1月の釣り Vol.2


  ■ 糠平湖(五の沢)

1月21日 先週の網走湖爆釣から一週間、雪道なのでそうそう網走まで走る元気はあるはずもなく、かといって朱鞠内
湖の釣果はいまひとつ良くないらしい・・・。
ところが、糠平湖は釣れているとの情報で、今シーズン愛別湖は解禁にならなかったために糠平湖が一番近くて気楽に行くことができる。
前回、二度目にして4桁釣りを堪能したイノケンさんは「ワカサギ釣りたい病」にかかっているだろうと誘ってみたところ、二つ返事で同行が決定!
出発時の気温はマイナス8℃程度と寒くはないし、夜間に降った雪は吹けば飛ぶ程度の僅かな量だが、国道39号線は完全なアスファルト路面にはなっていないので慎重に運転する。
来週から開幕する層雲峡の氷爆祭り会場では、ほぼ完成しているだろう氷の会場が暗い中にも見えてい
た。
大雪湖付近では、何と!気温がマイナス27℃まで下がり、相変わらず厳しい寒さが暖房の入った車内でも感じるほど
だった。
三国峠付近まで来ると、意外に気温が上昇してマイナス13℃程度だったが、糠平湖が近づくにつれて気温は下がり始
め、結局マイナス24℃まで下がってしまった。
除雪ステーションのトイレで用を足していたところにイノケンさんがやってきたので、ここから一緒に糠平湖・五の沢駐車
場に向かった頃には東の空が明るくなり始めていた。
先行者や、今着いたばかりで準備中の人の車が20台弱、私達もすぐにソリに荷物を積み込み出発したのが6時過ぎだった。
情報どおり確かに林間の道は雪が少なかったが、踏み固められた道がクネクネと続いて所々ソリが引きにくい場所もあった。林を抜けると広い湖面が見え始め、いくつかのランタンによるテントの灯りが見えるが、釣り場まではまだまだ遠いことを知るのも五の沢のいつものことである。
雪が少ないお陰で、20cm程度の厚さの割れて高い場所に残っている氷を見ることができ、水位が随分と下がっていることが確認できるなど、釣り場に着くまでに色々楽しみもあるのがこの釣り場の魅力でもあった。
ようやく氷上に出ると積雪は10cm程度で、20張ほどのテント群の間を抜けて釣り場を決めた。西の空は日の出が近い
のか山際が赤く染まり、南の高い山々はすでに朝日に照らされているかのように見えて大自然の幻想的な絶景がそこ
にあった。
除雪の必要もない場所だが、糠平湖のきれいな氷が見たくて3m四方の雪をきれいに除雪してからテントを広げた。
動いていると寒くはなかったが、自分の吐く息でまつ毛が凍り付いているのがわかるほどの寒さは久しぶりだった。
釣り座を決めてさっそくドリルで穴を開けてみると、厚さは40cmほどだろうか、カキ氷のようなキラキラした固そうな氷が欠き出され、サラサラしているので固まらず土手が作りにくい。
テントのペグ打ちも固い氷に簡単ではなかったが、こんな時のソリッドステークは確実に氷に打ち込まれ、時々「ピシッ」と氷の割れる音が少々不安にも感じる。
ガソリンストーブを点けてもすぐには温まらず、イノケンさんが用意し
てきた新品のガソリンストーブも出して点火・・・ようやくテント内は釣りができるレベルまで温まった。
しかし、肝心のワカサギがパッとしない・・・表層は私が一匹釣ったのみで、底にしか魚がいないようだがその数も極め
て少ないのか、ほとんどアタリすら感じられないほどだった。

    
      三台は贅沢?                      晴れると最高の景色が見える
極寒の外を移動するのも面倒だったので、とりあえず朝食を食べてから外に出てみたのが7時半近くで、南の山々が
朝日に照らされて実に美しく、イノケンさんと二人でしばし棒立ちになってみとれる・・・・・。
テントに戻り仕掛けを下ろしてみるが、相変わらず無反応に加えて寒さのために竿先が凍り付くので、時々それを取り
除きながら深さ8mほどの湖底まで仕掛けを下ろさなければならない。

