10月の釣り vol.2



    ■ 第四埠頭

10月8日 前日のいつもの時間に出発する予定だったが、出発はこの日の昼過ぎとなったのは雨天のせいであった。
出発時の曇り空も、高規格道路のトンネルを抜けるとウソのように青空が広がっていて、一山越えた実感がわくような
秋晴れの良い天気となっていた。
しかし、常呂に入ってからは進行方向に雨が降っていそうな厚い雲が待ち受けていた。市内のコンビニで買い物をして
帽子岩駐車場に向かった時には雨風が強くなっていて、その勢いはなかなか収まりそうになかった。
帽子岩釣り場は更にひどいことになっていて、高波が釣り場を襲っているのが私の目でも確認することができたが、釣
り場には僅か数人の釣り人なのに対して駐車場は車で一杯になっていた。みんな波が収まるのを待っているようだが、
天気予報を見る限りでは翌日の帽子岩での釣りは不可能と判断して埠頭に向かった。確かに遠方から計画してやって
くるのだから・・という気持ちはわからないではないが、命の危険を冒してまでするべきものでもないし自己責任は当然
のことながら、事故が起きてしまったときに迷惑をかけてしまう人の多さも考えねばならないだろう。


9日の漁協前
第四埠頭の入口では開放待ちの車が40台以上並んでいたし即時開放の見込みは薄かったので、諦めて第五埠頭に
入ることにした。実は開放されることはわかっていたのだが、港内に停泊しているロシア船が沖のシケを避けて出航が
遅れていたのである。
第五埠頭の限りなく釣れそうにないポイントではあったが、キッシーさんと今シーズン初参加のリンさんと、この場所に
泊ることになった。
この夜はリンさんの広いキャンピングカーの中で歓談のひとときを過ごし、翌日の釣り場に不安はあったものの、やや
強い風の音を聞きながら眠りについた。
 

10月9日 5時近くなってから外へ出るとケンさんが現れたのには驚いたが、仕事で旭川まで来ていたとのことで、今シ
ーズンの雪辱を晴らすべくウルシさんが同行していた。
明るくなってからキャスティングを始めるも、サケばかりか小魚の反応すらないこのポイントではあったが、中型漁船の日曜日の出漁はないことと第四埠頭の閉鎖のために見渡す限り普段釣り人など入らない場所まで満杯になっていた。しかし、私達がいる間に釣れた様子は一度もなかった。
第四埠頭入口で開放待ちしていた仲間から、開放時間が確定したとの電話で入口へ向かうと、昨夜よりも更にたくさんの車が待ち受けていて驚かされた。メガ弟さんも現れて、チームのみんなが初めてこの第四埠頭の開放時間に立ち会う機会を得たが、想像を絶

第五埠頭の夜明け
する釣り場争奪戦となった。
6時50分になって、市役所の係員がやってくると同時に並んでいた車のエンジンがかかり、ようやくゲートのチェーンが外され半開き状態となったところで先頭は自転車部隊、次に地元らしきバイクのおじいさんたちが解放とともに走る!そして市役所係員と日通の担当者の車が横に移動されたとき、次々とエンジン音が高回転になり、中にはタイヤを鳴らしてダッシュする車もみられた。
海に向かって左側に並んでいた車が優先順位が高いのであるが、右側から割り込む不届きな輩(やから)も現れるので時々それらをけん制しながら大回りに入っていく車もあるほどだった。とにかく凄かった!の一言である。 
釣り場に落ち着き、7時10分頃からようやくキャスティング開始!今回はキッシーさん、リンさん、ウルシさん、ケンさん、そ
して私達夫婦の6人だったが、いつの間にか入り込んできた帯広から来たという年配のおじさんが私とリンさんの間に
ちゃっかり入ってきていたものの、何の問題もなかったのでそのまま入れてあげることにした。
この日の浜一は私達よりも30mほど右に入釣していた足寄の佐父さんで、一投目でヒットしたそうだった。そして、私達
の中では7時13分に私がその幸運をGet!したのであった。やや沖目でアタリがあったのだが、正面からの太陽が海に
反射してウキは全く見えず、合わせのタイミングも感覚だけがたよりだった。見えた魚体は銀ピカのメスで、時間的にも
新しい群れが入ってきたものと思われた。

