10月の釣り vol.3



    ■ 帽子岩

10月14日 網走地方は波が高くなりそうな天気予報だったが、ほとんどの時間帯で南の風とのことで問題なく出撃する
こととなったものの、定置網の漁獲量が金曜日から激減していたのが気になっていた。
珍しく的中していた天気予報どおり網走に到着した頃には雨が降っていたものの、帽子岩駐車場に着く頃にはすでに
雨が上がっていた。私が着いたと同時に、翌日は仕事で出撃しないはずのレガオさんも到着して不思議?だったが、
細かなことは抜きにして久しぶりに車内で飲むことになった。
最近は釣れていないことと、翌朝の雨予報のせいか車中泊している車も少なく静かな夜となり、私達も日が変わる頃に
は寝ることにした。


10月15日 準備を済ませてから外に出てみると、レガオさんは先に起きていてウメちゃんと車の中で話をしていたとい
う、元気だなあ!私が先に出発して釣り場へ向かったが、間もなくメンバーが着いた頃には少しだけ明るくなり始めてい
た。
今回のメンバーはレガオさん、ウメちゃんとその仕事仲間の5人だった。以前から比べると釣り人も減って60人程度だろうか?5時半頃からのキャスティング開始だったが、雨は降りそうになく風も後方からの南風なので寒くはなかった。しかし、釣れない・・・私達の左15mほどのところでヒットした人がバラシ!そして、その後6時の鐘の音が聞こえるまでに僅か2本釣れたのが確認できただけだった。
6時半前にはレガオさんたち三人が仕事のために納竿、地元のベテランさんたちも釣れないとなるとあっという間に釣り場を去っていった。
その後、7時頃からポツポツと釣れ始めたものの後が続かず、9時までで20本には達していないような状態だったので
妻は車に戻ってしまった。
10時を過ぎた頃に微かなアキアジのアタリがあり、アワセを入れたが乗らず・・・これがこの日の初アタリだった。ちょう
どこの後に洋子さんから電話があったので釣れていないことを話したが、それでもこれから出発すると話していた。
お昼にはキッシーさんが散歩がてらやってきて、私を釣り場から撤収させようとあの手この手で試みるも、妻が駐車場から昼食に戻ってきたので諦めて帰ったが、その僅か15分後にはリンさんが寒くはないのか?半袖姿でやってきた。網走に用があったとはいえ、駐車場から遠い釣り場まで歩いて来てくれたリンさんの優しさには頭が下がる思いだった。
15時には洋子さんが到着、キャスティングの練習をしながら夕マズメを狙うが、いつもの場所で数本釣れただけだった。
しかし、洋子さんは練習の成果と新しく購入したロッドのせい
 で格段に飛距離が出るようになった。
この時期の早い夕暮れと曇り空で、17時前には納竿とした。釣れる気配の薄い帽子岩での釣りだったが、人が少ない
おかげでのんびりできるという、ここに来はじめた頃のような気分で、実にまったりとした過ごし方ができた。
駐車場に戻って洋子さんは睡眠不足のために食後すぐに寝てしまい、私達はテレビを観たり友人たちと連絡を取り合
っているうちに睡魔が襲ってきて、21時前には床についた。


