9月の釣り Vol.2


  ■ 帽子岩

9月19日 いつも通りの19時前に出発、雨は降り続いていたが白滝では特急オホーツクとすれ違う事が妻の験(ゲ
ン)担ぎなので、これも無事見ることができた。佐呂間町の駐車帯でココアを入れて休憩し網走が近くなると雨も小降り
になってきていた。
帽子岩駐車場には師匠の車がすでに泊まっていたので、その横に入れるとすぐに師匠からの電話が鳴って明日の釣
り場の確認をした。雨は上がった様子だったので釣り場を探しに出発、門のところで「これから夜釣りですか?」と後ろ
から来た人に聞かれるが、ただ笑うしかなかった。しかし、今の人はなぜここにいるのだろうと不思議だった。
雨のせいで水溜りが多く明るくないライトに走りにくかったが、釣り場入り口近くに歩いている人を見つけた。こんな時間
に不審な奴だな(自分もそうなのだが・・・)と声を掛けてみると、なんとキッシーさんで、タモ網の確認に行くのだそうだ。
暗くて危険な夜の道に話し相手ができてホッとした気持ちだったが、波が騒いでいるといった海の様子は正直怖かっ
た。目的の場所の確保をキッシーさんに付き添ってもらい本当に助かった。一人だと途中で投げ出してしまいたくなるよ
うな海の怖さを感じながらの作業だったが、キッシーさんにとってはサンダル履きで裸足の私の足元の方が怖かったか
もしれない。
家族を見捨ててきたキッシーさんの泊まり込みという気合の入り方に、幾ばくかの不安はあったものの釣り場所が違う
からという安心もあった。駐車場は先週からみると余裕があり、いつもの帽子岩に戻った気がしていた。


9月20日 3時前から目が覚めていて目覚ましが鳴る前に起きてしまった。空は満天の星空で波もなくなっていたこと
が、反対に釣り場の選択がこれで良かったのかと不安要素になってしまっていた。
4時には入り口に着いたが、予想を超えて早くから沢山の人で混雑していた。寝ている間に駐車場も埋まってしまって
いたようだ。私たちの釣り場は波を懸念して随分と奥だったので道のりは遠かった。途中、キッシーさんに会い、同行
者はtanさん・レガオさんだと聞くが姿は見えなかった。少しだけお話をしてから先を急いだ。
目的地に着くとやはり隣が師匠であった。一緒にいた木さんは師匠がすごく釣る人なんだよというほどの名人らしく、その風貌は釣りキチ三平の魚紳さんみたいだった。師匠が入る場所はいつも他の場所より釣れるのは確かな経験と感が働いているからなのであろう、今日もそれを信じようと心に決め準備を始めた。空に雲がない分明るくなるのは早く、右となりの4人組のルアー単体の釣りが始まったので、私もキャスティングを始めた。すぐに右となりで釣れたのは意外にキュウリだった。そして私には目の前すぐの所で強いアタリがあり「来たゾ!」師匠の声が聞こえ、私も幸先がいいぞと巻いて見るとソイだった。それにしても魚体の割りに強い引きだったなあと思いながらリリースした。
今度は師匠にサケがヒット!大きく竿がしなっていたので間違いなかったがすぐにバレてしまった。
これが今日の変な出来事の序章だったことには誰も気付いていなかったが、師匠だけは「朝一番にバラシは幸先悪く
て良くないなあ」そう思っていたそうである。
隣のルアーにはすぐ前でヒットして、ややブナがかったサケが上がり近所での1本目となった。隣は恐ろしく浅いタモ網
で、柄の長さも2m程度と見ていて歯がゆくなるような不安があった。彼らには朝方数回のヒットがあったが、上がった
のは2本程度でほとんどバラシていた。針のせいだろうか?
       

