7月の釣り



   ■ 湧別川水系

7月1日 道東のヤマベ解禁日は7月となるが、ここウン十年ヤマベ釣りはしたことがなかった。今年は解禁日が土曜と
なるので、やってみないかとのキッシーさんからのお誘いに興味津々・・・結局、ワンタッチ開閉式のビクと熊避けの鈴ま
で準備してしまうことになった。
だが、本命は最近巻き溜めた自慢の過信フライで釣りたいというのが第一希望で、キッシーさんは200匹以上は釣ると
言うので私はフライで50匹などと、獲らぬ狸の皮算用までしていたのであった。


1時半に起床、2時過ぎには出発したが目的地近くのコンビには開店していないので、近くの24時間営業のコンビニに
寄って買い物をしていた時だった・・・・・いるはずのない人の笑顔が私の前にあったのである。
何と!チカさんが目の前に・・・聞くと道東河川にニジマス釣りに行くと言うから驚きだ!私はこの偶然に驚き、ただ笑う
ばかりだった。妻は「似た人がいるなあ・・・」と思っていたそうだが、「まさか・・」確かにありえないことではないが・・・札幌
からは遠すぎる。
土産話を手にして出発すると、空が僅かだが明るくなりかけていて、この時期の日の長さがより実感できたのは空を覆う雲が少なかったからだろう。
しかし、高規格道路に近づいたときに「通行止」の文字が・・・点検のためと表示されていて、数箇所の標識で赤く点灯していたので間違いはなかった。それでも北見峠を走ったところで5〜8分程度のロスタイムだから何の問題もなく、むしろ久しぶりの峠越えを楽しめるというものだ。
いつものペースで走っていると、ものすごい速度でどんどん抜かれて行き、その車すべてがこの日の私の目的地に向かっているように感じてしまう自分の釣りキチぶりが滑稽だった。
遠軽を過ぎると随分と明るくなり、日が昇る方角に走っているので前方の山の稜線が橙色に染まり、そして薄青くなってい

最初のポイント
る様は未明の早朝から行動している者だけが見ることのできる特別な景色だと思った。
目的地の市街に入る少し前では、ポイントと思われる場所に早くも車が停まっていて、その近くにある川の中に人の姿
も見られたがポイントを知らなかったので焦る気持ちは全くなかった。待ち合わせの場所到着は3時半だったので、30
分も早く着いてしまった。

木に注意しながらの釣り
準備をしている間にキッシーさんが現れ、お喋りをしているうちにレガオさんが元気に到着してメンバーが揃った。
私は妻を車に残してキッシーさんの車に乗せていただき、2台で出発!すでに外は完全に明るくなっていて出遅れた感もあったが、この日のすべてをキッシーさん任せにしていた私とレガオさんは気楽なものだった。
さっそくポイントを見て走るキッシーさんだったが、めぼしいポイント付近にはすでに車が停まっていて、どのポイントも厳しそう・・・。やはり解禁日が土曜日というのは激混み状態となっているのか?
最初の場所はすでに4台先行車が入っていたが、それでも試してみることになった。
すぐに準備が済んで川に入ったキッシーさんだったが、私は準備してあった仕掛けが切れていたと勘違いしてしまい準備
に遅れて、それに付き合ってくれたレガオさんとようやく出発!と思ったらキッシーさんが戻ってきた・・・。
「全然釣れない・・・」というキッシーさんは、それでも5匹は釣ったというからさすがだ。せっかくフライをセットしたのだか
らとレガオさんはロッドを振ってはみたものの反応はなく、私は竿を一度も振ることもなく移動することになった。
次のポイントは車を停める場所までが悪路で、RV車ならさほど苦にならないが車高の低いレガオさんの車では無理だ
ろうと二人で話していたところ、何と!どんどんついて来るので心配・・・・・道の中央部に1mも草が茂っている道が終る
と、次は岩がゴロゴロしている・・・最後は一番危険な砂の道が待っていてアリ地獄のような雰囲気、にもかかわらずレ
ガオさんの車もそこまで入ってきたから驚きだ!
まあ、埋まっても3人いるし、他の釣り人も沢山いたので何とかなるだろうと気にせず釣りを始めることに・・・。
川に入るとすぐ上流には人の姿もあったので釣り下がることにしたが、なんと下流にも人の姿があり、非常に混雑した釣り場となっていた。だが、キッシーさんの言うとおり釣り人が数人通ったはずなのに、ヤマベは釣れるのである。   
ここは魚が居そうだと流したところ、目印の矢羽がすうっと止まったと
ころで中途半端なアワセだが釣れたようで、小気味良い引きが細い竿先から伝わってきて小さなヤマベが姿を現した。
少し焦りながらもビクの上まで持ってきて、ようやく一匹目を手にすることが出来た。
「これはリリースサイズ?」とキッシーさんに聞いてみた・・・答えは自分で判断せよとのことなのでリリースしたが、この川
はほとんどが10cm程度のこのサイズが多いことが後でわかった。
何匹目かにようやく型の良いヤマベが釣れたので自信を持ってキープすることができたが、それでも大きなビクには小
さく見えてしまう。

