11月の釣り


   ■ がんばれアキアジ!・・・?

11月2日 アキアジシーズンが始まっって早2ヶ月、まもなく終了を迎えようとしているが、まだ続けるつもりのいつもの私
だった。
出発時には雪が舞い、気温は3℃と寒くて釣行に行く気さえそがれてしまうほどだが、これはいつも出発時だけのことで
ある。
高規格道路の峠付近では、道路の周囲に3cmほどの積雪も見られるのでアクセルを緩めてしまうほど緊張することは
安全のためには良いことで、高規格道路から国道に入る前から雪は完全に消えて別世界のようになると、再び釣りへ
の意欲も湧いてくるのである。
祝日前なので釣り人は多いだろうが、この寒さの中で前日から泊り込む人は少なく7台ほどしか停まっていなかったの
で、釣り場など見に行かずそのままテレビを観るなどしてお酒を楽しんでから寝ることにした。


11月3日 次々にやってくる釣り人の喧騒に目覚めたのが3時半、夜明けが遅くなっているのでまだ早いと思いながら
も、釣り人は多そうなので良い場所はあるだろうか?少し心配になる。
4時半には準備をして釣り場へと向かい海を見ると、天気予報の波2mは当てはまらずベタ凪で風は微かにある程度、
気温は低くはないが荷物を持って歩いたので少し暑く感じられる。
お気に入りの釣り場はどこも全て先客がいるようなので、取り込みはしずらいが好きな場所の近くになんとか入れたの
で一安心。
道具のセットを済ませてもまだ明るくならなかったので、厚い雲と地平線の間にできた僅かな隙間に見える朝焼けを見ながらじっと待っていると、近くの釣り人の話し声が聞こえてくる。
「木曜日は11本釣れて銀ピカも多かった・・」には耳も大きくなり、「○○はもう終った」とか「○○は何本釣れていた」など、近郊釣り場のリアルな情報がどんどん聞こえてくる。
しばらく聞き耳を立てていたが我慢しきれずに私もその会話に入り込んで「11本釣ったんですか?」と聞くと、「全
体でね」やっぱりそうなのね、そりゃあそうですよねと期待した自分を笑う・・。
そして6時近くなってからようやくウキが見える明るさになったところで、周囲でも一斉にキャスティングが始まったので
私もロッドを手にしたところ、右隣の人が見覚えのある鶴太郎さんだったと知った。
そこで私は鶴太郎さんの好意によって、釣りがしやすいすぐ隣に入らせていただきくことができたし、互いに1mほどの
距離だったのでのんびりとおしゃべりを楽しみながら釣りをすることになったのである。
釣り場全体で70人ほどだろうか、この時期にしては多いのは祭日のせいか、他の釣り場が釣れていないのか、或いは
シーズン最後をこの釣り場に賭けているのだろうか。
しばらく静かだった釣り場にアキアジの暴れる音が聞こえてきた・・いつもの人気ポイントで一本のロッドが曲がってい
た。
次は私達の近く、右数人隣でヒットすると立て続けにヒットしていたが、連続バラシが多発していたのでタモに入ったア
キアジは少なかった。
私の右二人目の人は3本連続でヒットするも、その3本ともバラシとなる食いの渋さに驚いていた。
6時15分、私にもアタリ・・・前回の教訓を想い出しながらアワセは慎重に待ち、リーリングは気を抜かず集中していたせいか、何とかヒットした。
鶴太郎さんが「随分待ったね」というくらい、アタリからアワセまで30秒ほど要しただろうか、会心のアキアジとの我慢比べとでも言うとよいだろうか、鶴太郎さんのタモ入れで無事ネットイン。
