10月の釣り Ver. 2


   ■ 絶好調のKさん

10月12日 天気予報が正確になった近年、週末の天気を考えるにタイヤ交換は必定・・・考えてみても、たかが数日早
いだけと割り切って車も服装も完全冬装備となったのである。
高規格道路のトンネル付近では、路面に僅かに積もった雪と周囲の草が隠れるほどではないが、確かに雪だとわかる
ほど白いものが、不気味にライトに照らされていた。
猛スピードで走ってくる対向車に、もちろん冬タイヤだよなあと思いながら慎重に走っていると、すぐに雪は消えてしまった。
途中で師匠夫妻からすでに網走入りしたと聞くが、ここ最近は前にも増して釣果はよくないと聞いていたので、先週と同じ漁港を目指したのはイノケンさんからの「本日の釣果40本くらい・・」と聞いていたからだ。
現地に着いてみると風が強かったが幸い風向きが後方からだったので、意外にポツンと空いていた二人が何とか入れる場所を確保する。
漁船が係留しているのでこの釣り場は僅かな人数しか入れないが、場所は他にもたくさんあったし前日から泊り込む人は少ないようにみえた。
竿立には充分なオモリを下げていたのだが、それでも倒れていたほどの強風だったことを後から知った。


10月13日 4時過ぎには目覚めて起きていたが、この頃漁船のエンジンがかけられたので出航かと見ていたところ、し
ばらくすると灯りは消され出漁する様子はなくなった。
この風では沖は大シケだろうと素人でもわかるような強風の中次々と準備を始める釣人が多く、網走を諦めてこの港に
着いた師匠夫妻も驚くほどの釣人だったと連絡が入ったのは、釣り新聞にこの港が紹介されていたためと後から聞い
た。
5時を過ぎても一向に明るくならないのは空を覆う黒雲のせいで、なんとかキャスト開始した頃には目の前の海面にアキアジがたくさん跳ね始めていた。
跳ねは近く、この時間からウキフカセも用意しておいたならどうだったのか?は、定かではないが、アタリは何度かあったものの食いが渋い・・・。
周囲で数本釣れてはいたがバラシも多く、ようやく私にもアワセに至るアタリがあったので合わせてみたが、フッキングせず・・・。
次こそはとの願いを込めてのリーリング中に、Kさんヒット!
5時半過ぎ、好調のKさんは目の前すぐのところでヒットしたようで、さっそく私がタモの準備をするが元気なアキアジは
何度か暴走!
ドラグを何度か締めなおしてファイとした後で、やや小振りの銀ピカオスをGetした。
リリースをと考えていたのだが、フックから血が出ていたのでキープすることになってしまった。
そして右となりの人が目の前2mほどの超近場から「全然わからなかった・・」というヒットでGetしてしまい、私は釣れた人によるサンドイッチ状態になってしまい、釣れそうな気がしなくなってしまう。
この後もアキアジが頻繁に跳ねてはいたものの、食いが悪くアタリもないうちにゴールデンタイムは終了となってしまった。
天気は次第に青空が広がり始め日が射してくると温かくなり、それで
も風は強めだったのでイスなど出せずに立ったままのキャストが続く。
先々週2本の釣果があったウキを取り出してセットしてみると、後方からの風に乗って目の前真っ直ぐに流れるので近
場のアキアジを狙うには好都合だった。
ウキルアーをリーリングしながらウキを見つめる忙しくものんびりとした釣りだが、左5人目の人に黒いアキアジが釣れ
たなあと見ていた少し後で、私のウキに変化があった。
そして静かに海中に引き込まれたところで大きくアワセを入れる・・・ウキルアーはアタリから自分の手に感覚を感じられるが、ウキフカセ釣りはそれがないだけに合わせるときが一番不安だし期待も大きい。
手ごたえは充分、アワセを入れた直後に白いお腹がクネクネしているのが見えてヒットを確信する。
Kさんは車内で休憩中で、すぐに右隣の人がタモを持って駆けつけてくれたが、このアキアジは随分と重くてなかなか寄って来ない。
リールが以前使っていたものなのでドラグに少しだけ不安は
あったものの、ラインは信頼できるものなので強引に寄せてタモに向かって一直線にネットイン!
状態が良く型も良いメスをGetしたのが9時前のことだった。
ようやく余裕ができた私は、約束どおりキッシーさんに釣果を知らせるメールを打って車内で休憩をする。
しばらく休んでから釣り場に戻り、車内に忘れ物を取りに行ってすぐに戻ってみたところ・・・Kさんがアキアジの入ったタモ網の横に立っていることに気付いた・・・。
ナンダナンダ、何があったんだと聞くと、私が車に戻る時にヒットしていたらしく、私を呼ぶ声も風に消されて届かず右となりの人がタモ入れをしてくれたという。
まずまずのコンディションのメスだった。
この時点でおそらく周囲で複数本釣っている人は見ていなかったので、竿頭だろうKさんは相変わらず絶好調だ。
日が高くなっても風の勢いは衰えず、それでも次第に弱まってきては
いたものの、外海の波は激しさを増して高い防波堤を超えて飛沫の後から海水が流れるのが何度も見られた。
私はといえば、ウキルアーで釣りたい気持ちはあったもののウキに来るアタリを見のがさじとみつめていたものだから、
他の場所の釣果等はほとんど見えていなかった。
お昼近くなると釣人の数も減り始め滅多に釣れない状態になり、アキアジの跳ねもほとんど見られなくなってきた。
昼食にはウキルアーで釣れますようにと願いを込めたカレーライスだったが、果たしてご利益はあるものか・・・。

