琉球村・東南植物園など



  ● 黒糖工場〜やちむんの里

11月23日 6時半に携帯電話の目覚しで起きた。外はまだ薄暗く、ベランダの床は濡れていたが、雨は降っていなかっ
たので一安心。コーヒーを入れて一服してから、シャワーを浴びた。
   
              部屋からの眺望                            朝食会場
7時20分過ぎに部屋を出て朝食会場に向い、和食もあったが妻の希望で地下1階にある洋食会場の「サンセットガー
デン」へ。地下1階といっても1階のようなもので、プール際の開放的なバイキングレストランである。
料理はどれも不服はないが味噌汁だけは合わないようで、この後のどのホテルでもおいしいといえる味噌汁には出会わなかった。
11月のこの時期にプールサイドに座って半袖で食べる朝食は、同じ日本列島とは思えない気候の違いだなあと感じながら、青空が見える好天になりそうな空や海を見ていた。
食後は部屋に直行して荷物を整え、8時15分には部屋を出て、キャッシャーで昨夜の売店の買物の清算を済ませてバスへと向かった。
出発予定8時半の10分前にはバスに乗ってしまったので待ち時間はあったが、この日の座席が左最前列だったので視界が広くて、なんとなくウキウキしていた。
この日最初の目的地は「黒糖工場」で、国道58号線を南下した残波岬方向にある。    11月とはとても思えない
NHK朝ドラマ「ちゅらさん」でお馴染みの「おばあ」が大きな看板になっていた黒糖工場入口には、何故か牛の張子が2
頭いて、酪農品の工場見学にきたような気がする・・・。
バスを降りると工場のガイドさんが私達を案内しながら、工場といっても家内工業のような機械でサトウキビを搾ってい
る様子や、様々な工程で黒砂糖が作られるガラス張りの工場の様子を説明してくれた。
沖縄に製糖法が伝わったのは1453年に中国の南京からもたらされたといわれ、糖汁を煮詰めて濃縮し、ある程度結晶化したものも含まれるものが液状糖という。
現在のような固形糖である黒糖は1623年に中国の福州からもたらされたらしい。
では、サトウキビからどれくらいの
黒糖が採れるかというと、1kgのサトウキビからは約140gほどらしいから、私が想像していた以上にたくさん採れるよう
だ。
5分ほどの説明が終ると自動的に私達は売店入口にいて、黒糖関連の商品のセールスを受けるのである。
黒糖は健康ブームもあって実家にも喜ばれると思い少しだけ購入してみたが、これは北海道でも購入できるかなあと
後から思う・・・。
バスに戻ると工場からのサービスという小袋入りの黒糖と、5cmほどの長さに切ったサトウキビの原木が配られたので、いつかテレビで観たように竹の皮のような硬い周囲を噛み破り中を噛んでみると、ジュワっと甘さを感じるが、そんなに甘いものではない。
次にバスが向かったのは「琉球村」だが、とにかく今回の旅行はおまかせなので一切下調べをしてきていないから、次なる琉球村がどんなところかも全く知らない。
広い大型バス専用の駐車場で降りた時には、日が射していて暑いくらいの気温となっていた。 

琉球村駐車場
建物に入る前に記念撮影があり、民族衣装を着たカメラマンや案内係の人が誘導してくれて、撮影はすぐに終った。
琉球村は沖縄の文化・芸能・自然を見て体感できるテーマパークで、「工芸品を作る」「おばあと語る」「沖縄の文化を学
ぶ」の3つのテーマに基づいて、昔ながらの沖縄の生活を楽しむことができる。

         
             ちゃんぷるー内                          村への入口
まず初めに沖縄の駅「ちゃんぷるー」という広いビニールハウスのような建物に入る。中には瓦屋根の古民家風建物
が数件建てられていて、土産物店・食堂・郵便局などがあり、ちゃんぷるー劇場という民芸ショーを無料で観る舞台も設
置されていた。
  
