1月の釣り


   ■ 網走湖(呼人)

1月2日 2007年の初釣行は、もちろんワカサギだった。
高規格道路は除雪作業が済んだばかりの快適な路面だったが、大雪が降っていた・・。しかし、天幕インターから国道
に降りてみると、20cm以上にも積った雪の上を何台もの車が踏み固めたあとで、路面はガタガタで最悪だった。
浮島インターチェンジからは除雪してあるだろうと期待して乗ると、ここからも国道ほどではないが悪路と降雪が続い
て、トンネルを抜けてからようやく積雪量が少なくなっていた。
今回、弟一家5人と母が参加の予定だったが、下の子が体調を崩したためにその母親との二人が居残りとなり、メンバーは5人に減って、私と妻以外は寝ていたようだった。
網走市内に入ったのは3時半過ぎで、雪は降っておらず積雪も少なかったが、昨夜出発前に入っていたキッシーさんからのメールの内容が気になっていた。
「網走湖は暖気のためにワカサギ釣りが一時中止となっていたらしい・・・」とあったので、もしものために網走港も視野に入れた準備もしていたのである。
呼人会場に近づいてみると、氷上に光るおびただしい数のカ
ラフルなテント群が見えて一安心。そして駐車場は・・・奥まで入らねば場所がないほど混雑していたのである。
気温はマイナス2℃程度だったので寒くはなかったが、氷上を歩き始めてしばらくすると場所によって30cm以上足元が
埋まってしまうのである。15cmほどの厚さの氷の上に40cmほど積った雪が暖気のためにたっぷりと水分を含んだ氷水
となり、その表面が薄く凍っている状態だった。
前回とほぼ同じ場所にテントを広げて5人の場所を決め、ペグ打ちはできないので水分を含んだ雪をのせて固定する。
穴を開けてみると簡単に貫通するが、シャーベット状の雪がなかなか取れず、掬っても掬っても浮かんできて朱鞠内湖のようだ。
まず、2回目の釣行となる3人が仕掛けを下ろすが、反応がないという・・・次に妻が仕掛けを下ろしてみると底で反応があり、ワカサギが釣れてきた。私はいつものように表層を探ってみると、魚影は薄いがすぐに釣れてきて一安心!
少しすると残りの3人にも釣れ始め、全員がワカサギを手にして順調にスタートすることができた。しかし、解禁日と比べるとその差は歴然で、夜明けまではポツポツ程度の貧果となる。
ワカサギスター2000と、もう一台のワンマントルランタンを使いテント内は明るく暖かくなっていて、ストーブを使わなくて
も寒くはなかった。
6時半を過ぎると外は薄明るくなっていたので一旦車に戻ってみたところ、車内燈が点けっ放しになっていて、危うくバッ
テリー上がりになってしまうところだった。
駐車場は満車になっていて、荷物だけを降ろして第2駐車場へ車を置きに行く人たちが多く見られた。
3度ほど足をとられながらテントに戻り、朝の爆釣前に朝食を食べてその時を待つ・・・しかし、爆釣タイムはなかなかやって来ず、それでも入れ食いに近い状態で釣れる。
入れ食いといっても少しは慣れてきた私と妻だけで、微妙なアタリを初心者が取るには難しすぎるようで、何度か教えてはみたものの、なかなか簡単には釣れないようだった。
9時20分過ぎには妻にのみ爆釣タイムがやってきて、一度に
4〜5匹が一瞬にして釣れていたが、浅場ばかり狙っていた私には多くても2匹程度だった。
外を見ると釣り場は広範囲にわたり数え切れない数のテントや外で釣りをしている人の姿が見られ、この日が正月2日
だということをすっかり忘れてしまうほどの賑わいだった。
昼食を食べ終わった正午少し前のことだった・・・妻に掛かった魚の引きがワカサギとは明らかに違う重くて大きな動きだったという。
カワガレイの、それも大きなものだと確信した妻が氷下まで引き寄せ、その姿が氷の穴から顔を出したときは全員がその魚に釘付けになった・・・何と!アメマスが穴から出てきたのである。
しかし、穴から全身を出してすぐに糸が切れ、再び氷の下に姿を消してしまった。悔しがっていたのは妻だけではなく私達全員だったのだ
が、すぐに私の仕掛けにずっしりとした反応がきた。
アメマスを確信した私は慎重に氷下まで引き寄せ、弟が氷掬い網で掬い上げて無事Get!29.5cmのきれいなアメマス
は、すっかり融けてプール状になった足元を泳いでいた。同時に切れた妻の仕掛けも回収成功。

