くなり靄はすっかり消えても頻繁にアタリがあり、今までにない重量感に期待が膨らむ。。。。。そして
見えた魚体は型のよいクロガシラで、結局このカレイがこの日の最大魚となった。
キッシーさんはその直後にクロガシラとスナガレイのダブルを釣り上げたところで、ようやくスカリの準備を始めることに
したようだ。

  

周囲の人たちは遠投をしていないせいなのか、狭い場所で頑張っている私達のほうが釣れていて、ここでは遠投が有
利のような気がした。ただ、釣り場が狭いがために、ひらひらと回転しながら巻き上がってくるカレイによるオマツリが何
度もあった。
7時になる少し前のことだった・・・キッシーさんの竿に明確なアタリがあり、せっかくだからと持参してきたビデオカメラで
撮影を始めることにした。
しかし、上がってきたのはチカほどのコマイで、私が笑いながら撮影を続けていると「もう一本あるんだよね!」自信あり
げなキッシーさん。さっそくもう一本のカラカラと騒音が出るリールを巻き始めたものの「これ、軽いよ・・・」、竿先も直立
していて予想通りスカだった。
      

だが、ここからがキッシーさんのキッシーさんらしいところで「もう一本あるんだよね!」私が「ない!ない!」と言ったとこ
ろ・・何と!私の竿を勝手に巻き始めたではないか!いつの間にか私の竿のアタリも見ていたようで、スピンパワー390
がきれいな弧を描きスーパーエアロテクニウム2号が音も無く巻上げをしている。高価な道具は使う人を選ばないから
不思議だ!
やがてキラキラと輝く海中から姿を現したのはクロガシラだった。そのままキッシーさんが魚を持ち上げて記念撮影をし
たのは納得がいかなかったが、まあよしとしよう。
その後、アタリは小さかったが、巻き上げると重いカレイがヒットした。丁度このときはキッシーさんが釣り上げた魚の処理をしていたので、驚かせようと思いゆっくりと巻き上げ、目の前で「デカ!」と大物を確認したところで上げようとしたところ・・・なんと!針から外れてひらひらと海中に消えていった。
隣で見ていた人も「大きかったねえ!」不覚の一枚となった。
妻も目覚め、一本だけ竿を出してそれなりに海の釣りを楽しんでいた8時過ぎだった。キッシーさんに重量感のあるカレイがヒット!上がってきたのは良型のクロガシラで、キッシーさんもこのクロガシラが最大サイズとなった。
日が高くなると気温も上昇しポカポカ陽気の過ごしやすさだが、Tシャツ1枚になるほどではなかった。しかし、暖かい車内で妻は昼寝をしはじめる頃には、竿先の反応も鈍くなってきていた。
目前の海中には色々な小魚が行き来していて、ニシンなのかボラなのか、

トウガレイ
はたまたサケの稚魚なのかは定かではなかった。この日のカレイはマガレイ・クロガシラ・ソウハチ・スナガレイ・コガネ
ガレイの5種類で、何か忘れていませんかと思ったときにキッシーさんが釣ったのは「ゼブラーマン」ことカワガレイだっ
た。  
型も良く、アー釣っちゃった!と、失笑の中でリリースしようとしていたのだが、これがなんとトウガレイだと直前に気付いたのである。
キッシーさんの説明どおり、ヒレの縞模様がカワガレイよりくっきりしていないし側線が驚くほど直線的である。そして何よりもカワガレイ特有の体表のざらつきがなく、すべすべしていた。
正午になってキッシーさんが居眠りを始めた頃には、全く魚は釣れなくなったので納竿することにした。それでも埠頭全体にたくさんの釣り人が粘っていたが、丁度良い潮時だったと思う。
昼食を済ませてから、キッシーさんに眺めの素晴らしいポイントを教えていただくことになった。そこは網走港が一望できる高台に公園として整備されていて、しばらくの間広い港を見て楽しむことができた。
睡眠不足ではあったが眠くなることもなく運転を続け、夕方には自宅に到着した。



正面から浴びた直射日光のために、うかつにも顔面だけ日焼けしてしまい一日中顔が火照っていたが、久しぶりにの
んびりとした釣りを楽しむことができた。





   ■ 網走港(南提)

