8月の釣り Vol.1


  ■ ウトロ(フンベ)

8月1日 結局8月になってしまったが期限の11日にはまだまだ日があるので焦ってはいない。28日にはキッシーさん
も取り込みの段階でバラしているので自分にもチャンスが残っている。
19時過ぎに出発したがあいにくの曇りから少しだけガスが出ていた。斜里町のセブンイレブンで朝食を購入し、オシン
コシンの滝駐車場でトイレに入る。駐車している車は5台しかなかった、ここはあまり釣れていないのかな?
フンベは11時過ぎに着いたが、ここも6台程度だった。ベッドはセットした状態で走っていたのですぐに寝る準備をし
た。


8月2日 やっぱり一睡も出来ずに2時過ぎに起きて釣り場へ向かい、あの手造りはしごを降りているとすぐ上に人の
姿があった。話しかけてみると、なんとFOSのdchiyanさんだった。河口の左側の昨日釣れたポイントを教えていただ
き、仕掛けの準備を済ませてから色々なお話をしながら夜明けを待った。     
そうしているうちに次々と釣り人が集まってきてルミコの赤や青い光が水面に漂い始めた。左となりに入っていた親子連れの小学生くらいの男の子のキャスティングがままならず、私達の方に飛んできては時々絡んだりして、とっても投げにくい状態ではあったが何とかウキを流していた。
マス網の方角で2本釣れたという話もあったがこの目では確認していない。入釣している人は30人近くいたかもしれないが、釣れない状態が長く続いていた。
5時頃だったか、隣の少年にヒットした!小ぶりではあったが近くで上がった最初の1本になった。回りの皆が良かったねーという顔をしていた。そして10分もしないうちに同じ少年がほぼ同じポイントでヒッ
トしてしまった。
そして俄然張り切って皆さんキャスティングを始めるが魚のモジリさえ見えない状態だった。6時近くなって、もう少し左
側にいた若者に体高のあるオスがヒットして朝マズメは終わった。dchiyanさんと「邪念のないきれいな心を持つ人に魚
が釣れるんだねー」と笑って話していた。
この後妻やdchiyanさんは納竿し自分一人になってしまったが全体でも半分以上は残っていた。
6時過ぎには小さな漁船がマス網を揚げにやってきて、あっという間に水揚げを済ませてその場を去った。どのくらいのマスが入っていたかは定かではないが、大量でない事は確かである。
7時前には片付けを始めた。車に戻り朝食をとった後、11時過ぎまで眠り、ウトロ市街に入った。ウトロ観光案内所にて知床国設野営場の場所を聞くと、解りやすい観光案内地図で詳しい説明をしてくれてその地図やパンフレットを頂いた。
昼食は前回美味しかった「知床さいはて市場」が良いと思い真っ直ぐにそこへ向かった。正午というのに観光バスは一台も入っていなかったのでどうしたことかと思ったが、数分後に
はバスで駐車場が埋め尽くされていた。