     

私がリリースしようとすると、母や弟に引き止められてキープすることになった。北海道ではあまり食という観点からは
対象にならない魚だが、本州では高級魚というよりは観光地の焼魚料理として珍重されているので、食べてみたいとみ
んなが言うのだった。
実際、翌朝の食卓に並んだアメマスを一つまみ、恐る恐る食べてみると、これが意外にいける。10月後半のサケの味に似ている。
子供の頃、キャッチ&リリースなどという習慣がなかった頃に、河原で食べていた泥臭い味とは全く違っていたのである。
アメマスの出現でワカサギが散ってしまったのか、アタリは遠のき食いも悪くなってしまうと、私と妻にしか釣れなくなり、すっかり飽きてしまった子供が集中できなくて仕掛けを絡ませていたので、13時には納竿とする。
まだまだ賑やかな釣り場を、時々足をぬからせて駐車場に戻った。
帰り道に見える卯原内川では、能取湖に向かって流れ出る河口に沿ってたくさんの釣り人で賑わっていて、チカなのか
コマイなのかはわからないが釣れているのだろうと思った。
いつもの年であれば凍りついている能取湖も広範囲に渡り水面が見えていて、その先にある常呂漁港も釣り人の姿は
見られなかった。
今回は母と弟親子3人で178匹、妻が526匹、私は久しぶりに妻よりも少ない463匹だった。





   ■ 網走湖(呼人)

1月12日 7日に予定していたワカサギ釣りは爆弾低気圧のために延期となり、予定であれば1月の第二土曜日が解
禁の朱鞠内湖に行くはずだったが、メンバーが多いほど楽しいこの釣りなので網走湖となった。
今回はワカサギ2回目のイノケンさんが私達とは初めてのワカサギ釣行となり、キッシーさんはといえば・・・またまたこ
の夜は会合だったので、翌朝時間未定からの参加となる。
圧雪の快適な路面はどこまでも続き、行く先々の小さな町の中だけが高く積まれた雪に埋もれたような景色だったが、佐呂間町内だけは排雪中で、ロータリー車から飛ばされた雪がダンプに積み込まれる間中停車させられた。
網走市内には22時前に到着し、呼人会場が近くなったにもかかわらず湖上のテントの灯りはあまり見えない・・・駐車場内に入ってよくよく見ても、やっぱり2張りしか夜釣りをしている人はいなかった。
駐車場も僅かに3台・・・最近は釣れているという情報も少なく、各地のワカサギ釣り場が解禁になっているので、そのせいもあるのだろうと車内泊の準備をする。
イノケンさんに電話をすると、すでに網走湖の淵を走行中なので10分ほどで到着とのことで、私達が車内泊の準備を済
ませた頃にはイノケンさんの車の音が聞こえた。
久しぶりにイノケンさんと再会し、お酒を酌み交わしながらも話は当然ワカサギ釣り・・・聞くと昨年初体験した湖では一
匹も釣れず、帰りがけに引き上げた竿に3匹付いていたというので、釣った経験はないそうである。
ここから2時間、ワカサギ釣りの私なりの極意を熱心に伝授してその楽しさを解説し、0時には翌日のために寝ることに
する。

