4月の釣り



   ■ 紋別港

ワカサギ釣りを2週間前に終えて僅かであるにもかかわらず、釣りがしたくて仕方がない自分に気付いていたが、オホ
ーツクの海は明けてまだ日も経っていなかった。昨年のデータからすると、そろそろ紋別のチカが釣れ始めているかも
しれないこともあり、偵察を兼ねたドライブを楽しむことにした。


4月2日 天気は雪だが紋別方面は晴れている可能性が高かったので出発することにした。浮島トンネルを抜けると晴
れていたのは予想通りだが、路面にも雪があり少し緊張した。紋別市内の雪は少なく、港の雪はほとんどなくなってい
たが、ここ紋別港もテロ対策フェンスが出来ていると聞いていたので、そちらのほうが気になっていた。
港で、のんびり昼ごはんでも食べようと思い、コンビニで弁当などを買ってから、例年釣れ始めるポイントへ向かった。
トイレがある側の端から入ろうと思っていたが、フェンスが遮っていて入れない。しかし、ガリンコステーションへ続く新しい近道が開通していたことはうれしい発見であった。
紋別のフェンスは網走に比べると5分の1程度の広さであるが、網走と同様に一番良いポイントがフェンスで囲まれているようだった。フェンスの入口は大きく開いていて、中では一台の重機が構内の除雪をしているだけで、釣り人の車は一台もなかった。それなら自分がこの手で確かめてみようと竿を出し始めると、次々と釣り人がやってきて私の周りに集まった。地元のチカ釣りを待ちきれない人たちである。

ウニ釣りの人
全く反応のない2本の置竿をよそに「流氷がなくなってから毎日来てるけど、まだ釣れんようだね」とは地元で年中近場
中心に釣りばかりしているという人。「去年の今頃は、もうとっくに釣れはじめていたんだけど、まだ早いんかな?」この
人も地元らしく毎日来ているそうである。「ほら、あそこでウニ釣っている人がいる・・・」というのでその方を見ると、確か
に足下に何かを沈めて小刻みにロープをゆすっている。最初の人が「今は港でホタテ釣りやっている人のほうが多い
よ」、もう一人の人が「油くさいホタテ釣ってもしょうがないしな・・・」そんな話をしていた。

フェンスの入口付近
ずうっと私と話していた人がウニ釣りの人のほうへ近づいていったので、私も興味があったので後に続いた。見たことも
ないような面白い方法で小さなウニが釣れるのは面白そうだが、これは密漁になると思うので記載しないが、この時期
まだ早すぎるようでムラサキウニもバフンウニも5cm以下であり、その人はすぐにやめてしまった。
30分ほど地元の人たちと釣りの話をしていたが、置き竿には何の変化もないのでみんな帰ってしまった。私も見込みがないことを知り、車に入って昼食をとった。
その後も外には出ずに竿の動きを見るも変化なし・・・妻は全く外に出る気もないようで、昼寝をきめこんでいた。そのうち私も青空の広まった太陽の下ですっかり暖められた車内でウトウトしてしまう。
とうとう一度も竿には反応しなかったようで(ほとんど置きっぱなし状態・・)納竿した。それでも満足していたのは、地元
の人たちとの釣り談義や、結果釣れなかったものの、釣りをした気分の良さだったのだろう。私が港にいる間中、時々
様子を見に来ていた車は30台以上あったし、投げ釣りをしていた人やブラーだと思われるライトタックルの人たちが構
内に数人いたが、釣果は不明。


左奥にある小型漁船停泊所のほうが昨年は釣り人が多かった 
漁船が係留してある場所ではホタテ釣りの人が5人ほどいて、釣果はわからないが熱心に長めのロッドを振っていた。
来週はおそらくチカも釣れると思われるが、釣果はそのときにならなければわからないことも釣りの面白さであろう。





   ■ サロマ湖(栄浦/富武士港)

先週も紋別に行きたかったのだが、まだ釣れていないとの情報に出かけられずガッカリしていた。天気も悪かったので
あきらめはついていたが、休日に出かけないのは損をした気分になるのは私だけだろうか。