スペシャルラーメンと刺身どんぶり(正式名ではない)を注文した。ラーメンはタラバガニ・毛ガニ・ズワイガニ・イカ・ボタ
ン えび・ホタテなど盛り沢山の海産物で埋め尽くされ麺が見えないほどである。刺身どんぶりもウニ・ホタテ・サケのル
イベ・イカ・いくらなどがたっぷりのっていた。観光客のおばちゃん達が覗き見して、すごいね!私もこれにしようかな?
などと話していた。
カニをむいて食べるのでたっぷり時間がかかってしまった昼食だったが、お腹一杯になり外へ出ると太陽が顔を出し暖
かくなってきていた。
市街から坂道を上ったところにホテル街があり、海側にウトロ国設野営場があった。場内はキャンプをしている人の姿もあり、木々が多く環境の良さそうなキャンプ場だなと思っていたが、なんと隣には墓地があった。怖がりの妻には到底説得の余地などあろうはずもなくここでのキャンプは不可能だった。
すぐ近くにはウトロ温泉「夕陽台の湯」があり、木立に囲まれた少し奥に建っていた。場所の確認だけで周辺をぐるっと一回りしてから高台の温泉ホテル街を後にした。
中心街のミニスーパーで食材の買い出しをして、オシンコシンの滝駐車場に車を止めようとすると、トイレの横に観光客
が集まっていたのでなんだろうと思ったが、大きなオス鹿が人間の3mほどの近さで草を食んでいたのだった。人間を認識
していないのか全く逃げる様子もなくカメラのフラッシュを浴びていた。
妻が仮眠している間は仕掛けの点検をしていたが、釣りの格好をして釣り場を見ていた二人組を見かけたので話しか
けてみた。
二人はここに始めて来た様子で、今朝は幌別川で釣果はなかったそうだ。しばらくの間お話をしてからフンベに戻り釣りの準備をして釣り場を見渡せる場所まで行った。毎週キャンピングカーで来ている美幌の方と色々なお話をしてから河口に向かった。河口には日中もずっと竿を振っていたいつものおじさんが15時頃釣ったと言うマスを置いたままこまめにルアーを変えて竿を振っていた。「何にも用意してきてなかったのに釣れちゃってさー」と照れているが、この方、昨日も日中に1本釣っていた。それも同じ河口のポイントで上げているのだ。
夕マズメは6時まで竿を振るが誰も釣れなかった。しかし、のんびりとした周りの人たちとの談笑が印象に残る楽しい釣りの時間となった。
下見をしておいた「夕陽台の湯」へ行き500円の料金を支払
い入ってみると、浴場は自然村に比べると小さめであったが温度は高かった。露天風呂に一人で入っていると地元らし
きおじさんが「おー今日は熱いなー」そう言って湯に浸かった「入っているうちに慣れてきました」そう言うとおじさんは肩
まで浸かっていたが、すぐに「やっぱり熱いわー」そう言って立ち上がっていた。曇り空で夕陽は見えなかったが少しだ
けのんびりできた気がした。
夕食はコンビニの弁当を買ってきて、車内でお酒中心の食事となった。予定よりは遅くなったが21時過ぎに眠ることが
できた。


