10月の釣り Vol.2


  ■ 帽子岩

10月17日 20分早く出発する事ができていたし、冬タイヤに交換していたのでゆとりのある運転ができた。丸瀬布付
近で師匠から連絡があり、端野付近だということを知って同じ目的で走っている喜びを感じた。今回もレガオさんが出
撃するので私たちの場所もお願いした。
帽子岩に着いてまず驚いたのは波が全くないことだった。目の前の砂浜に打ち付ける白波が全く見えなかった。
駐車場も驚くほど車が少なく先週の混雑がウソのようだった。最近は釣れたという話しもなく自分としても期待は薄かっ
たのだが、いつもののんびりした帽子岩での釣りができるのがうれしかった。すぐにレガオさんと3人で移動式の「スナ
ック釣りバカ2」で酒を呑んで盛り上がった。締めくくりの燗酒が定番になっていたが、楽しい酒に私としては呑みすぎて
いて、すでに気を失っていた妻の横の時計に気がつくと25時であった。


10月18日 4時に起きると、思っていたよりも酒は残っておらずてきぱき準備をしてから、深い眠りについていたレガ
オさんを起こし先に釣り場へ向かった。
釣り場に着く頃には半月が白く輝き空が薄明るくなり始めており、帽子岩の向こうに朝焼けが青と赤の美しいコントラストを見せていた。さすがにこの時期の早朝は寒くて、背中とお腹のカイロが役に立っていた。
準備が終わる頃レガオさんも到着しキャスティングを開始した。珍しく薄暗いうちに着いた妻も揃って3人の間が2m間隔ほどの近い状態で朝マズメを攻めていた。左側の少し離れたいつもの場所には師匠もすでにキャスティングを始めていて相変わらず不気味な存在となっていた。
この日の朝は信じられないほど釣れておらず、2本程度を確認できただけだったが、ビュッ!というアワセの音に横を見る
とレガオさんにヒットしたようだったが、「あー切れた!」すぐに
そう言って悔しそうにしていた。さすがキングだけあって朝から見せつけてくれた。ルアーが付いたウキが右へ流れて行
ったが隣の方が掬ってくれて回収することができた。
折角のヒットがバラシになってしまったレガオさんだったが、6時45分再びヒット!今回はしっかり乗っているようなのでカメラを向けてみると、今回もポーズを決めてくれた。ようやく私たちのところでも1本目が上がったが、この時
すでに師匠は3本も釣っていた。
師匠の方を見るたびに竿がしなっていたとか、いないなあと思ったらタモを持って陸に上がるところだったとか、その方向を見るのが怖くなるくらいだった。その後レガオさんももう1本追加して余裕の表情だった。
6時55分、今度は妻にヒット!半分ほど巻いたところでウキが沈み重くなったのでアワセを入れたそうだ。更に巻くたびにアワセを何回も入れるのはいつものやり方である。
写真を撮ろうかとも思ったが、すぐに寄ってきてしまったので今回は諦めた。
魚体は銀ピカで74cm・3.5kg、アベレージサイズのオスだった。2週間ぶりに釣り上げたサケを見てうれしそうな妻は
さっそく至福の一服をしていた。
二人に釣果があってうらやましさと口惜しさに一人蚊帳の外状態だった私に、さらに追い討ちをかけるようにレガオさん
何と!3本目を釣り上げてしまった。
     