4月15日 いつものように夕食と入浴後に出発したが、町内全体が霧に覆われたようにガスがかかっており、それは高
規格道路の終了する滝上まで続いていた。
この時期になると鹿は道路を横切ったり、雪解けの早い路側帯の新芽を食(は)むために危険にさらされる。この日も
その犠牲となってしまった鹿を2頭見かけた。高規格道路の中は鹿が入れないように厳重にネットなどが張り巡らされ
ているが、何処から入ってしまったのか路側帯に開発局の車が停車しており、その後方車道中央部には車とぶつかっ
たであろう鹿の死骸が職員の手によって引きづられ、道路外へ運ばれようとしていた。
国道でも対向斜線にキツネの姿が見えたので急ブレーキをかけると、そこには鹿の死骸があった。そしてその反対側
の畑では、何事もなかったかのように草を食む鹿の群れが見えた。
道路には全く雪はなくてスリップなどの危険はないものの、鹿というもっと注意すべき危険な動物がそこらじゅうにいることを知らないのか暴走する車も時々いるが、私はマイペースでゆっくりと佐呂間町に入り、食料の調達を済ませて道の駅へ向かった。
地図をよく見ていなかったせいで、佐呂間町から道の駅までの道を間違えてしまい、若干のロスタイムはあったが10時前には到着した。
何度か利用している「道の駅サロマ湖」は、湖の淵を走るほぼ中央部にあり実にきれいな施設なのだが、唯一の問題点として私が勝手に思うのは、テレビの電波を全く受信できない
ことと、ラジオも車のラジオのような感度の良いものしかきれいには受信してくれないことで、車中泊をする人には寂し
いかもしれない。仕方がないので、昨年の釣りのDVDビデオを観ながら、誰もいない道の駅泊を楽しんだ。


4月16日 4時過ぎに目が覚めてしまったが、外は早くも薄っすらと明るくなり始めていた。目覚ましの4時半まで眠ろうと
したが眠れないので、起きることにする。駐車場には他に1台の大型トラックが停まっていて、車内で休憩しているのか
動きはなかった。外は風が少しあったが寒い感じはせず、春の爽快ささえ感じることができた。
5時過ぎに出発。すでに太陽は昇っており、もやのせいか月のようにも見える太陽を正面に見ながら、サロマ湖畔を走った。湖面に氷はないが所々雪の山が残っていて、まだ春先なのだと感じる。
幌岩付近ではパトカーの赤灯が見えたので何かと思ったが、坂のカーブのガードレールに衝突した車の事故処理をしていたようであった。この時の気温は0度だったので、濡れていた路面は事故当時凍り付いていたのかも知れず、スリップによるものと思われた。
栄浦が近くなると湖面に白鳥の群れが見えてきた。その数は100羽以上いたので、じっくり見てみたい気もしたが、釣り場に向かっていたので通り過ぎた。
栄浦港に着くと釣り場には3台の車があり、港の先端部に数
人の釣り人が入釣していて、昨年楽しんだ場所はガラリと空いていた。
旭川から前日来たという人が海を見ていたが、釣りをする気配はないようなので気にせず始めることにした。そのうち
にその人は港内で釣りをすると言っていなくなってしまった。後から地元の人に聞いたのだが、この人は昨日は釣りを
せずに一日釣り場を眺めていたという。もちろん釣り道具は持ってきており、釣りをする気はあるらしかったが・・・不思
議な人であった。


栄浦漁港内
それではと準備を始めたが、なんと!持ってきたカレイの仕掛けで使えるものが1組しかないではないか!チカ釣りを
メインに考えてばかりいたので、カレイ釣りの仕掛けは昨年のままだったのである。仕方がないので納得のいかない仕
掛けも投入したが、この仕掛けは最後まで使い物にならなかったことは言うまでもない・・・。
そのうち私の周りにも釣り人がやってきて賑わってきたが、隣に入った人がすでに1週間以上毎日のように来ているという地元でもベテランの釣師であった。自作のご自慢の仕掛けを使って、他の人の2倍以上を釣り上げるというこの人は、仕掛けが1つしかないという私にオモリまでセットになった仕掛けをプレゼントしてくれて、色々と最後までお世話になってしまうことになった。
この日はクロガレイが釣れ始めたのが8時過ぎで、張り切って頑張った早起きは何の意味もない努力になってしまったばかりでなく、周囲で一番最後にカレイを釣ったのも私という何ともお粗末な結果で、周囲のみなさんに拍手までされてしまう

