■ 網走港(第四埠頭)
10月3日 いつものように19時の出発少し前に師匠より電話があり、帽子岩は波が高く厳しい状況だと連絡が入っ た。途中のサロマ休憩ポイントから師匠に電話をするが、帽子岩は諦めて第四埠頭に移動という決断がされていた。 降り続いていた雨も網走は止んでいて、帽子岩に行ってみようかとも思ったが面倒くさかったのでそのまま第四埠頭へ 向かった。第五埠頭側から入っていくと第四埠頭の右端近くに車1台分のスペースが空いていたので即断で決った。 右となりで場所を確保する為に置いてあったものが「パイプイス」だったのが少し気になったが、自分の前にも竿立てを 置いて釣り場を決めた。妻も気に入っているポイントだったので何の文句もなく車中泊の準備をしていると、師匠から中 央部付近に空きがあるのでどうかということで、誠にありがたい話ではあったが丁重にお断りしてしまった。 帽子岩ならば釣れる気がしていたが、翌日のここでの釣りには期待薄と決めつけて何となくではあるがのんびりとした 釣りを楽しみたいと考えながら眠りに付いた。 10月4日 少し遅めの4時15分の目覚ましだった。正面の知床連山は雲に覆われていたがそれ以外の空は雲がほと んどなく、早く夜が明けそうな気配だったので慌てて準備を始めた。外へ出ると左となりのおじさんが丁寧な方で、私を 含め周囲の人たちに朝の挨拶をして回っていた。右へ2台目はフンベで知り合ったいつも来ているキャンピングカーの 清さんだったので楽しい釣りが出来そうな予感がした。
だった。しかし、腕は確かでブナのオスばかりだったが5本も釣ったし、餌を交換する度に海中で動きをチェックする念 の入れようであった。
て結んだので締め込みが甘かったのである。 そんなドジを踏んでいるところにレガオさんがやって来て、今朝は久しぶりに1本釣って帰るところだという。うらやまし いなあと思いながらも、連続バラシ脱出を自分のことのように喜んだ。
れ感謝されてしまい恐縮してしまった。今時珍しく腰の低い方だった。それに対してというのは変な表現だが、右隣の方 は天真爛漫というかにぎやかな人だった。釣れた魚はそのまま外に置いてあるクーラーボックスに入れるので、しばらく の間バタバタ・ゴトゴトと音がして動いていたり、釣った魚は自宅に持ち帰ると嫌な顔をされるので知合いの家の玄関に 勝手に置いてくる(玄関にぶん投げてくるんダー)など面白い話が沢山あった。
大君のこともよく知っていたので彼のうわさをしていると、案の定彼が現れたが釣りはせずに話だけをしていた。今シー ズンはすでに180本以上釣っているので、あのステラは早くも壊れており修理中だという。私なら5年以上は楽に使え るのに・・・。
帽子岩へ移動した師匠から連絡が入るが、波が高く厳しい釣りになっているらしく、まだ1本しか釣っていないという。自 分達は第四に可能性を感じ、帽子岩も釣り場がないということでそのまま続ける事にした。目の前を通るサケ定置網漁 船は沈みそうなくらいにサケを積んで何度も往復して第五埠頭端にある市場に運んでいた。市場では大きな海水が入 った容器に移されて行き先を待っていた。それにしてもすごい数のサケであった。今年は異常なほど豊漁が続いてお り、漁組の冷凍庫が満杯になったとかすでに定置網を外してしまった漁業者もいるなど、色々な情報が流れているが真 実は定かではない。しかし、もしもそれが本当の話であれば釣り師にとってはうれしい事で、今後まだまだ釣れる状態 が続く事になるのではないだろうか?