そして私にもヒット!待望の1本目であったが、なかなか重いサケでこれはいいもんだゾと心の中でほくそえんだ瞬間切
れてしまった。師匠に続き私も・・・しかも、今回おろしたての新品ルアーを持っていかれてしまった。幸いウキだけは隣
のルアーの方がタモで回収してくれて手元に戻った。悲しい5時半の出来事だった。
早朝の時間帯は全体的に釣れておらず、今日はダメか?そんな空気が流れていたが、前回もこの後が良かっただけ
に期待はまだ充分に持っていた。
6時40分、師匠がやっと1本目を釣って木さんがタモ入れをしてGet!、流れが変わってきたような気になった。この日
は気温も低く冷たい風が吹いていて、久しぶりに寒さとの戦いにもなっていた。しかし妻は7時前に耐え切れず車に戻
ってしまった。
妻が留守の間に1本釣って驚かせてやろうと張り切っていた私に7時15分、近い場所で軽いアタリがあったのでウキを
見るとやや沈んでいたが感覚的にまだ早かったので待ち、もう少し重くなったところで確実なアワセを2回入れた。
1本目は確実にGetしたかったので、師匠を呼んでタモ入れをお願いした。さほど大きくないのかすぐにネットイン!師匠のタモを受け取ってお礼を言った。干潮で先端に島になって現れたテトラポットだったので、足場が悪く自分の釣り場に戻る際に滑らせてしまったのか、師匠の足は海中へザボンと入ってしまい片足が水浸しになって、私のせいで一日中片足がグチュグチュして嫌な思いをさせてしまい申し訳なく思った。
本日の1本目は74cm・3.3kgの小ぶりなオスだった。
この時手袋が濡れてしまったが、焦って予備の手袋を使わずに釣りを再会した。7時38分、師匠が2本目をヒットさせ
たがすぐに自分でタモ入れをしてGet!
8時5分、今度は半分ほど巻いたところでゴンゴンとサケからのうれしいお便りが届き、すぐに大きくウキが沈んでアワ
セを入れた。今度は少し大きめでドラグも鳴きを聞かせてくれて楽しむことができたが、素手で続けていたせいでかじ
かんだ左手が思うようにハンドルを掴めず必死の状態だった。
自分で入れようと思っていたが、気付いた師匠が来てくれて何度か走った後ネットに入った。77cm・4.7kgの太ったオスだった。この時に目の前は大きな群れが通過中で大変な状態だったそうで、すぐに師匠にもヒットしたので慌てて駆けつけようとしたがバレてしまった。
師匠のタモに入っていた私のサケを出したが針が網に巻き付いてなかなかかじかん 
だ震える手では外す事ができなくて困っていると、丁度良いところにレガオさんが現れた。お願いして外してもらいタモを師
匠がいる元の場所に戻す事ができた。
キッシーさんの隣ではさっぱり釣れなくて、自分だけ釣ったキッシーさんを見捨ててきたというレガオさんを隣に誘い、間
もなく車から戻ってきた妻も、自分がいない間に2本釣った私に追いつくべくそれぞれキャスティングを開始した。
レガオさんが来ると例によっておしゃべりをしながらの釣りになり、こんな時に釣れるんだよねと話しているそばから私にヒット!余裕だねこれはと、合わせてからサケを引き寄せているとバレた!何ということだ、本日2本目のバラシに信じられない思いだった。
8時36分、レガオさんとのおしゃべり中に今度は妻にヒット!早速タモではなくカメラを持って妻の前のテトラポットに立ってファイト中の妻の勇姿を1枚撮ってからサケを待っていると、左にいる師匠の方向に走って行ってしまう元気の良さに妻もドラグを締めながら対応していたようだった。タモを持って待つ私の所に寄ってくれることなく、師匠のタモに掬われてしまった。魚体は銀ピカで81cm・4.9kgのオスだった。妻には今年一番の大物であり、一番のファイターでもあっただろう。
9時5分、この日は釣りの神様がまんべんなくみんなに釣りを楽しませてくれているようで、レガオさんにもヒットした。
見えた魚体はこれまた銀ピカでファイトも充分あり、私がタモ入れ担当でネットイン!。前回の第四埠頭は銀ピカではな
かったので再度サケを持って記念撮影をしようと持ちかけると、レガオさんも二つ返事でサケを持ち上げてくれた。
師匠の奥さんは竿を持ってきていなかったので、とりあえず全員が釣り上げたのでグループの空気も良くなって全員が
まだまだ行けるぞと思っていた。
    