10月16日 外の騒々しさに目が覚めた時には弱い雨が降っていた。自転車で釣り場へ向かう道すがら、昨日と違う人
の多さに驚いてしまったものの、奥へ行くほどに人は少なくなっていた。しかし、昨日の釣れていない情報が流れていな
いのか?明るくなるにつれて三連休の混雑となんら変わりないほどたくさんの人となっていった。確かに、例年であれば
この時期に爆釣が起こることも多かったのだが、どんなに贔屓目に考えてもこの日は例年のような釣りは無理であろう
と、昨日も釣りをしていた地元の方と予測をしていた。
洋子さんが到着したので予備ロッドを使ってキャスティングの素振りをしながら妻を待っていると、明るくなりかけた頃にやってきて人の多さに驚いていた。帽子岩の下の磯場でも15人くらいは入釣しているような状態であるから、全体では200人以上はいるだろう。しかし、明るくなりかけてほとんどの人がキャスティングを始めたものの、誰のロッドも曲がらなかった。
5時半近くなってようやく釣り場に立ったが、左となりのグループが足場の悪い場所だったので、私達の来なかった友人の場所を提供してあげることにした。   
妻と洋子さんの間に一人入ることとなったが、このグループの人たちはなかなか賑やかで楽しい人たちであった。
そして、その場所を提供してあげた人に浜一のヒット! した
みたいだったが・・・「ウグイかなー?・・・いやサケかなー?・・・・・」などと言いながら巻いていて、そのうち仲間に「先生
ー!タモ・タモー!」と言い出した。
目の前まで寄せてから薄暗いなか見ているとサケらしいが、ずいぶんとおとなしい・・・暗いせいなのかタモ入れに苦労
して、ようやくタモに入ったので確認したところ65cmの小さなブナメスであることが判明したのであった。
浜一が私の譲った場所で、友人が釣るはずだった一本となったのは複雑な気持ちだったが、気分的には共同募金をし
たと考えれば善意の一本?のようなものであろう。
そして、5時33分だった。やや遠めでアタリ・・・前日の辛抱しきれずの早合わせを教訓にタイミングを計ってアワセを入れて・・ヒット!この時期にしては結構なファイトを楽しんでいたが、見えた魚体がピカピカで思わずニンマリとしてしまったものの、足元まで寄せてから「何か小さいなあ?」先ほどの人のサケも小さかったが更に小さい・・・しかし無事ネットイン!
先週に続いて銀ピカだが、今回は超銀ピカのメスGet!となった。文句なし銀B判定だがあまりにも小さいので長さを測ってみると55cmというミニアキアジだった。普通のアキアジを見慣れていたので40cm台だろうと思ったほどである。
2003年の11月8日にチカさんが釣ったミニアキアジと同じ大きさだったが、調べてみると2002年10月18日に妻が釣ったアキ
アジは51cmで、これが最高記録であることがわかった。このサケは筋子もしっかりしていた上に、身が赤くて味も良い
上物であった。
この日は9時に納竿しようと決めていたので最後まで集中して楽しみたかったが、ついつい釣れた余裕からかダラダラ
フィッシングとなってしまったのは、よく晴れた青空と賑やかなお隣さんたちのせいでもあり、目の前を頻繁に通るアキ
アジを狙っていたり、お話をしたりと楽しい時間を過ごすこととなった。
いつものヒットポイントは全く釣れておらず、私達の近辺ばかりで釣れていた。釣れていたといっても僅かの数ではある
が・・・。洋子さんも妻もアタリはあったが、合わせるようなアタリではなくて悔しがっていたが、持ち前の粘りでキャスティ
ングを続けていた。
7時半過ぎには朝食をとってゆっくり休憩をしている間も釣れた様子はなかったが、川にキャストする密猟者はいないし真面目に釣り続ける人が多いので、気分的にも良いものがあった。一昨年の乱れきった帽子岩がウソのように優良釣り場に変身した感じがしたが、すでに釣れなくなっている事で「サケを獲る!」釣り人に代わって、本来の「サケを釣る」という楽しむ釣りをしたい人たちが集まってきているような気がした。
予定時間が近づいたので5分前には納竿とし、結局この時点で全体7本という貧果ではあったが、幸運にも手にした一本と楽しいひと時と青空が今シーズンはこのまま終了しても構わないという気持ちにさせてくれた。例年、ミニサケが釣れる時期でもまだまだ釣れるのだが、魚の状態が悪くなりはじめるので楽しみは半減してしまうのである。
埠頭に入っていたコマさんからのメールでは、隣の人が釣っ
た一本だけがこの時点での第四埠頭の釣果であったというし、止別も全く釣れていないらしい・・・これからの定置網に
入るサケの量にもよるが、ワカサギシーズンまで釣りはお休みとなる可能性もあり得る。しかし、まだ10月半ばなのでも
う少し楽しみたい気もする。
まだ頑張ると言う洋子さんとお隣さんグループに別れを告げて、日が高くなった分ポカポカ陽気の下をのんびりと歩きな
がら駐車場へ向かった。駐車場付近ではパトカーの姿が見えたが、加工場交差点付近などの駐車違反の取締りをして
いたようであった。少しでも近くに停めたい気持ちはわかるが、独りよがりは他人の迷惑になるばかりでなく、我が身に
帰ってくるものだということを見てしまった。
帰り道は留辺蘂や層雲峡など各地の山が見事に紅葉していて、その景色の中を走ることができただけでも満足だっ
た。