また、みんなと笑いあった。
簡保の宿の温泉で魚の匂いもすっかり消えて温まり、釣り場に戻ると、清さんが私たちの釣り場もクーラーボックスで守 っていてくれた。感謝!これからカジカ釣りをするというのはさすがに釣りバカであり、体力もあるなあと感心してしまっ た。私たちは夕食を食べながらお酒を楽しみ、21時には寝てしまった。 10月5日 3時前にお腹の具合で目が覚めそのまま起きてしまった。今朝も良い天気で早くに夜が明けるだろうと思っ た。この日の右となりはフンベの常連の佐さんで、彼も饒舌な話の面白い方である。彼らの使用している道具は高級品 ばかりで竿が8万6千円だったとか、リールはステラかトーナメントを数台持っているという羨ましい人たちばかりであっ た。左となりはというと、この日もおとなしい礼儀正しいおじさんだった。車で10分の近所に住んでいるそうだ。この日は このおじさんの釣った2本のタモ入れを夫婦でしてあげることにもなった。もちろん、この方も帰りがけには丁寧にお礼 の言葉を残して帰った。
私の右の佐さんや清さんのグループはこだわりの釣りグループだったので、特に魚が見える時は「釣り場が荒れる」と いって好ましくないという話もしていた。私も同感であり、見える魚を追ってしまう釣りは楽しさが半減してしまうと思うし、 ついつい見えるとそこにキャストしてしまうのが人間の性(さが)だと思う。佐さんにヒットしたが、隣で近くを巻いていた 人に絡んだ様子だった。佐さんが巻き、それに合わせるようにして隣の人も巻いていたがサケは全く抵抗なく足元まで 寄ってきた。タモの準備をしている間も刺さった針にぶら下がり全く動かないので「死んだんじゃないか?」とか「アワセ 強すぎて気を失ってしまったんだろう!」とか「佐さんアワセ強いから顎が外れてショックで動かなくなったんでないの!」 という周囲の言葉の中で、タモに入った瞬間に思い出したように暴れだした。このサケは口と臀鰭(しりびれ)に針掛か りしていたので催眠術状態だったのだろう。なかなか珍しい出来事だった。妻以外の皆が「あーそこそこ行ったー!」と 騒いでいる中、何の事だときょろきょろしている妻の足元まで巻いてきた仕掛けの横をサケが通り過ぎようとしていた。 「あー食った!・・・・・・あー!」そんな皆の声とともに一瞬食ったが離してしまっていて、妻もアタリは感じた時に初めて 自分の事だったことを知ったそうで、少し残念がっていた。 私はというと、今シーズンから変えた6号のリーダーを信頼しすぎていて、昨日のそのままの仕掛けを使っていたので、 合わせ切れしてしまい、またしてもルアーだけ持っていかれてしまった。 日中になるとアタリは頻繁にあるが食いが甘くすぐに離してしまうようで、しっかり食わせるのが難しかった。 隣の佐さんにヒットしたが、そうと分かる数秒前には私にもアタリがあって、佐さんのヒットの3秒後には私にもヒットし た!ダブルヒットかと思った次の数秒後には佐さんバレてしまい、すぐに妻を飛ばして隣の方がヒットした。しかし、私の サケは10秒も楽しんだだろうか?バレてしまった。 その後、私と佐さんの間3mにもう一人入れてあげて狭くなったが、近い距離で会話を楽しめるのが良かった。 昨日よりも陽射しが強くて背中とお腹のカイロもはがしてしまうほどだった。イスに座って続けていたが、頭がボーっとし て集中力がなくなっていることに気付いたのは、自分のウキが浮いたり沈んだりしているのをボーっと見ていた時だっ た。ハッとした時はすでに遅かったのだ、サケは何処かへ行ってしまっていた。11時には片付け始めてお昼前に納竿 したが、師匠は帽子岩で7本釣って早々と帰宅していた。やっぱり今日は帽子岩だったか?そんな事を感じつつ、自宅 には17時頃着いてパソコンを開くと、キッシーさんとリンさんが5・4本と釣っており、その釣った場所が23日の私が入 ったポイントだったという。しかも、記念に「とっちポイント」と名付けたそうであった。うーん、釣りってなかなかうまく行か ないものだなとつくづく感じつつ、釣れたときの感激があるから楽しいのだと釣れて当たり前の密漁のことをふと思い出 した。 ■ 帽子岩 10月10日 いつもよりは30分近く早い出発だったので、三連休となる週末の場所の確保には少しだけ気が楽であっ たが、混雑して駐車場内には泊められないだろうと覚悟していた。 途中、レガオさんから連絡が入り場所は任せておけとのことで釣り場確保の不安は吹き飛んだ。しかし、すぐにキッシ ーさんからも電話があり早くも混雑していると、再び不安がよみがえってくるものだった。