6月の釣り vol.2



   ■ 網走港(外海)

6月17日 サーフスタンドを購入時、中身を出して確認したことはなかった・・・結果、足が充分に開かない製品を2年ほ
ど使うことになり、先日、もう少し開かないのかと試しているうちに壊れてしまった・・・。
という訳で今回は確認してから、DAIWAのサーフスタンド750を購入した。大メーカー製だけあってデザインは頗る良い
し、3本の足が並んで畳めるので収納性も良い。もう一つ、竿を置く部分の角度調整ができることである。早速、それを
試すために投げ釣りをすることになり、場所は当然のことながら網走のあの場所しかないと考えていた。


出発が早かったので、帽子岩駐車場には21時半に到着した。さすがに初夏らしく、入口付近ではこんな夜中に焼肉を
楽しんでいる人たちがいた。釣り目的らしい車も数台泊まっていることには驚いたが、もうそんな時期なのかと納得させ
られる暖かさになっていた。
外で折りたたみ自転車をセッティングしていると、聞いたことのある声で話しかけてきたのは、この駐車場で何度かお
話をしたことがあるタケさんだった。久しぶりに話をしたが、釣りへの情熱は変わりがなく、情報交換などしばらくお話を
して楽しんだ。タケさんは元網走在住だったのでポイントには詳しく、前回の私たちの釣果をみた結果、真カジカ狙いで
やってきたと言い、この時間から釣り場へ向かうと言うから驚きだった。
車内に戻り、さっそく一杯やっているところにレガオさん到着!地元なのに駐車場泊はさすがである。レガオさんとの釣
行は、昨年のサケ釣り以来だったし(キャンプの時に少しだけ一緒に釣りをしたことを除く)、翌日に釣りを控えての前
夜祭は久しぶりであった。


6月18日 釣り談義は楽しくて夢中になったが、お酒の量は控えめにしていた。昨年までの経験がようやく実をつけたと
思われたものの、翌朝の起床は2時半・・・0時半には寝ることにした。
僅かな睡眠時間ではあったが、気分良く起きられたのは控えめなお酒のせいか?外へ出てみると、レガオさんが早くも
準備中だった・・・寝坊しないレガオさんの姿は久しぶりで、いつの間にか彼は成長していたとしか考えられなかった。
天気は雲が少し多いようであったが、予報は晴れだったので薄着でレガオさんと一緒に自転車で出発した。駐車場は
まるでアキアジシーズンのような賑わいで、いったいどうしたのだろうかと不安になるほどであった。しかし、この不安は
見事に適中した。釣り場の良いポイントはすべて先客がおり、まだ薄暗いというのに10人以上の釣り人がいたうえに、
堤防の上に何故か4人も若者が座っていたのである。レガオさんの推測によると、彼らはただ単に朝日を見に来ただ
けではないか?とのことであったが、正しくそのとおりでいつの間にかいなくなっていた。

         
           レガオさんダブルでスタート                     型のよいクロガシラ
僅かに期待が持てそうなポイントを何とか確保して竿をセットしたときには、水平線の向こう側が明るくなり始めていた。
周囲でもポツポツと釣れている様だが、型は小さいうえに頻繁には釣れていなかった。前回、私たちが入釣したあの場
所にはタケさんが釣座を構えていて、夜の釣果はコマイのヒットパレードだったと話してくれ、真カジカの姿は一匹も見ら
れなかったそうだった。
私もレガオさんも好き勝手な方向にキャスティングするので、いつの間にかサーフスタンドは相手の物を使っていた。そして3時半、この日の初物はやはり真ガレイであったが、型は大きくなかった。
3時40分には真正面から朝日が昇り始める中で、頻繁にあるカレイのアタリに二人は夢中になっていた。アタリは大きくないが、グッとくるような重い引き味で上がってきたのが30cm台のクロガシラで、ようやくここらしい大きさのカレイが釣れた。そのうち、前回隣で釣りをしていた人も現れたが、ここへ来たときの私たち同様釣り場を見て驚いたのは、釣り人の多さに対してであろう。
少し遅れて妻も到着、仕掛けの準備からエサ付けまで自分でできるようになったので安心である。気がつくと雲はすっかりなくなってい

美しいというよりも眩しかった
て、太陽が正面から照りつける日差しが暑いくらいになってきていた。
しかも、太陽の眩しさで竿先を正面からは見られず、アタリにすぐに反応できない状況であった。しかし、前回よりはア
タリも少なく、エサだけがいたずらになくなっていることも多かった。