リリースした妻のサケ
寒い朝だったがこの一本で汗をかくほど暑くなったので、しばらく休憩をしてまったりとした時間を楽しんだ。
その後、様子見だけに来ていたメガ弟さんが去った7時27分、妻が半分ほど巻いたところでヒット!
しかし、見えたのはブナザケのオスで、ファイトしながらも妻は少しだけ不満そうであったが、3週間ぶり

銀Bだが、身はAクラスだった
にサケをGetすることができたのである。ブナB判定をしてすぐにリリース。
そして7時56分にはキッシーさんにヒット!ここでケンさんに向かって一言「アキアジ
釣り簡単だから!・・・」この時のケンさんの表情は想像におまかせすることにして・・・当然のことながらこんな時は確実
にネットイン!銀ピカメスをGetしていた。
しかし、僅か数分後の8時丁度に奇跡は起こったのである・・・・・ケンさんのロッドが曲がっていて、少しビビリがちな慎
重なやりとりが行われていた。ウルシさんが差し出すタモに無事ネットインして、ついにリベンジ達成!そして一言「アキ
アジ釣りって簡単っスねー!」おめでとうケンさん!

ケンさんヒット中

みんなで喜んだ一本
思い起こせば昨年の帽子岩で、僅か1時間の間にさっくりと3本釣ってその足で仕事に行ったことが、仲間内からは伝
説的に語られていたものの、今シーズンは二度の釣行でボウズを食らってしまい、伝説の釣り師から伝説のピエロに
なっていたケンさんだっただけに、その喜びは計り知れ
ないものがあった。
8時42分にはウルシさんにヒット!難なくネットインして6人中5人に均等に1本づつ釣れたことになった。残るはリンさんただ一人となってしまったが、アキアジ釣りというものはこのままリンさんに釣れて全員が満足するような甘い世界ではないのが普通なのである。
ケンさんは9時前に納竿して「もう一回くらい来るかも知れない・・・」と、すっかりご満悦の表情をみせて去っていった。
9時25分、半分以上はリーリングしていた時の妻にヒット!しかし、見えた魚体は1本目よりも更にランクダウンのブナブナオスだった。釣れたうれしさもあったが、次こそは銀ピカを釣りたかった妻だったので少しガッカリしていた。
黒くて怖い顔のオスはなかなか針が外れなかったので、仕掛けラインとフックの糸を切ってリリースすることとなった。
この時間までは私達の場所が釣れていて、他の場所に入った仲間からもうらやましがられるほどだったが、全体的には30本ほどとあま

ウルシさんヒット中
り釣れていないこの日の埠頭だった。
それからしばらくの間は静かな時間が流れ、好天ではあったが沖の堤防に打ちつける波の大きな音だけが聞こえてき
ていた。予想通り帽子岩は釣りなどできない状態だったので、今回の場所選びは正解だったようだ。
11時02分、キッシーさんがウルシさんの近くでおしゃべりをしていた時だった・・・ビュッ!思わずその場から逃げてしまう
ようなウルシさんのアワセを見てしまったキッシーさんだったが、ウルシさんにヒット!そして妻にもヒット!ウルシさんと
妻の同時ヒットがやってきたのである。どちらも銀ピカの上に大きなサケで、寄せるには時間がかかっていたものの妻
は痛恨のバラシ!
           
