9月の釣り


   ■ これが最後となるか、太平洋遠征

8月31日 そろそろオホーツクにもアキアジが釣れ始めてはいるものの、その数は希少であるから遠征先の選択には
悩む・・・。
この時期はいつものあそこなら確率は高いのだが、今年は工事中のために立入禁止の規制が厳しくなっていて安心し
て釣りができないらしい。
先週の釣り場も工事が始まっているらしいが釣り場に入れる可能性もあると聞いたので、ダメなら近郊の漁港にしようと決めての暫定的な出発となった。
士幌の道の駅で休憩中にイノケンさんから「港内を偵察してきた結果、釣りは可能なので先に入っています」とのうれしい連絡があったが、現地は雨らしく少し気が重くなる。
それでも、先週と同じ漁港で釣りができることに安心して、幕別で食料などを買って太平洋を目指した。
途中少し雨に当ったものの、到着時には雨も上がり星空が見え始めていた。
砂浜の駐車場に車は少なく、さっそく荷物の準備をしていたと
ころ、荷物を運ぶためのキャリーを忘れてきていたことに気付く・・・仕方がないので台車にすべての荷物を積んでの出 
発となった。
砂浜から防波堤へと続くスロープは滑りやすくて二度も転倒するという失態をしてしまった。
途中からは迎えに来てくれたイノケンさんに手伝っていただき、なんとか釣り場に着いたのが23時頃だった。
キャンプの準備を済ませて軽く一杯やってから、イノケンさんとKさんが駐車場に行くというので私は留守番係となり、静かな誰もいない漁港でラジオを聴きながらのビールもなかなか乙なものだった。
丁度その頃、仕事先の飲み会にコーラで参加していたモリさんが、ようやくこちらに向かっていたところだった。
しばらくすると3人が揃って釣り場に着いて、2週間前を彷彿するような楽しい宴会が始まったのだが、気付いた時には1時半過ぎにもな
っていたので早朝の釣りのために寝ることにする。
しかし、テンションが高かったモリさんが防波堤の壁を駆け上ろうとして左脹脛(ふくらはぎ)の肉離れをしてしまった。
幸い痛みも少なく翌朝の釣りは大丈夫だろうと、各自テントに戻って仮眠をとった。


9月1日 1時間半ほど眠ったろうか?目覚しは3時半に鳴り、あまり寝た気がしないが気力で起きる。
イノケンさんはすでに準備を始めていたので、私もゆっくりとロッドケースを開いたのはまだ暗かった余裕からだった。
しばらくしてモリさんがなかなか起きて来ないことを心配したイノケンさんがモリさんのテントを尋ねて、モリさんの肉離れ
が軽くないことを知った。
それでも明るいモリさんは陽気に準備に取り掛かっていた。
        

前回の釣行では垂らし釣りが圧倒的に有利だったので、今回は3本の垂らし竿を用意した私は準備も遅れがちにウキ
ルアーをキャストしたときはすでに明るくなっていた。
私達の左側中央付近にウキルアーをしていた一人にヒットして、この日初のアキアジが釣れると私達も期待に胸を躍ら
せる。
4時48分、3投目のキャストをしてリーリングを始めて間もない時にアタリ・・・二度ほど特有のゴツゴツした感覚の後です
うっと引き込まれる感覚にアワセを入れる。
ヒット!今回はイノケンさんはカメラを忘れていたし、モリさんは負傷しているので撮影は無理だななどと若干余裕があったのは、ようやく今シーズンのアキアジ釣りに慣れ始めていたせいかもしれない。
魚体が見えると遠目にもきれいなオスだとわかり、イノケンさんがタモの準備をしてくれるなか少しだけ抵抗するアキアジを引き寄せ、二度目の引き寄せでイノケンさんがさっと掬ってくれた。
71cmと少々小振りだったが、大きく見えたので重さも量ってみると4kg近いアキアジで、今回も希望のオスだったのでうれしい浜二となった。
しかし、この後は全くアキアジの反応はなく、中央の10人ほどのウキルアー組の一部の人に釣れている姿を確認できる
だけだった。
フルに垂らし竿を並べていたイノケンさんにも、身動きがとれないので僅か2本の竿のモリさんも、そして3本の竿を並
べた私にもアキアジの反応はなくウグイが突付いているだけだったので、竿先に集中して悪戯をするウグイを釣り上げて喜ぶ私だった。
次第に霧も晴れてくると前方の上空には月が見えていたが、日が高く昇ってからも白く輝き続けていた。
天気予報の雨は何処へ行ってしまったのか雲がほとんどない好天へと変わり、前回のように暑くなるのかと心配していたが、心地良い風が終日吹いていたことと気温は意外に低かったことで快適だった。
イノケンさんはキャスト切れをしてしまい、速い潮の流れに乗って私達の前を通過するときに狙ってみたが上手くいかず、イノケンさんは新しくセットしたウキルアーでキャストしたところ一発で回収に成功し
たのは見事だった。
8時を過ぎると全体的にも滅多に釣れない状態になり、10時過ぎには次々と納竿する人が増えてきて釣り場も静かに
なってくる。
涼しいとはいえ日差しは暑く、イノケンさんはビーチパラソルをセットして快適そうだったので、私達も雨対策にと用意し
ていた折りたたみ傘を三脚にセットしてみる・・・これがなかなか役に立ち、長い時間釣り続けることができた。