6月9日 前回の網走港でのこと・・・・・第四埠頭の私達の釣り場真向かいにあるのが、「南提」と私達が呼んでいる沖防
波堤である。一昨年の同時期に二度釣行したポイントで、港内に比べると段違いの釣果を期待できるが、船渡しをして
もらわなければ渡ることはできない。
しかし、前回の写真のように釣り人の姿と船をこの目で確認してしまったことで「南提で釣りたい!」キッシーさんと私の
気持ちは、ここでひとつになったのである。
自宅に戻ってから潮汐表を見ると、なかなかいい感じ!さっそくレガオさんに連絡してみたところ、土曜日なら大丈夫な
ので船頭さんに連絡を取ってくれることになった時点で釣行はほぼ決まったようなもの。ただ、天気だけが心配で、よく
ても雨は覚悟しなければならないと思っていた。
いつものように前夜からの出発で、途中の常呂から雨が降り始めたものの網走到着時には降っていなかったし風も止
んでいた。到着時間が22時ということもあり、翌朝は早いので眠らなければならないが、私はすぐに眠れる性質ではな
かった・・・


6月10日 ・・・結局、0時半過ぎに眠ったのだろう。2時半の目覚しで目覚め、中途半端な睡眠時間でも出発の準備を始
めなければならなかった。
3時過ぎには薄明るくなってきたところで、港へ向けて出発。集合場所は聞いていたので自信を持って進路を進めてい
たが、ふと気付くと隣の車線に見たことのある車が・・・おや!「キッシーさんじゃあないの」ってことで、その車について
走っていたが左折すべきところでもそのまま真っ直ぐ進んで行くので、人違いと判断してすぐに引き返すことにする。

そして目印のホテルの横を左折して網走川に出たのだが、誰もいない・・・。実は確かにホテルの裏ではあったのだが、違うホテルだったのである。そのまま進めば簡単に行けた道も車高の高いこの車では通り抜けられないので、レガオさんに電話して教えてもらい、ようやく集合場所に着いた。
先程キッシーさんと勘違いした車はやはりキッシーさんで、その先のコンビニに向かっていたらしい・・・自分の信じた道を進まなかった私のミスだった・・・。
そして私達夫婦とレガオさん、キッシーさん、そして謎の生物の異名をとるギャン君の5人が揃い、いつでも出発できる準備が5分前には整った。
しかし、集合時間を過ぎても他の同乗者はおろか船頭さんも来ない
・・・・・レガオさんが電話をしてみるが通じない・・・。今にも降り出しそうな空模様とこの日は高波が予想されたので、ダメ
なら埠頭で釣ろうと半分は覚悟していたので私達は気楽に待っていた。
しばらくして、偶然その船の船頭さんが現われたので聞いたところ、この日の出航は中止と昨夜のうちに決まっていた
らしく、事情はわからないがレガオさんには伝わっていなかったそうだ。何故船頭さんが現れたのかといえば、暇だから
釣りでもしようかと自分の船まで来たところに私達の姿があったらしい。
レガオさんが交渉して船頭さんの好意により、波の様子を見ながら無理をせずにダメなら引き返す覚悟で、とりあえず
現場まで行ってみようと出船が決まった。

    
         ウォーミングアップする二人                      いよいよ出船
4時少し前に出船し、網走川をオホーツク海へと下って行くのだが、川に架かる橋をくぐり海へ向かうのは初めてのこと
で、釣り番組のワンシーンに自分がいるような気分である。
海が近づくと船は速度を上げ始め、次第に波も高くなり上下に強く大きく揺れて時々船内まで波しぶきが飛び込んでく
る。私は船に弱いが、停まって左右に揺れる場合にのみ酔うのでこんな激しい揺れ方では反対に気にならず、キッシー
さんの期待に応えることはできなかった。

