6月の釣り vol.1



   ■ 網走港(外海)

6月3日 網走のカレイ釣りは昨年よりも遅れていると聞いていたが、どんなものか試したかったことと、久しぶりにカレ
イ釣りがしたかったのである。夕食後に出発、天気予報では晴れのち曇りとなっていて、波も1m、風は強くても5m程
度だった。
佐呂間町までは5月にも来ていたものの常呂町以東は久しぶりだったので、網走までは随分遠く感じてしまった。港の
駐車場に着いたときはすでに22時過ぎで、当然のことだが1台の車も泊まっていなかった。町の中を走っている車の音
が時々聞こえてきていることと、僅かだが波の砕ける音がしていて静かな夜だった。


6月4日 目覚ましは3時に鳴った・・・4時間ほど寝ただろうか、それでもさほど眠くはなかった。外はすでに薄明るくなっ
ていて、漁船が時々出入りしているようなエンジン音が聞こえていた。カレイ釣りに3時起きはないでしょう!そんなキッ
シーさんの昨年の言葉を思い出しながら準備を始めた。



ウエダーを履いてリュックを持って外に出てみたものの、やはり誰も来ていないが、帽子岩の方角からは朝日が昇り始
めていてとてもきれいだった・・・この朝焼けが見られただけでも「早起きは三文の徳」の意を得るというものである・・・な
どと考えながらも、流氷によって破壊されている道路に自転車のハンドルを取られて、道半ばにして早くもへこたれてい
る自分の体力不足が情けなかった。
8月にはマスやサケ釣りで一杯になるテトラポットには当然のことながら誰もおらず静かだったが、突然青サギが飛び
立ち驚かされてしまった。海面はほぼベタ凪状態で、ここでも魚は釣れそうな気がするが先へ進んだ。
途中から自転車を乗り捨てて険しい道を歩かなくてはならないのだが、ふと振り返ると後方から足早に歩いてくる人を
発見してしまった。目指すポイントは自分がしっかり抑えておかなければならなかったので、途中で追い越されては早起
きが水の泡と消えてしまう。3分の2ほど歩いて疲れきっているのに、休憩することもできずさらに辛い道のりとなり、ハ
エのような虫が次々と発生しているなかをひたすら急ぎ足で歩き続け、やっとのことで目的の釣り場に着いたときには
へたへたと座り込んでしまった。
ポイントを確保して一休みしていると、早くも別の釣り人が隣に入ったが、昨年もこの時期見たような人だった。
この日はうねりが強くて、時々すぐ近くまで波が押し寄せてくるような状態だったので、特に注意が必要だった。
充分休憩する間もなく、とりあえず2本の竿をセットしてみると、すぐにアタリがあったので合わせてみると、カレイ特有の手ごたえを感じることができた。この場所は岩場で根掛かりしやすいので、休まずリールを巻かなくてはならなかったが、見えた魚はいきなり30cmオーバーの真ガレイであった。更に2匹目も30cmを越えるクロガシラで、ウキウキしながら知床連山の霞がかったような景色と竿先を見ているところに妻が到着した。
妻も自分の竿に仕掛けをセットしてキャスティングすると、すぐに真ガレイやクロガシラ、さらに砂ガレイが釣れてきた。 
それからしばらくして、ゆったりと現れたのが仕事やらなにやらで疲れきった様子のキッシーさんであったが、釣りをする気力がないと言いゲッソリして竿を出さずに岩の上に座り込んでしまった・・・。
しばらくお話に付き合ってから、なんとか励まして1本の竿を出させたが、竿先は見ないで相変わらず岩の上に座り込
んでしまっているキッシーさんであった。
キャンプ以来久しぶりだったのでついつい話し込んでしまうと、魚のアタリは逃してしまうので向こうアワセの釣りになっ
てしまうが、それでも竿先の鈴の音の合図に時々釣れてくるカレイは、栄浦のミニカレイとは手ごたえが全く違ってい。