大きくはないが、まずまずの銀ピカオスだったので鶴太郎さんに差し上げた。
そして鶴太郎さんのタモを洗って返してから間もなく鶴太郎さんにもヒットして、これは私がタモ入れをしてネットインした。
しばらく周囲の様子を見ていると釣れているのは私達の周囲だけらしく、私から右15人ほどの場所で頻繁にロッドの曲
がりが見える他はほとんど釣れていないようだった。
圧巻だったのは先ほど3本バラシていた人で、その後3本追加して6本連続バラシは、本人も「こんなの今までで初めて
だわー!」と叫んでいたことには、周囲からも爆笑を誘っていた。
しかし、その後なんとか一本釣り上げていたので、ベテランらし
き面目は保っていたかにみえた。
面白かったのはこの人が流行らせた一言で、周囲の誰かにヒットするとファイト中に「がんばれアキアジ!」と連呼するのである。
連続バラシだったために、自分の知り合いにヒットするとこの言葉を発してアキアジがフックアウトすることを望むものだが、まあ「バレロ!」を優しく言ったようなものである。
そして6時40分過ぎ、やや遠投で再びアタリ・・・薄手の手袋だったので何とかわかる程度の微かなアタリが続いていたがようやくヒットして、それでもその引きはこの時期にしては充分なアキアジのファイトだった。
鶴太郎さんが「いつバレルかわからないからタモ入れし合った方がいいよね」と言って、このアキアジも自分のタモで掬ってくれて無事ゲット!
状態も良く、型も良い銀ピカオスだったので鶴太郎さんが「これは持って行くしょ」と言ったが、名人の鶴太郎さんでも今
シーズンまだ充分な数をキープしていないと言っていたので鶴太郎さんのタモに入れておく。
小爆釣とまではいかないが釣れそうな状態が続き、7時半前にはヒットゾーンで再びアタリ・・・このアタリは意外と明確で、それでも周囲の人から「ほんとうに我慢強いよねえ」と言われるほどウキを沈ませている時間が長いらしく、私はウキを見ていないので差ほどには感じていないのだが、合わせるとヒット!
メスらしく海面で大暴れしている姿はなかなかの銀ピカだとわかるほどで、これも鶴太郎さんがネットインしてくれた。
尾びれ近くに鋭利なトッカリ傷はあったが、状態の良い銀ピカ
メスはすぐに鶴太郎さんのスカリにプレゼント。
気分的にはもう充分に満足していたのでこのまま納竿してもよいほどだったが、釣り人というのは欲深いものでなかな
か釣れている状態ではやめられず、休憩をしながらキャストし続けていた。
鶴太郎さんも8時半には3本目を釣り上げてご機嫌で、隣にいる私とのおしゃべりも一層熱が入るほどこの日は予想外にアキアジはよく釣れたが、全体的にはまだ30本ほどだった。
しかしこの時期こんな状態が続くはずもなく、次第に釣れる場所も少しづつ移動し始めてきて、やがて全体的にも滅多に釣れなくなってしまうのである。
この間の悪いときにようやく釣り場に到着したのが師匠夫妻だったが、次々と他の釣り人が帰っていた釣り場はどこでも好きな場所が選べるほどになっていたので、私の左20mほどのところに入釣した。
そしてあの6本連続バラシのベテランさんが断言していた「10時過ぎたら釣れなくなるよ!」の、10時が迫っていたときだった。
追い風に乗って遠投した遠くでアタリ・・・渋いがアキアジらしい手ごたえで、これまたじっくり待ってからアワセを入れるとフッキングしたようだった。