8月3日 目覚ましが2時半になるまで眠っていて、このまま眠ってしまおうか?と思いたくなるほど眠かったが一気に起
きた。歯を磨いてからすばやく準備をして外に出た。沢山の車が駐車場を埋め尽くさんばかりで、さすがに日曜日であ
った。
連日一番乗りの釣り場も先客が数人入っていたので、隣の人に挨拶をしたが答えはなかった。気を取り直し準備を済
ませ岩の上に座った。目が慣れてくると星だけの空の暗い中に人の影とライトの灯りやルミコが怪しげだった。
やがて明るくなりかけた正面の海にキャスティングをしてみるが、いまいちウキの位置を見逃し気味だった。妻も到着し
て始め、知床最後のマス釣りがスタートした。

    

左側のマス網の近くで夕方一緒にキャスティングしていた方がヒット!その周辺で数本釣れていた。河口の中心でも1
本体高のある大きなオスが釣れたのを最後に釣れなくなった。妻は車に戻り30人以上いた釣り人も半分以下になった
ので、もうやめようかと片付けてからマス網の近くにいた4人組の所に行き釣りの話を楽しんだ。
マス網には10本以上のウキ仕掛けが引っ掛かり浮いてお
り、そのウキはほとんどが市販の大手メーカー製とみられた。つまり、慣れていない釣り人がキャスティングミスかマス網の構造を知らずに引っ掛けてしまったのであろう。地元やベテランの釣り人はその種のウキは使わないようであるからだ。 
先程釣った方が魚の処理をしていたが、この方も「釣ーりんぐ包丁」を使っていた。他の方も持っていると話していたが、この包丁は皮のケースに入っているので安全に持ち歩けるし、サケでも下ろすことができる万能魚包丁である。
車に魚を入れて戻り第一投、「おっ!」ヒットしたふりだけだったが誰も反応なし、誰も騙せずに2投目をリーリングして「きたっ!」、「本当に来た!」デジカメを準備する間もなく上がってきたのは小さなメスだった。
この方は今シーズンすでに5回以上は来ていて、初ヒットの日に2本釣り上げることができた。しかも、まさかの2投目で
あるからラッキーだった。
マス網に行く手を阻まれたマスがどうしようか困っているところに飛んできたルアーに反応してしまったのか、ヒットして
から20秒もかからなかっただろうあっという間の出来事だった。
これを気に皆一斉に始めたが、親子連れの女性に一度バラシがあっただけで釣れなかった。7時半には納竿して車に
戻った。
オシンコシンのトイレに寄ってから道の駅小清水で顔を洗い休憩しているうちに雨が降ってきた。
網走港にも寄ってみるが、投げ釣りがほとんどで第4埠頭中央部付近で唯一見つけたマス釣りの若者に聞いた話では
1本も釣れていないらしい。この日の雨は全道的なものらしくその先もずうっと雨で、自宅に戻ったのは17時前だった。





  ■ 常呂漁港&第四埠頭

8月8日 出発が遅れて19時40分になってしまった。台風接近という最高のチャンスに燃えつつも、どこがベストポイ
ントか迷っていた。自宅を出てから降り続いていた雨だったが、高規格道路を降りた白滝の路面は乾いておりやはり一
山越えると別世界だった。乾いた路面を快適に走り、常呂町のコンビにで朝食等の買物を済ませ常呂漁港へ着いた。
明日の波は高いという天気予報を信じ白灯台側の駐車場へ停め、一杯やってから12時前に就寝。


8月9日 目覚ましは3時半に鳴ったが、起きてみるとやけに明るかったので外を見て驚いた。雲の際から朝日らしき
強い光がもれていて、それが予想外の明るさをもたらしていたのである。
慌てて準備をして釣り場へと向かうが釣り人は誰もいなかった。テトラポットの周りには無数の蚊が発生しており虫除けスプレーも効かない状態だった。
4時過ぎには漁船が次々に出港して行き、朝焼けと出漁風景は台風の接近など微塵も感じなかった。キャップライトの灯りがこちらを照らして近づいてきたので妻かと思ったが、引き返し15mほど離れた場所に入った。やがて妻も到着して本格的にキャスティングを始めたが魚の気配は感じられなく、蚊だけがうるさかった。この蚊は性質が悪く妻の手袋の上から3箇所も刺して妻を苦しめた。一旦蚊取り線香を取りに戻ったほどで、蚊取り線香を吊り下げるとその数は減った。
全体で5人ほどしかいなかったが、私の次に入釣した方がバラしたのをみていたので、その方が上で休んでいる時にキャ
スティングしてみた。なんと1投目で強いアタリがあり強烈な引
きが伝わってきた。合わせを一回入れて巻き始めると確かにマスだった。なかなかの手応えは久しぶりに使った柔らか
めのルアー竿のせいかと思ったが、巻いているうちに大き目のマスである事がはっきり分かった。
妻に「マスだ、ヒットした!」そう言うと「違う魚なんじゃないの」本気にしていなかったが、見ているうちに分かったのかタ
モを用意しだした。これこれ・・これなんだよなーそう思いながらマスの引きを楽しんでいたが、魚体がキラキラ見えたと
きクネッと曲がって外されてしまった。やはり大きかった・・・結局この一回で朝マズメは終わってしまった。
バラした方に聞いてみると「ああ、あれはウグイだったんだわ」そう言っていたのには笑ってしまったが、私がバラしたの
を聞くと早速キャスティングを始めていた。
    