しかし、キッシーさんは鈴を付けていないうえに竿先を見ていないので小さなアタリはわからないし、見ていた妻が教え
てもなかなか腰を上げないので釣果は伸びていなかった。それは、釣りに来たというよりも釣りの雰囲気を味わいなが
ら、疲れを癒しているかのようにみえた。
       
                                             これがこの日の標準サイズ
7時頃が干潮であったがさほど引いたようには見えず、うねりによる海水が岩場まで流れてくることも時々あったので、
低い岩場には釣り人がおらず、私たちの近くで釣りをしていた人たちは1人しかいなかった。寒くはなかったが、蚊など
の虫は全く発生せず快適だった。
時々釣れてくる20cm以下の小さなカレイはリリースしていたが、この日釣れるカレイは型が良かったので25cmほどの
大きさでも随分小さくみえて物足りなく感じるほどであった。
その後キッシーさんも型の良さにやる気を見せはじめたものの、釣れた魚はすべて私たちのスカリに入れていた。
外道のカワガレイはこの日3枚だけで、他の外道としてはアブラコ・コマイ、そして昨年レガオさんが釣った恐怖のムロランギンポを私が釣ってしまった。
外道には当らないが、大きな真カジカも2匹釣れたが、いずれも妻の釣果であり、大きなクロガシラと真カジカのダブルは随分重かったようであるし、数では勝っていた私も、このダブルで一気に追い越されてしまった気がした。
7時14分には私に、この日自己最大の真ガレイが釣れ、8時26分にはキッシーさんがこの日3人の中でも最大のクロガシラを釣り、更に8時56分には妻が自己最大のクロガシラを釣り上
げることができて、全員が大満足の釣果となっていた。
北の空に見えた黒雲が近づいてきたかと思う間もなく雨が降り始めたがすぐに止んでしまい、その後は青空も広がり始
める良い天気となり、自宅に戻ってから気付いたのだが
少しだけ日焼けもしてしまったほどであった。
          
        真カジカの中から出てきたウニ                  竿先の彼方には夏らしい空と雲
ポカポカ陽気の中でのんびりとおじゃべりを楽しみながら過ごしていたが、次第にうねりが大きくなり始めたし満潮がま
だ3時間先だったので、昼前には納竿とした。いつの間にかスカリの中には大量の魚が溜まっていて、15kgほどにもな
っていたので想像以上に帰りは大変だった。
往路の食料は食べてしまって軽くなったが、復路は軽くなった以上に魚が釣れたので重量が倍以上に増えてしまったのである。
駐車場に戻ってから3人の釣果を道路に出してみたが、数・型ともに満足できる久しぶりの大漁となった。
キッシーさんと別れてから開放中の第四埠頭に行ってみると、沢山の人たちが釣りを楽しんでいて、投げ釣りやサビキ釣りをしているようだった。しかし、滅多に釣れる姿は確認できず、早起きのせいかポカポカ陽気のせいか、その場で眠ってしまった。
目が覚めたのは15時半で、埠頭内は依然沢山の人たちが釣りをしていたが、私たちはそのまま港を後にした。
帰り道は、この時期らしい芝桜が庭や畑、山の上まで一杯に咲き乱れていて、歩道の横にはタンポポが満開で、黄色い道を走っているような錯覚をしてしまうのもこの時期の美しさであろう。しかし、次第に雨が降り始め暗くなった空に青空はすっかり見えなくなってしまっ