ガイド凍結
 テント内をあまりにもきれいに除雪したので、スケートリンク上のような釣り座は滑りやすくて危ないほどで、その氷はテントの色のせいか深緑色に透きとおっていた。
日々数センチずつ水位が下がる糠平湖では、地響きのように氷が割れたりずれたりする音が聞こえるので、それだけが不気味な氷上だった。
完全に日が昇るとテント内は格段に暖かくなり、周囲も更に賑わい始めたが、肝心のワカサギがほと
んど釣れないので、私はドリルと竿と氷掬いを持って釣り場探しの旅に出ることになった。
目ぼしい場所でドリルを回し、氷救いで手早くきれいにして仕掛けを下ろす・・・・・反応なし。竿はそのままにしておいて
(出しておくと全てが凍ってしまう)次の場所に穴を開けてから、先ほどの穴から仕掛けを引き上げようとすると、すでに
穴の表面が凍っている。
そんなこんなで穴を開けた5穴目にしてようやくワカサギの釣れる場所を発見したが、木の枝でもあるのか二度も続けて仕掛けを引っ掛けてしまい、二度目にはオモリが取れてしまったが、ワカサギは確実にそこにいると判断してテントに戻り、ここから3人での大移動の大仕事始になった。
テント内を片付けて大方の荷物はソリに積み込み、まだ熱いガソリンストーブはテーブルに載せたまま運ぶことにして、テントを広げたままイノケンさんと二人で移動して、その後一回で全ての荷物をテント内に運び終えた。
根掛かりする場所の横に移動したので試し釣りをして根掛かりがな

中央はタウシュベツ橋
いことと釣れることを確認してからペグ止めして、ようやく落ち着いて釣り始めることができたが、時間はすでに10時を
過ぎていて、朝の釣れる時間はとっくに過ぎていた・・・。
釣り場全体で50張ほどのテントの多くは河口付近で、河口から離れた場所に5張ほどと対岸付近にいくつかのテントが
見えるが、私達はポツンと離れた場所なので静かなもので、聞こえるのは遠くから聞こえる歓声とガソリンストーブの音
だけだった。
それでも、深さ10m弱の湖底からポツポツとワカサギが釣れていたので、快晴の青空の下でのんびりと微かなワカサギのアタリを感じながらリールを巻いていた。
遠くから聞こえたスノーモービルの音で料金の徴収だなとわかったが、なかなかスノーモ
ービルはやって来なくて、随分と時間が経過してからようやく私達のところにも、いつもの東大雪ネイチャーセンターの
人が集金にやってきた。
各ポイントの情報を教えてくれて、この日一番釣れているという私達の場所からも近いポイントも聞いたのだが、今更移
動する気もなかったのでこの場所で続けることにした。
私達の近くの人がワカサギの仕掛けでサクラマスを釣ったとの話は、ほんの少し期待を持たせてくれたものの、持参し
ていたサクラマスやブラウン用の仕掛けを使うことはなかった。
糠平湖のワカサギは平均8cmほどで、中には3cmにも満たない極小サイズも時々釣れるのでリリースすることも何度
かあり、昨年はウグイがたくさん釣れたときもあったんだよねと話していたところに、ウグイが私の仕掛けを食ってき
た・・・今期初のウグイはワカサギサイズの小さなものだったが、目つきは相変わらず可愛くない。

  
       極小ワカサギ          ウグイとワカサギの比較       2箇所目では除雪はしていない
昼食にはいつものカレーを温めて食べるが、ワカサギ釣りをしながら食べるカレーってどうしてこんなに美味しいのだろ
うか、そう思いながらもワカサギの竿先からは目が離せず、先週の網走のような大爆釣とは違った、やや難しいワカサ
ギ釣りも楽しかった。
朝の時点では一人一桁しか釣っていなかったが、この場所に移動してからは三桁も可能かなと思えるほど順調に釣れ
ていて、少しづつではあるがバケツの中に泳ぐワカサギは確実に増えてきていた。
13時ジャスト、妻の竿に異変があり、ワカサギとは明らかに違う大きなアタリと引き・・・前々回の網走湖でのアメマスバ
ラシの経験があったので慎重にやり取りするなか、私がデジカメのビデオ撮影をして、イノケンさんがタモ代わりの氷す
くいでの引き上げ係となり、大きな希望を持って待っていたところ、ようやく見えたのが20cmを超えるウグイ様だった。
ワカサギと並べて撮影をしてみると、相変わらず「文句あっか!」そんな顔をしてカメラをにらんでいる目つきは、さすが
ウグイ様である・・・うーん残念!
それからしばらくすると急にワカサギの活性が高くなり始め、妻とイノケンさんは一度に4尾釣れるなど、何度も複数匹
を釣る快調さとなった。私はと言うと、まあそれなりに釣れていて、複数匹は時々しかなかったが、手返しの早さでみん
なに遅れをとらないように頑張っていた。