少しして後方でにぎやかな声が聞こえたので振り返ってみると、俳優の船越栄一郎さんがサングラスをかけて真冬のよ
うな姿の厚着でレガオさんとお話をしていた。こんなところに芸能人がどうして?そう思いながらこんなチャンスはないと
竿を置いて近づきながら「どうもこんにちは、今日はNHKの日本釣りの旅のロケですか?イヤー船越さんはテレビで見
るより若いですねー」などと愛想笑いをしながら話し掛けて行ったが、よくよく見るとレガオさんの釣れた様子を見に来
たキッシーさんだったと気付いた時には、一瞬気まずい空気が流れつつも「まあ、芸能人と間違えたのだからいいか
な!」開き直った私だった。
tanさんは今日も残念賞だったそうで仕事に戻ったそうだが、次回はぜひとも一緒に釣りをしていただいてHPのネタを提供して欲しいと考えている。そんなこんなで結局キッシーさんも私と妻の間に無理やり入ってもらい、ギャーギャー・ワイワイといった集中力に欠けた釣りが始まってしまった。
隣のルアー単体のグループにはアタリもなくなり「ウキルアーには食いつくなあ」そんな言葉が聞こえてきた。そのうちビュービューと変った音が聞こえてきたので見ると、フライまで始めていたが短めの固いロッドにラインもうまく出ていない様子であった。帽子岩でフライを見たのは1年ぶりだったが、午後には奥の方でブッ込み釣りをしている人も現れて、あの竿にカレイとサケが一緒に釣れたら面白いだろうなあなどと話していたが、それにしても鈴まで付けていたが必要あるのだろうか?何となく気になりしばらくそっちばかり見ていた。
マズメが過ぎると次第に暖かくなってきた気温にテンションも上がりっぱなしだったが、私たちの周囲にはサケもお祭りでもやっているのかと寄ってきたのかと思えるほどアタリは連発していた。しかし、なかなか深くは食ってくれない状態でもあった。さすがの師匠もヒットはするもののバラシてしまう異常な事態だったが、冷静な師匠が我々の騒がしさに惑わさ
れていたのかもしれない。
そんな状態を抜け出したのはレガオさんだった。10時17分、彼の新しいダイワの柔らかい竿がきれいな弧を描いてい
た。
早速横にいた私はタモ入れの位置に立ち写真を撮っていると「そんな事ばかりしていないで早くタモ入れしなさいよ!」という妻の声に真面目に魚を掬った。周囲からの「バレろ!バレろ!」コールに耐え切ったレガオさんの2本目は、まばゆいようなピカピカのメスで、触っただけでウロコが取れそうだった。
今シーズンかなりの数をバラしていたレガオさんだったので、バレろコールは厳しく辛い重圧だったらしく、釣れたときには本当にうれしそうだった。
自宅に戻って写真を見て気付いたのだが、いつの間にこんな決めのポーズをとっていたのだ?思いがけないナイスショットが撮れたが、こんな状況の中で見事に決めたレガオさんもたいした男である。
10時20分、次はキッシーさんにヒット!レガオさんのサケの写真撮影をしている時だったので慌ててキッシーさんの前に立って写真を撮った。元気にドラグを鳴らしまくるサケはやっぱりオスだろう。キッシーさんはオスを釣るのが大好きである。妻に「写真ばっかり撮っていないで早くタモ・タモ!」そう言われたがまだドラグを鳴らして遊んでいた。キッシーさんは「どうもすみませーん」と周囲に気を使いながらもそれほどドラグを締めている様子はなかった。
ようやく近くに寄ったサケをネットインすると、なかなかピカピカした当然のオスだった。さすがキッシーさん絶対メスは釣
らないので、これで9本目のあと1本で2桁である。
師匠の左となりで頑張っていた二人組みの方がやっとヒットしてタモに魚が入るのが確認できたが、なんとタモ網のネッ
トが外れてしまうというパプニングが起きてしまった。先日キッシーさんのタモが外れた時と同じ状態であったが、師匠
が救出にタモを持って行ったにもかかわらず、その方達は針がネットに掛かっていたためそのまま丘まで運ぼうとして
魚が暴れ逃げられてしまった。過去に私も同じ失敗をしたことがあるが、焦りと大丈夫だろうという気持ちからサケの暴
れを計算に入れていなかったのだ。見ていた私たちまで悔しい気持ちであった。他にも私たちの仲間でKという人が、