妻は蚊に刺された手や他の部分が痒くて集中できず車に戻っていたので、7時前には私も朝食に車へ戻った。
食後、釣り場へ戻ると誰もいなくなっており私一人だけ・・・こんな状況から、昨年もお昼頃釣れたし網は今朝外されてい
た。午後からも釣り続けていたなら多分釣れたかもしれないが、9時頃ヘルメット被った作業員風の方がやってきて「こ
れから波が高くなって危険ですから早めに帰ってきてくださいね」そう言われた。   
あれほど良かった天気も山側から覆ってきた雲に暗くなり雨風が強くなってきたので11時前に納竿した。
昼食はコンビに弁当を高台の駐車場で食べながら今後の対策を練った。食後は網走へ向かい用を済ましてから第四
埠頭へ行ってみた。竿の数はびっくりするほど多かったが、左側の高ポイントに来るほど少なくなり絶好のポイントも空
いていた。
車を海に対して横に着け雨除けにサイドオーニングを出した。雨足は強かったので他の方には悪いが快適な釣り場が
出来上がった。隣の方に聞くとこちら側は朝から全く釣れていないそうで、オイルフェンス側は7本ほど釣れていたそう
だ。
17時前まで竿を振ったが釣れる気がしなくて途中で止め、早めの夕食を食べてから、簡保の宿で温泉に浸かった。
食料を買って第四埠頭に戻ると1台の車もなくなっていた。やはり台風の接近がこんな状況を生み出したのかと感心し
ながらオイルフェンスに一番近い場所に車を横付けした。明日も雨だろうからと読んで雨除けできる体勢をとっておい
た。
雨の量は多くはなかったが止むこともなかった。風はなくのんびりと野球など見ながら燗酒を楽しみ、21時前に就寝し
た。


8月10日 3時半の目覚ましで起きた時には風と雨がひどく釣りは諦め寝なおしたが、次に目が覚めた時に外を見る
とびっしりと並んだ釣り人が竿を振っていた。時間は6時前ですっかり寝過ごしてしまったようだ。しかも、すぐ近くに袋
に入ったマスが置いてあり、クーラーボックスもいくつか見えたのでこれは釣れていると慌てて準備した。
風雨に耐える釣り人の行列は 遥か向こうまで まだ風雨は強かったが背中からの風にルアーを投げるには何の問題もなかった。隣の方に聞くと明け方7本くらいパタパタ釣れたが、その後はよくないそうだ.。色々話をしてみるとこの方、なんと津別のジャッキーさんで、フンベでも会っていたが私が気付いていなかったようだった。
ジャッキーさんとは1年振りで、以前より若々しく見えた。今回こそは良い写真をと話していたが、釣り場が混雑してきてそれは叶わなかった。
そのうちふっとレガオさんが現れお話をする。昨日帽子岩で1本上げたらしいが、今日は波が高くて入れないそうだ。キッシーさんは左側にtanさんと来ているらしく朝方1本上げているそうだ。
その後レガオさんは右側の少し離れたところでキャスティングを始めた。
状況は良くなくたまに上がる程度だが、昨日マス網が上げられたようなのでこれから釣れるはずだった。
7時過ぎ、ルアーを引き上げる直前、特有のガン!というアタリがあったが掛からなかった。隣のおじさんは「惜しかっ
たねー追ってきていたのにね。」ルアーを見ずに話し込んでいた私は少しだけ後悔したが、まだまだこれからに期待し
ていた。