食事中の妻と魚の処理をしているレガオさんが和気藹々と話している姿を背中で聞きながらキャスティングを続けてい
ると、8時15分すうっとウキが沈むが重さが伝わってこない。更に巻いてみるともう一度ウキが沈み少しだけ重さが伝
わってきた。そしてさらに重くなったところで、普段の自分ならまだ早かったのだがえいっ!と合わせてみた。
2度目のアワセは少し不安が残るようなものだったが手応え充分、やっと掛かったサケの引きを楽しむことができた。
タモに入ったサケは銀ピカメスで、68ccm・3.2kgだった。
これで全員が釣れて一安心という状態だったが、師匠は10時までに5本も釣っていた。それも、師匠のいる場所は周
囲の誰も釣れていないのに一人で釣りまくっているのだ。そんな状態に師匠の隣にいた人は帰ってしまっていた。
相変わらず密猟者が圧倒的に多い状態だったが、先週に比べるとウソのように釣り人は少なかった。師匠からキムさ
んも来ていると聞き探してみると、密猟者に混じってカレイ釣りをしているキムさんの姿があった。先週の爆釣のお話を
聞いたが、たった数日で120本も釣ったというのには、年齢を考えると元気だなあ!そう思った。
11時頃、結婚式があるから帰るという師匠のクーラーボックスの中をのぞくとメジカが1本入っていた。全体30本程度
の釣果の10本を私たちが釣ったというのはなかなかの快挙だと思っていたが、師匠は2桁釣る気だったと言っていた
のにはありえない話ではないだけに、ただ相槌を打つしかなかった。
そんな師匠も帰ってしまい、海側で釣っている人は数えるほどしかいなくなり滅多にサケも釣れてはいなかった。緊張
感はとっくになくなっており、レガオさんはエサ袋を3回も海に落としていたし、妻はいつものようにテトラポット上で寝て
しまい、そのうちレガオさんは一旦自宅に戻ってしまった。
雲がほとんどない青空の下での釣りではあったが、日中は強い風が背中から吹きつけていた。午後の部はレガオさんが戻った13時半頃からだったがほとんど釣れていなかったし、釣り人が少ないのでサケがいるのかもよくは分からなかった。それでもアタリは数回あり、食い渋っている感じはしていた。
14時05分、ウキが沈み軽い重さを感じたがすぐに離してしまうので、次に沈んだ時思い切ってアワセを入れてみた。
手応えは充分感じたので2回ほど合わせて乗せたようだっ
た。見えてきたのはこれまたピカピカのサケで、ネットに入った時メスだと分かった。じっと待ったかいがあってうれしい
2本目となった。67cm・2.8kgのやや小ぶりではあったが、複数本釣りたいという願いは叶えられた。
その後は数回のアタリが少しあっただけで、陽気のせいかまったりとした釣りを楽しむことができた。夕マズメに向けて
来る釣り人も少なく、16時過ぎには車に戻ってしまった妻を待つことなく納竿した。2人で運ぶ荷物を一人で背負い、レ
ガオさんに手伝ってもらいながら駐車場までの長い道を帰ってきた。
そのまま簡保の宿に向かい、温泉に入ってから夕食の買出しをして駐車場に戻るが、車の数は少なくのんびりすること
ができた。ウルシさんに電話をすると21時半には着くと話していたので、明日の朝は一緒にできると楽しみが増えてい
た。3時間ほどしか寝ていなかったが、翌日の仕掛けを結び直して安心したところで21時前に眠る事ができた。