    ■ 帽子岩

10月21日 前回のこの釣行記を読み、今シーズンは終ったと思い込んでいる妻と多少の意見の食い違いはあったもの
の、いつもどおりに網走に向けて出発。途中、師匠からの電話で師匠も帽子岩に向かっていることを知り、翌朝の釣り
も知り合いがいると思うと心強い気がしていた。
網走の定置網は出漁を休むほどサケが激減しているのだが、これがそのまま釣果に当てはまるのかと言えばそうでは
ないのが面白いところで、例年この時期には漁獲量が減っているにもかかわらず爆釣が起こっているのである。その
ようなデータを知ってか知らずか?駐車場は先週よりも車の数は多かった。
南の風弱く波は50cm程度で、翌朝も曇りの予報だったので安心して眠ることができた。


10月22日 起きたときには、波の音が大きくなっていた。釣り場に向かう途中の、最近人気の直線部分は通路まで濡
れるほど波しぶきを被っている様子だが、平然と夜明けを待っている釣り人たちがたくさん居てキャスティングはできな
いでもないが、どうやってタモ入れをするのだろう?と思ったくらいである。波を避けて奥側に入釣したが、その後も
次々とやってくる釣り人で帽子岩の根元まで一杯になり、このうねりの中で磯場に立つ人も現れるほどだった。
厚い雲に覆われた空はなかなか明るくならず、周囲でキャスティングを始めだしたのは5時20分頃だったろうか?少しの間だけ静かだったが、右隣の人にヒットしてから少し離れた左側でもヒット!これはいけるぞと思い3投目をキャストしてから10秒くらい経った時だった。
やや遠目だったが、ようやく修理から戻ったモンリミ93なので感度はバツグンで、サケが食いに来ている感覚がビンビン伝わってくる。こんなに感度が良かったのかと感心しながら、ウキはどこだと探す・・

少し紅葉していた
みつからぬままヒット!
ずいぶんと重くドラグを鳴らしてくれるサケだったが、近くまで寄せた時に重さが倍になった?薄暗いので見えにくかっ
たが、流れてきたビニール紐の大きな塊(場所取りに使用されたものらしい)がラインに絡み付いてしまっているようだ
った。それに加えて何度も走るサケだったので、サケはゴミが邪魔で全く見えないがオスだろうと予測はできた。