    
           釣り人が多過ぎる・・                          堰堤ポイント
川幅は狭くて浅いうえに流れも早くはないので、川渡りもさほど気を使うこともなかった。しかし、ベテランのキッシーさん
との釣果の差は歴然で、次々と狙ったポイントからヤマベを釣り上げていた。
レガオさんはというと、ヤマベのサイズが小さすぎてフライを銜えきれないのか、ヒットには至らず苦戦していた。すれ違
う釣り人が2本のロッドを使っているレガオさんを見て不思議に思ったのか「両方に釣れたら困るね・・・」と聞いていた
が、別にレガオさんは2本同時にフライとルアーをキャストしているわけではなかったので、この質問には笑えた(もう一
本手が必要だろう)。
私達が釣っている最中にも、同じ場所を移動する人たちがいるほど混雑した状態に戸惑っていたものの、次第に気に
ならなくなっていた。

キッシーさん撮影
川の途中では何度か鉄橋を走る列車も見えて、釣りだけに集中していた私を我に返らせてくれて、ふと周囲を見ると林の間に流れる川に朝の柔らかな日差しが射し、その中で魚釣りという贅沢な遊びにふけっている大人たちの姿が私には眩しくみえていた。次回は妻も説得して釣れて来よう、そう思った瞬間だった。
釣り下がってから、今来た川を釣り上がり車まで戻るのだが、何人もの人たちが仕掛けを流したはずなのに釣れる事が面白くも不思議で楽しかった。結局、僅か10匹しか釣れなかったがコツはつかみかけていた気がする。
そして車に戻り、次のポイントへ移動することになったが、レガオさんの車が心配で車が見える場所で待っていたところ、なかなかすぐにはUターンが出来ないのか慎重に切り返しているようだった。 
最悪の場合はみんなで押せば何とかなるだろうとは思っていたが、なんとか無事に抜け出したようだった。
後から聞いた話では、何も行ってくれないから大丈夫なのだと思いついて来た
とレガオさんは言っていた。
次のポイントは堰堤の下にプールがあるということで、レガオさんがルアーとフライで大物を狙えるお楽しみポイントだった。私もここでようやくフライに挑戦してみようと、ここだけ濁ったプールにフライを流し込んではみたが反応はなく、数回ライズが見えただけだった。
ここでも他の釣り人が次々と現れたが前の場所ほどではなくて、慣れてきた私にも次々とヒットする。日が高くなり始めると気温も上昇し、釣りに夢中になっているからさほど気にならなかったが、随分と汗もかいていたようだった。
次第に仕掛けを流している周りに泳ぐ魚の動きが見えてきて、複数の魚が追っていたり食い付く瞬間が見えたが、やはり見えないほうが楽しいだろう。
レガオさんもフライで1匹釣ったとのことで満足そうな様子・・・キッシーさんは昨年までの川とは思えないほど釣れなかったといいながらも、沢山のヤマベを釣っていたようだった。
朝の集合場所に戻りおしゃべりをしてから同じ場所にあるレストランで食事をして、用事があるレガオさんとはここで別れた。

3本の竿を操る男?
その後、キッシーさんおすすめのソフトクリームがある店まで走り、その店の前のウッド・デッキでソフトクリームを食べ、
八重つり湖園へ向かった。
     
                                             日陰を探しての釣り
釣り堀には相変わらず数人の客しかおらず、この日は近くに管理人さんがいたので受付はすぐに済んだ。受付の際に
キタノユキマスのことを聞いたところ、放流していないことを聞いて残念がっていると、それじゃ今から放流しましょうと  
いうことになった。
だが、放流したのは僅かな数と小さなサイズだったことに加えて釣るのは大変難しいと言うので、その後キタノユキマスのことはすっかり忘れてしまった。
さっそくフライをキャストしてみたが、釣れるのは小さなニジマスやヤマベばかりで、せっかく大物の引きを楽しもうと思って来たのに失望してしまい、ルアーに替えることになった。
ルアーではサイズアップして釣れるが、どうも魚が少ないのか活性が低いのかあまり釣れない・・・それでも久しぶりに妻もルアーを楽しみ、キッシーさんと私は18時近くまで夢中になってしまった。
釣りを止めてしばらくの間は池の中央にある丸太に座って話をしてから、釣り堀を後にキッシーさんと別れた。
久しぶりに遠軽の登代里で夕食を食べて、自宅に着いたのは21時前となってしまったが、快晴だった空には三日月が浮かんでいて、この日の釣りバカぶりを笑っているようにもみえた。