電話中に脇に挟んでおいた竿を海に落としてしまったという事件など話題は尽きなかった。
お昼前にキッシーさんとレガオさんが一旦魚を持って自宅に昼食を取りに帰ろうとしたときのことだった。スカリを海から
引き上げようとしたレガオさんのスカリが消えていたらしく大騒ぎ。自分の魚じゃあないしこれは面白いことになったと見
に行くと、テトラポットのゴミと一緒にすぐ近くにあって無事回収。しかしこの一件でレガオさんは死んだ魚をスカリごとリ
リースしようとしたという不名誉レッテルを貼られた男になってしまったのだ。
魚も一休みか、さっぱりアタリもなくなってきていたので私たちも昼食に入った。妻がラーメンが食べたいというので車までカップラーメンを作りに行っている間、私たちの右横に奥から入ってきたおじさんに見覚えがあったので話しかけてみると、以前常呂で高級な道具を使ってホタテ釣りをしていた方だった。この方のすべての道具や服装までブランド品で固められており、私はA−RBおじさんと呼んでいた。今シーズンも近辺で数釣っているらしかった。
師匠もポカポカ陽気に誘われ昼寝を始めたので、代わりに奥さんがキャスティングを始めた。そして12時半にはキッシーさんが帰ってきて談笑していた直後の12時34分だった。ひとりでキャスティングしていた師匠の奥さんにヒット!
「目の前すぐの所で当たったよ!」寝ていた師匠も騒ぎに気付いて起きたが、寝ぼけていたのか顔は反対側を見ていた。
前回は師匠が釣った魚を奥さんがタモ入れという写真を紹介したが
、今回はめでたく反対の写真を撮ることができた。その後師匠も奮起して始めるが、他に釣れている様子もなかったので「俺がやっても釣れんワ」そう言って奥さんと交代し、しばらくしてから帰ってきたレガオさんも入ってみんなで釣り談義を始めた。
妻は得意のテトラポットの上でお昼寝を始め、私たちは相変わらずの脳天気なおしゃべりをして釣りをする気は全くなかった。
14時半頃、周囲にも少しだけ釣れ始め昼寝を終えた妻が一人で黙々とキャスティングをしていると掛かったようだ!しかしバレてしまったようだった。悔しい1本だったようでがっかりしていたが、そろそろいいかも?そう、機は熟したので全員が重い腰を上げた。私の第1投だったがこれにヒット!しっかり合わせを入れもう大丈夫だと思っていたが聞こえてきたのは
「バレろコール」だった。
とどめの一言が先ほどバラした妻の「バレろっ!」で、本当にバレてしまったのだ・・・恐ろしヤー。本日5本目のバラシ
で、6本ヒットしたおいしいルアーを持っていかれてしまった。ウキは師匠の奥さんが回収してくれたが、1日で2個もル
アーをなくしてしまったのだ。確かにこの日は全体でも相当数のバラシを見てきたが5本もバラした奴はいないだろう。
自慢にはならないがやけくそで自慢したいくらいである。師匠も4本バラシていたが私にはかなわなかった。
結局、この後アタリはあるがヒットには至らず、A−RBおじさんが朝の雪辱を晴らし一人で遊んで楽しんでおり、レガオ
さんのタモ入れも断って充分楽しんでからこちらを見て「それじゃあ入れさせていただきます」などとおどけながら掬って
いた。
師匠も1本追加した後、場所を変えて始めたがなんと、師匠だけにすぐ1本、さらにもう1本と実力の違いをを我々に見
せつけてくれた。A−RBおじさんが最後に釣った3本目のでかいメスは「うちのヤツみたいだー」そう言って喜んでいた
が、オスばかりの私たちにはうらやましいだけだった。
18時近くなって薄暗くなってきたので帰り支度を始めていた時だった。レガオさんと私が最後のキャスティングをしてい
るとき跳ねやモジリが遠くにざわついて相当数の群れがいる様子だった。そこまでキャスティングしたレガオさんにアタ
リがあったがヒットには至らず餌だけがボロボロになっていた。残念だったがここで全員納竿。楽しい一日が夕暮れとと
もに終わって、遠い駐車場までの道程も苦にならなかった。
網走を出発したのは18時半過ぎだったので、常呂で夕食を食べて自宅にたどり着いたのは22時近くなってしまった。