入口付近は朝から波が高い
隣の方が心配して手伝ってくれたが、横にいたその人でもビニールに隠れサケが見えず手間取ったものの無事ネットイン!なんと、その人は先週も私の横にいた方であった。
ぐちゃぐちゃになった仕掛けだが、とりあえず大きなブナオスをリリースしてから作業に取りかかったものの、簡単には外すことができず、結局は仕掛けを切ってしまうことになり、ついでにロッドも長いものに交換している最中も周囲では小爆釣状態が続いていた。しかも、釣れているサケはブナよりも銀ピカのほうが多いようだった。 
長いロスタイムとなったが、今度は別の問題が発生!仕掛けを組み直している間に5人ほどの若い女性グループが私の横に入釣し、投竿を使ってウキルアーをキャストしていたのだ
が、斜め投げは許せるにしても聞くとタモ網はないと言うのである。しかし、話をすると障害を持った人たちのようだった
ので、何も言わず温かい目で見守ることにした。
釣りをしていた女性は一人だけだったのだが、初めてのようなキャスティングと一投ごとのけたたましい妙な笑い声に、
すっかりペースを乱されてしまったのか、サケは確実にいると思われるのに私にはアタリすらなくなってしまったのであ
る。
その後、その女性にヒットして(アワセは入れていないので完全な向こう合わせだった)、隣の人がタモ入れをして無事
ネットイン。大騒ぎしていたが、しばらく粘っていたもののその後は釣れず、いつの間にかいなくなってしまった。
ようやく自分のペースに戻った私ではあったが、時すでに遅し!あまり釣れない時間帯に入ってしまった。
20mほど離れた場所に入っていた師匠は、この日はどういうわけか一本も釣っておらず「エサが腐っている・・・」などと
言って駐車場に戻っていたが、持ってきたエサを使いすぐに釣ってしまったのには驚いてしまった。そして、全体的にも
釣れなくなっていたので、これから師匠のワンマンショーが始まるのかと思いきや・・・期待に反してその後は全く釣れな
かったのであった。
師匠の隣にはマリゴケさんが入っていて、久しぶりに師匠夫妻を交え彼ともお話をして楽しんだが、師匠もマリゴケさんも9時過ぎには帰ってしまった。妻は駐車場の車内にいて釣りはしていなかったので一人きりになってしまったが、先週の釣りグループや隣の方たちがいたので寂しい気はしなかった。
次第にうねりが高くなり、帽子岩の根元付近では打ち寄せるうねりの大きな音とともに高いしぶきが上がり始めていた。
その後の私は不注意からエサ箱を落としてしまっていて、師匠とマリゴケさんから分けていただいたエサも残り僅かとな
った時にアタリ・・・しかし合わせるもフッキングせず、エサがなくなるまではと続けていたがそのエサも尽き、もはやこれ
までかと思って最後の一投と決めてキャスティング・・・・・遠投でアタリ・・・慎重にアワセのタイミングを計りヒット!
最後の一投でヒットするとは何と幸運なことであろうかと喜びつつも、最後なのでゆっくりと楽しみながらのランディング
だった。しかし、小さめのブナオスだったので「今日は銀ピカに恵まれなかった・・・」と隣の人に言うと、この時間に釣れ
ただけでも良いですよと励まされてしまった。

帰る頃の釣り場
波の影響など全くなかった私の釣り場付近にも次第にうねりが来始めたので、そのままリリースして納竿準備をしてい   たが、すぐに奥からやってきた人が私の場所に入り「奥は波被って釣りにならない・・・」などと話していたが、確かにあそこでは危険すぎる!
先週と同じく、この日も朝マズメ終了後のあまり釣れない時間帯でも密漁する人は全くおらず、今期逮捕者が続出しているせいなのかは定かではないが良いことである。まだまだ釣れそうな気配はあったが、身の危険を冒してまでする気はないので、持ち帰りのサケはなかったが釣り場を軽やかに後にした。
その後、第四埠頭に入った師匠は更に厳しい釣りとなったようで、師匠が着いてから全体1本、朝からでも3〜4本とい
う釣果だったそうである。
帰り道、網走湖では早くも白鳥が羽を休めており、紅葉の中にも晩秋の気配を感ぜずにはいられなかった。お昼は久
しぶりに常呂レストハウスに寄ってみたが、この時期から始まる「カキづくし定食」はまだメニュには入っておらず、ホタ
テづくし定食とカキ丼を食べた。高規格道路の入口の駐車帯で仮眠をとり、自宅には16時過ぎに到着した。
翌日の日曜は、更に悪化した天気のために埠頭でも釣りにならず、全体で1本しか釣れなかったと聞いた。当然、帽子
岩は釣りなどできるはずはないが、もしも入釣した人がいたとしてもその釣果など感心して聞いてはいけないと私は思
う。





    ■ 帽子岩

10月28日 「サケ釣りはもう終った・・」とか「釣れていないようだ・・」とか「雨と寒いのはイヤだから・・」などと、今シーズン
のアキアジ釣りは終了?していたとばかり思っていたキッシーさんから電話があった。そろそろ最後のアキアジ釣りをし
たいから一緒にどう?というもので、ブログなどでもあれほど公言していた終了宣言?(のようなもの)とは裏腹に、彼も
やはり釣り大好き人間だったのだろうと、うれしくなるような思いで快くOK。
いつもどおりに出発したが、今回は用心してスタッドレスタイヤに交換済みだったので騒音が少しだけ気になった。午後
から帽子岩入りすると言っていたマリゴケさんへの電話が繋がらないのが少しだけ気になったが、彼のことだから心配
は要らないだろう。後で聞いてみると、思ったとおり自宅に電話を忘れてきていたそうだった。
21時半過ぎに帽子岩駐車場に到着すると、キッシーさんとマリゴケさんが出迎えてくれた。すぐに車内での軽い飲み会
となったが、最近は妻と二人だけだったので随分久しぶりのことのような気がして楽しかったが、疲れのせいか体は喜
んでいないようなバランスの取れない釣り前夜となった。
1時間半ほどおしゃべりを楽しんで、23時には解散して各自の車に戻り翌朝に備えることにした。


