8月の釣り Ver. 2


   ■ お盆前のカラフト祭

8月10日 今シーズンの網上げ期間のカラフトマス釣りは、週末しか休みがない釣人にとって厳しい条件だった。
ここ数日の雨によって常呂は全く釣りにならず、網走地区はあまり釣れていないという・・・。
しかも、網上げは明日の午前中なので、知床といえども期待できない状態だと知ってガッカリ・・・。
となると行き先は知床しかないだろうと、キッシーさんとレガオさんが待つウトロへと向かう。
昨年満車となっていた駐車場も、今回は数台分の空きがあったのでその片隅に車を停めてキッシーさんに電話をする
と、より釣り場に近い場所にも空きがあると聞きそちらへ移動。
この分だとさほど混雑しないだろうと、一旦仮眠することになった。


8月11日 結局私はほとんど眠れなかったが、約束の時間に起きて準備を済ませて釣り場へと下りることになった。
私達の好きな場所は空いていたので、問題なく釣り座を確保して夜明けを待つ。
ウメちゃんとKさんも到着した頃には釣り場も賑やかになってきて、レガオさんとウメちゃんは釣った魚を入れておく生
簀(いけす)を掘りはじめたのだが、「いったい何本釣るつもり?」という大きな生簀を時間を費やして掘っていた姿があ
った。
そして薄明るくなった頃にキャスト開始。
私は棒ウキで始めたが、左隣でウキルアーをしていた釣人にヒット。場所的にも私のウキは大丈夫だなと思っていたと
ころ「ウキ邪魔だー」乱暴な言葉が聞こえてきて少々ムッとしたが、この釣人の横暴はさらに続く。
私の前に魚を誘導してくるのは仕方ないにしても、何の声賭けもない失礼な輩(やから)だったのであった。
その後ももう一度同じことをされてしまった私はすっかり調子を崩してしまい集中できず、この朝絶好調のレガオさんの
写真撮影もできないほどだった。
聞くとこの人物は釣りでも仕事でも悪い評判は聞かないそうだが、こんなことしてちゃダメ人間じゃん!と私達は話していたほど目に余った。
結局、干潮のこの朝は魚も早々に沖へ溜まってしまい、岸寄りしている間に4本釣ったレガオさんが一人勝ちの朝となった。
ここでチカさんご一行が長距離を走破しての到着。久しぶりにチカJrとも再会し、随分背が高くなったと驚く。
ウメちゃんとKさんは残念ながら納竿し、チカさん御一行も納竿してからは、対岸へ渡った人たちにはたくさんのヒットが見られ、私達は遠投勝負のタックルを取り出す。
知床で11フィートを使うとは考えてもみなかったが、前回の教訓である。
遠くのマスを狙うために重いルアーを使ったり、特製の棒ウキを流してみるが反応はない・・・。
しかも、距離を出せるようになった時に、朝に釣ったマスをリリースしていたレガオさんに気を取られている間に、その
ウキを網に引っ掛けてしまう失態・・あんなところにも網があったの?
仕方がないので岸寄りするマス用の小さな棒ウキをフルキャストしてみると、意外に飛んだのでそれで流していたところ
に、突然スコーンとウキが沈んだ。時間はすでに8時20分にもなっていた。
遠かったので力いっぱい合わせて巻いてみたが、なんだか随分と引きが良くて巻いても巻いてもなかなか寄ってこなか
った。
       

アキアジでもこんなに引くことはないだろうというくらいに引き回されて、ようやく近くまで寄せた魚体を見て「スレじゃ
ん!」それも尾ビレに刺さっていたのである。
しかし型はなかなかのもので、手ごたえには数本分の満足が得られたことで納得することにして、納竿!
すでに予定時間はとうに過ぎていたので、二人を残して車に戻った。
しばらく休んでから釣り場を覗いてみると、何と!キッシーさんが下を向いて写真を撮っていることから、魚を釣ったことと判断できた。
それからしばらくしてから戻ってきたキッシーさんを祝福して、さらに随分経ってから大量に魚を持ったレガオさんが帰ってきた。
何と彼はキッシーさんの納竿後に寄ってきたマスを2本追加してきたというから、この日は完全にレガオデーとなったのであった。
昼食は早めに道の駅・シリエトクで済ませてから、峰浜にあるカラフトマスベースキャンプ、通称KBCに寄ってみると、チ
カさん、レガオさん、チカJr、チカリトルと二人の友人が体を休めていて、そこで私達も談笑のひとときを楽しむ。
その後、ウナベツ温泉で汗を流し、夕食は昨年清さんから教えていただいた「しれとこくらぶ」に行くことにする。
店内は少々暑かったが、網戸から入る風が涼しいなあと思っているうちに雨が降り始め、本降りになってしまった。
買い物を済ませてウトロ方面へ向かう頃には雨も上がり、この日の釣り場よりもさらに近い場所にある駐車場に停めた。
有名ポイントであるこの釣り場の駐車場にはすでにたくさんの釣人らしき人たちが車内泊をしていて、翌朝の混雑が予想された。
キッシーさんと夕食と軽くお酒を飲んでから、早めに寝ることにして横になったが、夜中にも雨は降っていたようだった。