10月19日 7時間も眠って充分な睡眠時間だったが、疲れは残っていた。5時前には釣り場に着いて準備中にレガオ
さんが現れた。この日は海側でもサケが時々跳ねていたので、期待は高まっていた。右奥で1本上がったので慌てて
キャスティングを始めたところに妻も到着した。
昨日よりは釣れている状態で、私も「朝マズメに1本釣りたいなあ!」そうみんなに言っていた。この日は朝から食いが
浅く、エサを銜えてもすぐに離されてしまう難しい状態だった。そんな時レガオさんにアタリがあってリールを早播きして
いるのが見えた。
すぐに寄ってきたがなんと!釣れたのはバナナの皮だった。「こんなものまで海に捨てるかぁー」そう言ってバナナの皮を外していた。レガオさんお見事!
5時55分、ダメで元々と軽いアタリでガツンとアワセを入れてみた。すこし弱かったかなと思うくらいの追加アワセを入れて巻いていたが、手応えは充分だった。妻が私の胸ポケットからデジカメを取り出し記念撮影!
 Hit中に自分が写されるのは初めてだったが意外と気分が良いもので、「テレマーク、テレマーク!」とレガオさんが言うもので試してみるが、足元まで写っておらず中途半端な写真になってしまった。撮影会が終わって気がつくとサケは足元まで来ていたのでバレないように慎重に待ってから妻の差し出したタモに入れた。
サケの入ったタモを持って陸に上がると市内からゴーンという6時を知らせる鐘の音が聞こえてきて時間を知った。
状態の良いオスで76cm・4.2kgだった。今朝は師匠とレガオさんが昨日使っていたのと同じタイプのルアーを使っての釣果であった。
川側には80人を超す密猟者が朝日を浴びて法を犯す姿が異様な光景で、海側にキャスティングしている釣師はその半分しかいなかった。
6時35分、半分くらいリーリングしたところで再びモゾモゾとサケのアタリがあって、ウキがピコピコ変な動きをした。少
し誘ってから引いてくると食ってくれたので、今度は強いアワセを一発!更に2回合わせてから巻いたが、確かな手応
えに隣でそれに気付いた妻が「えーまたー!」という声が聞こえた。見えてきた魚体もピカピカしていてオスだと分かっ
た。すぐにネットインして、ラケットの付け根の片方が外れていたので慎重に持って陸に上がった。74cm・3.5kgの平
均的なサイズだった。
ゆっくり処理を済ませてからのどを潤し、至福の一服を楽しんでからルアーを別のものに交換してキャスティングしたのは7時05分だった。
やや遠投気味の第1投目で着水してすぐにゴンゴン!そんなアタリがありすぐに食ってきた。ウソー!ぐっとウキが沈んだので大きくアワセを3回入れてみると乗っていた。また妻の「ウソでしょ!」そんな声が聞こえていたがこの瞬間はしっかり楽しまなくてはと思った。
足元まで寄せたので、タモを持って待っていたレガオさんがす
ぐに掬ってくれるかと思ったが、「あらら入らない・・・あーまた失敗」とワザと入れてくれない。それでもこんな時は絶対バレないもので、諦めてネットインしてしまった。これまたピカピカのオスで73cm・3.8kgだった。隣の札幌から来たと言う方も釣ったばかりで喜び合い、しばらくお話をした。
ウルシさんも現れたが、早朝に奥さんが1本バラシたきりアタリさえないとうらやましがっていた。
8時半には妻のルアーが着水してすぐにグッと重くなってウキが沈んだのでアワセを入れたが、サケがこちらに向かって泳
いできたのにリールのハンドルが服に絡まってしまったそうで、慌てて外してから巻いてみるとまだサケは掛かってい
た。しかし、追加アワセを入れていなかったせいなのか不明だが、私が写真を撮ろうとしてカメラを取り出した時にバレ
てしまった。残念な1本だったが妻は結構満足していたようだった。
目の前のテトラポットには小魚が群れていたり、時々はぐれたサケが何処へ行くとなくさまようように泳いでいたが、朝
からウキが海中に見えていたのが気になってレガオさんがタモ網で回収してみると、ルアー付きのセットでGetすること
ができた。
レガオさん昨日も今日もルアーにはついているかも?釣れなくなって「こんなときでも師匠が来たら釣るんだろうね」など
とうわさをしていると、9時ちょうどに奥さんとふらふらしながら現れてしまった。どうやら二日酔いで足元がおぼつかな
いらしくウルシさんも「あれじゃあ釣れんぞ!」そう言っていたのにしばらくすると釣ってしまった。レガオさんもあきれて
ため息をついて見ていたが、釣り場の師匠を知っている人たちは全員同じ気持ちだったろう。
この日も密猟者が急に散ったなあと思っていると、警察が2名スピーカーで警告しながら現れたようだった。これによって半分以上の密猟者が帰って釣り場は少しだけ良い雰囲気になった。しかし、密猟者の仕業であろう腹だけ裂かれたメスザケが漂って私たちの足元のテトラポットに流れ着いてしまった。ここ最近はこのような目に余る密漁も帽子岩で行われるようになってし
まい、先行不安を感ぜずにはおられない。
もう帰ろうかと話していたが、今帰ると密猟者にみられそうで嫌な気がしたので、しばらく時間を潰してから11時に納竿
した。駐車場で後始末をしていると、再びパトカーが来てスピーカーで警告していたが、密漁を止めないので警察官が
釣り場の方に歩いて行った。
お昼だったので近くの珍満でいつもの昼食をとってから網走を後にした。自宅には16時前に着くことができたが、6本
のサケを配って歩くのが大変でかえって神経をすり減らしてしまった。





  ■ 帽子岩

10月21日 3ヶ月前から取っていた釣り休暇が明日の帽子岩となっていた。単純に昨年の爆釣時期や仕事の絡みと
週の真ん中が疲れを取るには良いだろうと考えてのものだった。
18時45分出発、21時半に帽子岩駐車場でレガオさんと合流する約束である。出発から到着までは珍しく満天の星空
に恵まれ、明日の好天は約束されているかのようだった。着後すぐにサケ釣りの話で盛り上がり、明日の事も考えず呑
んでいて、気が付くと22日になっていた。この時間でも駐車場には5台程度と、平日のこの時期らしい閑散とした雰囲
気であった。