10月29日 4時起床、車内で準備中にキッシーさんは先に行っていると合図して出発。準備を済ませて外に出ると、マ
リゴケさんがママチャリに跨(またが)り待っていてくれたので一緒に出発。釣り場の入口付近は波があるらしく入釣者も
おらず静かだったが、奥に進むにつれて人も多くなっていた。情報ではさほど釣れてはおらず釣果はあまり期待できな
いはずなのだが、皆さんも私達同様に最後の釣りを楽しみたいと考えているのだろう。
釣り場へ着いて夜明けを待っている間も風はあったが寒くはない、この時期としては厚着のせいか暖かく感じるほどの
気温だった。5時を過ぎてもまだ薄暗いので数人しかキャスティングをしていないが、最盛期であればとっくにキャスティ
ングを開始しているような状態ではあった。それからしばらくして周囲の人たちもキャスティングを始めたものの、まだ何
となく早い気がしていたのだが、キッシーさんが「そろそろ始めますか?」と、珍しいことを言ったので素直に釣り場へ下
りた。しかし、予想通り全くアタリもなく静かな時間が流れたが、少しすると周囲にいた人のロッドが曲がりはじめた。
そして仲間内での初ヒットはマリゴケさんにやってきて、いいなあ!と思いながら見ているところにアタリ・・・かと思ったら
右隣二人目の人が私の仕掛けを引っ掛けていた。どうすればそんなにぐるぐる巻きに絡むのかと思うほど巻きついて
いて、間にいたその人の仲間が外そうとしていたが時間ばかりかかってなかなか外れなかった。周囲では時々ヒットし
ていて、気持ちばかり焦るが仕方がないので諦めて待つことにした。
待つ時間は長く感じられ、今シーズンの帽子岩は大事なときにこんなトラブルが多いなあなどとと思いながら待つことし
ばし・・・ようやく外れたが、お隣さんのキャスティングに注意しながらのキャスティングとなった。
しかし、釣れ始めたかと思ったのは僅かな時間だけで、市内のお寺の鐘の音が「ゴーン(釣れ〜〜ん)!」鳴る頃には、
波ばかりか魚の気配もない静かな海となっていた。唯一、磯が頻繁に釣れている様子がこちらからも見えていて、次第
に磯へ移動した釣り人の数が増えて、この時期としては賑やかな釣り場になっていた。
この日は面白い釣り方を見てしまった。釣り方というよりも魚の取り込み方法で、ギャフを使って取り込みをする人がいたのである。その人に聞くと、タモ網は大きくて邪魔になるので自作のアキアジ用ギャフを作ったそうであったが、9月の元気なアキアジにも使えるのだろうか?気になるところである。
ここまで一度のアタリもなく、エサとりの小魚すらいないのかと思っていたところ、7時少し前になってアキアジの反応があった。
この時期にしては珍しいゴンゴン!という特有のアキアジらしいアタリだったが、なかなか合わせるまでには至らず我慢のリーリング。
そして、何とかフッキングさせることができたが、今回は来シーズン購入予定のロッドのための長さや重さなどを体感す
るための随分昔に購入した安物のロッドだったせいか、アワセはこれでいいのだろうか?と考え込んでしまうような鈍い
手応えだった。
メーカー修理から戻ったばかりのタモを持って難なく妻がネットインしたが、何と!まさかのすっぽ抜け・・・タモの付け根が外れてアキアジ諸共海中転落してしまったのである。すぐにマリゴケさんが来てくれて、彼のタモにアキアジが入り無事だったが、私のタモ網部は海中に沈んでいて簡単にはとどかない・・・。ここで先程のギャフをお借りしてタモ網は無事戻ってきたのであった。
10月1日にレガオさんの新品のタモの付け根が同じように外れ、何年か前にはキッシーさんにも同じことがあったが、まさか自分のタモも同じことになるとは、驚いてしまったというよりも笑ってしまう珍事だった。 
釣れたアキアジは大きなオスだったがブナだったのでリリースして、ボウズはなくなった安心感からかしばし休憩、真面目に釣りをしている3人を見ながらも、興奮と厚着のために暑くなっていた体を冷ましていた。
それから、すぐに諦めて上がってきたキッシーさんとおしゃべりをしているときに、ふと見ると妻にヒットしていた。ここのところ早合わせで何度か失敗していた妻だったので、じっと我慢のアワセだったそうであるが、なんとかフッキングさせたようである。マリゴケさんからタモ網を借りてネットイン、銀C判定のメスはウロコのはげ方が大きかったからで、リリースしようかとも思ったが妻の希望もあるしメスということもあり持ち帰ることにした。妻は近くの人に釣り方を褒められたのがうれしかったようで、満足気な妻を見て一安心。
その後は全体でも20分に一本釣れるか釣れないかのオフタイムに入ったので朝食の準備をしていたところ、ガスバーナーでお湯を沸かしている私を見つけてキッシーさんも釣りは中止して愛用のコン

