10月の釣り vol.1



    ■ 帽子岩

9月30日 ここ最近、網走からは良い話は聞かれず、期待の薄い出撃となった。19時過ぎに出発、途中で師匠から電
話があり、すでに現地入りしているとのことで翌朝には会うことができそうだった。星空が見える空を見ていると、翌朝
の雨予報はハズレのような気がしてしまうほどで、昨年の同時期の雨の中での釣りを想い出しながら走った。
帽子岩駐車場に着いてみると、先週の混雑がウソのように静まり返っていて20台程度しか車はなかった。やっぱり釣れていないのか?そんな不安は的中していた。
車内でテレビを観ていると30分後にはレガオさんが到着、彼と一緒に釣り場の様子を見に行ったものの、サケの跳ねがないばかりか海面は鏡状態で釣れそうな気配は全くない。それでも次々と釣り人がやってきていた。
駐車場に戻ってみると早くも妻は寝てしまっていたが、二人で釣りの話などをしながら車内で飲みはじめ、その後ウメちゃんが到着して更

網走川にオーロラ号が・・・
なる釣り談義・・・・・


10月1日 ・・・・・気がついた時には1時近くになっていたので私は休ませてもらうことにしたが、レガオさんとウメちゃん
は寝る気がないようだった。
目覚ましに起こされたものの、いつもとは違って眠くて仕方がないのは久しぶりのことだった。準備を済ませてから寝て
いるレガオさんを起こしたが、30分くらいしか寝ていないと言う・・・あれからウメちゃんと話し込んでいるうちに起きてい
よう!ということになったらしいが、さすがに寝ってしまったそうである。
釣り場を歩いていると、見覚えのあるシルエットだなあと思っているところに声をかけられ、それが師匠夫妻であることが分かった。
しばらくお話しをしながらレガオさんを待つも、なかなか来ないので先へ進んで釣り場に着いた。
先週に比べると釣り人は少なく感じたが、次々と釣り人がやってきていたのはさすがに土曜日である。
今回のメンバーは船頭のレガオさん、ウメちゃん親子、師匠夫妻、そして私達の7人であるが、メンバー全員が揃ってからもしばらくの間釣りはせずに明るくなるのを待っていた。
生憎(あいにく)の厚い、今にも降りだしそうな雲の下ではあったが、風は後方からの南風だったので、海面は湖のよう
に穏やかだった。キャスティング開始は5時を過ぎていたが、周囲で1〜2本の釣れた様子が確認できる程度の予想通
りの厳しい状況だった。そんな中で5時15分、レガオさんにヒット!
見えた魚体で銀ピカと判明、新しく購入したタモの「剛腕」に宣言どおりの「剛腕に入ります!」の一言を発しネットイン。メスをGetした。
までは良かったが、レガオさんが魚の血抜きを済ませてから師匠の釣り場へ向かい、何やら雑談を楽しんでいた時であった。通路の上のサケが跳ねたような音が聞こえたが、血抜きを済ませた後なので気のせいかと思いつつも、暴れて海に落ちたら面白いだろうなどと妻に話しかけていたが、数分でレガオさんも釣り場に戻りキャスティングを再開していた。
しかし、彼のサケは蘇った!後方から「ドボン!」という大きなものが海中に落ちた音が聞こえてきたのであった・・・見るとレガオさんのサケは置いてあるはずの場所から消えてしまっていて、それは明らかに自らの力で海中に帰ったとしか考えられない・・・。
慌ててその場に駆けつけたレガオさんではあったが、テトラポットの隙間という落ちた場所が悪かったことと、まだ暗かったせいでタモ網を入れても掬いきれず、その後は自分がその場に降り立って必至の捜索作業をしていた。私達4人はそのまま釣り続けていたので「気が散る!」とか「まだやってんの?」とか「いいかげんにあきらめなさいよー!」などとからかっていたものの、20分ほどの長い時間をかけて、とうとう海中から掬い上げてしまっていた。しかし、ずぶ濡れになってまでも獲っていたのは、この一本が彼にとってどれだけ貴重なサケであることかその様子を見ただけで読み取ることができたのであった。