8月12日 起きた時にはすでに釣り場はたくさんの人が下り立っていたようで、私達も速やかに出発する。
国道から河口へ降りて川を渡るのだが、流れが速い上に水量も前日の川より随分多いので慎重に渡る。
しかし、ここからが本当の難所で、この時は大潮の満潮時間だった。
普段は出ている岩場の多くが水没している上に、暗闇の中を渡らねばならない・・・。
キッシーさんを先頭に目の良いKさんが私の誘導をしてくれて、何とか無事に岩場の先端部付近に到着。
しかし、すでに先客がいたので引き潮とともに現れる岩場を待つことになった。
チカさんたちは子供も多いので、安全を考えて河口近くに入ったと連絡があった。
薄明るくなってくると自分たちのいる場所がどんなところなのか見え
てきて、ほとんど波がなかったこの日だからこそ入釣できたのだろうとホッとする。
キッシーさんの前に彼がそこに立つ予定の岩が広く現れ始めたときに、横から突然そこに立った釣人がいた・・・・・。
誰が見ていても信じがたいその人物の行動には目が点状態になったが、カラフトマス釣りに限らずダメ人間はこんな時
に頻繁に現れるものである。前日の私もその被害者だった。

        

無益な争いはせずにその斜め後方からキャストを始め、私達はもう少し後からキャストできる場所が現れて、ようやく始
めることができた。
私は完全に明るくなる前に型の良いガヤと小さなギスカジカを釣っていたので、釣れる気がしなくなっていた。
マスがいる方向にキャストできる岩場が現れると、ウキルアーからルアー単体に交換して本格的にキャスト開始。   

私のマス
しかし、私の左隣のキッシーさんよりもさらに左3人目の人とオマツリ・・・・・この人たちはどこにキャストしているのだろう?
その後も何度か、もちろんキッシーさんもその被害にあっていた。
全体的に数本しか釣れていない厳しい状況の中で、左となりの人たちが2本ほどヒットしていたがすぐにバラしていて、仲間内で「ヘタクソ!」などと罵声を浴びせあっていたが、結局釣果もなく何処かへ行ってしまった。
それでも時々目の前をマスが泳いでいく姿も確認されたので、近場を中心にキャストしていた5時15分だった。
近場でがガツンといきなり食ってきたので反射的に合わせると、フッキングしたようだったので一気に巻き上げる・・・その勢いに思わずキッシーさんが「昨日の釣り場じゃないんだから、そんなに巻いちゃって・・・」私はそのまま岩場に引き上げ
てしまいそうだったが、Kさんがタモを用意してくれてサックリと掬ってくれた。
きれいな魚体のメスだったが、シメてから反対側を見るとトッカリキズが腹の中心あり、一昨年と同じくまたしても傷物
Getとなる。
それから1時間後のこと、最先端部からこまめにポイントを探っていたKさんにヒット!最先端部の磯を180度使ってファ
イトしてから、私がタモ入れをしてやや大きなカラフトGetとなる。

      
                                                Kさんのマス
Kさんはこの日、何度もアタリや瞬時のバラシがあったので、ようやく釣り上げた一本にとても喜んでいたようだ。
一方、河口に入ったチカさんたちだが、この日から参戦していたケンさんとツバサ君が1本ずつ釣り上げていたそうで、
特にツバサ君は初カラフト挑戦での快挙だったという。
さて、ここでまたしてもキッシーさんが取り残されたように見えるが、彼はそんな辛酸を舐めて苦しみを楽しんでいるような変態ではない。
6時38分にはそれまで何度も感じていたアタリをヒットにつなげてしまった。
写真撮影かタモ入れか考えたが、タモが近くにないことを知った私はすぐにタモ入れ準備をする。
最後は黙って寄せてきたのを「入れてー」の合図と知り、私はここでタモを海水に突き刺すように入れてネットイン!
この日も一番最後にみんなをハラハラさせながらも、確実に釣り上げてしまったキッシーさんだった。
その後は、Kさんの場所に入ってキャストしてみたところ、目の前数メートルでフッキングしたが合わせきれずにバラしてしまったのを最後
に釣りの意欲も消えてしまう。
そして7時半過ぎには3人一斉に納竿とした。
帰り道は暗闇を苦労して渡った岩場を一つ一つ確認するように進み、川を渡ろうとするとマイナスイオンたっぷりの冷たい風が吹き降ろしていたので、しばらくそこで休憩してから駐車場に戻る。
駐車場は一変して世界遺産の観光地と化していて、続々と上がってくる釣人と観光客が入り乱れていた。
車内で休憩していたところに現れたのがコマさんで、清さんとともに昨日の私達の釣り場に入っていたそうだ。
コマさんに聞いた話では、昨日私達が入っていた場所が入食いだったと聞いて「外したね・・・」キッシーさんと見つめあう。コマさんは、しばらく久しぶりのお話を楽しんでから帰り、私達もKBCに寄ってみることにした。
この時すでに気温は28℃まで上昇していて、車内に射す日差しも暑かった。
KBCを覗いてみると一年ぶりの清さんの姿があり、変わらぬ清さん節を聞きながら雑談にふけっていたが、強烈な日差
しと気温の上昇に耐え切れなくなり早々にKBCを後にすることとなる。
途中のサロマでは35℃を記録したが、実際は34℃弱だったらしい。しかし、体感気温は正に今シーズンの最高気温
で、過去にも滅多に経験したことのない暑さだった。