等間隔にびっしり竿が並ぶ
始末だった。更に次に釣れた魚は大きかったが、他の誰も釣っていないカワガレイであった。

ドブ釣り風景
妻は寒さのせいか全くやる気がなくFFヒーターの入った車内で爆睡していたが、雲が少ない空の下で次第に暖かくなってきたので、私はダウンジャケットでは暑くなってしまい、薄いフリース1枚になってイスに座りのんびり周囲の人たちとお話を楽しみながら竿先を見ていた。
向い側の好ポイントといわれる角では「ドブ釣り」というカレイ釣りをしている人たちが、次第にその数を増していて15人
ほどが2m位の等間隔に並び、遠めにはチカ釣りをしているのではと思わせるような釣り方で、ワイワイ言って楽しそう
であったが、釣れているのかどうかはわからなかった。
10時を過ぎると私にもクロガレイが釣れ始め、クロガレイではない見たことのない赤みがかったカレイも釣れた。私が
釣ったのは大きくても25cm程度であったが、30cmを超えるものも他の人には釣れていた。
この時期のクロガレイは微かに竿先を揺らすアタリと、釣れていてもほとんど暴れない引き味なので、コツをつかむまでは面白みのない釣りであったが、感覚をつかんだ頃には流れが速くなり藻に仕掛けを流されて釣りにくい状態になってしまった。長く仕掛けを入れたままにしておくとヒトデが付いてくるので注意が必要で、ヒトデに藻が付くととんでもない重さになってしまうこともあった。
お昼には納竿する人も多くなったが、替わって家族連れの釣り人たちがひっきりなしに「釣れますかー?」と現れるので、常に釣り場は賑わいを見せていた。お昼過ぎにはエサもなくなり、チカ釣りも気になっていたので納竿とした。小さなカレイやカワガレイはりリースしたが、10枚ほどキープして港を後にした。
港の近くのホテルの横にある海産品を扱うお店には沢山の観光客が入っているようで、駐車場も観光バスや自家用車
で一杯だった。湖畔には白鳥が朝よりも群れていて、私も思わずカメラを向けていた。

    
               港の出入り口付近                     美味しくいただきました
佐呂間別川の河口では子供たちが釣り糸を垂らして、何かを釣っているようだがそのまま通り過ぎた。道の駅サロマに
寄って休憩し、売店をのぞきソフトクリームを食べていたが、朝の静けさがうそのように沢山の観光客で一杯になってい
た。
栄浦で聞いた情報では、チカは何処でも釣れているとのことで、常呂・富武士(とっぷし)・登栄床漁港などが近くにあったので、一番可能性の高くて近い富武士漁港をのぞいてみることにした。
初めての漁港だったので不安はあったが、すぐにチカ釣りをしている場所を見つけることが出来た。新しい漁港のようで、小型漁船が停泊する小さな場所と、その3倍以上ある広い沖側の2箇所だが、沖側の奥に10人ほどの釣り人が見えた。さっそく話を聞くと、朝の8時からやっているもののあまり釣れていないが、15時過ぎから潮が変わるので釣れるだろうと教えてくれた。チカ釣りの方が好きな私は、少しでも釣れれば御の字だと思い竿を出すことにした。
ウキを付けたタナを深く取った竿に反応があったので上げて
みると、一番下の針に標準サイズのチカが釣れたが、近くの釣り人が「イヤー小さいチカだこと!」という・・・何言ってん
の、普通の大きさじゃあないかと思ったが、釣れたうれしさから気にもしなかった。
それから少しの間釣れず、周囲でも1匹釣れただけだった。そしてまた先ほどと同じ竿の同じ針に同じようなチカが釣
れ、少しだけ期待を持ち始めた頃、誰かが「3時になったよ、そろそろ釣れるんじゃあないの!」そう言っていた。
すると、手で誘っていた竿にあの懐かしいググッとくる手ごたえがあり、上げてみると下の2本にチカが釣れていた。周囲では誰も釣れておらず、何だか自分が上手な気がして得意げにバケツに入れていたが、「おい!あっちで入れ食いだ!早く行くべ!」誰かがそう言ったかと思うと、周囲の全ての人がクモの子を散らすようにいなくなってしまった。
釣り場にたった一人になってしまったが、道具をたくさん出していたので、もう少しここで釣っていようと思ったものの、その後は全く釣れないので双眼鏡で国道側の港をのぞいてみたが子供の姿しか見えず、それでも竿が動いているのがなんとなくわかった。
しばらくして、冷たい向かい風と期待薄に意を決し道具を車に積んで移動すると、停泊している漁船の間の角に沢山の子
供たちに混じって大人も竿を動かし、確かに入れ食いで釣れていた。漁船ぎりぎりの場所に二人が入れそうな場所が
あったので、隣の人に了解を得てから仕掛けを下ろしてみた。しかし、仕掛けが下りていかない・・・下りる前に魚が食っ
てしまうのであった。
妻はすぐ近くの漁船と漁船の間の5mほどのスペースに仕掛けを下ろしたが、ここも同じで入れ食いだというので、私も妻の横に移動した。
こうして、私たちにとっては本当の「入れ食い・爆釣」が始まったのであった。今までの入れ食いは本当の入れ食いじゃあなかった・・・と思える状態で、とにかく仕掛けを下ろすとすぐに食ってくる。
水が濁っているので魚は見えないが、水面近くで跳ねる針掛りしたチカも見えるし、そこからまた下の針にヒットしたアタリが伝わってくるのである。
さらにもう一つ驚いたことは、20cmを超える太った大チカであった。初めはキュウリか?ウグイか?と思ったほどで、抱卵した大チカは