           

イノケンさんは睡眠不足のためにパラソルの下で横になっていたが、いつの間にかすっかり熟睡していたようである。
波が高くなり始めていたのでアキアジはきっと港内に入り込むだろうと予想していたところ、時々アキアジの跳ねが近く
でも見られるようになってきていた。
しかし、ウグイ以外のアタリはなく、毎回同じポイントで待ち構えているウグイに翻弄され、その姿を見るべく何度も合わせるも最後までウキルアーにはヒットしなかった。
正午過ぎにはイノケンさんが強いアワセを入れたところでライン切れしてしまい、一時はウキが見えていたもののすぐに海中に引き込まれて見えなくなってしまった。
この日二度めのラインブレイクに苦悩するイノケンさんだったが、とても勉強になったと前向きなイノケンさんだった。
その後、モリさんが巻き上げようしたときにアキアジがバイトしていて
合わせられず、貴重な一本を逃した一件もあったがこの時の残念そうな声よりも、肉離れが痛む「痛テテテテテ!」の
悲痛な声の方が印象に残っている。後日聞くと全治2週間らしい・・・。
モリさんは次第に痛みが強くなり腫れてきていたのだが、氷で脹脛を冷やしながら横になり足をかばいながら釣り続けている姿は、私達を笑いの渦へと巻き込んでいても本人には笑わせている気はないことは理解できるだけについつい笑ってしまう。
その後釣れ始めたのが先週入釣していた近くで、もちろん垂らし竿だった。
立て続けに3本以上釣り上げていたようだが、その後はピタリと釣れなくなってしまっていた。
期待していたアキアジは姿を見せず、跳ねもすっかりなくなってしまったので少しづつ荷物の整理を始めて、最後にラスト10投で終了などと宣言して始めたものの、結局10投しないうちに納竿してしまった。
モリさんは大量の荷物もあり、この足で駐車場まで戻ることができる
のだろうか?そして、マニュアル車の運転はできるのか?
心配は多かったが、16時過ぎには二人に別れを告げて先に帰ることになった。
外海では数人の釣人がブッコミやウキルアーをしていたが、こちらもすでに全く釣れなくなっていたばかりか2mほども
あろうかと思われる高波が砂浜に打ち寄せていて、霧がかかったような風景になっていた。

           

駐車場に戻る間にも数人に声をかけられ休憩をしながら戻り、いつもの漁港のきれいなトイレで手を洗ってから出発し
た。
帰りに見えた夕陽は赤く大きく、まるで太平洋の釣り場が私達に今シーズン最後にサヨナラをしてくれているようにも感
じられた。





   ■ 深追いの太平洋

9月8日 網走の埠頭は土日ともに閉鎖されると市役所から聞いたので、開放される可能性は多少あるだろうが太平洋
の脂の乗ったアキアジの味が忘れられず、早々と諦めて太平洋を目指すことにした。
台風が北海道を通過中ではあったが、太平洋へ向かうということは台風から離れることになり、士幌付近まで来ると青空が見えてきていた。
昼食を済ませて再び走り出した頃には、僅かな雲しかない快晴となり、気温もどんどん上昇中だった。
港まで5分と迫ったところで師匠から電話で漁港に着いていることを知り、心躍らせながら港へ直行する。
およそ一年ぶりに師匠夫妻に会った感激も束の間、海はまだまだ波が高くて港内の濁りもきつかった・・・。
港内で垂らし釣りをしていた人たちに聞いても釣れておらず、このまま翌日を待つにもすることはなかったので、港内でウキルアーを試してみることにした。