1月13日 4時に目覚しで起きた時には、昨夜寝る前には8台程度だった駐車場にもたくさんの車が停まっていたが、ま
だまだガラ空きだった。着替えてから外に出ると、イノケンさんはすでに外で待機中で、「いやー!昨夜は楽しみであま
り眠れませんでした・・・」と言うので、私もレクチャーをやりすぎたかなと反省する。
前回のお正月の賑わいはどこへ行ってしまったのかと思うほど氷上のテントは少なく、15張ほどしかない灯りが散在し
ているのでなおのこと少なく感じてしまう。
積雪は10cm程度だったので歩きやすく、ソリを引くにもさほど重くは感じなかったが、気温がマイナス13℃以下だった
ので少し息苦しかった。
キッシーさんがおすすめのポイントを目指して歩いていたが、妻が途中でくたびれてしまったのか「ここでいいよー」と弱
音を吐く・・・仕方がないのでその場にテントを広げることにした。
イノケンさんが除雪をして、私がテントを広げて中の準備をしている間に妻とイノケンさんがペグを打ったりテントのすそに雪をのせたりしてと分業する。
場所決めをして落ち着いたところでアイスドリルを回すと、中層にシャーベットの層があり、最後に固い氷があるようで、網走湖にしては水中まで少し深いようだ。
今回も妻が真っ先に仕掛けを投入してすぐにワカサギが釣れ始め、イノケンさんも私も仕掛けを下ろすと快調に釣れ始める。
イスを忘れてしまったイノケンさんは作業用の踏み台を使用していたが、高すぎて使用感が悪かったので地べたにマットと座布団を敷いての釣りとなり、私達が使っている5Lのバケツの倍の10Lのバケツにワカサギを入れていたので、なんだか使いにくそうだ。
二度目にしてはイノケンさん、そして妻も快調に釣って釣果を伸ばしていたが、私は前回使用した使いにくい古仕掛け
を使っていたことと、大事な部分の針が一本切れていたせいもあって二人ほどは釣っていなかった。
薄明るくなるとスノーモービルのエンジン音が近づいてきて、漁協の人が料金の徴収をしていったが、今年に入ってか
ら2件も一酸化炭素中毒による救急車の出動があったので、充分な換気をしてくださいと、勝手にテントの裾のファスナ
ーを大きく開けて行った。

            

明るくなったのは7時頃からで、爆釣タイムがやってくると信じていたところが、本当にそれがやってきたのである。
入れ食い状態はどのタナに落としても続き、イノケンさんは1本の針で2匹釣れることも経験し、7本の針に4匹・5匹と
鯉のぼり状態になるので、私はようやく仕掛けを新しいものに交換することにした。すると、今までの仕掛けは何だった
のだろうか?そう思ってしまうほど軽快に釣れ始めたのである。
この頃、入れ食い状態になかなか釣りを止められずにいたイノケンさんが、我慢の限界に達したのかトイレに走って行
った・・・・・そして再び料金の徴収を呼びかけられたのだが、すでにさきほど料金は支払い済み・・??
そう、キッシーさんが到着したのである。イノケンさんとはすれ違ったそうだが、急を要するイノケンさんは気づかなかったという。
初めにキッシーさんがしたことというと、自分の場所決めをしてドリルで穴あけ・・・ではなくて、イノケンさんのバケツから自分のバケツに魚を100匹ほどGet!
その後、イノケンさんが戻る前に穴をあ                   釣り客は少ない
けなくては怪しまれるのでドリルを手にしたのだが、時すでに遅し・・・。イノケンさんが戻ってきてしまった。
そんなこんなで、4人になって賑やかなワカサギ釣りが再開したが、イノケンさんの重くて扱いにくそうなリール竿が気になってしょうがないキッシーさんは、愛用の手ばね竿をイノケンさんに渡して釣り指南を始めたところ、イノケンさんの釣果は更にアップ!
に加えて爆釣モードはさらにアップし始め、いくらでも釣れる。ついつい夢中になっていると、キッシーさんに促されて我に返り休憩している間も、たくさん釣れるワカサギに夢中になっていたイノケンさんは、キッシーさんに指導される時間ももったいなく感じているように見えるほどだった。
午前中にイノケンさんがバケツに溜まってきたワカサギを袋に詰め替える際に確認したところ、すでに600匹を超えていて本人も驚いていたほど・・。
それでも解禁の日からは随分経過していたので、お昼前には止まってしまうだろうと考えていたのだが、昼食後も釣れ続けるので、このままいくと納竿しようと考えていた15時には軽く4桁釣れそうだと話していた。
9時頃から顔を出している太陽のお陰でテント内はポカポカと暖かく、横になることができたならすぐにでも眠ってしまい
そうだった。
そこで、集中力を要する「50匹釣るまで何分掛かるか?」をやってみることにしたのだが、本当は100匹で計測するとこ
ろ、疲れるので数を半分にしてのタイムトライアルとなる。
       