         ウルシさんと妻が同時ヒット!                   重役出撃&重役フィッシング
しかし、ウルシさんは無事にネットインし、大きさは80cmだったが幅広の立派なサケだった。
午後からはさすがの帽子岩好きの師匠も私達の場所に現れて釣りを始めたが、ただ一人釣果のないリンさんは夜に
戻ると言い残して一時帰宅となった。
15時半過ぎからいつも釣れている好ポイントで小爆発状態となり、私達の場所も期待できそうになってきたところで16
時08分、師匠が貫禄の1本をGet!
その後キッシーさんに2本目がヒット!しかし、ブナザケだったのでリリース。私達の場所には爆発は起こらず、何回か
のアタリだけとバラシがあっただけで日は暮れてしまった。
朝は不調だったQちゃんたちが入釣していた場所は、夕方の小爆発によって大漁だったそうで、5本釣ったQちゃんは
満足そうに今シーズンのサケ釣りを完結していた。
暗くなってからキッシーさんと買出しに出かけている間に洋子さんと八代さんが着いていて、みんなで夕食を食べながら
のおしゃべりを楽しんでいるうちにリンさんが帰ってきた。しばらくはおしゃべりを楽しんだが、疲れのせいもあって21時
前には床につくこととなった。 


10月10日 目覚めたのは3時半過ぎだったが、充分な睡眠がとれたせいかそのまま眠れずに起きていると、隣に師匠
が到着したと思われる物音が聞こえてきた。コーヒー豆を忘れてきたので今回も物足りない朝だったが、時間は充分に
あったのでゆっくりと準備を始めた。
しばらくしてから外へ出てみると正面の知床方面が明るくなり始めていて、その明るさのせいで海面はよく見えていたがベタ凪で魚の跳ねもなかった。そして、近くに佇(たたず)んでいた人が、最近下火になった韓国ドラマ「初恋」の主人公の姉の亭主役で出演しているチョンナム(役名)で、彼はしがないギタリスト役として出演していたが挿入曲も本当にしょぼいものが多かったので、ついつい「もっとましな曲が作れないものか?・・・」などとどやしていたものの、返ってくる言葉も日本語だし・・何か変だなあと思ってよくよく顔を覘き込むと、なんと!そこにいたのは釣り開始時間まで退屈していた師匠だったときには・・とっても気まずい!(チョンナムなんて誰も知らないなあ・・・BS2で木曜23時から放送中。似ている・・・?)
車内で準備はほぼ済んでいたので、さっそくキャスト開始するも「浜一狙っているしょ!」などとみんなに言われたのは私の行動が見え見えだったせいであっ
たが、これはあっさりと近くの人に奪われてしまった。
昨日の夕方の小爆発が、この朝マズメを期待させてくれていたものの、実に静かな朝マズメとなってしまい、小魚のアタ
リが一度あったきりで釣れそうな気配は全くなかったのであった。
この日のメンバーは、キッシーさん、リンさん、師匠(奥様は車内でお休み)、洋子さん、八代さんの7名だった。そして、
昨日の私達の間に入ってきていた帯広の人も、やはり昨日と同じ場所にいたが、釣れそうにないからと午前中に帰っ
てしまっていた。
他の好ポイントが時々釣れる程度で他のポイントはまるで無反応だったが、こんなときこそ師匠が釣ってくれる・・・5時
12分であった。日の出前の充分な明るさがない時間帯であった。そして、洋子さんにもチャンスがやってきたのだが・・・
痛恨の早合わせで乗らず・・・残念であった。
        