   ■ 湧別川水系

7月15日 釧路や稚内、そしで知床では遅まきながらもカラフトマスが釣れ始めたらしいが、低水温による回帰の遅れ
は予想以上であることが、この釣行を終えたところでわかった。
今回どんな釣りをするかいくつかの選択肢があり、知床或いは枝幸方面のカラフトマス、網走で密かにフィーバーして
いる海アメ、ガリンコ号のカレイ釣り、厚和での堅実なフライなどだったが、私が選んだのはヤマベ釣りだったのであ
る。
前回の釣行で妻は不参加だったが、やってみたい気持ちもある様子だったので妻にも渓流の楽しさを味わってもらうた
めの一日にするのが本当の目的だった。
1時20分の目覚しも難なく、2時過ぎには買出しも済ませて出発!雨は降ったり止んだりの繰り返しで、白滝を過ぎると
所々で霧も出ていた。
遠軽を過ぎて現地近くになっても雲が厚いせいかなかなか明るくならなかったので、前回キッシーさんに案内された2箇
所目の川の近くで明るくなるのを待つことにする。もちろん私の車では入っていくことはできても帰れる保証のない道は
避けて、牧草が刈り取られた後の片隅に車を停めた。
    
            やや水量が多い
15分ほど経つと充分釣りのできる明るさになったので、すぐ近くを流れる川に二人で入った。前回あれほど沢山いた釣
り人は全いなかったので釣れるのだろうかと少し不安になったが、流れに沿って流した仕掛けがすうっと止まり極細の
糸から細い竿にアタリが伝わるのでチョンと合わせる・・・小気味良い手ごたえとともに元気なチビヤマベの姿が現れ
る。
釣り人は全くいなくなってしまっていたがまだまだ魚はいるようで、前回よりも少ない範囲でサイズアップしたヤマベが前
回よりもたくさん釣れた。
しかし、前回釣れた良さそうなポイントではほとんど釣れなかった。
妻は最初のうちは魚の気配を感じることもなく頑張っていたが、突然「重ーい!」の声に見ると型の良いヤマベが妻のバッカンの上で跳ねていた。
結局、このポイントでは他の釣り人には会うこともなく、私達だけでのんびり楽しむことができた。
8時前には車に戻り、車内で朝食を食べながら休憩していたが、町内のコンビニで買物をしてから次なる堰堤のあるポイントへ向かうことにした。

妻の釣果
ここでは先行者が車に戻ったばかりで、私達の他にももう一人釣り人が停車し釣り場に降りていった。しかし、私は急
に体調が悪くなったので公衆トイレに行くことになる。
そして急に雷とともに強い雨が降ってきてしまったので、しばらくは外にも出られない状態だった。更に、寝不足のため
に眠くなってしまい・・・そのまま寝てしまうのであった。
ようやく起きたときは昼過ぎで、すっかり釣りの意欲はなくなってしまっていて、午後から予定していたつりぼり厚和行き
は中止とした。
お昼を食べようと町内の温泉施設に行ってみるとなかなか立派な建物で、レストランも豪華な雰囲気だった。メニュー
の説明を聞いてからこの町の名物の「きのこと牛乳豆腐のヘルシーステーキランチと野菜炒め定食」を注文した。
野菜炒めも美味しかったが、きのこのステーキもなかなか美味しくて、バター焼してあるのでそれだけでも充分だがステ
ーキソースも付いていた。牛乳豆腐は食感がさけるチーズのような歯ごたえにほんのりとチーズの味がするという滅多
に食べられないステーキだった。
    
     牛乳豆腐&エリンギステーキ
注文してから気が付いたのだが、温泉入浴料とタオルと食事付きセットが千円のランチパックはお得だ。カレー・ラーメ
ン・親子丼など10種類ほどあるメニューから選ぶことができる。
食後、このまま帰ってしまうには早い時間だったので、最後にもう一度堰堤ポイントに行ってみることにした。
堰堤ポイントに到着して、川に降り立って驚いた!・・・・・乳白色に濁っていたのである。

    
         白濁した上に水量も多い
突然の雨のせいかと思ったが、実は橋梁工事のコンクリートが流れていたことが後でわかった。それでもせっかく川に
降り立ったのだからと堰堤の上を流してみた・・・水量が多いせいもあるのか全く反応なし。
次はあまり期待していない堰堤の落ち込みを流した2投目・・・ヒット!デカイぞ!これは大物だと慎重にやり取りして、
ようやく足元に・・・。魚体が銀色に光ったサクラマスだ!と思ったらウグイ様!
大きな太ったウグイにガッカリしたものの、この濁りでは釣れないだろうと思っていただけにもう少しやってみようという
気になった。

私の釣果
前回、私としてはよく釣れたポイントも増水でポイントが一変していて釣れそうな気配はない。しかし魚の感覚は凄いもので、ヒット!したが気を許していたためにアワセが中途半端でバラシ・・・。
落ち着いて数匹を釣り上げ、妻もなんとかボウズは回避して、途中にあった車道から農家のとうきび畑の横を通って車に戻った。
車に乗り込むと雨が降り始め、幹線道路に出ると釣りをしていた直上流の橋の上で工事中のコンクリートを砕く白い煙が見え、上流を見るとさほど濁っていないことから水の濁りはこの工事が原因だとわかった。魚たちは大丈夫なのだろうかと少し心配になった。
帰りは遠軽に寄り道をして夕食を済ませてからの出発となったが、白滝では太陽が顔を出し始めたのでようやく暖かく感じられた。


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