11月の釣り



   ■ 最後の帽子岩

11月2日 寒さは厳しさを増してきたものの晴れた日が続いており、文化の日からの三連休は帽子岩でもまだ行けるの
ではないかと思っていた。しかし、網走の定置網に入るアキアジの量は激減していて、10月中に網上げをしてしまった
網元も多かったようである。
師匠とキッシーさんも最後の出撃をするとのことで、私達ももちろん出撃となる。
高規格道路の気温はマイナス2℃だが、連日の好天により雪は全くなく、星空には2日後に迎える満月に近い月も見え
ていた。
旭トンネルの自動車専用道路にさしかかる前の対向車線に1台の車が停車していたので、その車に気を取られていた
ところ「シカ!シカ・シカ・シカー!」と妻の叫び声で道の真ん中にいる小鹿を発見!急ブレーキ!
「キーー!」タイヤ音で気付いたのか、小鹿がこちらを見ながら逃げる姿がスローモーションのように見えながら、接触
まで僅か数メートルに近づいたものの、何とか回避することができた・・・。あの車は停車してシカでも見ていたのだろう
か?迷惑な車である。
帽子岩駐車場に着いてみると想像以上に車は少なく、駐車場はどこでも自由に選ぶことができたのだが、私のお気に
入りのスペースには何故かロッドが置かれていたのである。そこは決して近くはない場所で、他にもっと良い場所があ
るだろうにと不思議だったが、朝起きてみると確かにそのロッドの持ち主らしき車が停まっていた。


11月3日 師匠との約束の時間に車外に出ると、師匠も準備は済んでいて、すぐに二人で歩いて出発した。この時期に
なると釣り場の場所取りも少なくなり、入り口からカーブまでは空きスペースも随分と多かった。



しばらくすると東の空が明るくなり始め、5時半過ぎには写真撮影ができるほど明るくなってきて、釣り場に降り立つ人
も多くなった。妻が到着したので、私達もキャスティングを開始してみる。
しかし、気温3℃だけならよいが、少し風があったために指先が冷たく、ほんの数投しただけで指先がかじかんでくる。
ポケットに忍び込ませてきたカイロで温めながらキャスティングを続けていたが、アキアジどころか外道のアタリすらな
い・・・。
7時までに全体5本も釣れていなかったが、この時期は日中の方が釣れることも多いので気長に待つことにする・・・。
そして7時08分だった・・師匠にヒット!実は師匠の場所は先々週14本釣った場所で、あの悪夢のような爆釣タイムが始まるのか?そう思ってしまったのは無理もない・・・。
師匠は師匠で「今日は何回駐車場まで魚を運ぶことになるのだろう?」などと皮算用をしていたほどであった。
寒さのせいか、久しぶりに体を動かしたせいかはわからないが、またしてもお腹の具合が・・・結局のところ、やっぱり駐車場に戻ることになってしまう・・。
車内で休憩してから、いない間に釣れているのでは・・と恐れ
つつ釣り場に戻ってみると、相変わらず釣れてはいなかった。
私が釣り場に戻ると妻は「車に戻って寝る・・・」そう言ったきり、この日は釣り場には戻って来なかった。
帽子岩で一番の人気ポイントでは時々釣れていたものの、先週とは比べものにならないほど釣果は落ちており、このよ
うな状態ではこの日だけで帰ろうかと思ってしまうほどだった。しかし、周囲を見ていると面白いことにはアキアジの仕
掛けにカジカが釣れたり、大きな海草が引っ掛かったのかと思って見ていると○○だったりと、アキアジ以上に価値の
あるものが釣れていた。
    

日が高くなるにつれて気温は上昇し始め、11月とはとても思えないほどのどかな秋の釣り場となっていたが、次第に釣
り人は帰り始めていたので、100人近くいた人たちが半分以下になってしまうほど状況に変化はなかった。