  ■ 帽子岩

9月22日 この日は朝方全体で7本程度といううれしくない状況らしかったが、折角の休みに休んでいる事はないと19
時20分に出発した。師匠は夏休みで帽子岩に行っていたそうだが、あの師匠が1本だけという貧果ということでさすが
に期待はできそうになかった。今回はキッシーさんとレガオさんに「今夜行く」と連絡をしていたのだが、駐車場に着くと
すでに満杯になった駐車場の1角が不思議と空いていて見たことのある3人組が近くにいた。2人の他にリンさんも一
緒で私を待っていてくれたらしい。皆さんの友情に心の中で感謝しながら、にぎやかな会話のひと時を楽しんでいたが
妻にせかされ場所の確保に出発した。
20日と同じ場所を確保していると、北見から来たという方がどこが釣れるかと聞いてきたので、先日私の横も釣れてい
たとその場所を教えてあげた。いつもキッシーさんのホームページを見ているという方で、私のBBSネームも知ってい
たおかげで会話は弾んだ。そして暗い夜道は寂しかったのでその方に待っていてもらいお話をしながら帰ってきた。
私とリンさんの車の前で私の帰りを待っていてくれた皆さんとしばらく盛り上がっていたが、8℃位と思われる寒さに解
散してそれぞれの車に戻った。