          

午後から少しづつ帰りはじめる人がみられ、15時近くなると半分以上の人は納竿していた。私達はといえば、午前中と
は雲泥の差で釣れている状況になかなか止められず、踏ん切りをつけるために15時40分にアラームをセットして釣り
続け、テントに日が射さなくなった頃に時間通り納竿した。
日が沈むと急に寒さを感じながらも、急ぎ荷物をまとめ出発。まだ外でも釣り続けている人の間を通り、坂道を登りきる
前に休憩タイム・・・見かねたイノケンさんがソリを引き始めると、あっという間に林を抜けて「自然歩道・東大雪の道」ま
で出てしまい、雪が少ないために埋没していないベンチで私は二度目のひと休み。
ここからは駐車場は目と鼻の先で、すぐに車にたどり着くことができた。イノケンさんに感謝である。
さほど期待していない糠平釣行だったが、ワカサギの数は私が215匹、妻は219匹、イノケンさん177匹と、思ったよりも
たくさん釣れていた。昨年までは大差で妻よりも釣っていたのだが、今シーズンは五分の釣果に少々驚いている・・・。
それにしても、イノケンさんの釣果は三度目とはとても思えないほど立派な匹数である。





   ■ 糠平湖(五の沢)

1月28日 先週の朝マズメ場所選定の失敗を挽回すべく、再び糠平湖の釣行を決めた。
出発時の気温は何と!マイナス18℃だった。この分だと途中の大雪湖の気温はどの位下がっているのか楽しみでもあり、糠平湖は寒くありませんように・・・と、矛盾することなど考えながら走る。
そして大雪湖・・・意外に寒くはないマイナス26℃で、少々ガッカリする。除雪ステーションを出る6時過ぎになっても東の空はなかなか明るくならず、雲が多いので晴れるだろうかと心配するほどだった。
五の沢駐車場に着いてみると、すでに15台ほど停まっていて、ソリを引き始める頃にようやく足元が見えるほどの明るさになった。

大雪湖のトイレも24時間開放
先週から雪が降っていないのだろうかと思うほど氷上への道は変わらず、違っていたのは水位が2mほど下がってい
たせいか、割れて傾いた氷がいたるところに見られることだった。
氷上に出ると、いつものように妻に場所を任せたのは、今シーズンは妻が選んだ場所が常によく釣れていたからで、場所が決まるとテントを広げソリごとテントに入れ、まず初めにドリルで穴を一つあけた。
たぶんこの場所もよく釣れるだろうと思い試し釣りは妻に任せて、私はストーブの準備をする。
しばらくすると妻が「釣れないよ!」そんなはずはないだろうと私が竿を持って誘ってみても全く無反応・・・ようやく釣れても、時々しか反応はなかった。
すぐにドリルと竿と氷すくいを持って場所探しの旅に出たことは先週の失敗から言うまでもなく、簡単に釣れるポイント
は見つかるだろうと思っていたのだが・・・反応があった穴でも1匹釣れてもその後が続かず、次の穴をあける。
そんなことを繰り返していたが、広範囲にわたって探したにもかかわらずまるでダメだった。
仕方がないので、テントに戻りしばらく続けていたが、とうとうしびれを切らしてしまい、探した穴の中でも今の穴よりはましなポイントに移動することにした。
移動を考えて荷物はソリに載せたままだったので意外と簡単に済んだが、ワカサギは簡単には釣れず、とうとう料金の徴収の合図ともなるスノーモービルのエンジン音が聞こえてきた。