大君Get!
今度は左側に昨年よくここで会った大君が現れ「横に入っていいですか?」と言うので快く入ってもらった。知り合いのおじさんという白髪の方も一緒だったが、この方はなんとリールを忘れたというなかなかユニークなおじさんで、大君にマス釣りのテクニックを伝授されていた。久しぶりに彼とは釣る道具などの色々な話をして楽しんでいた。彼は若いがなかなかの腕前で、ほとんど毎日竿を振りアタリなら必ずあると豪語する。確かに彼は魚を掛けるのは上手だったが、目も良くて、近くを通るマスはほとんど見逃さなかった。そのうちフンベで会った4人組の二人もあのキャンピングカーで現れ、今朝のウトロは濁りが入り釣りにならなかったなどとしばらく話をした。後で聞いた妻の話ではオイルフェンスのところにはキムさんもいたとのことで、今日は顔見知りがあちこちにいる状態だった。
8時過ぎになっていたので車内で朝食をとっていた8時25分、大君にHit!まずまずのサイズのオスが上がったので車の中から写真を撮った。
後で聞いたのだが、レガオさんもこの頃1本Hitしたがタモ入れの時に針が網に引っ掛かりバラしてしまったそうだ。
再びやる気が起きて竿を降り始めるが、周囲ではポツポツ上がっている程度で自分にはあれからアタリさえなくなっていた。
そんな時、右となりのおじさんが1本上げた。このおじさんは誰に語りかけるともなく一人で喋っていて、自分の釣りを解
説していた。終いにはあの2連ウキまで出してきて、足元にセット「サケの時期はこれがよく釣れるんだよねー」なんて
独り言のように話していた。天気は晴れ・曇り・雨に風が強くなったり弱くなったりと、めまぐるしく変わっていたが釣りに
は何の支障もなく、向かい風がない分随分と楽だった。キッシーさんも1本釣った余裕の顔で現れたので、釣れていな
い私としては海に落としてやろうか(笑)とも思ったが、神様を信じて寛大な心で喜びを分かち合う事にした。
お昼近くなって散発的に釣れるマスは昼食をとる暇を与えてくれず、かすかな期待だけを漂わせていたので、だらだら
と座ったり立ったり竿を振り続けていた。
午後から再び大君とレガオさんが現れ、私の左右に並び竿を振っていた。
大君が掛けそうになったが乗らなかったので、二人ともルアーを深く沈め流す事にした。色々ルアーを試した末、少し重
めの14gオレンジにアワビという自作のルアーにエビ粉〆ソウダガツオを付けて始めると、わずか数回のリーリング
で、12時48分グン!とアタリがあり、すぐにマス特有の強い手応えが伝わってきたので竿を立て巻きながら合わせを
強めに入れた。
やや深めの水中から伝わってくる重量感と何ともいえない引きは、昨日に続き再度楽しませてくれた。
タモは大君が「ちょっと待っててねー」そう言って自分のリールを巻いて用意してくれていた。 
ヒットしたのは10m程の近場だったので、すぐに近くに寄ってはくれたが、足元に寄せてからも強く暴れるのでバレはしないかと冷や冷やしたが、上手な大君一発で入れてくれた。「タモ入れ名人と呼んで!」そう言ってニッコリ笑ってくれた。
いつものようにピックで脳天一突き、おとなしくさせるのと血抜きが同時にできる。本当は半殺し状態でえらを半分切り落として水中で血抜きするのが良いのだが面倒だった。
すぐに写真を撮り計測すると62cm・2.8kgのまずまずのオス
であった。今シーズンの初物Getでいつもと違っていたのは、興奮からくる震えがないことだった。おそらく、周囲が先に
釣れていたので自分が釣っても当たり前という感覚だったのかもしれないが、やはり最初の一本はジーンとするくらいう
れしかった。何度釣ってもシーズン最初の1本は、こんな大きな魚がちゃちなルアーで釣れるという事が信じられない、
だから夢中になってしまうのだ。
「さあー帰るかな!」そう皆に言って妻を見ると「まだやっていていいよ」、なんと寛大なお言葉、女神様に見えてしまっ
た。
魚をクーラーボックスに入れて一服してから再び始めることにする。次は餌を付けずに試してみることにして第一投!
先程よりも少し遠目の深いところで何かが触ったような感触。すぐにガクン!と重くなりクネクネしているような手応えに
数回リールを巻き、更に竿を立て合わせは強めに1回入れた。「来たよっ!」大君に声を掛けると「はいはい!ちょっと
遊んでてね」と言って準備をしてくれた。

