9月の釣り Vol.2



   ■ 帽子岩

9月8日 先週日曜の小爆発以降はあまり良い話が聞かれなかったが、この日の朝に帽子岩入りしていたマリゴケさん
が朗報を伝えてくれた。
平日の朝なので釣り人の数は多くはないだろうが、30本ほど釣れていたと聞き少し期待できそうな気がしての出発とな
った。
満月が見えていた出発時だったが高規格道路が近づいた山間部に入ると、すぐに月は消えて雨が降ってきてしまっ
た。その後、常呂近くに入って雨は止み一安心したのもつかの間・・・網走湖からは再び雨となってしまった。
潮周りの良さと時期的にも釣れるはずという確信に加えて先週の雨と時化の影響が大きく左右するので、今週末は混
雑するだろうと思っていた通り、到着したのは22時前だったが朝方のような賑わいをみせていた。
レガオさんから聞いていたのだが、ギャン君が駐車場にいるはずだから発見したら殴っておいてくれと頼まれていたの
で、寝る前にトイレに行くときに探してみると、これは確かに彼の愛車だと確信して車内にライトを照らす・・・・・だが、中
にいたのは落語家の春風亭昇太だったので「お前のオールナイトニッポン面白くないぞ!」などと言いながら殴っている
と、よくよく見たところ助手席でボコボコになって眠っていたのはやっぱりギャン君だった時は気まずい!
しかも、彼はロッドとタモ網を車の前に堂々と立て掛けているので盗まれないか私の方が心配してしまったほどで、彼の
得体の知れなさを再び痛感し、この場で彼に危害を加えると「ギャンの呪い」なるものにかかってしまうことを恐れ、静
かにその場を離れたことは言うまでもない。
雨は上がっていて波はほとんどなく、満月こそ見えないが安心して翌朝を迎えられそうだった。


9月9日 先週よりも早起きして釣り場に着いてみると、何と!釣り場の入口よりもずっと前から夜明けを待つ人の姿が
あり、入口からは釣り人の姿が切れ目なく続いていたのであった。後でこの日の夕マズメに聞いた話だが、朝遅くにや
ってきた人がカーブ付近にようやく見つけた場所まで人の数を数えて歩いていたそうで、その数100人を超えていたと言
うから、全体では150人以上はいたことになる・・・。
釣り場で準備中に、右となりに見覚えのあるクーラーボックスと人の姿があった。もしやと思い近づいてみると、そこに師匠の姿を発見・・ほんの数メートルしか離れていない場所だった。
一人釣り場で夜明けを待つのは久しぶりだったので、すぐ近くに師匠がいたことで夜明けも短く感じられた。
相変わらず釣り人はどんどんやって来るので、明るくなる頃にはこの釣り場は飽和状態になってしまうだろうと思った。
4時過ぎには、すでにキャスティングを始めてしまっている人たちが多く、朝焼けが一番きれいな4時15分頃になると半分近くの人がテトラポットに立っていて、せっかくの朝焼けなんだからもう少しゆとりを持って・・・無理な話か・・・・・。
妻が到着して、師匠と3人で朝焼けと釣り場を見ていたところ、まだまだ暗いのに近くでヒットしていた。それでもまだ早
い、偶然釣れたのだろうと余裕で眺めていたのだが、あっという間に次々とロッドが曲がり始めていた・・・。

私の一本目
こうなってしまうと、まだ早いなんて言っていられなくなりほとんどの人たちがキャスティングを始め、当然私達もキャスティング開始!
一投目・・・魚影が濃いのかラインに触れたアキアジの感触が伝わってきて、なんだか急に心ときめく。そして2投目・・・特有のアタリがあり、合わせて見たのだが乗らなかった・・・。ルアーとタコベイトが絡んでいた・・・それにしても、こんな塊でも食いついてくるのか・・。
しかし、それから僅か数投でヒット!4時半過ぎだった。
オスだろう、すぐにドラグを鳴らして突っ走り、その重さから型の良い
アキアジだと想像できる。
周囲を見ると近くでも何本かロッドが曲がっていて、もう朝焼けどころではなくなってきてしまったからさあ大変!

師匠ファイト中!