士幌付近
日差しが強くて暑さに耐えながら釣りをしていると、地元らしき人たちがここよりも釣れる可能性が高い場所を教えてく
れたので対岸に移動することに。

遊漁船を海に降ろす場所はアザラシが現れる有名ポイントだったようで、イスを用意して観察をしていた数人の人たち
に「アザラシいますか?」と聞いたところ、目の前5mほどの近くにそのアザラシがいたのである。
遠くを見ていたために近すぎて気付かなかった私は少々気恥ずかしい思いをしたが、アザラシは寝そべったままほとん
ど動かず気持ち良さそうに転寝(うたたね)をしているようだった。
アキアジ釣りのときには大きく見えたのだが、こうしてじっくりと見ているとそれほどでもなく、やはり陸に上がっていると
鈍そうな印象は避けられない。
       

油断し過ぎたアザラシは人間に囲まれても只ダラダラと寝そべっているばかりではなく、オスなのだろうだらりと伸びた
一物が精彩を欠いていた姿は滑稽でもある。
しかし、心無い人々に物を投げられていたり、海水をかけられたりする時には時々威嚇して吠えている姿もみられ、野
生動物の本来の姿も確認できた。
人々がアザラシに関心を寄せるのはほんの一時だけで、動きのないアザラシを見ていてもすぐに飽きてしまうようだ。
日が落ちてから漁港内に移動して、師匠夫妻と夕食を車内で済ませて雑談にふけり、早めに寝ることになった。


9月9日 2時に出発して、深い霧の中を駐車場に着くと誰もいない・・・・・かに見えたが、深い霧に場所が少々ずれてい
たための勘違い。
すでに十数台の車があり、その中にイノケンさんの車を発見したので、すぐに起きてもらって一緒に釣り場へと向かっ
た。
眠い目をこすりながら案内してくれたイノケンさんからの情報では、台風一過の爆釣を期待している釣人が多いのか半
分以上のポイントが早くも場所取り済みらしい。

       

師匠夫妻と私達は前回の場所近くに釣り場を確保して、休憩用のテントも用意して準備を済ませた。
明るくなって釣りを始めたが誰のロッドにも反応はなく、むなしく時間だけが過ぎていった。
そして天気は快晴で気温も急激に上昇し始め、暑くなり始めてきていた。
アキアジの気配がないし、網走からは釣れている情報がどんどん飛び込んでくる。
退屈なので駐車場まで散歩しながら外海の様子などを見に行くが、こちらの釣人にも全く反応がないらしく濁りもキツ
イ。
港内にはブッコミ釣りをしながら貝堀りをしている人の姿も見えたが、再びその場を通り過ぎる時には首まで水に浸かっていたほど熱が入っている様子だった。
9時過ぎには師匠夫妻が、10時にはイノケンさんが納竿したので片付けを始めることにする。
結局この日は、全体でも垂らし竿に僅か2本の釣果を見ただけだった。

4週にわたって楽しませてもらった太平洋のアキアジ釣りだったが予想以上の釣果に満足してしまい、ついつい深入りしてしまった。
しかし、1年間充分に食べることができる脂の乗った味の良いアキアジを冷凍ストックすることができた。

河口は濁りが強い
これからはオホーツク海のアキアジ釣りを楽しみたいと思う。





   ■ オホーツクは中だるみ?

9月14日 現地到着は21時40分。キッシーさんとイノケンさん、そしてシーバスさんのお友達が迎えてくれて宴会、とまあ
いつもの如くであるが、先週の台風通過後の小爆釣は日に日に落ち込み、この日の夕方には一本釣れたのを確認し
ただけだとキッシーさんに聞いた。
確かにアキアジらしい跳ねはほとんどなく、埠頭らしい釣り場からのささやかな小宴会の声だけが聞こえてきていた。