久しぶりの大漁だった
た。





   ■ つりぼり厚和

6月11日 今週は釣りをする予定ではなかった。しかし、前日にキッシーさんからの電話で、メガ弟さんと管理釣り場に
行こうと思っているがいかが?そんな願ってもないお話を断る理由があろうはずはなかったが、この時点では雨の恐れ
があったので即答はしなかった。天気予報を調べてみると11日は曇り、12日は雨に変わっていたので、妻を説得して翌
日の釣行を決定した。
曇りとはいっても時々晴れ間ものぞく、釣りをするには丁度良い天気となった。石狩川の水量は相変わらず多くて濁っ
ていたが、大雪ダムも随分と貯水量が多くなってきていた。
石北峠からキッシーさんに電話をすると、何と!本日は中止となった・・・とのこと。朝のうちに一報しなかった自分が悪
いのだが、たった二人で初めての釣り堀は寂しかったので、多少強引ではあったがキッシーさんを説得してから、おや
つの揚げイモとイモダンゴを買ったものの、キッシーさんが来ると返事をくれたわけではなかった。
釣り堀への入口は通り過ぎて温根湯温泉へ向かい、道の駅の横にあるコンビニで昼食のお弁当を購入して車に戻る
と、前輪の片方のタイヤの空気圧が低いことを発見、もしかするとパンクしているのでは?と不安がよぎった・・・すぐに
隣にあるガソリンスタンドでガソリンを入れているときに点検してもらったが、パンクではなかったようで一安心。ついで
に11時近かったので、からくり時計を観てから出発した。
そんなこんなですっかり時間を食ってしまったが、先程通り過ぎた国道の厚和入口まで戻り左折して、看板を探しながらゆっくり進むと、1分も走らないうちに釣り堀の看板が見えた。
そこからはすぐに釣り堀が見えて、2号池に数人の釣り人の姿を確認した。
車から降りて管理所へ向かおうとすると、1号池にいた仕事着の女の人が「どうぞどうぞ・・・」と私たちを管理所へ迎え入れてくれ、すぐに会員登録を済ませた。ここは無料で会員になることができて、会員になると一日の利用料が五百円ほど安くなるのである。さらに、女性は男性よりも五百円安いのがありがたい。
1号池では子供連れの家族がエサ釣りで小さなニジマスを釣って歓声を上げていたが、ここはパスして隣の2号池に挑

3号池、奥に4号池がある
戦。水が澄んでいるので魚が良く見えるものの、ルアーに関心をみせるが食ってくれない。池の周りは虫が一杯で、ラ
イズも随分と多かった。
お昼近くなって魚達も昼食タイムか、エサを撒き始める姿が対岸に見えたと思ったら、私の横岸でも小学生位の女の
子が手の匂いを嗅ぎながらペレットのエサを撒いていた。15分ほどルアーをキャスティングしたもののアタリは一度だけ
で、昼食をとる為に車に戻ったが日が射していたのでエアコンを入れながらの昼食となった。
駐車場の正面にある2号池ではフライマンが二人マーカーを付けてロッドを振っていたが、頻繁にアタリがあるもののな
かなか針がかりはしなかった。しかし、この日はフライのほうが圧倒的に有利な釣りのようだった。

元気な魚が多かった
食後は少し離れた3号池へ行ってみると、数人のフライマンとルアーマンがいて、何となくのんびりした雰囲気の自然に近い池だった。
ここでは数投でニジマスがヒットした。グレート鱒レンジャーは軽いルアーをキャストするには最適だが、相変わらずヒットの反応は柔らかく、少しでも大きな魚がヒットすると極端な弧を描く・・・が、折れそうな不安は全くないので安心である。
隣でルアーをキャストしている年配の人は何回か仕事の電話がかかって来ていたが、電波状態が悪いのか何度もかけ直
 して苦労しているうちに、周囲への気遣いのためか何処かへいなくなってしまったようであった。池の淵には座るに丁
度良い丸太が配されていて、のんびりとロッドを振ったりタバコをのむためには便利であった。
しかし、2号池で見た魚よりも釣れてくる魚体は小さめだったが、ヒットした後のファイトは良かった。曇り空の下で虫が
多くてうるさかったが、それを除けば山奥の渓流釣りでもしているような気分を満喫できた。
妻が「あれ、キッシーさんかな?」そう言った先を見ると、なんとなくそれらしき人がテクテクこちらに向かってきていた。
突然やってきたわけではなくて、私の携帯電話に電話したが繋がらなかったそうであり、電話を見ると確かに圏外にな
っていた。
キッシーさんがやってきたのでさらにのんびりとした雰囲気となり、適度に釣れていたし妻も釣り堀初ヒットを体験して喜んでいた。しばらくしてから一番奥にある4号池に行ってみると、濁っていて魚の姿は全く見えなかった。
さほど大きくないニジマスが釣れて、どうもニジマスばかりが私のルアーにヒットする・・しかも、その池でキッシーさんが釣ったのはブラウンだったので、少しだけうらやましかった。