           

13時過ぎ、そのご利益はやっぱりKさんにきてしまったのである。
しかも、そんな時にはどんなことをしてもバレるはずもなく、写真を数枚とってのんびりしながらタモ入れの準備をして、釣れていないときなので周囲の人は皆さん協力的で邪魔になるものはすべてどけてくれていた。
私の差し出したタモにサックリとネットインして、Kさんこの日の3本目を余裕を持ってGet!
やや小振りのオスはリリースするように勧めてみたのだが、ボウズの人も多い中でリリースなんて申し訳なくてできないとキープしてしまったKさんだった。
その後はアキアジの跳ねも少しづつではあるが見え始め、40分に一
本くらいは釣れるようになってきたのだが、私を気遣ってなのかKさんは釣りを休んでしまい、ウキフカセにくる反応を楽
しんでいた。
ウキフカセには何度もウキを沈みこませるようなアタリが来るのだがどうもアキアジではないらしく、他のウキフカセの釣人も何度も空振りしていたようである。
15時を過ぎた頃には夕マズメを狙っての釣人が増え始め、私達も少しづつ納竿の準備を始める。
港内の水は濁りがきつくなり始めていたが、釣果も次第に上向きだと感じ始めた頃に港を後にした。
外海がよく見える砂浜に波の様子を見に行ったところ、これまでに見たことのないような高さの沖から何枚にも重なってやってくる激しい波を見ることになった。
波消しのテトラポットが何の役にも立たないように、軽々とぶつかり
超えては激しい音と高い飛沫を散らしていたのである。
このシケの後にはアキアジがどっとやってくる、などといつもなら考えてしまうのだが、今シーズンはその希望さえ持てず
に浜辺を後にした。





   ■ ウキルアーで釣りたい!

10月19日 最近の網走はといえば・・・・・やっぱり釣れていないらしく、もう終ったとか、漁師の網おこしも二日おきなどと
聞いていたので、網走行きは諦め先週と同じ漁港でまったりとしようと行く先が決まった。
出発前にメガ弟さんから「今回は本気でアキアジ釣りますから・・」と気合の入った言葉を聞いていたが、もちろん本気だ
とは思っていなかった。
現地に着いてみると雨は降っていなかったが、先週と反対の向かい風が少し吹いていて、泊り込みの釣人も少々。