            リンさんヒット中
この日はリンさんが釣れたらいいなあ、と思っていた5時47分だった。私の右にいたリンさんにヒット!釣れたのはメス
だったが、なかなかのビッグサイズでリンさんご満悦だった。「ただ一人釣れていない」とか「今シーズンサケを釣ってい
ない・・」などと言われ続けてきただけに、その呪縛から解かれた喜びは一入(ひとしお)であったろう。
しばらくするとメガ弟さんが現れたのでサケ釣り参戦か?誰もがそう思ったが、持参していたのはグレート鱒レンジャーにチカとロックフィッシュ用の仕掛けだった。
ロックフィッシングを楽しんでから、海面近くをたくさんのワカサギの群れが泳いでいたのでそれを辛くもGetしたり、そのワカサギをエサに大物狙いまで楽しんでいたが、その後は風のように去っていった。
彼はいったいいつになったらアキアジ釣りをするのだろうか?
この日の主役は、なんといってもリンさんだった。2本目もメスを釣って満足していたのに、3本目も釣れてしまった上に、またまたメスだったから大喜びだった。
しかし、3本目はブナザケだったので、気が付くと産卵を始めていたようでイクラがこぼれてしまっていたという一幕もあった。
リンさんはベテランなので、昨日のように釣れない日があっても決して無理はしないし、釣れる時が必ず来ることを知っているのである。
ボウズに悔しい思いをするからこそ、釣れたときの喜びもより大きなものになることを経験上知っているのだ。
ベテランの人から何かを見習わなければならないとすれば、リンさんのこんな姿のような気がする・・・。
8時48分、今度は八代さんにヒット!左の方でワーワー騒いでいるなあと思ったら彼女にヒットしていたが、無事ネットインして今シーズンの8本目をGet!隣のお兄さんが親切に魚の針外しなどをしてくれていたのでお任せすることにした。
この日の私とキッシーさんは、リンさんの呪いが掛かっていたような気がしていた。というのは、昨日から釣れないリンさんをネタに笑っていたバチが当ったようなバラシが何回かあったからで、絶対に乗ると自信を持った合わせに乗らなかったり、目の前すぐの余裕のない場所でのアワセを強いられたりしていたからだった。
苦しむ人をからかってはいけないことを学んだが、次の週には忘れているかもしれない・・。ただ、この日は恨みのない師匠までバラシが多く、本当はリンさんの呪い?などなかったのかもしれない。
11時20分には再び八代さんにヒット!9本目が釣れて、とうとう二桁
釣りにリーチがかかってしまった。
お昼前には納竿しようと決めてはいたものの、ポカポカ陽気の好天の下でボウズだけは避けたいし、洋子さんにも一本と思っていたのでもう少し続けることにした。
お昼にはリンさんの車内でコーヒーをご馳走になりながらくつろぎ、その後少し遅めの昼食を食べてから釣りを再開すると、風向きも潮の流れも変わり始め何となく釣れそうな空気が流れはじめていた。
そして何と!八代さんにまたヒット! このサケもバラすことなくネットインしたのが13時52分だった。これで今期10本目となり、この釣れていない日にもかかわらずリンさんと同じ3本目だから驚きだ!
14時02分前にアタリを感じたときは奇跡が起こったようなうれしさだった。しかし、なかなかしっかりとは食いついてくれず辛抱しているのはたいへんだったが、ようやくアワセを入れたものの自分としては
60%のタイミングだった。しかしバレずにリンさんの差し出すタモにネットイン!
実はこの時、キッシーさんのウキに反応があったのが見えていた・・・私と同様に合わせには至らない難しい状態だったそうだが得意の聞き合わせで乗せたそうで、これもリンさんの待つタモにネットイン!
お互いを称え合ううれしいダブルヒット&Get!となった。
このサケは状態の良いウ

サケの周囲にはウロコが飛び散っていた
ロコがポロポロ剥がれ落ちる銀ピカで、しかも二人ともにメスだった。
腹が太いメスではあったが、筋子の大きさはさほどではなかったために肉厚の切り身を作ることができた。
予定時間の2時を過ぎていたので帰る準備をしようと思ったところ、妻も洋子さんももう少し頑張りたいとの事で更に続
投!しかし、周囲でも釣れることは滅多になくなってしまい、15時には納竿とした。
ほぼ片付けが終った頃に、再びメガ弟さんが登場。しばらく談笑をしてから埠頭を後にした。途中すれ違ったメガ弟さん
は帽子岩に挑戦すると聞いたが、まだまだ波は高く見えていた。
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