9月23日 3時20分の目覚ましで起きたが、FFヒーターを点けていたにもかかわらず寒かった。外は今日も満天の星
空だったが、帽子岩の方角はすでに赤くなり始めていた。
途中、前回と同じ場所でキッシーさんに会い挨拶をしてから更に奥の自分の場所へ移動、この場所もすでに沢山の人で一杯であった。昨夜の方もすでに準備を済ませて明けるのを待っていた。
まだ暗いうちにレガオさんが来てくれてお話をするが、釣り人の多さは第四埠頭に入った大型船2艘の影響があったのだろうということだった。
5時前にはほとんどの方がキャスティングを始めたが、初めから川のほうにキャスティングをしている尋常でない人も一部見られ、その非常識さにやるせなさを感じつつも、左正面からの冷たい風に耐えながらの釣りとなった。
妻には前回のラッキーな場所を譲り、ルアーも私と同じ前回1
本目のヒットとなった同じものであった。
開始30分も経たないのに川に向かって始める人が半分以上という状態で、2001年の時期にはこんな事はなかった。
川で釣れるサケは明らかに黒いブナだったので海のものとは全く違うし、達成感がまるで違うが、親子釣れでの密漁は
良くない。中には味をしめてしまったのか子供だけの密漁グループも来ている始末・・・。
ウグイの餌取りが激しいので休憩中というキッシ-さんとレガオさんがやってきたので、私もこれ幸いと休憩して体を温
めていたが、しばらくしてからヒットした人が見えたので再び持ち場に戻った。
しかし、早朝全体数本しか上がっていなかった。右4人目で1本上がったので妻が見に行くと、銀ピカのマスだったらし
い。その近くの人が1本バラシていて見ていても残念だった。
諦めモードの7時ちょうどだった。妻が「来たよっ!」すぐ近くでヒットしたのか魚はもうそこにいた。自分の竿を置いてタモを持って妻の前のテトラポットに乗って待っていると銀ピカの魚体を見せてすぐにドラグを鳴らし沖に走っていった。
何度か走るサケに妻はドラグを締めていたが、やがておとなしくなってテトラポットが入組んだ隙間に入ってからネットインした。70cm・3.4kgの小ぶりなオスだったがまずまずの銀ピカである。先ほどマスを釣った方も見に来てくれて祝福してくれた。
7時半頃キッシーさんがタモを持って歩いているのが見えたので、オスを釣ったのだろうと決めてかかっていたがやはり
オスだったそうだ。再びキッシーさんとレガオさんがやってきてレガオさんのバラシの話を聞いた。朝一のヒットにほくそ
えんだレガオさんだったそうだが、ラインが空回りのようなハプニングが起きてしまい、初代バラシマスターの実力を如
何なくなく見せつけていたそうで、私もその場にいたかった楽しいお話だった。
駐車場に戻り用事を済ませて戻る途中の砂利道で、前から歩いてきたのは先日本場所が終わったばかりの貴乃花親
方と昔人気のグループCCBの〇〇ちゃん(名前を忘れた)が一緒に歩いてきたので、しまった!こんな事があるならサ
イン用にマジックペンでも持ってくれば良かったと思い、近づいてきた二人をよーく見ると、なんとキッシーさんとリンさん
だった。
どうやら先に二つ岩へ行ったレガオさんから電話があって、魚が跳ねているというので移動するらしかった。
銀ピカのオスを持ったキッシーさんは晴れやかな顔だったが、それにしても重装備となっている着ぐるみのような重ね
着は暑苦しそうであり、おかげでキッシーさんの竿まで持たされたリンさんにははた迷惑だったであろう。
更に先を行くと先日第四埠頭での2夫婦がサケを1本持って帰るところで、少しだけお話をしてから釣り場に戻った。
結局、この後はほとんど誰も釣れず風も弱くなり、気温は上がらないが陽射しが強い日光浴状態になってしまった。海
側には15人もいない状態で14時には納竿した。
海中に沈めておいたスカリが挟まってしまい引き上げるのに5分もかかってしまったが、なんとか上げて神戸の友人宅
に発送する事ができた。帰り道では6日に隣だった女満別のおじさんに再会したので写真を渡す事もできた。駐車場で
は良いタイミングで到着した師匠とお話をしてから出発し、自宅には19時頃到着した。