面白い人である
その後、ウメちゃんにヒットするもバラシ・・・妻にアタリがあるも早合わせ・・・ウメちゃん父さんもバラシと食いの浅さが目
立つこの日のサケだった。しかし、ウメちゃん父さんが立て続けに3本釣っていたのには、さすがベテランのなせる技で
あると感心してしまった。
6時の鐘がゴーン!と聞こえてきたのが「釣れ〜ん!」と聞こえてきたときでも全体15本程度しか釣れておらず、これが
普通の帽子岩だと納得していたものの、やはり一本は釣りたいものだとあれこれ手を変え品を変えの努力をしていた。
そして6時15分だった。周囲をキョロキョロとしていた時にアタリ・・・そしてヒット!ほぼ半分ほど巻いてきた位置でドラグが鳴る、決して緩いわけではなかったが巻いても巻いても寄ってこない・・・随分と重く感じるサケにオスを確信するも、見えた魚体はブナAランクだった。ある程度近くに寄せてからは2度ほどドラグを鳴らし、目の前のテトラポットまで近づけることができた。
レガオさんが「剛腕に入れるかい?」と言うので、タモ入れは彼と彼
の剛腕にお任せすることにした。そして無事ネットイン!  と思ったら何と!根元からすっぽ抜け!すぐに近くにいた
ウメちゃんがサケの入ったネットを拾ってくれて事なきを得たが、新品のタモが根元から外れてしまうとは・・・・・。
写真撮影後、贔屓(ひいき)目に見ても銀Cだったのでリリースしたものの、海中で動かないサケに不安を感じたが、数
分後には泳いで行ったので一安心。数年前にもキッシーさんの新品のタモがすっぽ抜けるということがあったので、柄
との継ぎ目を確認してからの使用をおすすめする。
朝からの二大事件に見舞われたレガオさんは、気力も体力も消耗し切っているようにみえたが、こんな時にこそ魚はつ
いてくるものであった。
そして、レガオさんに2本目がヒット!柄のないタモでどうやって掬うのかと聞いたが「掬ってよ!」と命令的なお願いをされたので、やむなく私のタモを使って彼の魚をネットイン!キッシーさんの真似をしてなかなかサケを渡さないでいると「何か最近キッシーさんに似てきた・・・」失礼なことを言われたので、それは困るとばかりに仕方なく魚を引き渡すことにしたのであった。
8時には妻を釣り場に残しておしゃべりをしていたが、妻にヒット!レガオさんが駆けつけ私はカメラの準備!しかし、バラシ・・・最近の妻はサケに恵まれないようである。
8時過ぎにはレガオさんとウメちゃん親子が納竿。ウメちゃん父さんがこの日は筆頭の5本、ウメちゃん1本、レガオさん2本だったが、全体でも30本程度の状況の中では大漁と言えるかもしれない。

ウメちゃん父さん
レガオさんはその足でタモ網の購入店へ直行したことは言うまでもない。
少し離れていたので見落としていたのか、師匠はいつの間にか3本も釣っていたのには驚かされた・・・。この日は、場
所限定で釣れていたようにもみえた。
その後駐車場に戻り休憩してから釣り場に戻ると、半数近くの人たちが納竿しはじめていて、滅多に釣れない状況に諦
めていたようだった。妻は車に戻り師匠夫妻も納竿し、私一人が残されてしまったものの雨上がりの暖かい秋空の下で
のんびりだらだらフィッシングを楽しむこととなった。
根気よく続けていれば幸運はやってくるもので、コマさんからの埠頭は釣れていないというメールが届いた正午過ぎだ
った。10月下旬のようなサケのアタリ・・・小魚と間違えてしまうような食ったり離したりしているのか、ウキが浮いたり沈
んだりしてから合わせのタイミングがやってきた。
周囲2時間の間というもの誰にもヒットしなかったが、幸運続きの私に再びヒットしてしまったのである。近くまで寄せて
銀ピカを確認し、そろそろタモ入れをしようかと思った瞬間にバラシ・・・さほど悔しくもなく、意外とすっきりした思いだっ
たのは一本釣っていた余裕だったのだろうか。

奥には師匠夫婦しかいない釣り場
その後、最近の釣れるポイントでもバラシている人を見かけたときに妻が帰ってきて、昼食にガスバーナーで沸かしたお湯でカップめんを食べアウトドア気分を満喫していた。
2時過ぎには師匠夫妻も戻ってきて始めたが、釣り場は30人程度と異常に少ない釣り人で、土曜日とは思えなかった。キャスティングをしたり休憩をしたりの、だらだらした雰囲気が大好きだと言う師匠ではあったが、確かに以前の帽子岩はこんな釣り場だったと想い出しながら午後の夕マズメを迎えようとしていた。しかし、次第に増えてきた釣り人の数に釣果は比例せず、15時に私達が納竿しようと決めていた10分ほど前に妻がバラシ・・・午後から納竿までに釣れたサケは全体3本程度だった。
帽子岩を後にして、能取湖の終りかけのサンゴ草を横目に走っているときは、正面からの太陽が眩しすぎるほどに日
の長さが短くなっていることを感じた。





    ■ 帽子岩大爆発!