          
        ギッシーを手に。後方はタケさん                  妻も型の良いクロガシラ
カレイも真ガレイとクロガシラに混じってカワガレイが多くなっていて、ハゴトコも釣れだしていた。この日は私の手のひ
らを広げた22cm以下はリリースと決めていたので、随分とリリースが多くなってしまった。そして、干潮の潮止まり時間
にはアタリが遠のき、帰り始める釣り人も出始めてしまった。外海というのに波は全くなくなり、気温も上昇し始めていて
シャツ1枚でも暑く感じるほどだった。
そしてついに、あの魚が釣れはじめた・・・そう、ギスカジカことギッシーである。ギッシーというのはもちろんチーム網走
の俗語だが、キッシーさんとは何の関係もないことをお断りしておこう。おそらく、時々きれいにエサがなくなっていること
があったが、ギッシーの仕業だったのかもしれない。岩の間に残っている水の中にも、釣り人によって捨てられたギッシ
ーの死骸が沢山あったが、いかにギッシーとはいえ生き物をこんな風に扱ってしまう人たちは釣りをする資格はないと
私は思う。どんな魚にも命はあるのだ。

タラに見える?・・・見えないよね
ギスカジカが釣れはじめた一方、前回には釣れなかった宗八カレイも釣れはじめ、この時期らしい美味しいカレイに夏の到来を感じた。
レガオさんが竿を出したまましばらくいなくなってしまったときに、レガオさんの竿に大きなアタリがあった。放っておくわけにもいかないので巻いてみると、何だか大物の手ごたえがあり、グイグイと動いている様子・・・楽しく巻いているうちに見えてきた魚は、大きなコマイだった。
お腹もパンパンに膨れていて、後で計測してみると40cmもあるから重いはずである。この日一番の重さの1匹は、レガオさんの竿を使って私の手で味わってしまった。
幸いエサには葉型が残ったくらいで使えそうだったので、そのままキャスティングして置いておくことにした。するとまたすぐにその竿に反応があり、巻き上げるとハゴトコが釣れていた。ここでついつい私の中の小悪魔が、せっかく釣れた魚だからレガオさんにも楽しんでもらおうと、魚が付いたままですぐ前に放っておくことにした。
しばらくして帰ってきたレガオさんは、その竿先の動きに気付いてすぐに、予
想外の力一杯のアワセを入れてしまった・・・・・目の前にいたハゴトコは近くにいた妻の顔面に水しぶきをかけつつ後方
へ吹っ飛んでいった。もちろん一番悪いのは「アタリあるんじゃない?」と言った私であることは言うまでもない・・・。
7時40分、私の竿に大きなアタリ、巻いてみると動きがあったので少し期待してさらに巻いていると、「おおっ!ホッケだ
ー!」レガオさんが叫んだ。この日最初で最後のホッケが釣れたのだった。
期待していたホッケは結局1匹しか釣れなかったのは残念だった。
その後、ギッシーはキッシーさんに似ているとか、キッシーさんがいたらこんな静かな釣りはできないとか褒(ほ)めているところへ電話がかかってきた。電話を受けたレガオさんの様子に異変を感じ、後方を振り返ると、堤防の上にキッシーさんがいた・・・・・悪寒を感じさせるほどの気配を漂わせるキッシーさんは、いかに激務で弱った体だといってもさすがである。
そんな訳で賑やかな釣り場となったものの、今回のキッシーさんは道具は持たず偵察活動のみで、美味しい差し入れも用意してくれていたのはありがたかった。
遠く、市内の運動会の会場からの音楽やマイクの声が聞こえてきて、のどかな週末の陽気が実に気持ち良かった。お昼近い時間かなと思っていたが、時計を見るとまだ9時だったのは、2時半起きのせいであって、じつに
長い一日になりそうだった。
この時間になると釣れる魚は宗八ガレイ、時々クロガシラ・砂ガレイが釣れる程度で、外道にはカワガレイ・ハゴトコ・ギ
スカジカくらいしか釣れなくなっていたが、ホッケに似た大きなアブラコが妻の竿に釣れて、一瞬だけ喜ばせてくれたが
食べる気がなかったのでリリースした。
         

用事があるキッシーさんが帰ってしまうと、ベタ凪の静けさに戻り、じっとしていても暑さを感じていたが、少しだけ潮が
動き始め魚も釣れはじめたものの長続きはしなかった。
昨夜から釣り続けているタケさんが時々海中にあるスカリを引き上げて釣れた魚を入れていたが、次第に見ている私
たちのほうが心配になってくるほど重そうだったので声をかけてみると、二往復してでも運ぶと言うから驚きである。彼
ならきっとそれができると思われたが、妻は見ていて「フラフラしてるよ・・・大丈夫かな?」そう言っていた。
それでもタケさんは意欲的にフルキャストを続け、着実に釣果を増やしていたようであったが、さすがに途中からはアタリが少なくなり始めていた。
レガオさんと11時に納竿しようと話していたとおり、途中からやってきたタケさんと話しながら片付けを始めた。レガオさんの最後に上げた竿には宗八ガレイが、私の竿にはカワガレイが付いていて納竿となった。岩の上に干しておいた宗八ガレイも、食べるに丁度良いほど乾いていた。
タケさんに別れを告げてリュックを背負い一歩一歩ゆっくりと海の様子を見ながら歩いたが、前回のような大量の荷物と大漁の魚ではなかったので、休むこともなく歩くことができた。
駐車場前の砂浜では、テーブルとイスを出して楽しむ人々の姿も見えて、夏の到来を感じさせてくれる光景だった。用
事を済ませてやってきたキッシーさんと市内で昼食をゆっくり食べて
から網走を出発し、途中眠くなってしまったので女満別の道の駅で昼寝をしたので、自宅に着いたのは20時となった。