10月22日 4時起床、4時40分にはレガオさんと朝の挨拶を交わし先に釣り場へ向かった。この時点で駐車場はま
だ空きがあった。釣り場は平日でも密猟者が明るくなるのを川に向かって待っているのには驚いたが、土日の混雑が
信じられなくなるほど釣り人は少なかった。
間もなくレガオさんも到着しお話をしていると、海側でも時々サケの跳ねが見られ、薄明るくなってきたので先に私がキャスティングを始めた。小魚のアタリがあるが、エサを取られるような大きな魚ではないようだった。
レガオさんもキャスティングを始めた時、同じ場所で必ず食ってくる小魚だったが、大きくウキが沈んだのでアワセを入れると「あーバラシだー!」レガオさんが言ったが「付いてるよー」私が釣れたガヤを見せた。久しぶりに釣った外道であった。
今度はすぐ右隣のレガオさんがビュッ!という音をさせたので
見ると、「あーバレたー!」残念そうに言ってリールを巻いていた。アワセ切れであった。目の前をウキだけがプカプカ
浮いていた。
この日は目の前でサケが何回もジャンプを見せており、たくさんのサケがいる感じがしてアタリも頻繁にあるが、なかな
か食ってくれなかった。サケのジャンプも「そんなに飛ぶなー!」二人でそう言うほど何回も同じサケが続けて何十メート
ルもバシャ!パーン!バシャ!パーンと飛んでいた。
5時20分、近いところでアタリがあったが手応えがはっきりと伝わってこない状態だった。しかしウキが沈んでいた。少しだけ我慢してもう少し重くなったところで強いアワセを3回入れた。まだ薄暗かったが何処にサケがいるのかは見えていた。それほどの抵抗はなく寄ってきてくれたところで、レガオさんがタモ入れをしてくれた。68cm・3.2kgのメスで銀ピカ状態だった。
アタリだけはガンガンある状態だったので、釣ったサケをこのまま置きっぱなしにして釣りを再開しようかとも思ったが、
いつものように撮影と血抜きだけは済ませた。そこへ妻が到着し「なんでもう釣れているの?」困惑した顔を見せたがす
ぐにキャスティングを始めた。
3人並んで肩を摺り寄せるような近距離で投げているにもかかわらず、私とレガオさんにはアタリが数回あったが何故
か妻にはないらしく不満そうにしていた。
少しして、半分ほどリーリングしてきたところで軽いアタリがあってウキがすーっと沈み手応えも重くなってきたので、い
い感じでアワセを入れたが簡単に切れてしまった。久しぶりのアワセ切れであった。ふわふわと舞うラインがサケと仕
掛けにサヨナラを言っているようにも見えたラストシーンのようでもあったが、その後右側に浮かんだまま流れて親切な
釣り人を経由して私の手元に戻ってきた。
そして再び私に10mほどの近場でアタリがあって、背びれが見えてからくるっと回ってウキが沈み重さが伝わったのでアワセを入れた。第四埠頭以来のサケがヒットする瞬間を見てしまった。抵抗するサケの引きを感じながら、今日はやっぱりサケが多いなあ!などと楽しんでいるところに自分のルアーがこちらに向かって飛んでくるのが見えた。二人はうれしそうに「バラシだー、バラシ!」と叫び喜んでくれた。バラシた私もまんざらでもなかったが、やはり残念だった。
6時を過ぎると急に魚の姿が消えてしまいアタリもほとんどなくなった。さっきまでの雰囲気が一転し、私とレガオさんには食いの浅いアタリがあり、なんとかヒットに繋げようと数回アワセを入れたが乗ってはくれなかった。
7時近くなってレガオさんが仕事の為釣り場を去り、晴れていた空に雲が覆われてきてラジオの天気予報でも全道的な
雨を予想していた。
妻と同じ岸からの距離で二人のウキの間隔が10mほどの間をモジリが見えた。どちらかに食ってくるだろうとお互い緊
張してアタリを待っていると、私のウキが一瞬沈みアタリも感じられたが食わない。もう一度アタリだけあってその後は
なくなってしまった。少し遅れて妻にもアタリとウキの変化があったがそちらもダメだった。同時にヒットしたら1本のタモ
でどう上げようか、などと考えていたのだがそうはいかなかったようだ。
8時過ぎにのんびりやってきた津別の最さんはいつものように「平日なのに今日はどうした、何本釣った?」と私たちに
話しかけてから、奥でキャスティングを始めたがすぐに1本釣った。
9時過ぎには風が強くなり朝より寒く感じられ、10時過ぎには妻がリタイヤし、11時前には納竿した。私たちの帰りが
けに何と!最さんはもう1本追加していた。この日は朝から20本程度であったが、釣り人の数を考えると釣れていたと
言って良いのではなかろうか。
駐車場を出る頃には雨も降ってきて風も強くなっていた。昼食は久しぶりに常呂の「炉ばた」で食べ、15時半には自宅