10月20日 漁船のエンジン音が聞こえていたが私達の横の船は出漁せず、その前に場所を取っていた人たちは他の
場所を探さなくてはならないようだった。
今回は明るくなる前に秘策の仕掛けを準備しようと、外に出てみたところにメガ弟さんが現れた。
こんなに早くに現れるとは予想だにしていなかったために、隣で車内泊していた人かと勘違いしながらも一緒に準備を
進める。
そろそろ良い時間だと思っていたところに、遊漁船がここで釣り客を乗せると聞いてせっかく出した道具類は移動することになった。
2艘の釣り船が釣り場を占領して積み込みをしている間、釣り船の客と話をしたりして時間つぶしをする。
しかし、すぐに出航かと思っていたところ遅れている人がいたために、2艘が出航した頃には完全に明るくなってしまっていた・・・。
しかも、見えていたアキアジの跳ねはすっかり消えてしまっていて、アタリすらない釣り場になってしまっていた。
先週はチャンスを逃し、今回はマズメを逸したかなと思っていたところ、左となりでアキアジがヒットしたがバラシ・・・しかし同じような場所

遊漁船
で一本釣りあがったので期待してリーリング。
ところが、丁度その時こちらに向かってくる漁船があった・・・。
アキアジ漁の漁船が沖網を上げるためにやって来たので、またまた撤収・・・。釣りなど二の次であるから、作業の邪魔にならないように速やかに行動する。
クレーンを使って網を上げてから、思ったほどの時間はかからずに黒煙を噴き上げて目の前から去っていった。
しかし、この船が再びアキアジを目の前から消してしまったことは言うまでもない・・・。
この日ももちろんウキフカセの置き竿を用意して僅かな可能性を期待していたが、キュウリのスレがかりが多くアキアジが釣れそうな気がしない。
正面からの風は止まず、時々雨もパラパラと降ってくるので落ち着かないが寒くはなかった。
ここでメガ弟さん必殺の秘密兵器、なんと!魚群探知機の登場だった!
アキアジのオカッパリで魚群探知機ィ〜!と思われるかもしれないが、意外とこんなの使ってみたいと思ったことは一度
はあるのではないだろうか。アキアジの回遊にあわせてのみキャストして、確実にヒットさせるなんて夢のような話だが、
しかし、海面が暴れるせいでセンサーが落ち着かず、深さを測っただけであえなく撤収となり、その性能を確かめることは次回のお楽しみとなる。
ウキフカセだけでなくウキルアーにもスレがかりするのは型の良いチカだっ
たので、さっそくサビキを用意してみたところ、すぐに型の良いチカが釣れ始めた。
メガ弟さんと交代で釣っていた姿を横目で冷ややかに見ていたKさんも、やってみると結構楽しい!と言いながら釣っていたところ、札幌ナンバーのおじいさんがやってきて私達が釣ったチカを見るなり隣で
釣り始めたのである。
しかしこのおじいさん何故かトラブル続きで、一匹しか釣れていないチカに仕掛けがグチャグチャになったり、立て続け
にウグイばかり5匹もかかってしまったと思えば、今度は竿を海中に落としてしまうなど、釣りをしている時間はほんの
僅かしかなかったようだった。
そして再び私達に向かってくる漁船の青い色に釣り船が帰ってきたことを知り、速やかに撤収・・・何度も撤収をしてい
るうちに慣れるものである。
僅か3人の釣り客を乗せて出航した船だったが、沖のうねりはきつくて予定時間よりも随分早く帰ってきたらしく、釣った魚も型は良いが少なかった。
ここでアキアジ釣りはしばらくでき
ず、船が離れてもアキアジはしばらく寄って来ないので、チカ釣りなどして時間を過ごしていたところ、毎年釣り場で一回は必ずお会いするヒデボさんが現れた。
今シーズンは2回しかアキアジ釣りをしておらず一本バラシただけだというが、アキアジは釣れていなかったので私達の横でチカ釣りをす
ることになった。
トラブル続きのおじいさんは、ヒデボさんに漁協前で食わないアキアジが群れていると聞いてすぐにそちらへ向かったよ
うだった。
お昼近くなると厚い雲の間から日が射すようになり、温かく感じられるほど所々
に青空も見られるようになってきた。
昼食を済ませた頃にそろそろだと思っていた最後の釣り船が帰港したが、この船は大漁のようで、釣りができなくて暇なので荷物下ろしを手伝っていると、大きなクーラーボックスは一人では持てないほど重く、クロガシラやマガレイなど40cmクラスの大物も釣れていたようだった。
荷物が全て下ろされてからも船内の清掃をするなどしてなかなか出て行かなかったので、釣れていたわけではないので構わないがのんびりとしたものだった。
しかし、この船が出て行った20分後、いつの間にかアキアジ釣りに変更していたヒデボさんにヒット!
釣れるとは思っていなかったのでタモの準備をしていなかったというので、私が駆けつけて難なくネットインした。
15年間アキアジ釣りをした中でも一番と喜ぶ銀ピカのメスを釣り上げたヒデボさんは、特に初物だけに喜びはひとしお
だったろう。
      