実は20日の5バラシ記録はあっさり塗り替えられていたようで、21日に帽子岩に入ったウルシさんは10ヒット6バラシ
だと言っていたが、やはり全体に食いが浅いというお話だった。





  ■ 帽子岩

9月26日 18時に出発する事ができたが、すぐに雨が降ってきた。佐呂間町付近で途中休憩をしていると松さんから
連絡があって、ポンモイで場所を取って待っているとのことでありがたいことではあったが、帽子岩リベンジを決めてい
た私だったので丁重にお断りした。帽子岩駐車場に着くと車の数は6台程度だった。降り続いていた雨も、ここ網走は
降っていなかった。前回と同じ釣り場所を確保してから車内でいつもより少しだけのんびりしてから床についた


9月27日 4時の目覚ましは遅めだったが、曇りの空に夜明けは遅いとの判断からであった。まだ暗いうちから釣り場
は混雑していたが、釣り人の半数以上は密猟目的だったのは明けてから知ることになった。
旭川から来たという方が隣で、明るくなりかけるまで親しくお話をしていて「今日は釣れそうな気がするのでお互い頑張
りましょう」とその方が言ってテトラポットに上がった。
妻が到着する少し前に、旭川の方が色付いたサケを1本釣って第1号になった。この日は全体的にまんべんなくポツポ
ツと釣れていた。しかしその方は朝の1本目からその後がなく、対照的に隣の方が立て続けに釣り上げていた。
7時を過ぎても次々とあちこちで竿が曲ってタモ網が動くのが確認できたが、私たちには魚が近づいてくれないようだっ
た。7時過ぎには私にかすかなアタリがありウキの沈みとともに重くなってアワセを入れるが乗らなかった。
7時40分、妻にヒットした!目の前すぐのところでのヒットだという魚は、私がタモを持って向かう前にテトラポットの所で暴れていた。見るとずいぶん小さく40cmくらいにしか見えなかったが計測してみると56cm・1.7kgのマスだった。サケを見慣れてしまっているのでウグイくらいにしか見えなかったのだ。釣れたのはメスだったし、マスなら欲しいという近所の方がいるのでキープした。この時期さすがにかわいそうな色をしていたが、差し上げた近所の方は美味しかったと喜んで
くれたので結果オーライである。
7時50分、またしても妻に呼ばれたので見るとヒットしていた。見えた魚体は銀ピカで元気も良くドラグが時々鳴っていた。そして難しいテトラポットの林を抜けて1回でタモに入ってくれた。71cmと小さかったが3.9kgのメスで極上の1本となった。
今回から魚の処理時には厚手のビニール手袋を使用しているが、手が濡れず大胆に安全に処理する事が可能になり重宝している。前々回のA-RBおじさんが同じようにしていたことを思い出して実践してみたのである。
ちょうど隣の方も上がったところで喜びを分ち合っていたが、悲しい私は心で泣き顔は満面の笑顔にしていたつもりだ
った。
私にはアタリもないのに2本目を釣った妻は余裕の表情で、このチャスを逃すまいと竿を振り続けた。
左20mほどのところで、何だか妙な竿を持ってヒット中の方がいたので見ていると、どうやら竿がリール近くの根元から
折れてしまっていた。隣で竿先を回収した方が竿先を持ち、リールは本人が巻くという二人がかりの珍しい光景だった
が、時間をかけて慎重にしていたので無事釣り上げられたようであった。  
この日は止まる事がほとんどないくらいに釣れていたので、朝食をとる暇がなくて釣れないながらもキャスティングを止められなかった。それにしても釣れない・・・なぜか私だけ。8時過ぎにようやっと私にもヒット!連日のバラシを克服する為のアワセをもう1回入れた時・・・・・ライン切れだった。ここ最近悩んでいたルアー結び目の部分で、今回はダブルで結んでいたのに・・・。
隣の方も2回取り込み前にライン切れをしていたので、お互い悩みながら仕掛けをセットし直していた。今回も前回ロストした同じルアーだったので相性がよくないのだろうか?そこまで考え込んでしまう出来事だった。
8時55分、また釣れたという妻が呼ぶ声に、もう驚かなかった。この日はそれが普通だった。
それくらい釣れて当たり前の場所でもあるのだから。今度は銀ピカの魚体がグングンラインを引っ張って走っているの
できっとオスだろうと思った。
今度も1回で網に入ったサケはこの時期としてはアベレージサイズであろうか74cm・3.6kgのオスである。
今回使ったのは、間違えて付けてしまったダイワのルアーだったが、妻には良さそうだった。妻ばっかり釣ってとか、周囲のほとんど全員が釣っているとか、そういった話ではなくどうすることも出来ない悔しさに苛立っていて、心が狭くなっていた私だったが、1シーズンに1回くらいはこんな日があるのかもしれないと思うことにした。
11時過ぎに駐車場へ戻る時にウルシさんに呼び止められ来ていたことを知った。
4本釣ったがバラシも多かったという。駐車場に戻って車の中でココアを飲みながらしばらく二人で釣りの話をしたのが
良かったのか、荒れていた私の心も落ち着きを取り 
戻した気がした。ウルシさんには感謝している。午後からは時々降っていた雨も上がったが、あまり釣れなくなってしま
いそんな中でも私は黙々とキャスティングだけは続けていた。
午後からはパトカーが現れ密漁を監視するようになっていた。最近特にひどい状態だった帽子岩も警察が乗りだしてき
たのか?長い監視体制に諦めたのか何十人もいた密猟者は減って数人だけとなった。密猟者は減ったが釣れる魚も
減ってしまい惰性だけで竿を降り続けていた。第四埠頭に入った松さんからも連絡があり、4人で11本釣れてそのうち
の8本は初心者の子供達だったといって喜んで帰ってきたそうだ。だが、第四のほとんどがブナだったそうである。
ねばってみたが17時にはやっと諦めて納竿した。
ここで重大発表!私「帽子岩」引退します。こんな辛い事はもうイヤだ!。。。。でもすぐ復帰する事もありえる??
ウソくさい重大発表なんかほっといて、妻に運送屋さんは18時迄だとせかされ、市内のヤマト運輸で本州の親戚に配
送手続きをしてから温泉に入って帽子岩駐車場に戻った。レガオさんの車のスペースを確保していると、美幌から来た
という方が近くに入ってしばらくお話をしていたが、寒くなってきたので車内で夕食を食べた。レガオさんが到着したの
で、お土産に頂いた日本酒とビールで作戦会議を開いた。
ここで重大発表! (影の声)「またかよっ!」 ということで「帽子岩」引退はしばらく延期することとなった。(影の声)
「そんな事どーでもいいから早く先に進めっちゅうの!」 (影の声)「お前は台本作家か!」・・・・・・・・失礼。
お互いにここ最近はバラシ癖がついてしまっていたので何とかしたい気持ちが強い仲間意識となっていた。ついでに今
期全くバラシがないキッシーさんの初バラシを祈念しておいたので、きっと近いうちに実現するであろう。
隣の自分の車に戻ったレガオさんだったが、その後も仕掛け作りをしていたのはさすがであり、執念に燃えていたよう
にも見えた。