元気一杯の魚が多い

3号池での釣果
そうしているうちに空模様が悪くなってきて、水面に波紋が見えたかと思ったら、近くで雷の音が聞こえたので慌てて退散することにした。グラスファイバーロッドの私たちはさほどでもなかったが、カーボンロッドのキッシーさんにとっては命がけで、江戸時代のからくり人形のように早歩きをしながら真っ先に車に向かっていたのは笑えた。車に戻る途中から雨がひどくなり、車内に入ったときには本格
的な雨となってしまった。車内でおしゃべりをしながら雨が上がるのを待っていたが、止むどころかますます激しくなり、
上空には黒い雨雲が広がり始めていた。

4号池、奥がキッシーさん
強い雨を嫌がる鎖に繋がれた犬が助けを求めて鳴いていたが、この雨では声も聞こえないし飼い主も気がつかなかった。
激しく降った雨は所々に大きな水溜りをつくるほどで、その濁った水は池の中にも入り込んで濁りはじめていた。管理所の女性が大きなタモ網を持って2号池の死んだ魚を掬いに行ったが、掬われた魚は80cmほどはあろうかと思われた大きな魚だったので、それに私たちは釘付けとなった。しかし、あの大きさではグレート鱒レンジャーでは持たないかもしれない。
随分と長い時間降った雨に諦めかけていた頃、少しだけ雨脚が弱まったので、キッシーさんが管理所に置いてきた二人のロッドを取りに行ってくれることになった。
傘を差して帰ってきたキッシーさんは、私のロッドを車に立てかけるとそのまま2号池に向かい、傘をさしたままキャステ
ィングを始めてしまった。
動きが変わったのでよくよく見ると、ヒットしたようで傘の動きが目立っていた。こうなるとじっとしていられず、持ってきて
いた合羽を着込んで2号池に向かってしまった。
確かに濁りがきつくて魚の姿はほとんど見えなかったが、数投でヒット!その後も遠投でも足元でもどんどんヒットする・・・面白いくらいに釣れだした。車内で話していたキッシーさんの、雨上がりには釣れるよー!正しくその言葉どおりであった
キッシーさんにはイトウが釣れていて、おとなしくなった魚を足元に浮かせたままで、私に写真撮ってー光線を発射していた。仕方がないので車に戻りカメラを持ってきて魚の写真を撮ってあげた。大きくはないがきれいなイトウだった。
妻も合羽を着て釣りはじめると、休憩していた人たちが皆出てきて2号池は賑やかになった。
しかし、妻はアキアジの釣りが体に染み付いているのか、あまりにも強引な取り込み方のせいで糸を切っていた。

キッシーさんが釣ったイトウ
2桁釣れてからは色々なルアーを試していた頃、キッシーさんが所用の為に納竿し、その後30分ほど続けたが寒さと雨に飽きた妻が「帰ろう・・・」コールを始めたので、あと一本釣れたら帰ると宣言したものの、すぐにその一本がヒットしてしまった。しかし、このニジマスは元気だった・・・大きい割りに高いジャンプをみせるし、いつまでも走り続けるというファイターだったのである。ようやく外したときには針が伸びてしまっていた。
管理所に寄って挨拶をすると、温かい飲み物をどうぞと言ってくれたが丁重にお断りして、17時前に出発した。雨は降
っていたが小降りになっており、山や川は靄に包まれていて暗かった。それが石北峠に近づくにつれて多くなり、一帯
が水墨画の世界となっていた。しかし、層雲峡を過ぎると雨は降っておらず、路面も乾いていて明るくなり始めていた。


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