           7本針すべてにワカサギ                  黙々と釣り続ける
後半はエサがほとんどなくなったり、焦ってしまい氷の壁に針を掛けてしまったりとなかなかスリルがあって面白かっ
た。結局、一番早い人で11分だったので解禁日には及ばなかったが、ほぼ入れ食い状態だったことがわかる。
そんな土曜の午後の昼下がりだったが、突然、妙な揺れを感じたのでテントの上部を見ると、ぶら下がっている紐が揺れていて氷の穴の中の水も揺れていた・・・「地震だ!」体感した限りでは震度1〜2程度だと思った。
しかし、その後すぐにラジオでは地震速報が放送されていて、網走の震度は「3」だったのである。氷上という条件が揺れを抑えてくれたのか定かではないが、短い時間揺れてすぐに収まった。
そして次はラジオからの「津波発生による避難勧告」などの情報が流れ始めたので、もしかすると避難しなければならないのかなあと思っていた。
しばらくするとサイレンが聞こえ、スノーモービルに乗った係員がやってきて「現在、避難については関係機関と協議中ですが、避難勧告が発せられた

2台のラジオで情報収集
場合には速やかに避難してください・・」とのこと。
そして管理棟からの放送があり「津波の到達予想時刻は14時30分で、1mの津波が来た場合には氷が割れる危険性
があるので避難してください」と呼びかけていた。
私達はすぐに片付けを始め、津波による非難勧告であれば簡単には解除されないだろうと判断して、完全撤収にとり
かかることにした。
なんとか無事ソリに積み込んで湖岸に付いた時には他の全ての釣り人が避難していて、テントや道具を置き去りにしてきた人たちが大勢で氷上を眺めていた。
荷物を積み終えてからしばらく雑談をして、15時過ぎに呼人湖畔を出発した。
網走湖半を走っていると、西に傾いた太陽が白一色の氷上に見える美しさに、少し前までの地震騒ぎやワカサギ釣りまでも遠い昔のような気分にさせてくれる大自然の大きさを感じる。 
能取湖の道路沿いにある卯原内消防支所前では2台の消防車が出動態勢をとっていて、何かあればいつでも発進で
きるようにエンジンがかけられ赤灯を回していた。
そして、その先の能取付近の氷上には20張以上のテント群が見えて
いたが、駐車場付近まで近づいたところでたくさんの釣り人が駐車場に戻るために一列になって歩いている姿が見えた。
テントはそのままだったので、避難勧告に従っていたものと思われた。だが、ここ能取湖は全く氷が張っていない場所も多くあるほど結氷状態は良くないので、津波よりも先に氷に注意した方が良さそうである。
自宅に戻り、いつものワカサギのカウントをしていると、イノケンさんから連絡があり「1.071匹釣りました!」とのことで、2回目の釣行に
して4桁は素晴らしい!
私達はといえば、私は解禁日よりも少しだけ良い993匹、妻は954匹だったので、予想していたよりはずっとたくさん釣っ
ていたことに驚いた。さすがは網走湖!

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