まあ、道中心配してもなるよう にしかならないと開き直り、マイペースですべてを良き仲間達に任せることにして爆釣のことだけ考えて走っていた。確 かな情報では水曜日に網走のキムさんが46本というサケを持ち帰ったというすごい話も聞こえてきていたので、釣果 よりも帽子岩からどうやって持ち帰ったのか?の方が気になってしまった。 駐車場に到着したが満車だったので、そこから少し離れた道路沿いの空きスペースに停め準備をしていると、入口近く の良い場所が空いたことを聞きすぐに移動した。キッシーさんの隣に停められたので、私の車との間で酒盛りの仲間に 入れてもらうことになった。キッシーさん、レガオさんと満月の明かりの下で呑む酒は格別で、時間の経つのも忘れるほ どだった。11時半には司さんも到着して5人となったが、妻はすでに寝てしまっていた。 司さんの差し入れの肉まんが空腹のキッシーさんのお腹を満たし、酔ってつまみの漬物を落としたレガオさんを責めて いたキッシーさんも機嫌が直ったようだった。4人で明日の大漁を語り合って楽しんでいたが、満月が雲に隠され予想 外の雨が少しだけ降り始めてきた。私の作戦はバラシがほとんどないキッシーさんの調子を狂わせるのには、二日酔 いしかないだろうと考えていた。レガオさんは酒が強いことは分かっていたし、調子を狂わせる必要もなくバラシを見せ てくれるだろうと思い、早々と「バラシキング」の証であるステッカーを彼の車に勝手に貼っておいたが、意外にそのステ ッカーは彼のお気に入りとなってしまった。12時にはなぜか正気に戻ったキッシーさんの音頭で解散、各自車に戻っ た。 10月11日 いつもの高笑いとともにキッシーさんが釣り上げるというイヤーな夢にうなされ目覚めは悪かったが、なん とか3時に起きることができた。というよりはトイレに行きたくて寝ていることができなかっただけだった。 こんなに早くからとは思ったが、やはり釣り場はたくさんの人たちで賑わっていたが、最初から密漁目的の場所取りをし ている人も多く、通り道を塞ぐ迷惑な人たちでもあった。 奥まで進んでからレガオさんに教えてもらった場所を探し、本当にここなのだろうかと不安を感じつつも準備を済ませた ところにレガオさんと司さんが現れた。先々週に隣だった旭川の方も近くだったので再会を喜び合う事もできた。
私たちよりも少し奥に入っていたチカさんに「8時から釣れるよ」そう言われて希望を捨てずにがんばることにした。その 後、お昼から来るという予定だった師匠がもう少ししたらここに着くという話を聞いた。その8時前には師匠も到着し、な ぜか空いていたカーブ手前付近に入って、更にチカさんたちもそこへ移動してキッシーさん達の隣となった。師匠やチカ さんたちが移動してすぐに4・5本立て続けに釣ってキッシーさんたちが唖然としていたが、実にタイミングが良かったよ うだった。 密猟者が並ぶ危険な通路を通り駐車場に戻って用を済ませ釣り場へ帰ってみると、釣り場は一転してあちこちで釣れ ていた。妻にもヒットしたのだが、ラインが切れてしまったようだった。チャンスを逃した私も妻の仕掛けをセットしてから キャスティングを始めると、アタリはあったので釣れそうな気配を感じていた。
子、今日は行けるぞと気分良く魚の引きを楽しんでいたが、次の瞬間ルアーが自分の方に飛んできてしまった。
相変わらず密猟者は減らなかったが、朝方駐車場に無造作に置かれた車が付近の住民や水産加工場に迷惑をかけ て警察が出動しスピーカーでナンバーを呼んでいた。昨シーズン後半から帽子岩の秩序が乱れ始めており、今後こん なことが頻繁に起きるようであれば釣り場の存続も危ぶまれるのではとみんなで心配していた。
17時過ぎには師匠と司さん以外全員が納竿し長い駐車場までの道を歩くが、4本のサケをリュックに入れて歩くキッシ ーさんはさすがに辛そうでうれしい悲鳴を上げていた。 10月12日 前日同様の混雑した釣り場だったが、更に釣果は落ちているばかりか川で釣れているサケよりもブナが 多いという最悪の状態でもあった。
司さんの連れ合いで2年ぶりにこの日1本釣った方は、あまりの感激にその時の記憶が飛んでしまったそうで全く覚え ていないらしい。しかし、これがアキアジ釣りの本当の姿だとも思うのは私だけだろうか?釣れないから川で釣る、果た してそれで充実感が得られるのだろうか?簡単には釣れないからこそ釣れたときの感激は計り知れないものがあるの
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