10月4日 年に一回の平日単独釣行のチャンスがやってきたのは、火曜日からの爆釣情報が決め手となった。しかし、
どういう訳かキッシーさんもレガオさんも同行することとなっていた。いつもどおりの時間に出発したが、今回は妻がい
ないので運転中は暇というか、寂しい一人旅のようなものだった。道中、サロマ湖の近くでは正面に流れ星・・・もちろん
「釣れますように!」などと勝手なお願いをしていたが、随分と長く見えていたのでゆっくりとお願いすることができた。
帽子岩駐車場に着いてみるとパトカーが前方を走っていて、その後からついて行く・・・思っていたほどではないにしても
確かに平日にしては混雑していて、無法な輩(やから)がいないか警戒しているのだろう。昨年もたくさんの迷惑駐車な
どが勃発していたそうなので、釣りとは全く関係のない人たちが暮していることも充分に考えなければならない。
ゆっくり走るパトカーがゲートまで進みその場でUターンしてきたので、駐車場先端部に空きがあることが分かり、うまい
具合に最先端部に駐車することができた。しかし、これが安眠を妨げられることになってしまうのであった。
久しぶりの普通乗用車での車内泊はなかなか大変なもので、せめて全シートがフラットになるこの車を選んでおいて良
かったと思えるような室内の狭さと、改めて知る道具の多さに我ながら驚いてしまった。


10月5日 ゲートの近くなので、そこを行き来する人の声や足音で何度も目覚めてしまった。2時過ぎにレガオさんがや
ってきて、私が平日この場にいることが不思議でならないようなので、事のいきさつを説明してからおしゃべりを少し楽
しみ準備を始めた。
釣り場へ着くと、平日にもかかわらずたくさんの人たちがやってきていて、海ではサケの跳ねも頻繁に見られた。釣りが
できるまでにはまだまだ時間がたっぷりあったので、周囲の人たちとも話しをしながら過ごしているうちに、キッシーさん
がよろよろと到着・・・お疲れのようであった。しかし、この頃からサケの跳ねはなくなってきて少しだけ心配になったが、
風は正面からの北風なので海面がざわついていて、いかにも釣れそうな雰囲気であった。

        

レガオさんは4時40分にはキャスティングを始めたが、私達は近くで様子を見ていることにした。5時近くなって周囲に釣
れた様子が確認されたので、釣り場に下りてキャスティング開始!まずはレガオさんにヒット!そして、私の左隣の人に
ヒットするが、私のウキは遠くにあったのでゆっくり巻いていると、いきなり大きなアタリを感じたもののすぐに左隣の人
のサケが絡んだとわかった。
隣の人も一本目だったのでドラグ調整が緩かったのだろうし、暗くてよく見えないのに注意していなかった私が一番悪
い!無事タモに入ったサケとともに二人で丘に上がり外すまでには時間がかかってしまい、その間にレガオさんは3本
も釣っていた。
随分と出遅れてしまったなあと嘆きながらも、近くをざっと見渡しただけでも5人以上はヒットしているのが見える。まだ
まだいけると気を取り直してキャスティング・・・ヒット!バラシ!そしてキャスティング・・・すぐにヒット!すばやくタモから
魚を出して針を外し、写真だけ撮ってブナオスをリリース。

   
     5時15分         5時21分         5時28分         5時33分         5時38分
そしてキャスト・・・ヒット!大きな腹の赤いオスだったがリリース。再びキャスト・・・ヒット!なんだか魚がうじゃうじゃいる
ようで、すぐにアタリがあるのである。これもオスでやっぱり腹が赤い、リリース。
すぐに戻って再キャスト・・・ヒット!すぐに寄ってきたものの、何度かドラグを鳴らして抵抗しながらもネットイン。銀Cラン
クのオスだがリリース。再キャスト・・・ヒット!これで6投で5Getである・・・なんというすさまじい釣れ方か?大爆釣状態
はまだまだ続いた。
またまたヒットした6本目もリリースしていた5時43分だった、キッシーさんが変わった魚を釣ったようで、レガオさんと大
騒ぎをしていた。釣れたのはマスだったようで、しかもメスだった。まだこの時期でも釣れるとは驚きであるが、もちろん
リリース。
        

7本目は、やや大きなオスのブナブナだが、幅広の重量級で寄せるのには苦労したがリリース。次もワンキャストだっ
た・・・ヒット!この日の中では一番きれいな銀Cのオスが釣れるも、リリース。もっときれいな銀ピカが釣れることを待っ
ていたのである。
6時になって、お寺の鐘が聞こえるはずだが風と波でかき消されたものの、その波風も次第に弱くなり広がる青空に太
陽が昇り始めていた。レガオさんが釣るサケはなかなかユニークで、釣り上げられるのがイヤなのは理解できるが、よ
りによって足元のテトラポットに逃げ込みという世話のやけるサケが2本もいたのであった。足元よりも更に後方のテト
ラポットに逃げ込まれた日には、さすがのレガオさんもてこずっていて、それでも上手に引き出してネットインしていたの
はさすがである。
   