  ■ 帽子岩

10月24日 とうとう雪が降ってきた。天気予報どおり朝9時半頃に強い風に混じって白いものがはらはらと・・・網走は
晴れだというのにこの差は何なのだろうか?
18時40分はいつもより早い出発で、雨風が強い中厳しい寒さはこれから忍耐力が必要なシーズンに入ることを物語
っているようでもあったが、遠軽を過ぎると星空が増えてきた。師匠は泊り込みはきついと言い、翌朝起きてから帽子
岩に向かうという余裕なのかよく分からないお話だった。
レガオさんは帽子岩駐車場の最先端に近い場所で待っていてくれた。私たちも隣に泊めて23時過ぎまで釣りの話を中
心に最後の燗酒を呑み干すまで楽しいひと時を過ごした。


10月25日 さすがにこの時期人も少なくなってきたが、相変わらず密猟者は暗いうちから川にキャスティングをしてい
て通路の邪魔になる場面に遭遇することが多かった。
最近毎回この釣り座ですることが多くなっていて、レガオさんもここで本当に良いのだろうか?不安を抱いている様子も見受けられたが、釣れると信じてテトラポットに立つことにする。
波3mの天気予報は全く当てにならないことを証明するかのような水鏡状態だったが、風が冷たく11月がすぐそこまで来ているのがよく分かった。前回のようなサケの跳ねはほとんど見られず期待感は薄れたが、前日は爆釣だったというレガオさんの知り合いの話に力も入った。
妻が「釣っているとこ写すかい?」と言っている間にすぐ近くまで来てしまっていた。足元まで寄せたサケを見ると超銀ピカだったがやけに小さく感じた。妻がタモ入れしてくれて無事ネットイン。まだ明るくなっていないので、デジカメのストロボが閃光
を放ち少し照れくさい気分になった。59cm・2.0kgの小さなメスだったが、これで今日もボウズはないと安心して次を
狙えた。
しかし、帽子岩のサケフィーバーはもう終わりなのかアタリも少なく、周囲でわずかに釣れていただけだった。朝日が後
方から間もなく昇り始めると思われた5時25分、少し遠目にキャスティングして着水し、間もなくサケらしいクイクイとい
うアタリがあってすぐにグイーンと引きを感じた。 
すかさずアワセを入れて巻いてみると乗ったようなので、しつこいくらいにアワセを3〜4回入れて巻いた。アタリとは反対に意外に軽く寄ってくるので本当にサケかな?と二人は思ったらしいが、私が感じていた手応えは結構なものだった。
釣り座に戻ると右5人ほど隣で、なんと!カモメが釣れたようだった。よく見るいつものベテランのおじさんで、その仕掛けにどのようにして掛かったのかは分からなかったが、確かに釣れて?いてリールを巻いているその先にはヒットしたカモメが飛んでいた。
その光景は妙なものでこの先も滅多に見られるものではないとこの目に焼き付けておいた。
ようやくおじさんはカモメを押さえつけて胴と羽の付け根に掛かった針を外していたが、なかなか簡単には外れないよう
であった。カモメは観念したのかおとなしく外してくれるのを待っているようだった。3分ほど時間を要しただろうか、飛び
立つカモメの姿を見た。
少ししてから今度も遠目でモゾモゾというアタリがあって軽くなったが、少し誘うと食ってきたのが大きなアタリでグーっと
ウキが沈んだ。2回合わせてから巻いたが確かな手応えに少し大きなサケかなと期待が大きくなったが、瞬時に軽くな
りバレたことが分かった。1回目のアワセが弱すぎたのだろうと反省したがすでに遅かった。
帽子岩の付け根に3人ほど入釣していたが、その近くでサケがバンバン跳ねているのが見えた。事実その人たちは釣
れているようだったので、レガオさんはそちらへ竿とタモだけ持って向かった。
チカさんから電話があり、釣れているようなら仕事を切り上げてこちらへ向かうとのことだったが、今ひとつ状況は良くな