左前方に帽子岩
南提沿いに船着場のある先端まで向かう頃は、速度を落として慎重に接岸。船頭さんの華奢(きゃしゃ)な体格からは想像もできない機敏な動きと力で、岸壁に船体を着けて私達を上陸させてくれた。
上陸してみると雨は降っておらず風もさほどではなかった。
ただ、いつ引き返すことになるかわからなかったので慌しく準備を始め、妻も私も2本ずつ竿を出すことにした。
船頭さんは波が高くなったらすぐにでも乗船できるようにと、船着場に横付けにして待っていてくれるというから心強く、安心して釣りを楽しめるというものだ。
1本目をキャスティングして2本目の竿を準備しながら糸ふけをとっていたところ、早くも反応が出ている・・・すぐに巻き上げてみるとマガレイ特有の動きのない、ただ重いだけの手ごた
えが伝わってくる。しかし、その重さは先週の埠頭の比ではなく、明らかに文句なしのキープサイズであることが早くか
ら予想できた。
引き上げてみると型のよいマガレイで、その下にはおまけの10cm程度のチビマカレイも釣れていた。すぐに2本目をキ
ャストしてから1本目の竿もエサを付け替えてキャストしようとするが、2本目にはもうアタリがある。
しかし、2本目は手のひら以下の小さなカレイが釣れ、さらに次の竿には25cmクラスの食べるには丁度良い型が釣れ
るという具合にこの日の投げ釣りが始まった。
妻もやや体調が良くないにもかかわらず、どんどんリールを巻いてバンバン釣っている姿を見て、心配ではあったがそ
れどころではないペースで釣れていた。
隣のレガオさんやギャン君からは、次々と「デカー!」「大物だー!」などと絶叫する声が飛んでいて、釣り場は騒然とし
ている。
雨は時々ポツリと数滴落ちる程度なので全く気にならないが、楽しみにしていたビデオ撮影は濡れる心配があったし、
撮影などしている暇がないほどだったので釣る事に熱中していた。
時々船頭さんが様子を見に来てくれて、「オー、このマガレイならスーパーで千円で売ってる・・・」などと喜ばせてくれたり、釣れた魚の処理をしている間にアタリを取ったり巻いたりしてくれていたが、釣りの話をしているうちに「そういえば、アンタを港で見たことあるなあ」私のことをそう言うので詳しく聞いてみたところ、アキアジシーズンは埠頭でウキルアー釣りもしているとのことだった。そう言われてみると、なんだか見たことある人かも。
早い時間帯はソウハチも釣れていたが、やがてマガレイばかりとなりクロガシラは滅多に釣れない。外道は20cmほどのカジカとスジアイナメで、リールを巻いているときに動きがあるのですぐにそれだとわかる。ソウハチはあまり好きではないのですべてリリースした。
波の状態は変わらず、さかんに動いている私達は寒くはなかった
が、船頭さんは寒いらしく漁船のエンジンをかけて船室にいることもあったので、ディーゼルエンジンの排気ガスが風に
乗ってきて私には辛かった。私はこの排気ガスが苦手なのである。
それでも頻繁にあるアタリに合わせて良型のマガレイを釣っているうちに、クロガシラの良型が釣れはじめた。クロガシ
ラはマガレイと違い少しだけ動きもあるので楽しめ、それでも根掛かりを避けるために早巻きするせいか巻き上げる重
さは特別である。釣る度にスカリに入れている暇がないので魚は置きっぱなしになったり、バケツに入れても型が良い
のではみ出してしまう状態で、次第に重くなっていくスカリも波に揺られてクーラーボックスがズリズリと引かれていくの
が不気味で目を離せなかった。
        
              チカ釣り状態の足元
4時間ほど楽しんだであろうか、気分的にはまだまだ釣りをしたかったが、落ち着かない気持ちが「もう充分かな・・」そ
んな気分となり、8時を過ぎた頃から入れ食い状態はやや薄れ、一旦明るくなりかけた空ではあったが次第に雲が厚く
黒くなり、雨が降り始めたところで納竿することになった。
撤収は素早く済ませ、スカリごとクーラーボックスに入れようとしたが入らない・・・ビニール袋に入れてみたが、その重さ
で破れそうになるので抱きかかえて船に向かった。波は朝よりも高くなり始めていて、上下に揺れ動く船が一番高くなる
その一瞬の間に乗り移らなければならないので少し緊張する。
最後に船頭さんが乗り移るのだが、あの華奢な船頭さんが力と技で船を引き寄せて乗り移る姿はなんとも頼もしく感じ
られた。

      
                                            お裾分けをしても喜ばれたカレイ
帰りは波の向きが背中側からになるので揺れは少なく進んだが、船頭さんがうねりをうまく避けて操船しているのがわ
かり、ここでも船頭さんのベテランらしい操船技術を見た気がした。
すでに雨が降り続けていたせいか埠頭の釣り人は少なく、市内からは9時を知らせるサイレンが鳴り、網走川を遡り始
めると船の速度は落とされゆっくりと出船した場所に戻った。
下船して車に戻り、レガオさんとギャン君と別れた後、レガオさんが今回手配していた船頭さんが現れて申し訳なさそう
に謝罪してくれたが、私達としては予想外の大漁だったので全く問題はない。
車内に入りキッシーさんと11時頃までお話をして、常呂まで走り食事をしてから別れた。その後、佐呂間まで走ったとこ
ろで仮眠をとり、たっぷりと寝てしまったせいで自宅に着いたのは18時半であった。

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