ワカサギは瞬間冷凍される

朝マズメの釣果
相変わらずなかなかすぐにはやってこなかったが、しばらくしてから私達のテントにも係員がやってきたので料金を支払い、その方から情報を聞いてみたところ、私達の場所から更に対岸方向に50m以上離れたところが入れ食いだと聞く。
さっそくその場所付近を探ってみたのだが、全くダメ・・・見たところ、入れ食い状態なんて本当か?そう思ってしまうほど
見える範囲では釣れていない。
幸い良く晴れた朝の寒さからは想像できないほど暖かかったので、散歩でもしたつもりでテントに戻った。
次々にやってくる釣り人はどんどん増えて、テントの数だけでも60張以上にもなるうえに、暖かいせいか外で釣っている
人たちが多く、ワカサギ釣り日和といった雰囲気だったが、肝心のワカサギの姿が時々しか見えない。
唯一救われたのは、先週とは違ってワカサギの魚体が大きく、15cm近くある大きなものも釣れていたので、その引きは
食った瞬間から最後まで楽しむことができた。

        
           次々にやってくる釣り人                       歩くスキーツアー
11時過ぎには、歩くスキーのツアー20人ほどの団体が釣り場を横切ってタウシュベツ橋方向にゆっくりと歩いて行った
頃、とうとう妻は氷の上にマットを敷いて眠ってしまった。
期待できないと分かれば諦めるより仕方ないので、昼食後には納竿しようと決めて鍋でお湯を沸かし、レトルト食品を食べてから近くの散策に出ることにした。
普段は釣りに集中するので自然観察などできないので、こんなときこそ絶好のチャンスと、二人で温泉の方角に向かって歩いてみる。
糠平湖の切り株に残された氷の上に積った雪がキノコのように見えることで知られている「キノコ氷」は、

異様ともいえる光景
今シーズンは雪が少ないために氷が主役になっている。
つまり、雪が多く積ると風によってその形が変わり、よりいっそう不思議な造形となるので、今回見たキノコ氷は最も標
準的な形といえよう。
小さな岬になっている場所では、水位の低下によって取り残された氷が湖面に向かって傾き割れていて、水位が下が
ると氷がずれたり割れたりする音がすぐ近くで聞こえる。「ミシッ!ゴゴゴ!・・・」静かな大自然の中で不気味な音だけが
聞こえてくるが、氷上のテント内とは違って音の出所がわかるのでこれは面白い。

      
             オジロワシ                           奇怪なキノコ氷
色々な形のキノコ氷や氷の割れ目を見ながら歩いていると、遠くに人影が見えているなあと思っていたのだが、実は人
ではなかった・・・オジロワシである。
デジカメの最大ズームで撮影してみたが、まだまだ距離が遠いので近づきながら撮影をする・・・オジロワシもこちらを警
戒しはじめたと思っていたところ、ついに飛び立ってしまった。白くて目立つ尾が私達の前を横切って対岸方向に飛ん
で行ってしまったが、大きなワシがこんな近くで見られただけでもここに来た甲斐があった。
しばらく楽しんでから、天然の氷の滑り台を滑って氷上に出てテントに戻り、再び仕掛けを見ても無反応は変わらなかっ
たので片付けを始めた。

      
              自然の滑り台                            駐車場
片付けていると急に強い風が吹き始め、テントの撤収時にはペグ止めしていなければテントが飛ばされてしまったかも
しれないと思うほどの風だったが、何とか無事にソリに積み込んだ。
時間も早かったせいか、まだたくさんの釣り人たちの間を抜けた河口付近では、テント外で釣っている人の様子を見た
限り、誰の竿にも一匹のワカサギも釣れてはいなかった。
割れて傾いた氷の上を進み林の中へ入ると、前回はイノケンさんに助けられたアップダウンの多い道はなかなか大変
なもので、3回ほど休憩をしながら駐車場にたどり着いた時には、すっかり汗をかいてしまっていた。
駐車場の端まで一杯になった車は50台近く停められていて、歩くスキーの一行が戻ってきたところを横目に出発した。
所々、高い山には雲がかかっていたものの、抜けるような青空に気分良く、帰りは快適なドライブとなった。


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