9月28日 飲みすぎたのか夜中にトイレに起きたりしているうちに、3時には起きてしまった。準備を済ませ外に出ると
レガオさんも起きたようだった。昨日同様混雑した釣り場をすり抜け奥まった自分の場所に着いた。この日は更に少し
奥に場所を構えたが、昨日隣だった旭川の人が本日も私たちの隣だった。
5時少し前にキャスティングを開始するが、何故か川にも50人近い人たちが海とは反対方向にキャスティングしていた。昨日と違うのは全くといっていいほど釣れない事だった。2度寝して出遅れたという妻が到着して、確認したのは1本だけだったという。
7時を過ぎてもほとんど釣れていない状況に海でキャスティングしている人が20人程度となっていたが、右3人目で頑張っていた津別の最さんの奥さんにヒット!元気だったが少し色付いたオスサケが上がった。近くでやっと上がったので希望は何とか持てていた。
こんな中で釣れたら目立つだろうなあなどと相変わらず脳天気なことを考えていた7時半だった。ほとんど前アタリもなくスーッとウキが沈んでいって巻いていたリールも重くなってきたがジッと我慢して、もう一回グッと重くなったところアワセを2
回、それも力のない(連続バラシやライン切れで怖くなっている)ものだったかもしれない。しっかりと乗ったと思われた
サケは抵抗を見せ、一度は近くまで寄せたが右にいる最さんの奥さんの前まで引っ張って行き、最さんの奥さんが「い
いでしょう、ピカピカだわー」そういった瞬間に銀色の魚体をくねらせバレてしまった。美しい魚体は私にも見えていたの
で数少ない1本を逃してしまったかーという無念さから、左側で見ていたレガオさんにやけくそのVサインを出してバラシ
マスターUをアピールした。レガオさんも先ほどバラシていたようで、数少ないチャンスを逃した悔しさを味わっていた。
それでも希望は捨てずに竿を降り始めた私に7時43分アタリがあった。少し遠目の辺りで今回もわずかな重さが伝わってくるだけの微妙なものなので、魚が離さぬようにじっくり同じ状態で巻いていた。
そして大きくウキが沈むと同
時に重くなったのを見計らって、しゃくり上げるような柔らかいが強いアワセを2回入れた。
今度こそはバレるなよ!願いを込めて巻いていると何度かドラグを鳴らし元気に走ってくれた。数回のやり取りの末、妻が待つタモの中にすっと入ってくれて、バラシ地獄から抜け出す事が出来たのだった。少し色付いてはいたが76cm・4.6kgのたっぷりと筋子が入ったメスだった。
7時47分、予感は的中した。妻が呼んでいる声に気付くとヒットさせたようで、やけに走っていてドラグが鳴りっぱなしだった。しかも、私のルアーがタモ網に絡んでいたので隣の方のタモを借りて駆けつけた。この分だと時間が掛かると判断し妻のファイト
中の写真を撮る事にした。
強制ストロボ撮影が簡単にセットできないのがイクシーデジタル320の不便なところで、逆光気味になってしまったが、
2枚撮ってからタモに持ち替えた。ドラグを何回か締めるが巻いては走るの繰り返しだったので、近づいた口元を見る
と外側の胴体に近い部分に掛かっていたのだった。
やっとテトラポットまで寄せたのですばやくネットに入れた。78cm・4.3kgのサイズも状態も良いオスであった。 
それにしてもメスではあったがどうして妻には銀ピカ、たいして釣れない私には刺青(イレズミ)が入ったのが釣れるの
だろうか?
それでも私には長かったスランプから抜けだして、閉ざされ狭くなっていたこころの扉が開け放たれたような気分に、太陽が顔を出して微笑んでくれていたようだった。
この後、最さんにヒットするがタモ入れの前にバレてしまい何度も悔しがっていたのは、あの方らしくほほえましさすら感じる事ができた。 
とにかく、少ないながらもサケはいるのだと竿を振り続けていたが、レガオさんは藻琴方面へ行ってしまった。川では朝からパトカーが何度も警戒にやってきており、拡声器で犯罪だということを警告していたが、姿が見えなくなるとくるりと向きを変え川に投げているという「いたちごっこ」だった。その後制
服を着た警察のような4人組が釣り場まで現れ監視していた。
少ないながらも海側にキャスティングしていた人たちに、釣れることを忘れていた頃ヒットするといった状態だったので、
全体で10本程度釣れただろうか?
しかし妻は絶好調だった。9時07分に「来たみたい!」そう私に告げたが、少し前からアタリが続いていたそうで、そのやり取りを一人で楽しんでいたらしい。
今度も随分と走るサケでドラグが鳴いていたが、先ほどの半分の時間でサケは観念したのか寄ってきて、1回でタモに入ってくれた。
銀ピカとはいかなかったが70cm・3.3kgの小さ目なオスだった。今日の帽子岩での釣果の全体4分の1が自分達のサケか?そんな過信を抱いてしまうような結果に、昨日の屈辱が少しだけ晴れたような結果だった。
朝からの良い天気と暖かさが、昨日の雨と風に苦しめられた事が信じられなくなるようなそんな半日になった。この後
は2本程度しか上がらず、1時間ほど寝ていた妻に催促され11時頃納竿した。最さん夫婦は手を振って見送ってくれ
てその場を去ったのであるが、クーラーボックスは持ってこなかったのでリュックに入れ尻尾だけはみ出したサケを背
に3本は重たかった。途中ウルシさんに会ってお話をしてから、のんびりと長い駐車場までの道程を歩いた。


28日の午後から出撃したtanさんの情報では、全体2本程度しか釣れていなかったということでこの日の不漁がよく分
かった。しかし、翌日も出撃したtanさんが今期の初サケを立て続けに4本釣ったそうで、その喜びを一番理解できるの
は昨年不調だった妻以外にはないと思っている。

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