     5時45分        5時50分         5時58分         6時12分         6時19分
3人のなかでのダブルヒットは頻繁にあったが、トリプルはありそうでなかなか実現はできなかった。取り込みを遅らせ
て待っていても、そんなときに限ってヒットしないものであった。
ようやくメスが釣れたのは9本目であった。銀ピカではあったがこれもリリースし、キャスト・・・ヒット!続くものでこれもメ
ス、しかも大きなメスだったが、ブナA判定でリリース。次もワンキャストないし2キャストでヒットしただろう、デジカメの撮
影時間を見れば想像できるが、サケが動いているのでオスメスの判別はできなかった。
   
      6時23分          6時30分             6時45分               6時55分
次もすぐにヒット!しかし、メスではあるが黒味がかったブナCをリリース。ここでキッシーさんが釣りを中止・・・釣れすぎ
てイヤになったというから贅沢この上ない話であった。
そして、休憩することも忘れていたので少しの間おしゃべりを楽しみ、その後キッシーさんは納竿した。キープできるような銀ピカを釣っていたものの、リュックの中には一本のサケも入っておらず、軽やかに帰って行った。
この時点でキッシーさんは約8本、レガオさん二桁以上、私も二桁以上だが数が分からなくなりかけていた。しかし、レガオさんの釣り好きは相当なもので、常にキャスティングして楽しんでいて、いくら釣っても釣り飽きることもないし疲れなど全く感じられない体力の持ち主であると思った。
キッシーさんが帰ってしまい釣り再開。少しだけ間をおいてヒット!浮かんできた魚体に銀ピカを確認、オスの大きくないサケをキープすることにした。次に釣れたのは巨大な幅広のオスで、近くでヒットした割には何度もドラグを鳴らし抵抗されたために時間を要した。これはブナBの鼻曲がりサケだった。
7時になったのでレガオさんが納竿、まだまだ釣れているがレガオさん後ろ髪を引かれながら7本のキープしたサケを背負って去っていった。   
一人になって、周囲を見ると仕事へ向かうと思われる人たちがどんどん納竿していて、3割以上の人がいなくなってしまった。
7時台になってもまだまだ釣れていて、3投すれば必ずヒットするくらいのアタリが続いていた。
再びメスが釣れたもののブナだったのでリリース、下の歯が怖くなってしまっている。
次に釣れたのがこの日一番のブナオスで、魚体が見えた時点で「真っ黒くろすけ」だと分かり、ネットから出してみると
頭もお腹もヒレも黒かった。次はブナAのメスが釣れ、これも迷わずリリースした。

      
       7時03分              7時08分         7時16分             7時31分
7時20分になったがこの調子だと20本も無理な数字ではないと、釣った魚の数も分からずに確信しながら一投目をリー
リングしていてアタリがあった・・・ヒット!しかし、合わせ切れ!目の前右10mほどのところにルアーのついた私のウキ
が浮かんでいた。右となりの方が親切に回収して届けてくれたものの、切れた部分はルアーから7mほどのラインの部
分だった。この日はテトラなどに擦れた記憶もないし、考えられるのは朝一の隣の方との絡みだけであるから、あの時
に擦れてしまっていたのが、大量のサケとファイトするうちに限界が来てしまったと考えられた。
気を取り直してキャストした次のヒットは銀Cのメスだったが、納竿しなければならない8時まで30分を切っていたし、そ
ろそろ釣れなくなってしまうのでは?という焦りからこのメスは型が良かったこともありキープすることにした。

7時41分

7時58分
7時半頃から周囲で釣れている魚体は銀ピカが多くなっていたが、ようやく私にも文句なしの銀ピカBで体高のあるメスが釣れた。
これでキープ予定数の3本目になったので、これ以上良いものが釣れたとしてもキープはできないのであった。
もうすぐ8時になってしまうなあと思いながらキ
ャスト・・・ヒット!これも銀ピカメスだった。残念ではあるがリリースして納竿。この時は何本釣っているのかおおよその
数しか分からなかったが、釣り上げた全てのサケを撮影しているので20本と後でわかったのである。
帰りがけに全体を見ながら自転車に乗っていたが、まだまだ入れ食いのような状態は続いていた。昨年の長く続いた
大爆釣を思い出していたが、この日は昨年のどの大爆釣の日よりも釣れていた気がする。おそらく、今シーズンこのよ
うな釣りはもうできないだろうと思ったので、この日のサケの写真を全て載せてみた。
今回の釣行では何も得ることはできなかった・・・というのは、釣れる楽しさに夢中になってしまい集中力はまったくと言っ
ていいほどなくなっていたし、タモ入れなどは適当にしてしまうので余計に疲れてしまう体たらくであった。アキアジ釣り
はなかなか釣れないから釣ろうと色々な努力するもので、こんな日は年に一度で充分なのかもしれない・・・。


10月の釣り−2へ 


戻る
戻る