鶴太郎さんファイト中
ただ、じっくり待ったはずだが自分の中では、まだ早いという不安と、これでよかったとの考えが半々に交差しながらフ
ァイトを楽しんでいたところ・・・やはりフックアウト・・・。
こちらに向かって飛んできたルアーがラインをロッドに巻きつけてグチャグチャとなってしまったので鶴太郎さんにも手
伝っていただき、数分後にはなんとかラインを切らずに復活した。
この後は予言どおり誰のロッドも曲がることはなく、常に全体を監視しているわけではないのでそう見えただけだが、空
には青空と少しの白い雲、そしてポカポカ陽気の暖かな日が射していた。
10時半過ぎ、再び遠投の遠目でアタリがあって、これはわかりやすいアキアジらしい反応だったので、先ほどの失敗を思い出しながら慎重に大きく合わせる・・・ヒット!
しかしウキが見えなかったので私の目が悪いのかとそのままファイトを続けていると、鶴太郎さんが「アキアジ全然浮いてこないなあ・・・ウキはどこだー」そう言っていたので、少し安心する。
巻けども巻けども、どんどんドラグは出て行くので何度か締めなおして寄せようとするが、あまりの重さに「これはスレか?」そう思いながら巻き続け、ついには声に出して「スレかな?」そう言ったところ、鶴太郎さんがようやく近づき見えたアキアジを見て「いや、スレじゃあないよ口にかかってるわ」とのこと。
私にもようやく見えた魚体だったが少々黒いブナオスで、さすがに私もアキアジも疲れてきた頃にようやく鶴太郎さんの差し出したネットに
引き寄せられるように入っていった。
大きいがブナだったのでリリースすると言うと「それならもらうワ、あれだけ暴れたんだからこの魚は美味しいよ」と言う
鶴太郎さんで、美味しい根拠は不明だが処理をする前に重さを量ってみたところ5.7kgとなかなかのものだった。
私はこの後しばらくの間動くことができず、充分休憩してから釣り始めることとなる。
この時すでに釣り人は全体でも20人弱、さらにこの後に釣り人を失望させる生き物が近くに現れた。
大きくはないがアザラシが目の前に現れてしまい、ひょこっと顔を出してはこちらっを伺い、すっと消えてまた違うところ
に顔を出すことを繰り返していたので、アタリが消えていた釣り場にさらに絶望の空気が流れてしまった。
その後アザラシは遠くへ移動し始めて、ルアーで届く2倍ほどの遠くに一度顔を見せてから消えてしまった。
そして、この日姿を見せなかったチカやワカサギも泳ぎだし、サビキ仕掛けを下ろしたくなるほどたくさんの群が通過していた頃には、アキアジ釣りからチカ釣りに変更していた人もいたほどだった。
この頃には釣り人は10人弱で、釣り人が少ないだけにアキアジが近くにいるのかどうかもわからない・・・。
正午過ぎ、気付いた時には師匠の奥様にヒットしていた。
師匠のタモ入れで無事ゲットして、これはまだ釣れるかと期待して再び釣り始めたものの反応はなかった。
その後、風向きが向かい風に変わり海面は波打ってき始めた14時前には師匠にヒット!
私は巻き取った後だったので、すぐに師匠の後方へ駆けつけて写真を撮ろうとしたところ・・・バラシ。
うーん残念と言いながら、心の中では喜んでいたところに師匠の奥様が「さっきもバラシたんだよねー」と、さらにうれし
い一言を聞いて、上手な人がバラすとついつい喜んでしまう私だった。
次第に向かい風は強まり始め、海面もバタつきはじめるとアタリすらわからなくなってきたのでどうしようかと思っていた
ところ、師匠夫妻が片付け始めたので私も納竿することにした。
高規格道路上にあった雪も全て消え去り夕陽が見えていたほど天気は回復していたので、初冬の様な出発時の暗さ
はすっかり消えてしまっていた。