    ここから古民家がある            内部                   旧中曽根家
ちゃんぷるーを出て、琉球村の入口に集合してから村への入場券・パンフレットを手渡され、番所(発券所)から中へ入
った。中には10件以上の100年から200年以上前の古民家が移築され、公開されており、平坦な場所ではなくて山奥の
村のような坂道や木々に囲まれた中にセミの鳴き声も聞こえ、テーマパークの中とは思えないような静けさだった。
古民家はどれも大きなものはないが、旧中曽根家は築約200年、読谷村座喜味より移築されたもので一般的な古民
家。ここでは民家に上がってお茶を楽しむこともできる。
旧玉那覇家は築約120年、恩納村塩屋から移築された一般的な古民家。沖縄の代表的なお菓子「サーターアンダギ
ー」をおばあが作って販売しているので、民家に上がってくつろいで食べることもできる。
他にも織物体験ができる旧花城家、漆喰シーサーの絵付け教室がある旧西石垣家、三線(さんしん)教室がある旧島
袋家などがある。
    
     道ジュネーのはじまり               カジマヤー              お馴染みの踊り
ちょうど村内中央部にある中央広場に着いたときだった。男女二人が三線を弾きながら唄い始め、これが10時からの
「道ジュネー(沖縄風パレード)」という芸能ショーの始まりだった。
沖縄では古代の数々の神祭り行事が残され、今でも年中行事として行われているが、その年中行事を道ジュネーに凝
縮して取り入れ紹介するのである。

  
  ミルク(幸せの神)       愛嬌者チョンダラーと獅子            エイサーに参加する観光客
国王・王妃・三司官・旗頭を先頭にパレードはゆっくり進み、女性だけによる円陣舞踊のウスデークからはじまり、古武
道演武や獅子舞など躍動感ある動きから、華やかなジュリ馬の舞があり、最後は沖縄の念仏踊りのエイサーを観客を
巻き込んで狂舞とは大げさかもしれないが、楽しく踊るのである。
絵巻行列ともいわれるこのショーは、見所も多く楽しむことができた。
今回は時間もなかったので村内のすべてを楽しむことはできなかったが、他にもエイサー演舞やちゃんぷるー劇場の芸能ショー、ハブセンターなどがあるようだ。
次に登り窯のある陶芸工房(ヤチムン屋)という陶芸の体験ができるスペースと売店を抜けると水牛が現れて、円形の柵の中を回ってサトウキビ搾りをしていた。その先には搾り汁を煮詰める大きな釜から立ち上がる湯気が見えて、黒砂糖も販売されていた。
ここから先は土産物や食べ物屋通りに出る。
晴れ渡った天気に暑くてすっかりのどが渇いたのでここでお茶を飲んだ
が、ヤシの実ドリンクもあった。これは以前どこかで飲んだことがあるが、味はスポーツドリンクそのものだった。
最後に沖縄の駅内にある土産物店を見てからバスに戻った。
バスは予定通り11時に出発。恩納村から那覇市内へ入ると、米軍や自衛隊のフェンスが多く見られ、特に米軍基地の広さには驚くばかりで、小さな島の住民のための貴重な土地が平和目的と称する戦いのための基地に追いやられている。
もちろんガイドさんからの詳しい解説のせいもあるが、あまりにも自分たちは沖縄と米軍に関して知らなさすぎだと感じざるを得なかった。
テレビや新聞などで多少の知識は持っているが、ガイドさんとはいえ現地人の話には圧倒されるものがあった。
バスはスペースシャトルの緊急着陸にも使用されるという嘉手納基地の横 

熱く語るガイドさん
を通り、航空自衛隊白川駐屯地と米軍基地内にある宿舎の間を通りながら「東南植物園」に到着。
入場券を受け取ってからガイドさんに続き、熱帯植物が一杯の園内の池の上に架けられた橋を渡って、レストラン・ボタ
ニカに着いたのが11時40分だった。
  
             東南植物園入口
屋外にも開放的な屋根だけのバイキングレストランがあり、私達はクーラーの効いた屋内に案内されて、予め用意され
た席に着く。このレストランはメニューも豊富で私達の好みの味付けが多かったことと、隣の席の同じツアーのご夫婦と
話が弾んだせいか、ずいぶんとたくさん食べてしまった。
          
                トックリヤシ
食事を終えて外に出ると、日差しの強さから汗が出てしまうほど気温も上昇していて、しばらくは庇(ひさし)の下の喫煙
スペースで休んでいたほど・・。
広い園内をどのように見て歩こうかと検討した結果、園内をガイド付きのトラムカー(電気自動車)に乗って回るのが得
策と考える。