                                         釣人は少なくのんびりしている
この頃からアキアジの跳ねが頻繁になり始め、私達の周囲でも黒いアキアジに混じって銀ピカな魚体も見えていたので
リーリングに集中する。
港内のアキアジ釣りの様子を見に来る人は多かったが、その中にここ数年は会っていなかったBANANAさんが顔をみ
せた。
久しぶりに色々なアキアジ釣りの話をしていたところ、今度は別の場所でアキアジを一本釣ってきたと言うキッシーさん
も現れて急に賑やかな釣り場となった。
その後、BANANAさんが帰り、キッシーさんは昼食に行ってしまい、ヒデボさんから聞いたタナ2mよりは少し浅い1.8m
のデッドスローで、再び集中してアキアジのアタリを待っていたときだった。
13時45分、アキアジらしいアタリから・・・じっくりと待ってヒット!
意外と元気なアキアジはオスだろうか、何度かドラグを鳴らされるも両脇のウキに走らないようにコントロールしながら
寄せる。

私のアキアジ
そして、再び左に走った魚を寄せている最中にフックアウト・・・。
悔しいはずなのに、久しぶりのウキルアーでのファイトだったせいかそうでもなく、次に期待してキャストを繰り返したが、悔しがっていたのはメガ弟さんだったようだ。
次は絶対に自分が釣ってやると言いながら集中し、私もバラシで終りたくなかったので続けていた。
ところが14時10分過ぎ、再び私にアタリ・・・しばらく待ってから合わせてみるとフッキングに成功、少しカッコ悪いので普段はしない二度アワセをしながら慎重に引き寄せる。
隣から駆けつけてくれたヒデボさんがタモ入れをしてくれて無事Get!
まずまずの銀ピカメスだったので、これはイクラが欲しいと言っていたキッシーさんに献上しようと思っていたときだった・・・今度はメガ弟さんにヒット!
その差1〜2分くらいだったろうか?メガ弟さんの「絶対に釣ってやる!」の言葉どおり、私は撮影班に徹していたのでこれもヒデボさんがタモ入れをしてくれた。
この魚も同じような状態の銀ピカメスだったので、迷わずキッシーさんに用にとキープしてしまった。

メガ弟さんのアキアジ
実はメガ弟さんとの付き合いは長いが、彼がアキアジを釣っている姿を見たのは初めてのことだった。
この日は朝からアキアジを狙ってのキャスティングを真面目に続けていたことも、これまた初めて見たのである。
昼食を終えたキッシーさんが帰ってきた頃には再びアキアジが跳ねだしたので、キッシーさんも迷わず参戦したがなか
なか食いついてくれず、正面に虹が出始めると時々二重の虹が私達をうっとりさせてくれていただけで、その後もアキ  
アジは反応を示さず、16時には納竿とした。
夕マズメや翌朝のためにやってきていた人たちがさかんにキャストしている海面には、再びアキアジの跳ねが見られるなかを爽やかに去る。

夕食は久しぶりに常呂レストハウスに寄ってみたところ、名物の「ホタテづくし定食」の他に「カキづくし定食」もメニュー入りしていたので、一年ぶりにたくさんのカキを食べて満足。

時々は銀ピカも港内に入ってきてるようだがブナサケの数が多く見られることから、この漁港もそろそろ終りかもしれない。
だが、網上げを始めているので岸寄りするアキアジは増えるかもしれない・・。
今シーズンは4年前の稚魚が旅立つ際の低水温の影響から
、稚魚の育ちが悪く回帰するサケが減少したとの説が正しいとすれば、今後も期待できないかもしれない。
しかし、これで終れるほど釣っていないし、まだまだ楽しんで行きたいと考えている。

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