5月の釣り



   ■ 大雪つりぼり(管理釣場)

5月8日 週末は生憎(あいにく)の天気で、予定していたオホーツク釣行を中止せざるを得なかった。連休最終日の、
それも午後になってようやく雨は上がったが、気温は低くて肌寒い曇り空だった。
大雪つりぼりは子供の日の前日に、弟一家と母がエサ釣りでヤマベを100匹近く釣って、その場で料理してもらい楽し
く遊ぶことができたと話していたことを思い出し、釣りの禁断症状を緩和するためにふらっと出かけてみることにした。
午後4時に近い時間で、しかも連休中に沢山のアングラーにいじめられ、すっかりスレてしまっているだろうと思われた
が、この時間であれば釣り人は少ないだろうと思ったからである。
初めての釣り場だったが、看板通りに進んでゆくと突然眼下に釣堀と養殖施設が見えて、駐車場の車が3台きりだったことに少し安心した。
受付の横にあるエサ釣りの池にはものすごい数のヤマベがむれて泳いでいて、大きさは15cm程度のから揚げサイズが多いように見えた。受付の奥には食堂のようにテーブルとイスが並んでいたが、誰もおらず受付にも誰もいなかったので、呼んでみると女性が現
れて聞いたことだけに答えてくれた。料金は3時間で1500円だったが、この時期3時間も出来ないだろうと思ったのは
寒さのせいである。
教えてもらったルアー用の池は奥のほうにあると言うので車で移動してみると、意外にも先客があり、釣りをしていたの
は男性だけだったが、女性の方は見ているだけであった。聞いてみると2時間で2匹しか釣れていないと言い、私たち
と入れ替えに納竿して帰ってしまったのは、私としては寂しくて残念であった。

         
          初物も50cmクラスだった。                      しなる鱒レンジャー
とりあえず、風があったのでキャスティングする方向は決められてしまい、初めて使うルアーを試してみた。追ってくるも
ののなかなか食いついてくれないのは普通のルアーにはスレきってしまっているのだろうかと思い、特殊なものをキャ
ストしてみた。するとすぐに1本目がヒット!なかなか元気なニジマスで、ドラグを鳴らしながら元気に走ってくれた。ラン
ディングネットに入れたが、このネットでは少々小さすぎたようであった。魚には触れずに優しくリリースして一服・・・釣り
堀も面白いもんだと思った。
時々、サケのような激しくてしつこいライズをみせてくれて、狭い池の中で暴れる魚にドキッとさせられ、フライならもっと
釣れそうだなと思ってしまう。

ニジマスってこんなんだっけ?怖い顔・・・
軽いルアーに慣れてきた妻に、更に軽いルアーを付けてあげたが、妻は寒さに弱いので早くも「帰ろう・・・」と言い出しそうな顔つきだ。何とか騙しだまし続けているうちに再び私にヒット!超柔らかロッドなので、ニジマスもサケのように感じてしまうのは快感だった。そして、50cmほどのニジマスがネットに入る、この池にはニジマス以外の魚がいるのだろうか?ルアー用の池には注意書きや魚種などの解説をする看板は見当たらず、大きな魚がいることだけは魚影が教えてくれる。
大きなニジマスを川や湖で釣ったことはないので、鮮やかな色がかえって不気味に見えてしまい、写真だけ写してすぐに
戻してあげた。何となく釣る感覚がわかりかけたところであったが、すぐに妻が「帰ろう!寒い!」確かに寒かったし、ト
イレにも行きたかった。この池からトイレまでは簡単に歩いて行ける距離ではないし、まだ40分ほどしか釣っていなかっ
たが、納竿することにした。4種類のルアーしか試せなかったが、初めて経験した釣り堀もなかなか簡単ではなく、むし
ろ難しいものだという事実がわかった。





   ■ サロマ湖(栄浦港)

5月13日 この時期に稚内沖10km付近に流氷があるというから驚きだ。オホーツクの海釣りも遅れ気味なのか?
それならばまだいけるかと、サロマ湖に出かけてみることにした。
前回と同じ道の駅サロマ湖に着いてみると、旭川ナンバーのキャンピングカーが車中泊をしている様子・・・彼らも翌朝
は釣り?なんて思ってしまうのは釣り人だけだろう・・・そんなわけないのに。いつものようにくつろいで、ミノーイングのビ
デオなぞ楽しみつつ一杯やって寝ようとしたが、ディーゼルエンジンのキャンピングカーがエンジンをかけっぱなしで過
ごすようなので、少し離れた場所で寝ることにした。この日は他にも数台の車中泊車がいたので、何となく暖かい季節
がやってくるのだと思ったのもつかの間で、外へ出てみると氷点下に近い気温となっていた。