トラムカー
ショッピングパラダイスという土産品店の前にトラムカーが停まっていたので、ガイドさん風の女性に聞いてみると、10分後に出発とのことだったので、ショッピングパラダイスに入り修学旅行生に混じって土産品を見ているうちに時間が迫ってきた。
トラムカーの料金は一人300円で、まだ誰も乗っていなかったので一番見やすいというおすすめの席に座って待っていると、2両編成の2両目に5人ほどのグループの人たちが乗車して出発となった。
乗り心地は良くないが、先ほどの女性ガイドさんの運転とガイドで園内にある植物の詳しい解説がされて、何よりも暑い日差しを遮ってくれる屋根が有難く快適だった。
園内は広さ5万坪、約2千種類もの植物が育てられているそうで、日本では南にしかいないというオオシマゼミがキンキンと鳴いているな 
か、勾配のある坂を上り始めた。
園内いたるところに植えられていた樹齢50年にもなるトックリヤシ(ボトルパーム)、種から育てて38歳になったというオ
ーストラリア原産のユスラヤシ(キングパーム)・シマナンヨウスギ・ガジュマル・パパイヤ・バナナ、花はハイビスカス・ブ
ーゲンビリア・フウリンブッソウゲ(提灯花)・トックリキワタ・コートダジュール・オオゴチョウ・サンザンカ・デイゴなど、
数え切れないくらいの植物を見て、園内の奥まったところにある小さな池のほとりにある売店前で休憩タイムとなった。
飲物を買って飲んでいると、妻に呼ばれたのでそちらへ行ってみる・・・・・そこにはたくさんのコイが口を開けてエサを待っていた。なんでも、エサやりの手真似をするだけでコイたちはエサが撒かれていると勘違いして水上に丸い口を出し、中にはあまりの数の多さから胴上げ状態になって水面に浮き上がっているコイまで出る始末。
5分ほど休憩をして、再び動き出すと植物の解説が始まり、馴染み深いものから初めて目にするものまでたくさんの植物を見て、出発した場所に戻り下車した。 

ちょっと不気味
集合時間には早かったので、次は駐車場を挟んで反対側にある「風楽風遊(ふらふゆう)の森」に行くことにする。
この暑さの中では大変だろうと思っていたが、中は木が密集していたので木陰になっていて涼しく、「美ら花温室」では
爬虫類や昆虫、オウムなどが飼育されていた。ここで見た生きた巨大カブトムシはなかなかの迫力で、種類も多かっ
た。
      
           森の中               攻撃的なオウム          万華鏡とオルゴールの店
温室を出たところにあった万華鏡とオルゴール店では、珍しいカレイド・スコープ(万華鏡のこと)を色々試して楽しん
だ。
出口付近には売店や食堂もあり、一服してから大きなツリーハウスに上って見てその高さからの見晴らしを楽しみ、駐
車場にある土産品店で涼んでからバスに戻った。
    
                         ツリーハウスからの眺め              結構大きい
バスは再び来た道を戻って残波岬方面へ走り、細い小道を進んで「やちむん(焼物)の里」へ着いた。
琉球のやちむんは、バラエティ豊かでおおらかさや温かさを感じさせるものが多いそうである。これは沖縄の風土や独
特の文化が根底にあるからで、生活に密着した道具として育まれてきたと考えられる。

       
             やちむんの里                          数百の器が並ぶ
時代の流れとともに、近年は都会化が進み登り窯を炊くことが困難になった為、那覇市の壷屋からここ読谷村のやち
むんの里に窯元が移ってきたそうだ。
私は焼物には興味がなかったので、炎天下の中(少し大げさ?)で窯元を見るのは疲れるなあと思っていたのだが、実
際にその現場を目にすると、一つ一つ手作りで作られた窯入れ前の陶器が整然と並んでいる姿を見ると興味が湧いて
くるものである。

  
                                 登り窯                   売店
というわけで真剣に見て歩いていると、大きな登り窯があった。長さは50mほどもあろうか、共同窯と呼ばれる何人か
の陶芸家が協力し合って使っているもので、近くには売店もある。
売店を覗いてみると、温かみと厚みのある焼物が多く、沖縄らしい雰囲気があった。
この日の気温は27℃、北海道では考えられない暑さだが、木陰に入ると北海道の夏のように涼しくて気持ちよかった。