   ■ お盆のカラフト釣行一発勝負

8月14日 網上げ中のカラフトマス釣りの最後は網走しかないし、ここなら絶対に爆発しているはずと信じてキッシーさ
んとの釣行。
        

午後にもかかわらず釣り場がほとんど空いていないほどの混雑に期待が高まったが、ほとんど釣れていないうえに暑く
て釣り始められない・・・そこで、テトラポットの陰で日除けして休んでいたところにシーバスさんが彼女と一緒に釣りデー
トにやってきて、私達の勧める場所でしばらく楽しんでいたところ・・・・・何と!
そのシーバスさんにヒット!キッシーさんがタモ入れをして、型の良いオスを釣り上げてしまった。
その後、メガ弟さんとレガオさんがやってきて、雑談をしながらリーリング中にアタリがあったがフッキングせず、そのままリーリング続けていたところが、再びのアタリに早合わせをしてしまいフックアウトーー!
貴重なチャンスを逃してしまった。
日が沈んで涼しくなってくると、この地特有のGパンの上からでも刺す蚊の現れる時間がやってきてしまった。
刺されてしまうと痒みで集中できないし、刺されなくても視界に入ってきてしまうので集中力は落ちる一方。
夕マズメはポツポツと時々釣れていたが私達が期待していた状況には程遠く、一昨年に見られた遠いポイントでの群はほとんど確認でき
ず、超遠投作戦は役立つことはなかった。
もちろん、この日の様子では翌日も期待できそうにない・・・。


8月15日 この朝は釣り場所は少しずらして、一昨年の爆釣ポイントで大釣りをしようと考えていた。今にして想えば、本
当は夕マズメのポイントで手堅く釣ることが安全策だった。
明るくなってみると釣人の多さに驚きつつキャスト開始・・・・・誰のロッドも曲がることはなかった・・・。

         

完全に明るくなってからようやくポツポツ釣れ始めたが、ポイント限定で同じところからバシャバシャ聞こえてきていて、
その限定ポイントは夕マズメに私達が入っていた場所だったことは言うまでもないだろう。
キッシーさんと二人「しくじったね・・・」そう話しながら続けるが、アタリが何度かあっただけで終了。
もちろん、蚊に悩まされたばかりでなく、数箇所刺されてしまった。


その後、埠頭の様子を見に行くついでに「網走感動朝市」を見学。
第五埠頭と車止内川の間にある朝市会場は、朝から気温が30℃にも上昇していて建物の中はさらに熱気でムンムンしていた。
観光コースになっているのだろう、観光客が中央の席で定食やラーメンを食べていたが、私達は見るだけ。
北海道の海産物が席を取り囲むように並べられ、活気のある威勢の良い声が飛び交っていた。
ただしこの感動朝市は、かつてキッシーさんたちがアキアジ釣りの際に釣れなかったときに来ていた場所とのことで、まさに今回私達がここを訪れたのも皮肉な運命だったのである。
埠頭の様子を見に行くと、かつて鮭鱒の時期には一等地であるオイルフェンス付近には誰もおらず、第五埠頭は全体
で3本、第四埠頭は4本という網上げ中とはとても信じられない釣果を取材しながら、聞いていて飽きれた私達よりもそれを教えてくれた地元ベテランの方々が放心状態だったことが印象的だった。

続いて漁港を覘いてみると、外海の網走側は濁りがなくなっていて釣人も10人ほどいたので、ロッドを出してみることにした。
隣の釣人に聞くと朝は爆釣らしく、20本以上釣った人もいたそうで、いま少し前にもバラシはしたがヒットしたという。
そして第一投を遠投していたところ、リーリング前にアタリ・・・ヒット!
しかし3秒後にバラシ・・・。
時間がなかったので、これが最後のマスとのファイトになって納竿。
聞くと、湧別や紋別方面も14・15日は爆発していたらしく、今シーズン
はことごとく場所の選択を誤った気がする・・・・・。

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