キッシーさん撮影
お昼前にキッシーさんが到着して少し早い昼食を食べてから、キッシーさんのカップ麺のお湯が沸く間に釣ろうと釣り場に下り立ってみた。
12時15分、着水してすぐにアタリ・・・しかし、すぐに消えてしまう渋いアタリ・・・再びアタリがあり・・ヒット!遠くでヒットすると長い時間楽しめるがなかなか寄って来なかった。ようやく近づいたところでキッシーさんに写真を撮っていただいて、そのまま自分でタモ入れをした。
65cmほどの縞が見え始めた銀ピカメスだったが、ようやく釣れたうれしさからキ
ープすることにした。
私達の場所から奥は、磯場以外ではたった一人しか釣り人がいないほど空いていて、釣り場は何処でも自由に選べる状態だった。
12時45分には師匠にヒット!キッシーさんがタモ入れに向かい、師匠の2本
目がネットに入った。
川の水は相変わらず濁っていて枯葉などが溜まり、お世辞にもきれいとはいえない中に、見える範囲で2本のアキアジの死骸が流れており、この時期としては少ない。
帽子岩の麓付近では、子供たちがテトラポットの下に潜む根魚釣りを楽しんでいて、夢中になりすぎたのか長靴にもかかわらずびしょ濡れになって騒いでいた。
その後は更に帰る人が増えていて、私の好きなポイントに空きができていたので移動してみたところ、私達が居た場所に入った人にヒット!まあ、こんなこともあるさと笑って見ていた。
周囲ではチカ釣りを始める人も見られ、型は小さいがほどほどに釣れていたようだった。チカ釣りの仕掛けは持ってきていたものの、やはりチカ釣りはする気になれなかった。
釣れないながらも時々近場でアキアジが跳ねることもあったが、跳ね
 る魚はブラックサーモンが多いことから、新しい群れは入っていないようだった。
必ず群れは入ってくると信じて続けていた15時28分、近くでアタリ・・・ヒット!オスのブラックサーモンをリリースする。
その後、私達の右隣に入釣した男女二人連れは、女性にキャスティングから教えていたので初めてのアキアジ釣りだったのだろう、間もなくその女性にヒット!しかしすぐにバラシ・・。
そんな様子を見ていた15時51分、目の前すぐのテト
ラポット真近でアキアジ特有のアタリ・・・すうっとウキが沈み込んでいくとともに伝わってくる重量感もアキアジ特有のものだったので、渾身の力で大アワセを入れる・・・乗った!
重いが動きがない?巻き上げてみると・・・何と!カジカだった。俗に言うところの真カジカで、正式には「ギスカジカ」だ
が、計測してみると35cmは立派な食材としても最高の魚である。
思わぬ好外道を釣り上げたうれしさよりも、アキアジと全く変わらないアタリと重量感が不思議で面白かった一匹とな
る。
妻が釣り場に来る様子も全くなかったし、二人分の荷物の片付けがあるので止めようかと思っていた16時08分には、師匠に3本目がヒット!この日全体でもこの時間までに30本ほどしか釣れていないのに、その1割を釣ってしまうとは・・・。
私達は納竿したが右隣の二人は続けていて、特に女性はバラシを含めて3本もヒットさせていたほどで、暗くなっていたにもかかわらず釣れていたということは、翌日に期待が持てそうだった。
駐車場に戻り、みんなで市内のスーパーに買物に行き、師匠の奥さんも揃って5人で夕食とお酒を楽しんだので、22時には車に戻ってすぐに眠ることができた。


11月4日 目覚しが鳴る15分前に目覚めたが、前日のお酒が少々残っていて少しだけだるい。準備を済ませて外に出
ると、50cmの至近距離に立っているキッシーさんが居るのはいつものこと・・・師匠も近くで出発を待っていたので、す
ぐに出発し、キッシーさんは自転車で先に釣り場に向かった。
昨日に比べて随分と暖かく感じるほど、風もなく気温は高いようだった。東の空高く満月に近い月が白く輝き、みるみる明るくなってくるように感じるような一日の始まりだった。
やがて妻が到着して、
周囲でヒットしたことを確認したのでキャスト開始!
しかし、釣れているのは一番人気のポイントばかり・・・それも、昨日とは段違いに連続ヒットしている。そのうち他の場所
でも少しづつ釣れだしていたが、どういう訳か私達の場所にはアタリすらない・・・。
しかし6時53分、ついに師匠にヒット!目の前のテトラポットに苦戦しつつも一本目が上がったことで、私達にも希望が
見えてきた。当然のことながら、師匠は「今日は何回運ぶことになるだろうか?・・・」そう考えていたようだ。