この日はここを最後にホテルに向かい、14時半過ぎには残波(ざんぱ)岬近くにある「残波岬ロイヤルホテル」に到着。
ロビーは広々としていて吹き抜けの曲線的な明るい造りで、時間が早かったせいもあり静かだった。
前泊の二日間と同じようにホテルの係員から説明を聞き、鍵などを受け取ってからエレベーター横で妻に待っていても
らい、近くにある売店でビールなどの飲物を買ってきてからエレバーターに乗った。
エレベーターを降りてから随分歩くなあと思っていると、一番奥の角部屋だった。

         
              ロビー2階から                          部屋も広かった
このホテルの部屋も広くてゆったりしていて、ラナイに出て驚いた・・・角部屋のためにラナイが2倍広く、同じ並びのほ
かの部屋からは見えない景色まで見えるつくりになっていた。
左側には夕陽、正面には残波岬灯台、右には風力発電機とその向こうに海が見えていた。
館内の案内図を見ていた妻がコインランドリーをみつけてしまったので洗濯をすると言い出し、ついでに館内探索をは
じめることに・・・。
部屋から近いところにあった別のエレバーターで1階に下りると、大浴場の横にコインランドリーがある。昨年までの旅行では同じホテルに滞在するので、洗濯が好きな妻は日課のようにこまめにしていたが、今回は毎日ホテルが変わるので洗剤の準備はしていない・・・。
しかし、洗剤の自動販売機も設置されていたので問題はないようだが、水しか出ないと少々不満げだった。
30分の洗濯時間の間に広いゲームコーナーではメタルサービス券でもらったコインゲームをしたり、ロビーや売店などを見て回ってから、お土産品などを入れるバックと屋根にシーサーが乗った焼物などを購入し、洗濯物を乾燥機にセットして部屋に戻る。
30分経って洗濯物を見に行くが、あまり乾いていなかったので再度セットして時間潰しをしているうちに乾燥だけで1時
間半もかかってしまうことになる・・・。
それでも汚れ物がなくなってすっきりしたと満足げの妻と、プール際からホテルの敷地内を歩いてみると、ビーチまでは
随分遠いようだったので途中で引き返し、この日の日没時間が17時39分と聞いていたので、17時には部屋に戻った。
夕陽を見ながらビールでもと冷蔵庫を開けてみたところ、ぬるい・・・。庫内の電気は点いているし、外にあった冷蔵庫ス
イッチはオンになっている・・・調べてみると、なんと!この冷蔵庫には庫内に小さなスイッチが付いていて、そのスイッチ
が入っていなかったのである。
        

ラナイに出てみると水平線に厚い雲があったので、日没は水平線上では見られないと判断して早い時間から見ていた
ところ、エンジン付きのパラグライダーが2機海上を飛んでいて、海に突き出した場所にも夕陽目当ての観光客らしき
人たちが集まっていた。
雲のせいで日没時間は早くなったが、3泊目にしてようやく夕景を堪能することができた。
夕食は中華・洋食・バーベキューからの選択となっていたので、1階のロイヤルパームのバーベキューを食べてみるこ
とにした。
明るい店内の窓際中央部に案内され、料理の説明を聞いてから生ビールを注文して待っていると、スープと前菜が運
ばれてきたが、ワカサギのフリッターのような小魚とキムチだった。
これは期待はずれかなと牛肉を待っていたところ、テンダーロインとサーロインが一皿に盛られて美味しそう!味も量
も満足だった。
       

魚も出されてきたが、アルミの銀皿のような入れ物にバターを溶かして焼いて食べる・・残念ながら少し物足りないお
味・・。
レストランを出てから館内の2階を探索して部屋に戻り、大浴場に行くことにした。
ホテルの大きさからしても混雑しているのではと思っていたが、大きくはない大浴場には先客が5人程度しかおらず、
のんびり入浴を楽しむことができた。
湯上りにと楽しみにしていた大浴場前の生ビールの自動販売機にお金を入れたのだが・・・何度試みてもお金が戻って
きてしまう。大浴場の受付のおばあに聞いてみたがなんだか要領を得ず、部屋まで我慢することにして妻を待つ。
帰り際に2階のコンビ二に寄って泡盛などを買って部屋に戻ったのが20時過ぎで、この日はホテル到着が早かったの
で随分とゆっくりでき、23時前には寝ていた。

四日目 へ 

戻る
戻る