今度のは少し軽めだったが元気が良くて海の上をバシャバシャ暴れるからたまらない。岸壁の近くでも暴れてくれたが
彼のネットはマスの動きを読んでいるかのように1発で入れた。「名人はさすがだね」と褒めてからタモを受け取りお礼
を言った。  
55cm・2.4kgとレギュラーサイズのオスだった。あまりにうれしかったので二人に自作ルアーを見せると「アワビ恐る
べし!自分にはアタリさえないのに」レガオさんがそう言った。大君は「アワビのシールは高いっしょ」なかなか現実的な
言葉でもある。
こうなるともう釣れないなんて気がしなくなり止められなくなってしまった。そうしているうちに大君にヒット!私がタモ入れ担当に変り、これまた一発でネットインした。調子付いている二人に怖いものはなかった、そんな感じでアタリは数回あるが、いずれも食わせることはできなかった。目の前まで追ってくるマスの姿が見え、次の瞬間体を反転してルアーに挑んでくる時にガン!という強いアタリを感じるのだがなかなか乗ってはくれなかった。大君も遠目から「食え!食え!」そう言いなが
らアタリを感じてからのストップ&ゴーで何とか食わせようとしていた。
今日はまったく竿を振らずに寝ていたりラジオを聴いていた妻に無理やり自分の竿を持たせ、自転車に乗ってトイレと
周辺の様子をのんびり見に行った。第五埠頭も30人以上の人がマス狙いで、セリが行われる船着場にまで人がい
た。第四はほぼびっしり埋まっていて、中央部付近に見たことのある青いジムニーを発見したので近づくと。やはりキッ
シーさんだった。同僚のtanさんが一緒で、しばらく振りに長話をして今日のキッシーさんの1本目の話、2本目はライン
切れでタモ入れ直前の悔しいバラシがあったと言う。自分の結果も知らせようと思っていたのだが、しっかり見ていたそ
うで知っていた。
釣り場に戻ると妻はいなくなっており、やはり今日は釣る気がないことを知る。
そのまましばらく続けていると、目の前7m位の近くでいきなりゴン!と食った。すぐに合わせを入れ巻いてみると簡単
に寄せる事ができ、頭を上げさせて見るとしっかりフッキングしていてまずまずのメスだった。
いやー3本目はメスかーと、悠長に大君がタモの準備をするまでその状態を保ち、時々暴れるのにも安心して待ってい
た。 
今回は1回では入らなかったので魚の頭を少し出しすぎていたせいでタモ入れ直前に針が外れてしまった。油断から来
る初歩的なミスに反省しつつ、この日はあまり悔しくなかった。妻はせっかくの筋子がもったいないと私よりも悔やんで
いた様子だった。
しばらくしてキッシーさんがやってきて話をしていたが、今夜は泊り込もうかと考えているようだった。私達の場所が気に
入ったらしく、帰るときに譲ってほしいという話だったが、それなら今ここでやった方がいいのではという私の提案にすぐ
乗って引っ越してきた。
5人でおしゃべりをしながらマス釣りを楽しめるのも、ここ第四埠頭ならではのもので帽子岩ならこうはいかない。そうし
ているうちにtanさんにヒット!今年初という感触を楽しんではいたが、タモ入れ直前に逃がしてしまった。それでも十分
満足しているtanさんがけなげで美しく見えたのは私だけか?
15時を過ぎたので帰らねばならなかった。後ろ髪を引かれつつも皆さんに別れを告げ網走を出発した。途中の常呂漁
港は雨の影響で増水した川の水が茶色に海を、釣り場を数日間は再生不可能状態に陥れていた。14日の同級生た
ちとの釣りを心配しつつ帰りを急いだ。お昼からは晴れていた網走地方だったが、しだいに曇りから暗くなり始め、白滝
では雨が混じってきた。自宅には18時15分予定通り到着した。

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