かった。私も自転車で根元に様子を見に行くと、一人3本は釣れていた。40cm以上の大きなカジカも釣れていたのに
は驚いた。
しばらくしてからレガオさんがサケをぶら下げて帰ってきた。少し大きなオスザケでありニコニコして上機嫌だった。しかし朝マズメはこれで終了だった。この後は30分に1本釣れるかどうかという気の長ーい釣りになってしまった。
9時には師匠が現れのんびりと何故か空いていたいつもの場所に入り、背もたれに寄りかかってリーリングしていた。
アタリはほとんどなくなり、妻は寒さに耐えかねて駐車場に戻ってしまった。
しかし、こんな状況の中でもそこにいるサケは必ず釣るのが師匠の名人の証であった。ほとんど周囲では数本しか上がっていないのに2本あっという間に釣ってしまったのだ。
ここまで全体20本程度であった。
お昼になってレガオさんは一旦昼食に戻り、私も師匠と話をしたり、時々キャスティングをしたりのんびりしていた。
すると師匠にまたヒットしたようだったがバレてしまい、余程残念だったのかバレたことを私に教えてくれた。しかし、す
ぐに1本釣り上げたのには言葉も出なかった。何で釣れるのかな?そして、いつもこんな時に聞こえてくる不気味な口
笛の音色・・・そう、それは師匠が上機嫌な時のいつものサケを呼び寄せるものだった。
それから、前の海面に小魚が逃げ惑うような波紋と音が頻繁にあちこちに見られ異様な光景だったが、サケがそこに
いるような錯覚を覚えてしまうほど引きつけられて夢中になってキャスティングをしていると、着水してすぐにアタリがあ
ってウキが沈んだ。
まだ手応えは少しあったのでサケはそこにいるぞと思い、リーリングを慎重に続けていた。緊張は最後まで続き巻き上げてみると大きなキュウリが釣れていた。先ほどから肝を冷やしていたのはコイツだったのかとがっかりした。
レガオさんも戻り並んで始めるがアタリも遠のきダラダラフィッシングになってしまった。
サケ釣りに飽きたレガオさんが目の前のテトラに仕掛けを落とすとすぐにアブラコが食いついてくるが、エサが大きいのか針掛りしないので、私も入れてみるとあっという間に海中深く食い込んでいった。合わせると20cmほどの赤いアブラコが釣れた。これで今日は3種目めだと笑い合った。
キャスティングのミスでラインが切れてしまい、目の前数十メートルの所に自分のウキが浮いていたのでレガオさんも協力してくれて回収に成功した。
自宅で腹を裂いてみると、中から筋子が出てきてうれしさ半分、残り半分は「やっぱりそうだったか」そんな思いであった。 
そうだったのだが、このコンデックスキングは私から離れたくないらしく、必ず手元に戻ってくる不思議なルアーだった。
15時過ぎには風が冷たくなり、一日中射していた太陽も山際に近づいてきて終焉(しゅうえん)を告げているかのようにもみえた。 
師匠は場所を2回移動して最後の1本を狙っていたが、私とレガオさんは16時過ぎには片付け始め先に納竿した。車内で一日中眠っていた妻を起こし、レガオさんと別れ網走を後にした。
21時前に自宅に戻ってあらためてこの日のサケを見たが、時間が経っても銀ピカ状態で尾びれに放射線状に光る銀ピカの線が美しく、翌日食べてみたが味も良かった。
11月に入ると銀ピカメジカも期待できる網走だが、寒さに負けない防寒対策が必要であり、釣れる数も少なくなるので
一番必要なものは諦めない根性だ。それまでしてこの釣りをするのは密漁などでは決して得られない達成感と美味しく
て駆け引きの面白いサケや稀に釣れるマスがそこにいるからだろう。 

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