5月14日 前回は早起きしたにもかかわらず、結局釣れ始めたのが9時近くなってからだったので、目覚ましは6時に
合わせていた。朝寝坊を決め込むと、その時間になってもなかなか起きられないもので、すでに日が昇っていたにもか
かわらず、起きあがるまでは時間を要した。
それでも栄浦港に着いたのは7時少し過ぎだったが、前回の釣り場どころかいつもの場所では入る場所など全くなかっ
た。気合が入っていないというよりも、カレイを釣ることに命をかけているわけでもなかったので、何となく対岸にあるポ
イントへ向かった。
このポイントは前回ドブ釣りをしている人たちがいた、私にとってあの未開で未知のポイントだったが、釣り人はたった一人しかいない・・・もう釣れなくなってしまったのだろうか?しかし、対岸のポイントは入る隙間がないほど人気があれば、ここも同じであると考えていると、丁度そのとき先に入っていた人に大きな魚が釣れた。
挨拶がてら覗きに行くと、大きなウグイであった。彼は北見から2時起きで来たという若者で、早朝から頑張ってみたものの、大きなウグイばかりだと嘆いていたので、前回来たときの経験では早朝は期待できない、むしろこれからだと彼を勇気

人気の対岸と違い入釣者は少ない
付けてこのポイントの仲間をつくっていた。
それではと、彼も車に戻り朝食タイム・・・私たちも慌てずゆっくり朝食を食べた。天気は雲ひとつない快晴であるからい
つだって釣りができるのだ。

午前中に沢山釣れた
食後、徐(おもむろ)に竿を出してみると・・・すぐに釣れた!しかし、カワガレイ・・・カワガレイだって平物が釣れるとうれしいもので、その後は立て続けに平物が上がった。船道側はほとんどアタリもなく釣れそうな気配がしないので、漁港内の小船が停泊している僅かなスペースが釣り場となっていた。
しかし、黒ガレイはすっかり型が小さくなってしまっていたのでほとんどリリース、妻は冷たい風と寒さに車内で見ているうちに、いつの間にか昼寝を決め込んでしまった。北見の若者にも大きなアタリとともに意外な魚が釣れたが、何と!上がってきたのは25cmを超える味噌汁サイズの真カジカで、彼はうれしいような悲しいような複雑な表情をしていたのが印象的であった。
しかしその後、港内の別なポイントに狙いを定め遠征すると言い残していなくなって
しまった。
この場所の先端に入釣していた十勝から来たという人のところへ様子を見に行くと、この人もカワガレイが多くて黒ガレイは型が小さいという話をしていたとき、2本出していた竿の左側の穂先が心地よく小刻みに動いた。見ていた私がその方に告げ、その方がすぐに上げてみると、25cmほどの黒ガレイが釣れたので、その方も喜び満悦した様子であった。しばらく話をしていたが、正面から吹きつける風に退散してしまった。
自分の釣り場に戻り、2本の投げ釣り仕掛けのほかにブラーをセットしてルアー竿で試してみると、こちらにも反応がありカワガレイが釣れた。しかし、軽いブラーは流れに耐えられず足元の魚たちも誘ってしまい、ウグイや見たことのない海蛇のような30cmくらいの不気味な

狭い釣り場だった
魚も釣れてしまっていた。

不気味で触れなかった・・・ ※1
風が朝よりも更に強く冷たく感じられるようになってきたので、漁船の陰に座ってアタリをみていたところへ、函館ナンバーの人が「ここいいですかー?」と現れた。この人は実は北見から来た人なのだが、転勤が多いらしくて以前車を買った所がたまたま函館方面だったそうである。そのために釣りに出かけるたびに「随分と遠くから来ていますねえ!」とことごとく言われてしまうそうで、よっぽどの釣りキチと誤解される・・・そう笑っていた。
この人はこのポイント独特のドブ釣りをブラーでするというもので、常に誘いをかけるために竿先を動かしていた。
ドブ釣りは人それぞれ違うようで、ブラーの人もいれば軽めのオモリだけを使う人もいて、常に誘っていることが特徴のようであるし、魚とのかけ引きが楽しいと話していた。
私はその人の向こうに置竿をして漁船の