   ■ これが最後のアキアジ釣行となるか?

11月9日 週末の天気は確実にマイナス気温だとわかっていても、出撃を決めていたのでいつものように出発したとき
はマイナス3℃ほど・・・。
師匠からの情報では、昨日松さんが9時過ぎまでに6本釣ったというし、イノケンさんが地元の人から聞いた情報でも二
日間で50本も釣れていたと知ってしまうと、テンションも上がってしまうのは無理もないことだろう。
現地着は21時半、駐車場には7台ほどの先客が車内泊をしていて、先着のイノケンさんが温かく迎えてくれた。
久しぶりにお酒を飲みながら釣りの話に夢中になってしまい、気が付いた時には翌日になっていたので寝ることに・・・。


11月10日 目覚しは5時15分前にセットしていたにもかかわらず目覚めたのは3時半頃で、その後も隣のディーゼルエ
ンジンの音が車内に共鳴してうるさくて眠れず、結局4時過ぎには起きてしまった。
準備を済ませて外に出ると気温はマイナス2℃でそれほど寒く感じられないが、イノケンさんとともに釣り場へ向かう途
中に雪が舞っていた。
すでに師匠夫妻が待っていてくれて、その後明るくなる前にキッシーさんも到着した。
釣り人は40人くらいだろうか、全員がキャスティングを始めたが誰のロッドにも何の変化もない・・・。
私の隣の人が二度もヒットするも二度ともバラシ、周囲でもようやくヒットしはじめたがバラす人が多いようだった。
キッシーさんは二度アタリはあったが合わせるほどのアタリではないらしく、日に日にアキアジは食いの渋い難しい釣りになっているようだった。
体の寒さは防寒着でなんとか耐えられるが、手袋が薄いうえに3本指が出ているので痛いほどに冷たくて辛かった。
朝焼けが美しく、その後は雲が少なくなり日が射してくると少しだけ暖かくなってきた。
6時半前に昇った朝日をキッシーさんとイノケンさんと眺めていたところ、師匠にヒット!
イノケンさんが駆けつけてタモ入れをして、この日の私達にようやく1本目が釣れたのである。
スリムだが銀ピカのオスで、用意していた師匠にしては遠慮がちなサイズのクーラーボックスに入って私達も再び真剣
にリーリング。
しかしアタリも何も感じられず、時々うねりによるアタリに似た引きにドキッとさせられるむなしさと戦いながら、ひたすら
続ける。
私の隣の人に3回目のヒットがあり、今度はバレそうになかったので私がタモ入れをすることにしたが、ようやく入ったタ
モのネットが浅くて少々驚かされる。
それからしばらくは休みながらキャスティングを繰り返していたが、周囲にももちろん私達にもアタリすらなく時間が流  
れ、唯一師匠の奥様がヒットさせるもバラシ・・・。
そして8時14分、私にアタリが来た・・・・・そう感じられたのだが、これは私のラインをキッシーさんが悪戯しているに違いないと確信して、そ知らぬふりで自分のウキも見ずにリーリングを続けた。
だが、リーリングを続けているうちにあまりにもリアルなアキアジのような引きが伝わってくるので、キッシーさんも腕を上げたなあとは考えず、もしやと思い、頃合をみてからアワセを入れてみたところ・・・なんとヒット!
イタズラと勘違いしていたのは本物のアキアジのアタリだったとは驚いたが、これがなかなかのファイトを見せてくれて、
先ほどのお隣さんがタモ入れをしてくれて無事Get!
上あごにしっかりフッキングしていたので、タモ入れのときにフックがネットに引っ掛かってもバレずに済んだほどだっ
た。
ブナのオスだったが重さを量ってみたところ、5.1kgと先週に引き続き5kgオーバーの強面なアキアジはトバ用に最適の一本となった。
ただ、スカリを忘れてしまったので師匠のクーラーボックスに入れさせてもらうことにしたところ、ピカピカのアキアジとブナ黒のアキアジは同じサケとは思えない違いで少々うらやましい。
その後、師匠にヒットしたもののバラしてからは私達には全くアタリすらなく、釣り人は全体でも10人足らずになってしまった。
そしてついに、網走の埠頭でチカ釣りでもしようかとアキアジ釣りに見切りをつけて、正午前には師匠夫妻と別れて納竿し、釣り場を後にする。
この時点でこの日は全体7本と全く振るわなかったので、イノケンさんは今シーズンのアキアジ釣りを終了すると宣言する。

この写真ほど黒くはない・・
ただし、アキアジ漁の漁船が次々に網上げをして帰港していたというので、この後はもしかすると釣れ始めるかもしれな
いとは思っていた。
事実、午後から師匠は2本追加して、奥様も1本釣ったと聞いた。
さらに翌日には、全体でも9時までで40本ほど釣れていたというから、網上げの効果は絶大だったようである。

網走港の第二埠頭から釣りの様子を見て回ると、第二埠頭は少ない釣り人だったが程ほどにチカが釣れていた。
第四埠頭は開放中で、アキアジ釣りでは最高のポイントが何故かポツンと空いていたので車を停めてみたところ、丁度アキアジが釣れたばかりだったので聞いてみたが、この一本が朝から全体で2本目と言う・・・。
釣り人は軽く150人もいるだろうが、アキアジは全く釣れていない中でもほとんどの人がアキアジ狙いだから面白い。
そして第五埠頭はというとほとんどの人がチカ釣りで、アキアジを狙っている人は数えるほどしかいなかった。
3人がかりでチカを狙ってみたのだが、先ほどまでは爆釣だったと聞いた港内にはほとんど魚の気配はなくなっていて、それでも撒き餌に
僅かに寄ってくるチカを釣っているうちにキッシーさんが納竿して、15時には寒くなりはじめたのでイノケンさんと同時に
片付けを始めたところに、漁港の職員がやってきて「漁船が入港しますので・・・」いいタイミングの納竿となった。
釣ったチカは30数匹だったが、久しぶりにサビキ釣りをすると間もなく始まるワカサギ釣りの楽しさが思い起こされて、
再会を約束して網走を後にした。

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