      
                                             キッシーさん撮影
7時57分、私にアタリ・・・ヒット!見えた魚体は銀ピカで、妻は見ているだけなので自分でタモ入れをする。しかし、あっ
という間に縞模様が濃くなり、色が黒く変わってブラックサーモンに変身してしまったメスをキープした。
8時45分には妻にヒット!写真を撮っているうちに、気が付くとすでに魚は足元でジッとしていたので、右手にカメラ、左
手でタモ入れをした。

    
            キッシーさん撮影                          直後にバラシ
タモに入った時にはオスだとばかり思っていたが、じっくり観察すると顔はオスだが脂びれが小さくて尾びれは直線的なので、メスと判明。しかし、すでに〆てしまっていたのでこれもキープすることになり、今回はメスばかり3本もキープしてしまった。鼻の曲がり具合がオスのようで、歯も荒々しい姿はオスと見間違えそうなのも、この時期のメスにはよくあることだ。
妻の魚を運んですぐに師匠にもヒットしていたが、珍しいことに師匠がバラしていた。
9時12分、最後に残ったキッシーさんにもヒット!したが・・・バラシ。
しかし、9時28分には再ヒット!無事、オスをGet&リリースしていた。
これで全員が平等に一本づつ釣り上げたのでいつでも帰れる状態となったが、この頃になってようやくアタリが出始め、この時期特有の全くやる気のないようなアタリと浅い食いのために、難しい釣りとなっていた。
周りを見てもバラシ続出で、合わせても乗らない様子も多く見られた。
そんな難しさであるが故に楽しい釣りにもなるもので、私達も例外ではなく、この日は私が2バラシ、他3人が3バラシと、考えられないほど多くの魚を逃していたのである。
10時14分、師匠にヒット!私は写真撮影をしていたので、自分でタモ入れをしてメスをGetしていた。
10時18分には私にアタリ・・・ヒット!
やや遠目だったので気分が良かったが、半分ほど巻いてきたところでクネクネと白いお腹が見えたときにフックアウ
ト・・・バラシ!
        
             師匠の2本目                           バラシ直後
それからすぐ後、妻にヒット!私はすぐにカメラを向けたのだが、数秒後にバラシ・・・この時キッシーさんからも「バレち
ゃった・・」3人連続のバラシは、妻とキッシーさんの同時ヒットで同時バラシという結果に終った。
群れを成して目の前を通過するアキアジが多く見られたが、ルアーには全く見向きもしないどころか避けて通るほどで、
アタリも頻繁にあるがアワセに至るようなものは少なかった。
そのような中で10時50分にキッシーさんヒット!しかし、望んでいたメスではなくオスだったので師匠の好意でメスと交
換、無事メスをGetしていた。

        
           キッシーさんの2本目                      キッシーさん撮影
11時24分、半分ほどリーリングしてきたときにアタリ・・・ヒット!二度のバラシ後だったので不安はあったが、この日の
中では状態の良い少々縞模様入りの銀ピカオスをネットに入れた。しかし、運ぶのが大変なのでそのままリリースす
る。
その後アタリは消えて、満潮時の13時前に片付けを始めた頃に再び釣れ始めていたが、すでに十分満足していたので釣り場を眺めながらペダルを踏んだ。
駐車場で片付けを済ませてから、キッシーさんとおしゃべりをしていたところにウルシ奥さんとJrが現れた。これから始めると言うが、帽子岩にしようか第五埠頭にしようかなかなか決まらず、話し込んでいるうちにも釣りができる時間はどんどん少なくなっていき、親子でもめながらも第五埠頭に行ってみると車に乗ったが、それからも車内で話し合いは続いたのか、結局は帽子岩に向かって歩いて行くことになった時点で、残り時間が1時間ほどとなっていた・・・・・。面白い親子である。
キッシーさんと別れ、帰る途中の網走湖や能取湖ではたくさんの白鳥が羽を休めていて、冬の到来が近いことを感じながらも仲間全員が満足して帽子岩のアキアジ釣りシーズンを終
了できたことを喜び帰ることができた。


後日聞いた話だが、残り時間1時間で釣り場へ向かったウルシ奥さんは3本の釣果があったらしく、キッシーさんが言う
ところの「ポスフールに買物に行くような格好」では寒かったろうが、大漁によって寒さも吹き飛ばしただろう。
そして、翌日師匠は9時過ぎにのんびりと帽子岩入りして、第一投で銀ピカオスを釣ったらしいが、その後は音沙汰が
なかったらしく、全体的にも釣れていなかったそうである。

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