ワッカ原生花園よりサロマ湖を望む
陰で向かい合うようにして座り、その人とずっとお話をしていた。近くには別な若者が二人と、後からやってきた中年の
人が一人、みんなが程ほどに釣れるという退屈しない状態であった。私以外は一人1本しか竿を出していないので隣同
士が近い、和気藹々とした雰囲気であった。
しかし、午後からはぱったりとアタリがなくなってしまい、この北見の方がいなければとっくにやめてしまっていたかもし
れないが、時々釣れる大きくはない黒ガレイを釣りながら会話のほうを楽しんでいた。対岸はあまり釣れていなかった
ようで、この時間にはほとんど人気がなくなっていた。
先端で頑張っていた十勝の人は寒さに負けたと言って戻ってきたが、私たちの横でしばらくの間釣りの話などで盛り上
がり、幾分かの未練を残しながらも帰ってしまった。
昼からも全く弱まりそうにない風に負けた私は少しずつ片付けを始め、まだまだがんばると言う北見の方に別れを告げ
納竿した。

 ※1 調べてみるとこの魚は「ニシキギンポ」という、ごく普通にテトラポットなどで釣れる魚らしい。もちろん毒などはな
く、そればかりか東京の寿司屋などでは超高級魚として取り扱われていることがわかった。特に天ぷらにすると脂がの
っていて美味この上ないそうだが、骨が複雑に配されているので調理人のなかには嫌がる人もいるくらいで、滅多にお
目にかかれない料理&味とのこと。しかし、天ぷらは時間が経過するとまずくなるのもこの魚の特徴らしい。
次に釣れてもやっぱり、それでも触れないだろうと思う・・・ムロランギンポよりももっと気味悪いが、顔は意外と可愛いの
が救いか?


観光牧場の馬
すぐ近くにあるサロマ湖ワッカネイチャーセンターに行ってみたが、ずらりと並んだ貸し自転車がこの日の風の強さと寒さを象徴しているように、時々やってくる観光客もセンターの中を見るだけで、隣にある観光馬車の出番はない様で、大きな馬がしきりに草を食べていた。
ここはサロマ湖の原生花園を楽しむための基点となる施設で、館内には原生花園を紹介するさまざまな展示品や映像施設もあり、売店や食堂もある比較的大きな建物である。
時期的にはまだ早いが、夏場には様々な草花で目を楽しませてくれる。

サロマ湖ワッカネイチャーセンター
原生花園内を馬車や自転車などでのんびりと巡るのもよいだろうし、観光バスも走っている。
サロマ湖の白鳥が去った水辺には鴨のような鳥が小さな群れをつくっているだけで、寂しくなった気がする湖の脇を走
り、道の駅サロマ湖で休憩して、すぐ近くの富武士漁港を覗いてみた。岸壁の細い道の先端まで車が入っていて、遠目
ではあるがひらひらしたカレイと思われる魚が釣れていたのが確認できたところで、その場を離れた。沢山釣れたこと
は確かだったが、自宅に持ち帰ったキープサイズは僅か5枚だけである。





   ■ 大雪つりぼり

5月22日 渓流のルアー釣りができなかった不完全燃焼状態を解消するために、再び大雪つりぼりを訪れた。午前中
に行ったほうが午後よりも良いのかもしれないが、混雑した状態ではしたくないし、用事を済ませた最後となってしまう
ために仕方がないのである。
14時半に現地着、受付の横にある小型ヤマベの池には20人ほどの親子連れなどが賑やかに釣りを楽しんでいて、さすが日曜日だなと感心しながら、受付を済ませて一番奥にあるルアー専用池に向かった。
前回よりも少しだけ早い時間帯だったが、誰もいなかった。半袖で充分という暖かさではあったが、大量の虫が発生していて虫除け薬なしにはいられない状態だった。今回は妻は不参加で、釣り堀だからという訳ではなく、川魚に興味がないらしい。
さっそく前回釣れたルアーを試して数投でヒット!しかし、すぐにバラシ・・・これが釣り堀での初バラシとなった。そうこうしているうちに一人の若者が入釣してきたのだが、タックルがす