デカい筋子が入っていた
ロでお湯を沸かし始めていた。
朝の暖かさが俄(にわか)に冷たい風に変わり始めていたので、火の温かさが指先を温めてくれたのが焚き火をしてい
るかのような温かさとなり心地良かった。カップめんとおにぎりだが、こんな場所で食べるだけで美味しくなってしまうの
がアウトドアの妙である事を感じつつ、最後の帽子岩での朝食を楽しんだ。
9時過ぎのことだった。マリゴケさんとおしゃべりをしながら、妻とキッシーさんを見ていたときキッシーさんにヒット!と思ったら何と!型の良い真カジカが釣れていた。
「ブナザケを釣るよりも価値があるね!」などと話していたところ、カジカの口の中から次々と食べたものが吐き出されてきた・・・ワカサギ、溶けはじめているカジカと正体のわからない生物など3種類のいずれも魚体と比べると大きなものだった。
これで全員がボウズ回避と思われたものの、やはりキッシーさんにアキアジを一本釣
ってもらって、全員がアキアジを釣ったところでシーズン終了となることが一番理想の終り方となるので、もう少しキッシーさんに付き合うことにした。
その後、マリゴケさんに再ヒットしたが、銀ピカの魚体が見えたところでバラシ・・・残念だった。
惜しかったねと話していると、妻とキッシーさんが何やら海中に発見したことを聞く。どうやら、先週私が落としてしまった
タモだということで回収を試みることになった。ウキを外した私のロッドを目の良いキッシーさんに預けたところ、数回の
試みでフッキング成功!しかし何かに引っかかっているようで引き上げられない・・・ルアーのロスト覚悟でロッドを私が
受け取り強く引くと動いたが重い!それでもゆっくりと上がってきたのは正しく私のタモ網だったが、柄の部分は外れて
いて網とその枠だけだった。
しかし、これにはたくさんのおまけが入っていて、ウニやおびただしい数のカニが重さの原因だったのである。10cmほどのタラバガニを小さくしたようなカニで、20匹以上いただろう。釣りをしていたマリゴケさんも呼び、この珍しい小さな生き物を見ながらこの日二度目の珍事を楽しむこととな
    