仕事中だってお構いなし!
ずっしり重く、これが複数ヒットするとその重量感はスゴイ!の一言である。先ほど「小さい」と言われた訳がここでわか
ったのであった。

釣りっぱなしで入れる暇なし
釣れたチカはバケツに入れる暇がなく周囲に散乱しているし、次々といろんな人たちが竿を持って現れたり見に来たりしてにぎわう。漁船の上にはその漁船の家族と思われる一家総出3世代で釣っているし、子供たちの軍団も大きな浅いコンテナケースにどんどん釣っているところに、その子供たちの学校の先生らしい人が現れ釣りはじめるという、ご近所の釣り大会の様相であった。
漁師らしき人は漁船の横に仕事中のトラックを止めて、そのまま車を止めた状態で釣りはじめるし、観光客のような釣り初心者も仲間に加わる。小さな港の一箇所が祭りのような賑わいになってしまっているのだ。
チカがヒットしてもすぐに上げなければ針数分だけ付いてしまい糸が絡んでしまうので、程ほどにしないと大変なことになってしまうが、すぐに上げても複数引き釣れてしまうほどだった。しかも、魚体が大きいので針掛かりしたときのズン!という重さが心地よく、引き味は快
感であった。異常なアタリを感じたので慎重に引き上げると、なんと、25cm以上あるカワガレイも釣れるし、隣ではアブ
ラコやギンポの子供まで釣れていた。20cmを超えるチカがスレ掛かりしたときなどは大変な強い引きで、チカが釣れた
とはとても思えないほどの迫力であった。
再び漁船の間を離れ、妻をそこに残して角の近くで始めたが、依然入れ食いは続いていた。すでに左手はチカのウロコで真っ白くなり、竿の底のキャップが外れてしまっていた。別な場所で釣っていた人たちが移動してきて妻の場所で始めるが、こんなときの釣り場は和気藹々で、その漁船に乗って釣りをしている子供や大人も夢中になっていた。
時間の経つことも、こんなに釣って何処に配ったらよいのかということも考えず、ただひたすら釣りを楽しみ、滅多にない大爆釣を味わい続けていた。私のサングラスも、隣のおじいさんのメガネも、妻のメガネも海水で白くなっていたが、きれいにふき取る暇などないのである。
太陽は次第に傾き、赤みがかった色に変わり始めた頃、ようやく釣り人が少

マウスでなぞると画像が変わります
しずつ納竿し始めた頃には、僅か2時間弱でバケツ2杯が一杯になろうとしていた。

祭りの後の静けさが・・・
妻の仕掛けが海底の何かに掛かってサビキ2本を残して切れたので、私がオモリなしの状態で下ろしてみると、それでもチカは釣れて来る。たった2本しかない針でしっかり2匹釣れてくるのである。
時計を見ると17時を過ぎていたので、新しい仕掛けを用意することなく納竿することにした。
すぐ近くにきれいなトイレがあり石鹸やタオルも設置されていたので、ここできれいに手を洗うことができて気分が良かった。しかし、張り付いたウロコはなかなかきれいには落ちなかった。
私たちが帰る頃、若いカップルがまだ釣り続けていたが、こ
の二人は昨日も釣りをしていたと誰かが言っていた。こんな大爆釣状態では何度でも釣りをしたくなるのだろう。17時半
過ぎに港を後にして、サロマ町経由で自宅に戻ったが、体のあちこちが筋肉痛になっていたことを翌日になって気付い
た。

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