9月15日 4時起きでも早すぎるくらいに夜明けは遅くなっていたことに加えて、曇りのち雨の天気予報どおりどんよりし
た雲が空を覆いつくしていた。
いつもどおり、いち早くキッシーさんがキャストを始めたのを合図に私達もキャスト開始。
釣れそうな気がしないなあと思っていたところ、昨夜、清さんの知り合いの方々に聞いていた「明日はマスが釣れるよ」との言葉どおりに、隣のご夫婦の奥様が目の前数メートルでヒット!
見えた魚体はマスで、意外にてこずっていたのでアキアジかと思ったほどだが、ご主人のタモ入れで無事Get!ようやく明るくなった4時58分のことだった。
この頃から目の前を泳ぐマスの姿が頻繁に見られ、その群の数こそ少ないが自分のウキが近くにあった人たちからはルアーに反応しないマスの姿がよーく見えていたようである。
実際、私もマスが来たタイミングでルアーを流してみたが、ヒョイと避けて通ってしまう。
キッシーさんがエサの紅イカを通り過ぎていくマスに向かって投げてみたところ、マスは目も良いのだろうクルッと反転し
てそのイカを食べてしまった・・・。
これを見たキッシーさんはウキルアーからウキに変えたので、私もウキルアーを中止してウキに変えてしばらくすると、タイミングよくやってきたハグレマスが私のエサに反応を示したが食わず・・・。
次にキッシーさんのエサを悪戯し始めたと思ったら、ウキが沈みこんだところでタイミングよくアワセを入れてヒット!
イノケンさんのタモ入れでネットに入ったのは、ウロコもきれいになくなっていたメスのマスであったが、その様子がなんだか可笑しくて周囲からは笑いを取っていた。
朝方、一時ではあるが太陽が僅かに顔を出したのだが、その後は雲に覆われ昼頃から雨の予報どおりになりそうな空模様となっていた。
全体200人ほどの埠頭の中で釣れる場所は決まっているかのように、私達の左数十メートルでは時々アキアジやマス
の暴れるバシャバシャという音が聞こえていたが、私達のポイントは同じようなところでウグイが小気味よくエサを突付く
アタリだけだった。
8時50分、私の隣でKさんが残り15mほどリーリング中にいきなりアワセを入れた。
ヒットした瞬間から走り出す元気なアキアジのようで、随分とドラグが鳴ったために強めに締めなおしていたが、私が見た時には強く締め付けたはずのドラグがなおもメリメリとラインをゆっくり出していたので、もうそれ以上締め付けないほうが良いと言ったほどだった。
魚体の大きさを見て、タモを持って準備していた私もこれは簡単には寄せられないだろうとゆっくり見ていることにする。
そしてようやく目の前に寄せてタモ入れに成功!
Kさんの今期初Getは83cm・5.6kgという大きなブナオスだった。
Kさんはうれしそうだったが、その顔の怖さになかなか触ることもできずにいたほどである。
その後、私もキッシーさんも目の前に垂らすルアーロッドを予備ロッドに交換してウキルアーを始めてみたが、ウキルア
ーにはウグイ以外の反応はなく、目の前を通過する魚の姿はすっかりなくなってしまっていた。

       

マスとアキアジの合計でも釣り場全体15本程度しか釣れておらず、もちろん朝からテンションは下がりっぱなしで全く  
釣れる気がしなくなってしまっていた。
しかし、この日は何かが違うKさんが、10時22分に再びヒット!
着水して間もなくのヒットだったそうで、私はすぐにタモの準備をして、難なくGet!したのはまずまずの銀ピカオスだった。
お昼が近くなると雨が降り出し、周囲でもほとんど釣れなくなってしまったので、閉鎖案内を待たずに納竿とした。
4人で市内のレストランに行き昼食を兼ねての作戦会議をして、その後は夕マズメの人気河口へと向かった。

小さな河口だが台風の後からずうっと釣れているらしく、釣人の車の数も半端な数ではない。

砂浜に出てみると狭い間隔でブッコミ竿が林立している様は壮観でもあるが、河口近くの湾になったウキルアーポイントに
までブッコミ竿を立てている人がいたのには驚かされる。
数十人のウキルアーマンの中にレガオさんとシーバスさんも混ざっていて、レガオさんは2日前にここで6本釣っている
と聞く。
       

背びれがいくつも見えるほどの大きな群が数箇所にみられ、跳ねも頻繁にあるので期待してキャストを始める。
しかし、アタリはウグイばかりでアキアジだと思えるようなアタリはほとんどない。
雨はしとしとと降り続ける中でひたすらキャストを繰り返し、気付いた時には薄暗くなってしまっていたので納竿とする。


9月の釣り Vol.2 9月16日 へ 


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