           カニやウニがたくさん
った。
騒動が収まってようやく釣りを始めたところで、待望のキッシーさんにヒット!最後の釣りだからゆっくりと楽しんでいる
のかと思ったら大きなオスのアキアジだったそうで、意外にも真面目にやっていたということが釣りあがったアキアジを
見て理解できた。幅広の79cmはこの時期にしては立派なものであった。これで理想としていた全員Get!を達成したこ
とになり、全体100人以上で30本程度の中では立派な釣果であろう。この後、マリゴケさんは予定通り10時に納竿して、
ママチャリで去っていった。
朝方僅かだが降っていた雨も上がり、晴れ間こそ出てはいないが寒くはなかったので続けていると、本日二回目のアタ
リ・・・特価4800円の感度は鈍いと思っていたロッドでも全く問題ないと思える感触が伝わってきた。
遠くでのヒットなのでウキがどこにあるのか探すことから始まるファイトで、妻もど
こだどこだと探しているので魚は浮いていないようだった。
充分楽しんだ後、キッシーさんのタモを借りてネットイン、またしてもブナオスだったが朝の一本目よりも状態が良かったし、最後なのでキープしようか迷ったものの結局リリースしてしま
った。
その後はマリゴケさんが居たポイントへ移動して、11時にはやめようと話していたものの何となく3人ともダラダラ続けて
いたところ、キッシーさんのウキの近くにあった私のルアー(ウキは見ていないので)にアタリがあった。またもゴンゴンと
いう特有の感触で、すぐには食ってくれないが合わせるに良い状態になってきたところで合わせると・・乗った!
見えた魚体は待望の銀ピカで、白いお腹が時々見え隠れしていた。キッシーさんがタモ入れをしてくれて、差し出すタモにアキアジは自分から飛び込んでネットイン。
まずまずの銀ピカオスだったので当然キープとなり、これで全員が一本ずつ持ち帰りとなるアキアジを釣って2005年アキアジシーズン納竿となったのである。
朝から全く釣れる気がしていなかったのだが、運が良い時とはこんなもので3回しかなかったアタリをすべてものにすることとなった。
駐車場に戻り片付けを済ませ、キッシーさんと別れてから第

身は赤く肉厚だった
二埠頭のトイレに寄り手洗いをして、昼食は久しぶりに「日曜島」へ行ってみた。以前キッシーさんが食べていた、ハン
バーグとスパゲティのセットが食べたいと妻が言うので聞いてみると、私達のことを覚えていてくれて、私が頼んだ特別
注文にも答えてくれたことは実にうれしかった。時間をかけた昼食を楽しんでからは、体も休まったので埠頭の様子を
見に行くことにした。
第四埠頭は開放中だったが釣り場は半分ほどしか埋まっておらず、アキアジ釣りは左端の人たちしかしていなかった。
チカが釣れているのならやってみたいと思っていたので、オイルフェンス近くに車を停めて聞いてみたが、あまり釣れて
いないと言う・・・しかし、周囲を見るとポツポツ釣れているのが見えたので竿を出すことにした。

埠頭はチカ釣りモード
Tシャツにジャケット1枚の薄着だが寒くない程度だったので妻も竿を持ち、イスとテーブルまで出して埠頭らしいのんびりムードとなった。網走ならではの型の良いチカの引きは久しぶりの感覚でチカ釣りの楽しさも味わえたのだが、妻には全くそれがなかった。変だなあと仕掛けを見てビックリ!針が全て折れたスキンだけの仕掛けだったのであった。
今シーズンのサロマ湖で爆釣したときの、大チカで針が折れてしまった仕掛けがそのまま入っていたのであった・・・釣れるわけがない!唯一あったワカサギの仕掛けを使っての再投入となったが、隣の人から頂いたサシを付けて置き竿していたところ、ワカサギ仕掛けの竿が海中に刺さりこんで、大きくはなかったが妻もチカを釣った。
しかし、その後は釣れなくなったので明るいうちに納竿とした。
釣れたー!という数ではなかったが、アキアジ釣りの後にチカ釣りも楽しみ、今シーズンの網走での釣りも無事終了と
なるだろう。
帰り道「事故のため高規格道路通行止」の表示があった。白滝の高規格道路入口は閉鎖されていて、已むなく国道を
走っていると、雷の光で山が一瞬明るくなるのが花火のようできれいだったが、雷嫌いの妻は怯えているだけだった。
久しぶりに走った北見峠は、やはり難所だったが時間を計ってみると高規格道路との時間差は5分から8分程度だと
分かったものの、カーブの多い峠道を通らずに済む高規格道路の有難さを感じることができた。
今シーズンのサケ釣りは期間が短くてあっという間に終ってしまったが、幸運にも恵まれて私にとっては大漁となった。
妻も二桁達成となり、自分なりに満足していたようである。ワカサギシーズンまでは期間がありすぎるので、チカ狙いの
合間のまだ見ぬクチグロやメジカ釣りもしてみたい気がしているが、今は道具の手入れでもしながら今シーズンの楽し
かったサケ釣りの余韻を楽しむことにする。

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