私の2本目
アキアジは何度も逆走した後、今度は左に走ってテトラにラインが擦れる・・・のは回避して、ようやく妻の待つタモ網に入った。 
5kgは軽く超えた80cmオーバーの銀ピカオスで、この釣れ方だともっと良いものが釣れると確信して、写真を撮ってからフックを外しタモに入れたまま釣り場に戻り、優しくリリースした。
4時42分、今度は師匠にヒット!師匠は私達の右3人目なのですぐ近くだ。そして、無事1本目がネットに入った。
次は4時44分、再び私にアタリ・・・再開した一投目でヒット!
しかし、先程と比べると軽めだったのでメスの期待が高まったが、見えた魚はオスだった。妻の待つタモに難なくネットイン!
ややブナがかったオスで、これはリリースだなと写真を写してフックを外そうとしていたところに妻の声が・・・ファイト中だった。
すぐに今釣った魚をネットに入れたまま釣り場に戻りリリースして、妻のアキアジを掬う。妻は銀ピカのオスをキープした。
5時07分、今度は師匠にヒット!周囲でも次々にヒットしていてどこかで必ず複数のロッドが曲がっているといった中爆発状態!帽子岩の麓まで隙間なくびっしりと釣り人が入っている。

妻の一本目

        
             師匠再びファイト中!                     なかなか良いメス
5時20分、完全に慣れたニューロッドで遠投してみる・・・ヒット!この日は遠目に魚がいるようで、跳ねなど全くないが魚
は濃いようだ。
重くて元気なアキアジだったのでオスだとばかり思っていたが、見えた魚体は銀ピカのメスだった。タモに入り妻から私に手渡されたが、タモの付け根から折れてしまうというアクシデントが発生!
もちろん魚は無事だが、このタモは2度目のトラブルで、昨年私がうっかり踏んでしまい修理したもので、軽量ではあるがその分だけもろいタモの柄だったのである。
予備の柄があったし車に戻ればアルミの頑強な柄もあったので大事には至らなかったが、信用しきって使うことは危険だと思った。
5時47分、次は師匠にヒットしていてなかなか元気なアキアジだったので、私がタモ入れを手伝ってネットイン!
そして、ようやく釣り場の爆釣は収束し、時々どこかでポツポ
ツ程度に釣れる状態になった。
奥で釣っていたマリゴケさんが様子を見にきたので、1年ぶりに色々なお話をしているうちに、私のニューロッドだから試してみてと、マリゴケさんに手渡してから僅か数投したときだった・・・すぐ近くでヒット!
周囲ではあまり釣れていない時だっただけに私も釣った本人も驚き、ただ笑うしかないようなヒットだった。

師匠またまたファイト中!

私のロッドだー!
予備のフニャフニャしたタモではあったが一発でネットイン!もちろんマリゴケさんの釣果に数えられ、魚と私のロッドを持って記念写真を撮る。

     
          同時多発ヒットは圧巻                           妻の2本目
それからまた二人で話に夢中になっていた7時10分のこと・・・私の左となり3人に同時多発ヒット!普通ならば写真なん
ぞ撮っている暇はない、となるのだろうがすでに満足していたのでその光景を楽しんでいると、他の場所でもヒットが多
発していた。

師匠の4本目
その後、マリゴケさんは自分の釣り場に戻り、私も始めた直後に妻にヒット!7時12分だった。
無事上がったのは型の良いオスのアキアジだったがリリースして、ふと見ると師匠にヒット中!私ももう少し頑張ろうとキャスティングを始めた。
いつもならば半数以上は帰ってしまうこの時間になっても納竿する人は少なく、釣り人はこの時も少しずつ増えてきているようだった。
7時27分、私にヒット!なんだか重くて突っ走る・・・だが、見えた魚体は黒い!期待はずれなどといっては失礼だが元気さはなかなかのも
ので、この日の一本目に近いパワーを持っているようだった。
しばらくして、妻が使い難いというフニャフニャのタモでなんとかネットイン!オスのブラックサーモンは、少々手荒いリリ
ースとなったが元気に海に帰って行った。
そして再び釣れなくなったので、ようやく釣り人たちも満足したのか帰る人も出始め、私と師匠の間にいた二人も納竿したのでそこにマリゴケさんが移動して