この坂の下に釣り堀がある
ごかった、アキアジでも大丈夫そうなロッドを振っていたのには驚いてしまった。
今回はヨリがかかってしまうルアーを多用したために、ラインがねじれてしまいバックラッシュに何度も悩まされるという
ハプニングがあり、随分と時間とラインの消耗があった。そして次々にバラシ・・・どういう訳だか乗らないし外れてしまう
のだった。そんなこんなで苦労しているところに釣り堀の管理者が現れ状況を説明したところ、やはりこの時間帯にな
るとルアーにもスレてきているから難しいとのこと。この池にいる魚種はニジマスの他にオショロコマの50cmオーバー、
イトウ、銀ザケがいるという。少し話をしてから管理者は消えた。

45cmほどのニジマス
退屈した妻が何かを見つけ呼ぶのでそこへ行ってみると、それは砂利道の水溜りに生みつけられたカエルの卵であった。子供の頃は通学路にもよく見られた卵だったが、最近はお目にかかったことがなかったので新鮮な驚きもあったが、車が通るとつぶされてしまうかもしれない場所で、水が枯れたらすべて死んでしまうだろう。
魚の動きを観察していると、時々跳ね上がる魚は昨年の帽子岩のようで、すでに懐かしい思い出のように感じられた。青空は1時間ほどしてから雲に覆われ消えてしまって、気がついたときにはすっかり暗くなってしまっていた。目の前まで追ってくるがなかなか食いついてくれず、ヒットしたのはほとんどキ
ャスト後数秒が多かった。 
暗くなってきたし、トイレにも行きたいなあと思っているところに管理人さんが現れ、「時間ですよ・・・」と教えてくれてから
納竿した。うーん・・・・・ここでも不完全燃焼だ。





   ■ トヨマナイ川(天塩川水系)

5月28日 天塩川に流れ込むトヨマナイ川は、中川町のキャンプ場のすぐ横を流れていた。何年か前のキャンプでは、
そこで釣りをしている人がいたので今回試してみようと思っていたのである。しかし、前回とは大きく違っていたのは倍く
らいもある水量であり、水も僅かだが濁っていた上にウエダー
を持ってきていなかったのだった。
それでも湿地になった草の上をすばやく歩きながら、ルアーを投げられそうな場所を見つけた。普通の靴であれば水がしみてきそうなほど靴は水に濡れたが、アウトドア用の靴は水の浸入をしっかり守ってくれたようだったものの、泥だらけになってしまった。
さっそくキャストしてみるが反応はない・・・場所を変えてもっと良さそうなポイントを狙ったところ、一瞬だったがググン!と来て消えた。
その後、もう一度だけ手ごたえを感じたがそれだけだった。5人ほどの集団になった子供たちが「何しているんですかー?」「そこで釣りしてもいいんですかー?」などの質問に答え続け
たが、何か気恥ずかしさを感じてしまった。
あまりにも虫が多いことと、ライズがないことに諦めてテントに戻った。しかし、二度あったあの手ごたえに夕マズメか早
朝の釣りを考えていた。


5月29日 昨日の手ごたえを確かめたくてポイントへ向かったが、突然大きな鳥が2羽飛び立ち驚かされた。アオサギ
程の大きさの鴨のようなカラフルな色合いの鳥だった。あんな鳥が、羽を休めていたのかエサを食べていたのかわか
らないが、これで魚は釣れそうな気がしなくなった。
それでも早朝の気持ちよい一時を過ごしたかったので、キャスティング練習がてらスプーンで探ってみた。しかし急に予想もしなかったところでヒット!鱒レンジャーだから手ごたえははっきり伝わってきて小気味いい。流れが速いしバーブレスフックなので慎重に取り込んだ・・・15cm弱のきれいなニジマスだった。リリースした後、我に返って川の流れる音以外聞こえていなかった私の耳に、ウグイスなどの小鳥の鳴き声が聞こえ始め、時々キツツキのドラミングも響き渡って心地よかった。
集中してキャスティングしていると時々上流を見てしまう・・・生
き物の気配を感じるが何もいない、自然の中でいつも感じることだが、それは人が手を加えていないほどにそれらの感
じが強くなるなるもので、野生を知っていると尚のこと野生に臆病な自分がわかる。
数個のルアーを対岸の柳に奪われたものの、満足して納竿。小さな川で早朝の貴重な時間を遊ばせていただいたよう
な想いだった。

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