   ■ 三石海浜公園(釣り突堤)

6月25日 オートキャンプ場の前に「釣り突堤」と名付けられた堤防がある。以前から気になっていたが、釣りをしたこと
はなかった。アキアジの時期に、左岸のテトラポットの上からルアー釣りをしたことはあったのだが、投げ釣りは今回が
初めてである。
生憎の雨の中、キャンプ場から突堤を恨めしげに見ていたところ、大胆にも突堤の上まで車で乗り込んだ人がいた。後ほど管理人らしき車が現れて、キャンプ場内まで移動させられていたものの、この雨の中でも気合が入っている人だなあと感心して見ていた。
夕方になってから雨脚が弱くなったところを見計らって、翌朝の偵察がてら突堤に出かけてみると、8本の竿を並べて、あらゆるポイントを探ってみたと

サイトから見た突堤
言うが、いまやっと1匹コマイが釣れたとの話しを聞き、内心は少々ガッカリしてしまった。                 
更に奥側に車ごと入って一家5人ではじめていた人たちに聞くと、まだ一匹も釣れていないと言う・・・翌朝の期待はすっ
かり小さくなってしまったが、釣りさえできれば良いではないかと考えなおしてから突堤を後にした。


6月26日 早寝をしたせいか、0時過ぎに目が覚めてから全く眠れなかった。3時の目覚ましが鳴っても明るくならず、
少しだけ雨も降っていた。防水スプレーをたっぷり染み込ませた雨具を着込み、自転車で突堤を目指す・・・僅か2分程
度で突堤の先端部に到着した。ライトなしでも手元が見える明るさになってきていたが、釣り人は誰もおらず、昨日の偵
察活動のことを思い出して、少しだけ不安な気持ちになった。
       
             ドンコも数匹釣れた                        良型コマイも
2本の竿を出し終えた頃、4時10分過ぎに妻が到着した。そして、妻も2本出し終えた時から、急に竿先に反応が出始
めた。小気味良い反応にアワセを入れてみると、動く魚の手ごたえが伝わってきて、浅場なのか途中から魚の姿も海
上に見えていた。丸ものとすぐにわかったが、堤防の高さがあるので海面から一気に抜き上げるのが重かった。

丸物が苦手の妻
コマイだったが、随分と大きなものだった。というのは、昨日見たコマイは小さかったからで、予想をはるかに超える40cm近い魚に思わずスカリを取り出していた。その後、妻にもコマイが釣れて、アブラコやハゴトコなどが休みなく釣れてきていた。
中でも、私にとって初体験の魚がドンコである。意外に引きが良くて暴れる魚だと思いながら巻いてみると、熱帯魚のナイフフィッシュを大きくしたような不気味な魚が釣れてしまった・・・正体不明の魚には触れることもできず、写真だけ写してリリースするのがやっとであった。帰りがけに、昨日お話をした釣り人に聞いてみてドンコと判明したのである。ドンコとは俗称で、正式名も教えていただいたが興味がなかったせいか忘れてしまった。
昨日偵察したときは大量に流れ着いていた巨大な昆布の姿は消えていて、いつの間にか出てきた霧が周囲の景色まで消してしまった。視界100m程度の中ではキャンプ場も見えず、ただ時々波の音とカモメの声が聞こえるだけ
である。妻と同じ時間に突堤に着いた、昨日の釣り人の姿も霧の為に
全く見えなくなっていた。
ルアー竿にブラーを付けて探ってみるとハゴトコが釣れてくるが、少し遠めにキャスティングすると昆布根に掛かってしまう。昆布根は小さいものは根ごと抜けてくるが、大きな昆布では抜けるどころか糸を切られてしまうので、なかなか難しい。
5時を過ぎると全くアタリが遠のいてしまい、海草が糸に絡み始めた。 
4時50分の満潮時間にピタリと喰わなくなった太平洋の魚たちは、どうも時間に正確な生真面目な魚ばかりのようで、この後は納竿まで一匹もアタリさえなかった。
6時半と決めた納竿時間までは粘ろうと思ったが、霧に覆われた不思議な空間をさまよっているような体験をしただけで、時間前に片付けを始めていた。


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