ブラックサーモン

マリゴケさんファイト中!
きた。
肩を並べるようなすぐ横で話しをしながら、のんびりとキャストしていた8時06分、マリゴケさんにヒット!
私がタモ入れをしてマリゴケさんの4本目となるアキアジがネットに入った。
朝食を食べておしゃべりを楽しんだり横になって休んでいて、釣り場も時々忘れた頃にしか釣れなくなってしまっていたので、10時には一旦納竿することにした。
師匠と一緒に昼食を食べてお風呂に入り、すっきりしたところで仮眠をとってから午後の部の準備をしていたところ、砂
浜でブッコミ釣りをしていたおじいさんが現れてお話を聞く。
話によると、この朝は7本の竿を出したのだが僅か1本しか釣れなかったと話していたのはいいが、私に砂浜のブッコ
ミ釣りのポイントを詳しく説明し始めてしまった。そんなに良いポイントなら自分がそこで釣ればたくさん釣れたのにと言
うと、車が横付けできる場所でしか釣らん!と言うなかなか滑稽なおじいさんだった。
そうこうしてしているうちに、師匠がこの時間から釣れると言う時間が近づいてきたので、少し早かったが釣り場へ向か
う。
予想に反して釣り場は依然混雑しており、なかなか良さそうなポイントは空いていない・・・何箇所かの目ぼしいポイントを見つけた頃に師匠が到着。
あれこれと相談しているうちに近くにいる人にヒットしたので、その横に入釣することにした。聞くと13時頃から全く釣れておらず久しぶりに釣れたとのこと。
すっきりと晴れた青空の下、気持ちものんびりするものでマイペースで準備をしていた14時29分だった。まだ5投もしていない師匠にヒットしているではないか・・・。
写真を撮ってから私がタモ入れをしてネットイン!さすが師匠である。
ようやく準備ができた私が少し期待を持ってキャスティングを始めた14時40分、私もまだ5投ほどしかしていなかったが
ヒット!いきなり走り出し何度もドラグを鳴らされる。
今年一番のパワーの持ち主だったこのアキアジは、タモを構えて待っていてくれた師匠を随分と待たせ、私的には5分も要したのではないかと感じられるほどだった。
最後は横向き気味になって体力を使い果たしたのか、さっくりとタモに入った。6kg?ほどだろうか、体高のあるブナオスだった。
リーリング中にロッドの曲がり具合を見ていると、バット部は真っ直ぐだったが意外にきれいな曲がり方をしていた。
これはいけるぞと師匠と話していたところに、マリゴケさんとレガオさんがやってきて隣に入釣することになった。
レガオさんと会ったのはお盆以来で、久しぶりに色々な話をしながら釣りを楽しむことができた。
ふと奥を見ると、アキアジらしき魚とファイトいている人が見えた。しばらく眺めていたがなかなか寄せられず、タモを持
って待つ同行仲間らしき人が気の毒になってしまうほど・・・・・あまりにも寄せられず走るので、スレなのかと思い自分た
ちの釣りに専念する。
それからしばらくして、奥を見るとまだ寄せてもいない・・・結局、20分ほど要しただろうか?なんとかタモに入ったようだ
が普通サイズのアキアジだったので、アキアジ釣りには向かないライトタックルだったことは、この後にもう一度ヒットし
て同じように時間がかかっていたことから判断できた。
この時間帯でも大迷惑だったので、朝マズメなら退場処分だったであろう。
レガオさんとおしゃべりを続けていた満潮前の15時32分、モゾモゾしたアタリが始まり、ウグイがほとんどいなかったこの時はアキアジを確信した。
充分な状態になったところで合わせると乗ったようで、先程のような桁外れのパワーはなかったがこの時期の元気な引きを堪能して、師匠のタモにネットイン!
ブナオスで、先程のアキアジ同様に師匠のスカリに入った。私が魚の処理をしていた15時34分にはマリゴケさんにヒッ
ト!
          
          マリゴケさんガッツポーズ
周囲でもポツポツと釣れていたようで、午後からでもこんなに釣れるのは久しぶりだった。
しばらくすると急にウグイの猛攻が始まってしまい、アタリは小気味良く退屈しないが、次第にわずらわしくなってくる。
ウグイ釣りも名人の師匠が時々合わせるがなかなかウグイは乗らなかった。
しかし、16時44分にはレガオさんのロッドが曲がっていて、海面をするすると引きずられているウグイが見えた。さすが川の名人レガオさんは難なくエサ取りウグイを撃退した。
その直後には再びマリゴケさんにヒット!彼は絶好調である。
しかし、この後は近くではほとんど釣れなくなり、やや左に沈む夕陽が美しいのだが、眩しすぎることに加えて師匠が珍しく「きれいな夕陽だなあ!」なんて言ったものだから、テトラポットからコケそうになってしまった。
今日はこれまでと、片付けをしていたところにメガ弟さんから電話があり「これから行きます・・」とのこと。
ほぼ片付けが済んだ頃にメガ弟さんが現れ、話しをしながらのんびりと車に戻った頃にはすっかり暗くなってきていた。
疲れていた私を気遣ってか、夕食を買ってきてくれると言うので好意に甘えることにした。
その後、3人で夕食を食べながら、久しぶりにメガ弟さんの楽しいお話を聞いて体の疲れもすっかり癒された。
前日の寝不足もあったので、この日は早めに寝ることができた。


9月10日 マリゴケさんと待ち合わせた時間よりは随分と早く目覚めたので先に釣り場に向かう途中、松さんに起こして
くれと頼まれていたので車を探していたところ、何と!ウルシさんがそこにいた。
どうやら松さんに無理やり呼ばれたらしく、いわば松さんの子守役となっていたようだ。松さんを起こしたが、何だか言
語不明瞭・支離滅裂・傍若無人・・・とりあえず私は先に釣り場へと走ることにする。
だが、昨日の爆釣の後だったので混雑していると思った割には人が少ない・・・。みなさん満足して帰ってしまったのだろ
うか?川では随分サケが跳ねている・・・。
昨日よりも随分奥になってしまったが、釣り場で準備を済ませたところにマリゴケさん到着。
まだまだ明るくなるには時間があったのでウルシさんに電話してみると、すでに釣り場に着いていたようで私達の奥の方からすぐにやって来てくれた。
しばらくすると洋子さんから電話があり、私の姿を見つけられずに奥まで行ってしまっていたが無事に八代さんと一緒に着き、それからしばらくして妻も到着した。
少しだけ明るくなってきた頃に妻と二人でウルシさんたちを訪ねると、松さんの他にナベさんも同行していて、半分朦朧(もうろう)としていた松さんは捨て置いて4人でおしゃべりを楽しんでいたが、周囲で釣れている姿を発見したので釣り場に戻
ることにする。
戻ってみるとすでにほとんどの人がキャスティングを始めていて、早くもマリゴケさんが1本釣ったと聞いたが、残念なが
らマスだった。
しかし、昨日の朝とは一変して周りを見ても釣れておらず、昨日のことがウソのような釣り場となっていたのである。
それでも忘れたように時々は釣れていた4時37分、妻にヒット!難なく近くまで寄せたところで思い出したように何度かドラグを鳴らし走る・・・そして目の前の邪魔なテトラを回避しながら無事ネットに入った。
やや縞模様が入りかけていたが、洋子さんと八代さんにもらっていただく。
この頃、ウルシさんの釣り場では大事件が起きていたのだが、私達は知る由もなく今日は釣れないなと半分諦めかけて、休みながらキャスティングを続けていた。
5時を過ぎると朝陽が昇り始め、反対側の空高く月も美しく見えていて空には雲ひとつない、暑くなりそうな空模様だった。
5時21分にはマリゴケさんにヒット!
今度はアキアジをGet!そして、3日間も留守にしていたので6時半過ぎには片付けを始め、次回の再会を約束して帰
って行った。
       
                妻の釣果                        絶好調のマリゴケさん
魚の気配が全く感じられないので自ずと陸に上がる回数も多くなり、そろそろ帰ろうかと思っていたが天気が良いので
のんびりとしていると、ウルシさんたちがやってきて色々な面白い話を聞かせてくれた。
ナベさんと松さんはマスを、ウルシさんはアキアジを一本づつ釣っていて少しうらやましくなったが、まあこんな日もある
さと納得する。
帰り支度を始めていた7時51分だった。洋子さんにヒット!
見ると、この時期の元気なアキアジに翻弄され手間取っている上にタモにトラブルなのか八代さんがなにやらタモ網に向かってかがみこんでいる。
ようやくタモを構えて、何とか無事メスサケをGet!
その後、私にも僅か数投でアタリがあったので合わせてみたがすっぽ抜け・・・回収してみたところフックにタコベイトが覆いかぶさっていた・・これじゃあフッキングしないなあと、すぐに諦めて納竿した。
帰りがけにも何度かヒットしている人たちを見かけたが、まだシーズンは始まったばかりだと割り切って車に戻った。
車に戻ってから車内を片付けているときに、外で片付けをしていた妻に昨日のブッコミのおじいさんが来て「イヤー、今日は釣れたワ!隣は2本だったけど、オレは13本釣ったところで家族にもうやめなさいって止められてサー・・・」などと自慢していたらしい。ひょっとしてこのおじいさんは名人だったりして・・・。
自宅に戻り、今回は新たな方法でのいくらと筋子作りを試みたが、これがなかなか簡単で美味しく出来上がったので機
会があれば紹介したいと思う。
皮肉なことにこの日は、私達が去った10時頃から群れが入ったそうで、洋子さんも八代さんも大満足した一日になった
と翌日に聞いた。

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